昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 十七

2013-07-07 14:04:01 | 小説
(十七)


同じことを考えていたのかと嬉しくなった私だったが、まるで違っていた。

「もう逃げ出したんじゃないか? へび女。
それとも他の誰かが…。

いやそうじゃない。
やっぱり、ひとりで逃げ出したんだ。
それを皆が追いかけてるんだ、きっと。」

突拍子もないことを口にし始めた。
しかしそれはそれでいいと、私は思った。

「そうなの? そうなんだ。
うまく逃げられると良いね。
じゃ僕らの役目は終わったんだ。

帰ろうか、家に。
誰かに見つかると、おおごとになっちゃうからさ。」

「何言ってるんだ! 見届けなくちゃ、だめだよ。
ほんとに逃げられたかどうかを。
もし万が一捕まったりでもしたら……」

「うん。捕まったりしたら…(助けるの?)」

喉まで出かかった言葉を、唾と共に飲み込んだ。


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