昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (九) まあ、聞いてくれよ

2015-01-28 08:48:55 | 小説
「まあ、聞いてくれよ」
と、昨日のことを話し出した。
 
「酔っ払いはねえ、基本的に自己中心なんです。
ほろ酔い、泥酔、そして乱酔。生酔い、大酔、酩酊なんてのもあるね。
その度合いが深まるにつれ、自己中心もまた度合いが深まっていく。
道路を千鳥足で歩いていてもだ、本人は直進しているつもりなんだね。
よろけて街灯にぶつかったとしても、“コノヤロー、俺に近寄るな!”となる」

「あゝ、先生。僕、経験あります。
酔っ払い運転をしちゃって、ガードレールに接触しかけまして。
すんでのところで回避できたんですが、“なんで、ガードレールが寄ってくるんだ!”なんて思っちゃいましたよ」

「恋愛においても、然りです。
ほろ酔いならさ程でもありませんが、泥酔・酩酊状態に入ってしまうと、もう周りが一切見えません。
他人の忠告など、雑音以外の何ものでもないんです。
丁度、今の君ですね。だから、今ねえ、忠告やらを言っても無駄です。
私はね、無理無駄が嫌いな人間です。
まっ、とことんまで行きたまえ。それしかない、です。
なあに、二三ヶ月もすれば収まります。もしそれ以上続くならば、本物でしょう。
相手の女性が引っ張り続けるならば、それはそれで真実になるわけですから。
よく言うでしょう、“嘘もつき続ければ真実になる”って。
だから、大学を辞めるなんてことは考えないことです。
いいじゃないですか、今の時期での就職はありえませんから。
バイト、ということになるでしょう。
大学に在籍したままのバイトなんて、みんなやってることですしね。
no problemですよ」


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