15日(水)。昨日の朝日朝刊のコラム「新聞記者の文章術」は吉田純子編集委員の「『音楽』を書くこと・5」(最終回)でした 見出しは「書く 人を、人生を愛するため」です 俎上に載せたのは2023年1月8日の朝日に掲載された吉田さんの記事です。この記事で吉田さんはAdoの「うっせぇわ」を取り上げていますが、実はこれは記事に注意を引き付けるためのキャッチで、本当に言いたいことは別にあります 連載最終回の「文章術」は、「『偶然』の中に本質を探し、新たな世界へと連なってゆく『いま』を楽しむ」です
吉田さんは記事の冒頭で次のように書いています
「演奏会の最中にメモをとるのですか、と聞かれることがあります よほど急ぎの原稿が待ち受けている時でなければ、音楽が流れている間はなるべく心をそらすことはしないようにしています 電車の車窓と同じように、音の風景はどんどん後方へ流れていきます。見逃した景色はもう永遠に見ることはかないません 常に、今に集中する その時間の積み重ねの先に、実感を携えた言葉がにょきっと芽を出す。その瞬間に心を凝らすしかないと思います 書くということは、自身の無意識を掘り起こし、嗜好を顕在化させることでもあります」
ブログを書く関係から、私は数年前までは、演奏の最中でもメモを取っていました 聴いたそばから思ったことを文字として記録していかないと、後で思い出せないからです 記憶力が働く若い頃なら良いのですが、忘却力が強くなってからは なおさらです しかし、数年前の あるコンサートで、演奏中にメモを取っていた時、隣席の人から注意を受けたのです 「気が散るからやめてほしい」というものでした それ以降は、演奏中にメモを取るのは止めて、楽章間や休憩時間にまとめてメモを取るようになりました ただ、楽章間はほんの十数秒しかないので、例えば「オーボエが巧い」とか「チェロの音が豊かだ」と思った時は、プログラム冊子の欄外に「Ob」とか「Vc」とか、楽器の略称だけを書いておきます 時々「弦楽器のグルーブ感が素晴らしい」などと短い文章でメモしておくこともありますが、急いで書くので悪筆となり、後で読むと判読できないケースがママあります まさか隣席の人に訊くわけにはいかないので、コンサート終了後、必死に思い出すことになります ただ、演奏の最中にメモを取らなくなったので、吉田さんの言うように「常に、今に集中する」ことができるようになったのは良かったと思います
ということで、わが家に来てから今日で3410日目を迎え、トランプ前米大統領が自身の不倫の口止め料を不正に処理したとして罪に問われている裁判で13日、口止め料を手渡した本人とされ、トランプ氏の顧問弁護士を務めていたマイケル・コーエン氏が証人として出廷し、不倫相手の女優への支払いを「トランプ氏が私に進めるよう指示した」と証言した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプは有罪濃厚となるけど 支持者らは逆にトランプに同情して献金するからね
昨日、夕食に「茄子と鶏肉の炒めもの」「生野菜サラダ」「シメジの味噌汁」を作りました あとは「十五穀米」と「キュウリの浅漬け」です。「茄子と~」は久しぶりに作りましたが、豆板醤がピリリと利いて美味しかったです
昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、グノー「ロメオとジュリエット」を観ました これは今年3月23日に米ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はジュリエット=ネイディーン・シエラ、ロメオ=ベンジャマン・ベルナイム、マキューシオ=ウィル・リバーマン、ティボルト=フレデリック・バレンタイン、小姓ステファーノ=サマンサ・ハンキー。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、演出=バートレット・シャーです
「ロメオとジュリエット」はシャルル・グノー(1818-1893)がシェイクスピアの同名戯曲に基づくジュール・バルビエとミシェル・カレの台本により1865年から67年にかけて作曲、1867年にパリのテアトル・リリークで初演された全5幕から成るオペラです
モンタギュー家のロメオとキャピュレット家のジュリエットは舞踏会で偶然出会い、ひと目で恋に落ちる しかし、両家はお互いに敵対する家柄であることを知る ロメオとジュリエットはローラン神父に、お互いの恋を打ち明け、神父は2人に結婚の許しを与える 敵対する両家の若者たちが乱闘になり、ジュリエットの従兄ティボルトに友人のマキューシオが刺殺されるのを見たロメオは、ティボルトを殺す ヴェローナ大公はロメオを街から追放処分とする ジュリエットの父親はパリス伯爵との結婚を強要する。神父は仮死状態になる薬をジュリエットに与え、彼女をそれを飲む ジュリエットが死んだと思ったロメオが埋葬所に現れ、絶望して毒を飲む 仮死状態から目覚めたジュリエットは瀕死のロメオを見つけ、短剣で自らの胸を刺す 2人はともに息絶える
最後まで観終わって思うのは、本公演は「ネイディーン・シエラとベンジャマン・ベルナイムあってこそ」ということです
ジュリエット役のネイディーン・シエラは1988年フロリダ州生まれのソプラノです マリリン・ホーンに師事し、彼女の名前を冠した声楽コンクールに最年少で優勝、16歳でオペラデビューしました 最近のMETライブでは「ランメルモールのルチア」と「椿姫」でタイトルロールを歌い、美しく力強い歌唱と卓越した演技で大きな反響を呼びました 今回のジュリエット役でも抜群の声量コントロールと本人に成り切った演技力で聴衆を魅了しました 第1幕のワルツ「私は夢に生きたい」を聴いた時は、背筋が寒くなるほどの感動を覚えました
ロメオ役のベンジャマン・ベルナイムは1885年パリ生まれのテノールです 2010年にチューリヒ歌劇場に入団して頭角を現し、世界各国の歌劇場で歌っています 特に本作のようなフランス語によるオペラは他の追随を許さない歌唱力を発揮します 今回のロメオ役では、第2幕のアリア「昇れ太陽よ」をはじめ美しいフランス語で歌い上げました
また、シエラとベルナイムによるデュエット=第4幕の愛の二重唱「ああ、結婚の夜」と第5幕の最後の二重唱「気の毒な魂よ」も息がピッタリ合い完璧でした 幕間のインタビューで、指揮者ヤニック・ネゼ=セガンが「これまで何組かの『ロメオとジュリエット』と共演してきたが、この二人は現在までで最高の組み合わせだと思う」と語っていましたが、納得です
いつもは他の出演歌手もご紹介するところですが、今回はその気になれません それほど二人は完璧でした
METライブ「ロメオとジュリエット」の上映時間は、休憩(10分)、歌手へのインタビューなどを含め3時間20分です 新宿ピカデリーでは16日(木)まで上映されます