昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(五)の二

2011-04-22 21:03:40 | 小説
「素敵だったわぁ・・やっぱり、生で聞くと違うわ。
うふふ・・みんな、何て言うかしら。
きっと、羨ましがるわ。
お父さん、ありがとう!」
そんな小夜子の喜ぶ顔を見るのが、茂作翁には何よりだった。
手痛い出費ではあったが、
“なぁに、今度は儲けられるさ。
仲介業者も代えたことだし、大勝負を掛けてやる。
それで、今までの損を取り返してやる。”と、意気込んだ。
初めの内こそ儲かっていた相場も、ここの所、損が続いていた。
「手仕舞いしましょう。
今なら、損害も小さいですし。
少し手控えた方が、良いでしょう。」
そんな仲介人の言葉にも耳を貸さず、
損害が拡大すると、逆恨みしてしまう茂作翁だった。
たまにうまく行っても、小さな取引では、儲けも高が知れている。
「だから言ったんだ!
お前のような小心者相手では、儲かるものも儲からん!」


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