昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十四) 二

2013-02-24 11:03:39 | 小説


(二)

「社長! いや、武さん。
今は、男武蔵に話しましょう。

女にふられた経験のない武さんだ。
そりゃびっくりしたでしょう。

あの小夜子さんにしても、あまり挫折感といったものは味わったことがないでしょうな。
劣等感といったものは味わっているかもしれませんがね。

なにせ貧乏だ。
貧乏、これはいけませんや。
人間をね、萎縮させちまう。
自分を過小評価してしまう。

で、そこからが問題なんです。
なにくそ! と這い上がるか、そのまま沈んでいくか。
これが問題だ。

人間の質みたいなものです、こいつは変えられない。
運命と言いかえても良いかもしれませんな。
しかし面白いもので、外からの風みたいなもので、変わることもあるんですよ。

男女の絡みやら、兄弟姉妹の情といったもので。
まったくの他人からの風もあります。

尊敬する人物とか、死線を共にした仲間とか。
武さん、あたしも変わりました。

武さんのおかげで、他人さまを信じられるようになりました。
感謝してます、ほんとに。


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