昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十五) あたしの人生の分岐点

2013-12-21 13:34:56 | 小説
(五)

「ごめんなさい。びっくりしたでしょ? もう大丈夫よ。
アーシアのことを思い出すと、時々泣いてしまうの。

でももう大丈夫だから。専務のことね。
善しにつけ悪しきにつけ、専務と出会ったのが、あたしの人生の分岐点ね。
だけどとに角、嫌いなの」

「分かりました、小夜子奥さま。もう口にいたしません。
どうぞご安心ください。それより、皆さんは如何だったのですか?」

そう言いつつも、千勢の中では竹田のことを聞きたいのだ。
会社での竹田のことを知りたいのだ。

「竹田はねえ。そうねえ、竹田は暗いわね」

ぞんざいな口ぶりで、口にするのもはばかられるとばかりに、一刀両断に切り捨てた。
何故かしら、千勢に竹田のことを話したくない小夜子だった。

「それより、服部よ。もうだれ彼構わず声を掛けまくってたわ。
何かといっちゃ体に触って、大騒ぎ。女子社員が逃げ回っていたわよ。

でも人気者ね、案外。服部の背中を叩いていたもの、みんな。
でもう、会社中を走り回って。
すぐには帰ってこない社員なんかは、案外良い感じかもね」


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