昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 (二十四)

2013-07-17 20:38:47 | 小説
この作品は、リメイク版です。
五、六年前でしょうか? 
HPに掲載した作品です。

子どもの正義感、というでもいうべき内容でした。
中坊時代の想い出として、高校時代に書き上げた物です。

今回、聡からの手紙という形で、少し話を膨らませました。
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(二十四)

ごめん、ごめん。
君が聞きたがっていること、そしてぼくが一番話したいことを、これから書くよ。
ぼくね、一度死んでるんだ。
でも生き返ったんだ。

ぼくは、暗い井戸の中に居た。
どんどん沈んでいくんだ、水の中に。
でもちっとも苦しくないんだよ。

「もう少しだよ、もう少しだよ。」
って、声が聞こえるんだ。

ううん、声じゃない。音? いや違うな。
聞こえたんじゃないかもしれない。
感じたって言った方が良いかもしれない。

で、今度は足を引っ張られるような気がした。
ぐんぐん速度が増して行く感じだった。

怖くはなかった、不思議と。
死ぬという感覚がなかったんだ。

でその時、声が聞こえたんだ。
はっきりと、声が。

「聡、聡。戻ってこい。」って。
確かお父さんじゃなかったかな。

でも、どんどん沈んでいった。


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