(一)
「正三兄さんの小夜子さまへの仕打ち、あたし納得がいきません。
そりゃ烈火の如くに怒った父に、恐れを為すのは分かります。
あんなに怒った父を見たこと、あたしありませんでした。
でもでも、音信不通状態を続けるなんて、あんまりだと思います。
確かに秘密のお仕事で、外部との連絡を一切禁じられてはいたのですが。
家族宛の手紙でさえ、緊急以外は禁じられていたのですけれど。
でも、でもやっぱり……」
と、結局のところは、正三を擁護する言葉で終わった。
「いいのよ、もう。
ご縁がなかったということ、正三さんとは。
それで今、どうしてらっしゃるの?
お仕事もお忙しいでしょうけれど、どなたかとご婚約の話があるのでしょうね」
たっぷりの皮肉を込めた小夜子なのだが、幸恵には届かない。
「はい。仕事が忙しいのは相変わらずなのですが、実は……
良からぬ話が聞こえてまいりまして、その、また、父が……」
顔を曇らせながら、話をためらう幸恵だ。
「あらあら。良からぬ話だなんて、良い方がおできになったのではないの?」
と、なおも針を突き刺そうとする。
しかしその針も、幸恵には糠に釘だった。
「正三兄さんの小夜子さまへの仕打ち、あたし納得がいきません。
そりゃ烈火の如くに怒った父に、恐れを為すのは分かります。
あんなに怒った父を見たこと、あたしありませんでした。
でもでも、音信不通状態を続けるなんて、あんまりだと思います。
確かに秘密のお仕事で、外部との連絡を一切禁じられてはいたのですが。
家族宛の手紙でさえ、緊急以外は禁じられていたのですけれど。
でも、でもやっぱり……」
と、結局のところは、正三を擁護する言葉で終わった。
「いいのよ、もう。
ご縁がなかったということ、正三さんとは。
それで今、どうしてらっしゃるの?
お仕事もお忙しいでしょうけれど、どなたかとご婚約の話があるのでしょうね」
たっぷりの皮肉を込めた小夜子なのだが、幸恵には届かない。
「はい。仕事が忙しいのは相変わらずなのですが、実は……
良からぬ話が聞こえてまいりまして、その、また、父が……」
顔を曇らせながら、話をためらう幸恵だ。
「あらあら。良からぬ話だなんて、良い方がおできになったのではないの?」
と、なおも針を突き刺そうとする。
しかしその針も、幸恵には糠に釘だった。
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