九
女給たちの羨望の眼差しを受けながら、小夜子は嬉々としてそれを受け取った。
「嬉しいぃ!でも、これと愛人とは別物よ。
どうせ愛人になった途端に、何もくれなくなるんでしょ!
その手には、乗りませんよーだ。でも、ありがとう!」
武蔵に抱きつきながら、小夜子も又戯れ言で返した。
当初こそ遠慮がちな態度を取り続けた小夜子だったが、今ではあからさまに
「あのバッグが欲しいわ。それと、あの靴も。
この間買って貰ったお洋服には、絶対に必要なの!」と、要求するようになっていた。
そのあまりの事に、梅子が苦言を呈したこともあった。
「小夜子ちゃん。
あなた、分かってるの?どれ程散財させているか。
世の中、そんなに甘いものじゃないわよ。」
「大丈夫ですって、梅子さん。
社長さん、凄く喜んでくれるんです。
おねだりをしないと、却って叱られるんですから。」と、まるで意に介さなかった。
「小夜子ちゃん!気を付けなさいよ。
社長の常套手段よ、それって。
どれだけの女が、それで騙されたことか・・。
だめよ、愛人になっちゃ。」
冗談とも本音とも取れぬ言葉を、珠子が告げた。
女給たちの羨望の眼差しを受けながら、小夜子は嬉々としてそれを受け取った。
「嬉しいぃ!でも、これと愛人とは別物よ。
どうせ愛人になった途端に、何もくれなくなるんでしょ!
その手には、乗りませんよーだ。でも、ありがとう!」
武蔵に抱きつきながら、小夜子も又戯れ言で返した。
当初こそ遠慮がちな態度を取り続けた小夜子だったが、今ではあからさまに
「あのバッグが欲しいわ。それと、あの靴も。
この間買って貰ったお洋服には、絶対に必要なの!」と、要求するようになっていた。
そのあまりの事に、梅子が苦言を呈したこともあった。
「小夜子ちゃん。
あなた、分かってるの?どれ程散財させているか。
世の中、そんなに甘いものじゃないわよ。」
「大丈夫ですって、梅子さん。
社長さん、凄く喜んでくれるんです。
おねだりをしないと、却って叱られるんですから。」と、まるで意に介さなかった。
「小夜子ちゃん!気を付けなさいよ。
社長の常套手段よ、それって。
どれだけの女が、それで騙されたことか・・。
だめよ、愛人になっちゃ。」
冗談とも本音とも取れぬ言葉を、珠子が告げた。
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