昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十ニ) 二

2013-05-20 20:11:52 | 小説
(二)

「なに、このお床は。
お布団かなんか欲しいわぁ。
お尻が痛いやん。

ちょっと、待ってて。
心積もりもありますさかいに。」

「あぁ、あ、あ、のこぎりの刃が、うちの白玉のような肌に当たってるぅ。」

「あっ、あっ、痛い! あっ、あっ、閻魔はんがお迎えに。
ちゃう、ちゃう、天使はんがお迎えに……」

そして一旦離された箱が再び戻されると、
「あの世から戻りましたえ!」
と大声で、ひとみが叫んだ。

マジシャンに手を取られての折には、更なる拍手と指笛が鳴り響いた。
にこやかに笑みを浮かべつつ、ひとみがマジシャンに囁いた。

「血ぃがどばっと出ると、もっと盛り上がるんとちゃう?」

小声で話しかけた筈が、マイクロホンに拾われてしまった。


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