人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

プッチーニ「蝶々夫人」代演の石上朋美、女性指揮者ウィルソン華々しく新国立デビュー!

2014年01月31日 07時00分29秒 | 日記

31日(金)。ほら、油断してるから今日で1月も終わっちゃうじゃないの

昨日の日経朝刊に「クラシック音楽 効果~原因不明の『突発性難聴』」という記事が載っていました。超訳すると

「自然科学研究機構生理学研究所のチームが、原因不明で急激に聴力が低下する『突発性難聴』の患者を対象に、聞こえにくい耳を使ってクラシック音楽を聴き続けてもらう実験をした結果、高い治療効果があることを突き止めた 実験では、発症間もない患者50人を2つのグループに分類。片方のグループにはステロイド治療のほか、正常な耳をふさぎ、難聴の耳で毎日約6時間、クラシック音楽を聴き、日常生活音も全て難聴の耳で聞いてもらった。約10日後に調べると、左右で25デシベルあった聴力差が7デシベルほどまでに縮小。ステロイド治療だけだと15デシベルほど差が残っていた

この記事には「クラシック音楽」とあるだけで誰の何の曲かが分かりません 勝手に想像すると、ピアノからフォルテまでの高低差が少ない、ゆったりした速度の曲ではないか、と思います 例えば、アルビノ―二「アダージョ」、パッヘルベル「カノン」、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」、モーツアルト「ピアノ協奏曲~アダージョ楽章」、ベートーヴェン「ロマンス」、マーラー「アダ―ジェット(交響曲第5番第4楽章)」、バーバー「弦楽のためのアダージョ」等々・・・・・・皆さんはどう思われますか

一方、昨日の朝日朝刊には「28歳男を逮捕 448足見つかる~ハイヒール 銀座のクラブから盗んだ疑い」という記事が載っていました 住所不定・無職の若者が448足もの靴をどこに保管していたのか、と思って記事をよく読むと、レンタルルームを借りていたとのこと 448足ということは合計896個ですから、さぞかしレンタルルームも窮靴だったのではないかと思います 盗んだ物が悪かった。ハイヒールだけに、すぐに足が付きます。おアトがよろしいようで

 

  閑話休題  

 

昨日、初台の新国立劇場でプッチーニの歌劇「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」を観ました 

クロークにコートを預け、入場してプログラムを買い求めると、ペラ1枚のシートを渡されました。「キャスト変更のお知らせ」のタイトルがあります。マサカと思ったら、そのマサカで、蝶々夫人役のアレクシア・ヴルガリドゥ(ギリシャ出身)が体調不良により降板、代わりにカヴァー歌手の石上朋美(東京藝大出身。イタリアを中心に活躍)が出演するというのです ヒロインが変わるのですから、事前に何らかの通知があっても良いと思うのですが、何の音沙汰もなかったところをみると、急な降板だったのかも知れません これが吉と出るか、凶と出るか、終わってみなければ判りません

今回の公演の特徴は新国立初の女性指揮者の登場です。これが吉と出るか、凶と出るか、聴いて見なければ判りません

会場はプルミエ(初日)公演にしては空き席が目立ちます。通路を挟んで私の左前の席には新国立オペラ次期芸術監督の飯守泰次郎氏が座っていらっしゃいます。近い将来のための下見でしょうか

キャストは蝶々夫人=石上朋美、ピンカートン=ミハイル・アガフォノフ(ロシア出身)、シャープレス=甲斐栄次郎、スズキ=大林智子、ゴロ―=内山信吾、ボンゾ=志村文彦、ヤマドリ=小林由樹、ケート=小野和歌子ほか。指揮は新国立歌劇場初の女性指揮者ケリー=リン・ウィルソン(カナダ出身)、オケは東京交響楽団、演出は1998年の初演以来今回8回目となる栗山民也です。私は2005年の新演出による4回目以降の公演はすべて観ています

 

          

 

チューニングが終わり、指揮者ケリー=リン・ウィルソンの登場です 彼女は2013年からスロベニア・フィルの音楽監督を務めていますが、最初はドイツ系の指導者に付き、次いでクラウディオ・アバドの指導を受けたといいます 彼女の指揮ぶりを見ていると、トスカニーニ国際指揮者コンクール優勝者・三ツ橋敬子の指揮によく似ています。タクトを持った右手はもちろんのこと、左手の使い方がそっくりです

 

          

 

舞台上の奥の上方にはアメリカの星条旗がはためいています。これは当時の文明国アメリカと後進国日本との関係を表しており、舞台は極めてシンプルです

代演者の石上朋美は、ただ美しい声というのではなく強さも備えたソプラノで、立派に重責を果たし聴衆の期待に応えました 私は「蝶々夫人」だけは、欧米人によるヒロインがどうも違和感があって受け入れがたいのですが、今回、急な主役交代によって日本人の蝶々さんが実現し、返って良かったと思います。とくに石上は日本人女性の典型的な顔付きをしているので蝶々さんにうってつけです 新国立の賭けは吉と出たようです

ピンカートン役のアガフォノフは良く通るテノールで聴衆を魅了しましたが、もう少し減量した方がよいと思います 日本人歌手で良かったのはシャープレス役の甲斐栄次郎とスズキ役の大林智子です

新国立オペラ初の女性指揮者、ケリー=リン・ウィルソンは躍動感溢れる指揮ぶりで、東京交響楽団から「蝶々夫人」の喜び、悲しみの表情を存分に引き出し、オケ自らが歌っていました とくに第2幕第2部の冒頭に置かれた「間奏曲」では、それまで現われた”動機”を表情豊かに再現、聴衆の耳を奪いました

最後に蝶々さんが自決するシーンで幕が下りると会場一杯の拍手とブラボーが舞台に押し寄せました カーテンコールで歌手陣に次いで指揮者のウィルソンが現われると、拍手とともに1階席後方、2階席辺りからブーイングが出ました。ちょっと信じられない反応です 「オペラの指揮に女性はいらない」という保守層の主張なのか、日本のオペラ界に殴り込みをかけてきた初めての女性指揮者に敬意を込めた反応なのか、よく分かりません ブーイングをした人にその理由を聞いてみたいところです。私としては、賭けは吉と出たと思います

 

          

 

コメント
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