昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (七十五) あたしの人生の分岐点

2013-12-22 10:47:15 | 時事問題
(六)

「はあ、はあ…」

気乗りしない様子で聞き入る千勢。
竹田の話が聞けなければまるで興味のない千勢。
しかし小夜子はなおも話しつづけた。

「それにくっついてはしゃぐのが、山田ね。
山田も一人だと静かなんだけど、服部に便乗するみたい。

でも、山田にはお目当てがいるみたい。
その子の顔色を窺いつつというのが、手に取るように分かったわ。
名前が分からないけど、まあ美人ね。

ちょっとつんとした感じで、スレンダーガールね。
スレンダーは、痩せてるってことよ。

そうね、モデルさんタイプかな? 
そう言えば、竹田もちらりちらりと盗み見してたような…」

途端に千勢の体がピク付いた。
顔も少し引きつっている。

「そ、そうなんですか。美人の社員なんですね。
竹田さん、痩せてる女性がお好きなんですね」

無理に出す高い声は、明らかに普段の千勢の声ではなかった。


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