人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新日本フィル室内楽シリーズを聴く~モーツアルト「オーボエ五重奏曲ハ短調K.406a」他

2014年01月23日 07時00分47秒 | 日記

23日(木)。昨日の朝日朝刊・教育面に「音に触れて共に成長~日本版エル・システマ 福島で”進化”」という記事が載りました。記事を超訳すると

「ベネズエラが国を挙げて取り組む音楽教育システム”エル・システマ”の日本版が福島県相馬市でスタートして1年半経った ”本物の芸術”に触れ、楽器や合唱を地道に学ぶ過程を通じて子どもの成長を促すプログラム。日本では独自の形で”進化”している

『エル・システマ』は、貧富の差が大きいベネズエラで38年前に始まったが、英語に直せば『ザ・システム』。ヴァイオリンなどの楽器を渡し、練習を積ませて”規律や社会生活を身につける”社会教育プログラムである 無料で通える音楽学校を全国各地につくり、銃や薬物犯罪に手を染める前に、子どもを芸術の世界に誘う

日本では東日本大震災後の2012年5月、日本ユニセフ協会の職員として相馬で復興支援に携わった菊川穣さんが始めた ベネズエラと違い”数十年スパンでの子どもへの支援”が目的。地元の楽器の先生やプロの音楽家、ボランティアの大学生が先生役を担い、運営資金は民間の寄付や補助金を充てる。費用は無料。昨年末には『相馬子どもオーケストラ&コーラス』として開いた演奏会に約130人が参加、『喜びの歌』などを披露するまでに成長した

今年1月2日のtoraブログで、昨年1年間のコンサート「マイ・ベスト10」をご紹介していますが、「エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス」が萩原麻未と共演したグリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」を第2位に挙げています 若さと情熱に溢れたオーケストラです

日本でも相馬での試みが全国的に広がれば良いと思います ヴァイオリン教室の先生方は職を失う恐れがあるので、”エル・システマ”でなく、”あら、システムが・・・”とおっしゃるかも知れませんが、そこは長い目で見てやってほしいと思います

 

  閑話休題  

 

昨夕、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズ演奏会を聴きました 前回所用で聴けなかったので、久しぶりです いつものように、ロビーでコーヒーを飲みながらプログラムの解説を読んでいると「トラさん、こんばんわ。今年もよろしくお願いします」とテノールの声が。新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんでした。開口一番「いやぁ、良かったですねぇ、井上さんのハイドンを入手できて」と言われ、先日、篠原さん情報により神保町の古賀書店で手に入れた井上和雄著「ハイドン・ロマンの軌跡」のことだと分かり、「ありがとうございます。買い手が付かないうちにと早めに行って、何とか手に入れました」とお答えすると、「あちこちの古本屋さんを回ったんですが、『モーツアルト』と『ベートーヴェン』はあるんですが、『ハイドン』は中々手に入らなかったのですよ。とにかく面白いですよ 井上さんはプロも敵わないほど弦楽四重奏曲のことや演奏家のことを良くご存知の方です 私のプレトークでもあの本から得た情報をずい分活用させてもらいましたよ」とのこと。私は「確かに博識の方ですね。まだ読んでいませんが、ハイドンの弦楽四重奏曲を聴きながら読もうと思っています。時間がかかると思います」とお答えしておきました。その後、篠原さんはプレトークの重責をコントラバス奏者の村松裕子さんに引き継いで気楽な立場なので、Gパン姿でリラックスしてロビーにいるお客さんに声を掛けておられました

7時5分前になったので自席に座ると、隣席のご老人がゴソゴソやっています なんと座ったまま、いきなりズボンを脱ぎ始めました。と思ったら、今度は上着を脱ぎ始めました。「おじさん、やめてよね、公衆の面前で・・・・・」と思いましたが、どうもズボンの下にまたズボンをはいているようです。思うに、会場までバイクか自転車でやってきたのではないか、寒さしのぎにウィンドゥブレーカーのつもりで上下とも1枚余計に着てきたのではないか、と考えました こういう行為は紛らわしいので次からは止めてほしいと思います。よい子はマネをしないようにしましょう

 

          

 

さて、7時になり村松裕子さんが登場してバスイス(コントラバスの椅子)に座りプレトークが始まりました

「いま、金曜・土曜の定期演奏会のリハーサルをやっています。ハウシルトさんのブルックナーですが、いかにもドイツのおじいちゃん、といった感じの人です さて、私は3月、4月のシリーズ公演は産休でお休みいたします。その間は皆さまご存知”夢先案内人” そう、篠原英和さんがプレトークを担当してくださいます。お楽しみにしてください

