昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛・地獄変 [父娘の哀情物語り] (四十三)

2010-12-26 16:01:46 | 小説
妻は、
一人で張り切っております。
一人っ子の娘でございます。
最初で最後のことでございます。
一世一代の晴れ舞台にと、
忙しく動き回っております。

私はといえば、
何をするでもなく、
唯々家の中を
グルグルと歩き回ります。
幾度となく、
妻にたしなめられました。
仕方なく、
寝室に一人閉じこもっておりました。

どうしたことでしょう、
涙が、
涙が止まらないのです。
娘を嫁がせる寂しさ?

そう思いました。
それが当たり前のことでございましょう。
ですから、
そのように思おうとしました。

ところが、
ところが、
頭に浮かぶのは・・
今さらこんなことを申し上げても、
恐らくは信じてはいただけないでしょう。
私自身が、
信じられないのでございますから。


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