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あけましておめでとうございます。
本年(令和7年)が、みなさまにとって、実り多き年となりますよう、ねがってやみません。
わたしにとっても、慶びの年となりますよう、精進するしだいです。
本年も変わらぬご支援を、よろしくおねがいします。
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翌朝、徳子に「加藤専務を呼んでちょうだい」と告げた。
なにごとかと社長室に飛びこんできた五平にたいし、
「加藤専務。あなたに社長職をゆずります。いえ、あずけます。
武士を立派にそだてあげるのが、わたしの仕事でした。
そして加藤専務。武士をりっぱな社長にしてちょうだい。
これが武蔵の思いでしょう」
机のまえに直立不動の姿勢をとる五平にたいし、宣言文を読むように告げた。
そして表情をくずすと、
「本当はあなた、武蔵からそう聞かされていたんじゃないの?
武蔵がひと言もなく逝くなんて、おかしいもの。
あの日の早朝、そんな話になっていたんじゃないの」と、なかば詰るような口調になってしまった。
「武蔵の口からあたしに告げられたのは、『武士をたのむぞ』だったもの。
あたしのちっちゃなプライドをおもんばかってのことだったんでしょ?
ありがとう、加藤専務。いえ、五平さん」
椅子から立ち上がって五平の元によると、五平の手を両手でしっかりとつかみ
「富士商会をたのみますね」と、満開になった桜のような満面の笑みを浮かべた。
小夜子の決意が全社員に告げられ、さまざまな声が発せられた。
大半は「お疲れさまでした」の声だったが、「早すぎます」、「納得できません」と惜しむ声もあった。
「突然すぎます、花束もご用意できないなんて」
徳子の声があがったとき、堰を切ったようにあちこちですすり泣く声がきこえた。
「辞めるわけじゃないのよ、火曜と金曜には来るんだから」
小夜子のことばに万雷の拍手がおこった。
〝これで良かった。いきなり俺が社長になっていたら、こうはいかなかった〟と、五平が己の判断を、おのれにほめた。
涙する事務方のなかでひときわ大きく声をあげて泣いたのが、意外にも徳子だった。
人目もはばからず涙する徳子など、御局さまとしてのご威光を発揮してきたことが嘘のようにおもえる。
もう会えないのではないか、そんな感傷にとらわれた徳子だったが、嘱託として会社にのこり火曜と金曜日に出社してくるのだ。
そのことを注進したのが己だというのに、下卑ないいかたをすれば裏切り者というおもいが消えない。
そもそもが、徳子から武蔵という愛する男をうばったにっくき女であるのに、なぜかこころを通わせてしまった。
わがままで気分屋で唯我独尊とばかりに武蔵をふりまわす。
とうてい徳子には真似できないことを平然とする。
徳子には思いもつかぬ悪口を平然と口にする。
しかしそれを武蔵はいとも簡単に認めてしまう、許してしまう。
そして徳子もまた、それを当たり前のこととして認めてしまう。
まだ二十歳にも満たなかった小夜子を、まるで妹に接するがように愛でてきた。
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