第1曲目はモーツアルトの『オーボエ五重奏曲ハ短調K.406a』です。この曲はそもそも管楽器のためのセレナード第12番”ナハトムジーク”を弦楽五重奏曲に編曲したものを第1ヴァイオリンをオーボエに置き換えて編曲した曲です。ややこしいですね オーボエは楽器の中で一番扱いにくい楽器と言われています。もともと管楽器だけの曲を弦楽器とのアンサンブルで演奏したらどうなるか、楽しみにしてほしいと思います。家でCDを聴いて比べてみたのですが、弦楽器が入った方が”しっとり感”というか、そういう感じがしました

2曲目はシューベルトの『弦楽四重奏曲第14番ニ短調”死と乙女”』です。プログラムに『演奏者による聴きどころ』が載っていますが、4人のうち3人が『最初から最後まで弾きまくりで、譜面めくりが大変』とか『譜面を落としたらどなたか拾ってください』と書いています。特に第4楽章が一番大変のようです。音楽を聴きながら譜めくりもご覧ください

ところで、今回のコンサートのサブタイトルは『そなたに安息を』となっていますが、安息という意味で思い出すことがあります 私の藝大時代のコントラバスの師匠は江口先生といいますが、ある日私が午後9時頃ご自宅にレッスンに伺ったのですが、先生は時間に頓着しない人だったのでいつの間にか12時になってしまい、私はお暇しました。その翌朝、奥様がレッスン室に行ってみると先生は息を引き取っておられたということでした その時に流れていたのはサン=サーンスの交響曲第3番”オルガン付”だったそうです この曲を聴くたびに先生のことを思い出します

 

          

 

しばし聴衆をしんみりさせ再び笑顔に戻って拍手に送られて退場した村松さんに代わり、1曲目のモーツアルト「オーボエ五重奏曲」の演奏のため5人のメンバーが登場します 向かって左からオーボエ=古部賢一、第1ヴァイオリン=田村安紗美、第2ヴァイオリン=竹中勇人、ヴィオラ=木村恵子、チェロ=上村祥平です

演奏を聴くと、なるほど管楽器で聴くのと一味違った印象を受けます 管楽器だけだと”華やかさ”のようなものを感じるのに対して、弦楽器が加わると落ち着きのようなものが出てきて地に足が着いたような感じがします 演奏では何と言っても新日本フィルの首席奏者・古部賢一のオーボエが冴えわたっています それに加えて田村、竹中、木村、上森の弦楽器グループがピッタリと付けていて、素晴らしいアンサンブルを奏でていました 観ていて楽しそうです。モーツアルトの曲の演奏ではそうあってほしいと思います

休憩後のシューベルト「弦楽四重奏曲第14番」の演奏は、向かって左から第1ヴァイオリン=吉村知子、第2ヴァイオリン=小池めぐみ、ヴィオラ=原孝明、チェロ=貝原正三です

この曲で最初から最後まで弾きっぱなしの第1ヴァイオリンの吉村さんの譜面台を見ると、4ページ分の楽譜を縮小コピーした譜面が載っていました。演奏では、それをまたひっくり返したりしていました しかし、演奏を観ている限り、事前に言われていたほど譜めくりが大変とは思えませんでした。というよりも、大変そうに見せないのがプロなのかも知れません シューベルト特有のしつこいくらいの繰り返し演奏なので、4人とも気が抜けない熱演が展開されました 欲を言えば、もう少し有機的な結合が見られたら申し分ないと思いました

コンサート終了後にワンコイン・パーティーがあったのですが、前夜飲み過ぎたのと、翌日(つまり今日)コンサートの予定があり、金曜は新年会があるので、ここで無理をすると身体を壊す恐れ大なので涙をのんで出席せずに帰ってきました

ところで、プログラムに来シーズンの室内楽シリーズの案内チラシが入っていましたが、第8回(7月30日)のプログラムの一部にミスプリがあります。ベートーヴェン作曲 弦楽四重奏曲第8番ホ短調『ラヴモフスキー2番』とありました。『ベートーヴェンに恋を!』ではありません。これは『ラズモフスキー第2番』の誤りです 昔、東京文化会館のコンサート・ガイドに「ブタ―ムス作曲・悲劇的序曲」というのを発見した時には目が点になりました。ブラームスはとうとうブタになって蒸されるのか、本当に悲劇的だ、と

 

          

 

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