13日(月・祝)。昨日、ミューザ川崎で東京交響楽団の名曲全集第94回公演を聴きました プログラムは①ワーグナー:楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②ショパン「ピアノ協奏曲第1番ホ短調」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調”新世界より”」で、指揮は秋山和慶、②のピアノ独奏は中村紘子です
拍手の中、コンマスの大谷康子が登場、チューニングを終えて、指揮者・秋山和慶が登場して大谷と握手をしようとしたその時、2階右サイド、ちょうどコントラバスの上方辺りの席でフラッシュが焚かれました まだ居ますね、こういう非常識極まりないヤカラが
事前の放送など聞いていないのでしょうね、こういう人は。どこのコンサートホールでも事前に「ケータイ電話の電源を切ること。許可のない撮影や録音は固く断ること」を放送しています
そばにそういう人がいたら、直接注意しないで、休憩時間に係員に伝えて注意してもらいましょう。相手が何を持っているか(ナイフとかピストルとかノコギリとか)わかりませんから
逆恨みされて後で刺されたりしたら、もうコンサートを聴けなくなってしまうかも知れませんからね。お互い命を大切にしましょう
1曲目のマイスタージンガーは東響にしては珍しくアインザッツが揃っていませんでしたが、徐々に本領を発揮して堂々たる演奏を展開しました 先日、映画で「ルートヴィヒ」を観て以来、毎日のようにワーグナーの序曲や前奏曲ばかり聴いています。あまり関係ないですけど
舞台右袖からピアノがセンターに運ばれ、ショパンのコンチェルトに備えます。ソリストの中村紘子が白を基調とした銀の鳥をあしらったドレスで登場、ピアノに向かいます
彼女は今年のシーズンにデビュー55周年を迎え、東京交響楽団と35年連続36回目となるニューイヤーコンサートを挙行したということです 彼女のデビューは15歳でしたから、現在の年齢は・・・・・・計算してください
35年連続で同じオケで1月に演奏するというのも信じられないほど凄いことだと思います
ショパンのピアノ協奏曲第1番が、オケの堂々たる第1主題によって始まり、ロマンティックな第2主題に受け継がれ、次いでピアノが力強く登場します 中村紘子のピアノの特徴は一言でいえば「男性的な力強さ=パワー」にあると思うのですが、この時の第1音はまさにその表現が相応しい演奏でした。「力強い演奏」というよりは「叩きつけるようなインパクトの強い演奏」と言った方が相応しいかも知れません
第2楽章「ロマンス」もどちらかというと「ロマンティック」とは対極的な硬質な感じを受けました 第3楽章に入り、しばらくしたところで、高音部の演奏に不安定なところがありましたが、それを物ともせずすっ飛ばして弾きました
ピアノは一度音を出すと修正できないので困りますよね。ピアノに限らないけど
何度も舞台に呼び戻されたソリストはアンコールに小品を弾きました。「ショパンのコンチェルトを弾いたのだからアンコールもショパンだろう」と思っていると、どうも違うようです なんとシューベルトの即興曲作品90-2を弾きました
休憩時間が終わり自席で待っていると、後ろの席の女性2人組の会話が耳に入ってきました
「ほら、後ろの右の方にいるのがファゴットよ」
「どれ、どれ?」
「先端が白い円形になっている細長い楽器よ。トッポを大きくしたようなヤツよ!」
「ああ、あれね!!トッポを大きくしたようなって面白い表現だね」
この会話を聞いていて私も無音で笑っちゃいました ちなみに「トッポ」というのはロッテが販売しているチョコレート菓子で、形が細長い円筒形をしていて、あれを大きくするとまさにファゴット(バスーン)になります。あの会話は忘れられません(never forgotten)
ドヴォルザークの交響曲第9番は作曲者が米ニューヨークのナショナル音楽院の院長を務めていた時に作曲されました 第2楽章「ラルゴ」はコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)によって懐かしいメロディーが奏でられます。小学生の時、ボーイスカウトの野営で歌った「遠き山に陽は落ちて・・・・」という歌を思い出します
演奏では、留学中の荒絵理子に代わってオーボエを吹いていた女性奏者が素晴らしい演奏をしていたのが印象に残っています
アンコールはないものと思っていましたが、何度目かに指揮者が舞台に戻る途中で、いきなり小太鼓のリズムが刻まれました ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートのアンコールの定番「ラデツキー行進曲」です
秋山は時に客席の方を振り返り、手拍子を求めます
聴衆も慣れたもので、秋山の合図に合わせて手拍子をしたり休んだりして演奏に”参加”しています
オケも楽しそうに演奏しています。新年早々いいですね。こういうのは
プロのオケがいくつも競合する東京では、聴衆を確保するためにいろいろとサービスを考えないと生き残れませんから大変ですね