昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[思考停止] (四) Last

2013-02-23 18:16:41 | 小説
(四)

しかし実際は、そんな生易しいものではなかった。
眩しさを通り越して、痛みすら走った。

まばたきをしようとすると、必ず
「我慢して、我慢、我慢!」
と、声が飛ぶ。

できるだけじゃなかったの? 先生。

はからずも涙が出ると、
「男でしょ!」
と、又もや叱咤の言葉が。

泣いてるのじゃないんです、先生。
目が乾くから出てくる生理現象だと思うのですが。

分かった。
医者という人種は、総じてサドなのだ。

分かっていたはずなのに、歯科医で思い知らされていたのに。
女医先生のお姿に、見事に……。

「はい、もう結構ですよ。」

あの天女様に促されて退出した私。
必死の思いで薄目を開けた。

その目に飛び込んできた、若い娘さんは……。
いや、何も言うまい、何も考えまい。

魔物が恐ろしい姿をしていると誰が言った。
神が気高い姿だと誰が教えた。

プッツン!


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