25日(日)。昨日は、映画を観たいと思ったのですが、腰痛悪化を防ぐため家で本を読んで過ごしました
昨日の日経朝刊別刷り「NIKKEI プラス1」の「くらし探検隊」コーナーで「パーソナルスペース」を取り上げていました 記事によると、パーソナルスペースは心理学で「自分の体の延長のように感じ、他者に侵入されると不快感を覚える空間」を指す、とのことです 記事では「自分の周りの目に見えない縄張り」と表現しています コーナーの一角にある「両端から埋まる電車の座席」という記事を読むと「電車の座席は両端がまず埋まり、次に真ん中ー。実はこれもパーソナルスペースで説明がつく 端は横に壁や手すりなどがあるので、両隣から人に挟まれないためだ」と書かれていました
この記事を読んで、私がいつもコンサートや映画で「通路側席」を取るのは「パーソナルスペース」を意識しているからだな、と気がつきました 通路側席は片側に人がいないので、両隣から人に挟まれず圧迫感を感じないからです さらに付け加えると、通路から遠い奥の席だと、前の座席との狭いスペースを通っていかなければならない煩わしさがあるからです 席から外に出る時も同様です ただ、通路側席に座っていていつも思うのは、「前を失礼します」と声をかけたり、一礼して奥の席に入っていく人が極めて少ないということです たいていは黙ってズカズカと当然のように入っていきます 「日本人は礼儀正しい」ってどこの誰が言ったのか、と疑問に思う瞬間です だから、コンサートで席に着くのは開演時間の5分前と決めています。あまり早く席に着くと多くのズカズカの被害を被ることになるからです 逆に何らかの理由で奥の席しか取れなかった時は10分前位には席に着くようにしています あまり遅く席に着くと何人もの人の前を「失礼します」と言いながら自席まで辿り着かなければならないからです コンサートがこういう状況ですから、映画はなおさらです。ズカズカ人間だらけです それでも映画館の方が前の椅子とのスペースが広いので、黙って入ってこられても 比較的ストレスは感じません
ということで、わが家に来てから今日で3329日目を迎え、宮城野部屋の北青鵬(22)による弟弟子への暴力問題で23日、日本相撲協会は師匠の宮城野親方(38=元横綱白鵬)を「委員」から2階級降格の「年寄」へ、20%の報酬減額3か月の厳罰処分を下した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
現役時代も横綱らしくない勝ち方が少なくなかった 指導者としての親方にも遠いか
小泉喜美子著「弁護側の証人」(集英社文庫)を読み終わりました 小泉喜美子は1934年東京都生まれ。推理作家、翻訳家。都立三田高校卒。一時ジャパン・タイムズに勤務。59年「我が盲目の君」で「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」第1回短編コンテストに入選 63年「弁護側の証人」で作家デビュー。85年11月逝去
「ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子(なみこ)は八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗った しかし幸福な生活は長くは続かなかった。義父である当主・龍之介が何者かに殺害されたのだ 真犯人は誰なのか? 弁護側が召喚した証人を巡って、生死をかけた法廷での闘いが始まる 「弁護側の証人」とはいったい誰なのか」
「弁護側の証人」は1963年2月に文藝春秋新社から書き下ろし単行本として刊行され、1978年4月に集英社文庫として出版されました
【以下ネタバレ注意:ミステリとして十分楽しむためには以下を読まないことをお勧めします】
本書は「序章」から始まって第1章から第11章まで続き、「終章」で終わります 「序章」では刑務所の面会室で金網越しに対峙する漣子と杉彦との対話が描かれています 会話から、金網の向こう側にいる被告人が漣子で、こちら側にいる面会者が杉彦だと分かります。漣子は杉彦に「真犯人が分かった」と告げ、「もう一度ぶつかってみる。わたしの言うことを信じ、それを役に立ててくれる人をさがして、なにもかも洗いざらい話してみる。罪もない人を死刑にすることはだれにもできないのよ。わたしは決してあきらめないわ」と伝えます。それに対し杉彦は、今さらジタバタしても始まらないから諦めた方が良いという態度を取ります 漣子は「せっかく夫が得ようとしていた心の安らぎを、わたしは乱してしまった。今日になってわたしと面会したことを、彼は悔やむにちがいない」と独白します ここで、漣子は自分を犯人に仕立て上げて人生を奪おうとした人物に宣戦布告したのです
第11章では控訴審の様子が描かれますが、『弁護側の証人』の登場による新たな証言によって、杉彦と漣子の立場がまったく逆転し、「終章」を読むと、金網の向こう側とこちら側の人物が入れ替わっています
「弁護側の証人」とは、殺人事件のあった八島家の関係者から聞き取り調査をして漣子を犯人と断定した尾形警部補その人でした 尾形は無実を訴える漣子と 風采は冴えないが頭の切れる清家弁護士による強い説得によって証言台に立つことを決意します それは自分の過去の判断の誤りを認めることであり、警察への信頼も失わせる行為でした しかし、彼は一人の良心を持った人間として「犯罪者でもない者を犯罪者のまま放置しておくわけにはいかない」として過去の瑕疵を認め証人になることを決意したのでした
清家弁護士の推理と尾形警部補の証言により、この事件は杉彦が父親の龍之介を殺害し、八島家の家族や関係者と口裏合わせして漣子を犯人に仕立て上げ、相続財産を家族で分配しようと企んでいたことが暴露されます 清家弁護士の筋道立てた推理の描写が見事です
巻末の解説を作家の道尾秀介が書いていますが、小泉喜美子は最初の夫が生島治郎で2番目の夫が内藤陳だったことや、彼女が1985年に新宿の酒場で酩酊して階段から落ちて亡くなったことに触れています 内藤陳と言えば「トリオ・ザ・パンチ」時代の「おら、ハードボイルドだど!」のギャグを思い出します 彼は新宿ゴールデン街で「深夜プラスワン」というバーを経営していたので、小泉喜美子はその店から出る時に階段から落ちたのかもしれません 享年51歳とのこと。並外れたプロット構成力・執筆力を持った人だけに早世が惜しまれます
綾辻行人、法月綸太郎はじめ多くのミステリ作家に多大な影響を与えた伝説の名作です 広くお薦めします
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