昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(十)の二

2011-06-17 19:57:12 | 小説
“どんなものがいいんだろう。
女性の好むものって、
何だろ?”
首を振り振り、
正三が会場を後にした。
と同時に係員が小夜子を見咎め、
「お客さま、
まだ準備中です。
そのお席はお止めください。」と、
退席するよう促した。
「準備中でもいいです。
ここが一番見やすい席ですから、
早く来たんです。」
と、
小夜子も譲らない。
「あのね、娘さん。
三列目まではね、
誰が座るか決まってるの。
一般の客はね、
もっと後ろに居てくれなくちゃ。」
と、
小夜子を追い立てた。
「ポスターには、
そんなこと書いてなかったわ。」
と、
口を尖らせると
「常識というものがないの?
あんたには。
あんたのような若い娘が、
着るような服じゃないんだから。
ささ、
大人になってからお出で。」
と、
相手にしなかった。


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