ショーは五階のフロア全てで行われる。
T字型のステージを囲むように、
椅子が並べられている。
ファッションに対する欲求が、
戦後の復興と共に高まってきた証しで、
椅子がすき間なく並べられている。
時間が押し迫ってからの来場では、
確かに良い席は取れないなと、
正三も納得した。
小夜子はガランとしたその場に立ち、
これから始まるであろうショーに思いを馳せた。
小夜子の知らぬ世界が、
眼前に現れる。
期待感で一杯の胸は、
早鐘のように波打った。
「あそこの席に座わりましょう。」
正面の一番前の席を指差すと、
さっさと歩き出した。
「小夜子さん、
まだ二時間あります。
お腹減ってませんか?」
「だったら正三さん、
お弁当でも買ってきて。」
“ほんと、
気が利かない人ねえ。”
「分かりました。
どんなものがいいですか?」
精一杯の笑顔を見せつつ、
正平が尋ねた。
しかし小夜子は一瞥することなく、
「お任せするわ。」と、
ひと言。
T字型のステージを囲むように、
椅子が並べられている。
ファッションに対する欲求が、
戦後の復興と共に高まってきた証しで、
椅子がすき間なく並べられている。
時間が押し迫ってからの来場では、
確かに良い席は取れないなと、
正三も納得した。
小夜子はガランとしたその場に立ち、
これから始まるであろうショーに思いを馳せた。
小夜子の知らぬ世界が、
眼前に現れる。
期待感で一杯の胸は、
早鐘のように波打った。
「あそこの席に座わりましょう。」
正面の一番前の席を指差すと、
さっさと歩き出した。
「小夜子さん、
まだ二時間あります。
お腹減ってませんか?」
「だったら正三さん、
お弁当でも買ってきて。」
“ほんと、
気が利かない人ねえ。”
「分かりました。
どんなものがいいですか?」
精一杯の笑顔を見せつつ、
正平が尋ねた。
しかし小夜子は一瞥することなく、
「お任せするわ。」と、
ひと言。
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