人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

レンメルト(メゾ・ソプラノ)でマーラー「大地の歌」を聴く~東響第600回定期演奏会

2012年05月27日 07時17分20秒 | 日記

 

27日(日)。昨日,午後1時から10階ホールで記者クラブ主催によるハーバード大学教授マイケル・サンデル教授の話を聴きました サンデル教授が最近書かれた「それをお金で買いますか:市場主義の限界」を中心に,主に会場からの質問に答える形で進められました.会場は新聞記者,放送記者,新聞・放送のOB,学生などの記者クラブ会員約130名が参加しました

司会者の話によると,サンデル教授はこの日,日本に着いたばかりで,この後来週月曜日に東京国際フォーラムで開かれる5000人を対象に特別講義を行うとのことでした

質疑では,最近の日本を取り巻く状況を反映して「3.11後の瓦礫処理を他の地方自治体が受け入れ拒否していることについて,これは正義か?不正義か?」「瓦礫処理をどうすべきか?」などの問題提起が出されました

瓦礫処理に関連してサンデル教授はスイスの実例を挙げて「スイスでは原子力発電所があるが,原子力発電の廃棄物をどうするかの世論調査を実施した.それを自分の住む町で受け入れるか,という質問に51%の人が受け入れると答えた さらに,受け入れたら補償金を支払うという条件を付したらどうするか,と質問したところ,受け入れるとしたのは25%に減ってしまった 人々は共同責任として受け入れると考えていたが,お金が絡むことによって,逆に原発の廃棄物は危険が大きいと疑いを持つようになったのではないか.家族の方が大事だと考えるようになったのではないか」と説明していました

おもしろいと思ったのは,司会者がサンデル教授の著書「それをお金で買いますか:市場主義の限界」の中で触れている「パトカーに広告を載せることをどう考えるか」という問題提起を取り上げた時です 司会者は「パトカーに広告を載せることによって,その収入が治安を維持することに役立つならば,マクドナルドのMマークがパトカーの車体に描かれても許されるのではないか 問題は,公の機関の威厳が損なわれるかどうかが線引きの基準になるのではないか」と発言しました.サンデル教授も「まさに公の威厳が保たれるかどうかが基準になると思う」と答えていました.さらに,「教育の分野(学校や教科書か?)に広告を持ち込んではいけない」と主張していました

身近な例では,私の住むマンションの近くを都電が走っていますが,ほぼ2台に1台の割合で車体に企業や学校の広告が描かれています.都電は東京都が運営しているので公の機関が広告を取っているわけですが,見た目は美しくないと思うものの,東京都の威厳が損なわれるとまでは思いません それよりも都も経営努力をしていると考えます.ただ,パトカーにマックのMマークが付いていたら抵抗が強いと思います

サンデル教授は来週月曜日(5月28日)午後7時から東京国際フォーラムで特別講義「ここから,はじまる 民主主義の逆襲」と題する特別講義をします.入場無料ですが,聴講券が必要とのこと.問い合わせ先は神田の早川書房とのことです

 

           

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第600回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番”ハフナ―”」、②マーラー「大地の歌」の2曲。メゾ・ソプラノはドイツ出身のビルギッド・レンメルト、テノールはハンガリー出身のイシュトヴァーン・コヴァ―チハ―ズィ、指揮は常任指揮者ロベール・スダ―ンです

最初のモーツアルトの「ハフナー交響曲」は1782年7月に,ザルツブルクの市長の息子ジークムント・ハフナーが貴族爵位を授与されるにあたって作曲した曲ですが,当時モーツアルトは多忙の身で,7月29日の爵位授与式には間に合いませんでした

オーケストラは約50人の小規模編成です.指揮者のスダーンはタクトを持たず,指揮台も置きません.軽快なテンポで音楽が進みます.フルートとオーボエが心地よく響き,ティンパ二の乾いた音が曲にアクセントを与えます.スダーンのモーツアルトは素晴らしいです

2曲目のマーラー「大地の歌」は,9番目の交響曲に当たる曲ですが,マーラーは第9のジンクスからこの曲には交響曲第9番とは名づけず「大地の歌」という名前を付けました 6つの楽章からなりますが,奇数楽章をテノールが,偶数楽章をメゾ・ソプラノが歌います

フル・オーケストラがスタンバイする中,スダーンとともにテノールのイシュトヴァーン・コヴァーチハーズィとメゾ・ソプラノのビルギット・レンメルトが登場します.驚いたのはロゼワイン・レッドのドレスに身を包まれたレンメルトがかなり大柄だったことです 指揮台に上がったスダーンと頭の位置が同じ高さなのです

スダーンの両手の合図で第1楽章「大地の哀しみに寄せる酒の歌」が始まります.テノールがオーケストラと音の大きさを張り合います 明るい曲想にも関わらず最後のフレーズは”生は暗く,死もまた暗い”です レンメルトは第2楽章「秋に寂しきもの」を美しいオーボエとフルートに支えられながらしみじみと孤独を歌い上げます

第3楽章のテノールによる「若さについて」は,何年も前にサントリーがウィスキーのコマーシャルで使い話題になった曲です.テノールがテンション高く歌い上げます

第4楽章「美しさについて」をレンメルトがしっとりと歌います ここで気が付いたのは,コヴァーチハーズィが譜面からほとんど目を上げないのに対して,レンメルトは会場を右から左まで見渡しながら,一人一人に語りかけるように歌っていたことです

第5楽章「春に酔える男」をテノールが歌い,第6楽章「告別」に入ります.荒絵理子のオーボエが冒頭を飾ります.この人の演奏はいつ聴いても素晴らしいと思います レンメルトはここでも圧倒的な存在感で,会場を見渡しながら余裕の表情で「告別」を歌い上げます

この曲は2人の独唱者が優れていないと成り立ちませんが,この日の演奏は最高のキャストで,最高のパフォーマンスでした まさに拍手鳴り止まずの状態でした

 

           

 

〔追伸〕

14日のブログで,13日にウィーン・フォルクスオパーの公演の時に隣の席に座っていた中年男性が,東響サントリー定期の近くの席の人ではないか,と書きましたが,間違いありませんでした この日も「ブラボー」という掛け声が「ブラ」が外れて「ボー」に聴こえました 私の2つ後ろの席が定位置の”ノーブラ”某氏の顔は確かにあの日の人でした 実は今日,東京文化会館にウィーン・フォルクスオパーの「メリー・ウィドウ」を観に行くのですが,まさか,またノーブラ氏が隣の席では・・・・・・・

それで思い出しましたが,2日前の阪神-ソフトバンク戦を終えて和田監督が「マートンの調子が上がってきたので,あとはブラが上がってくればいいのだが」というコメントをしていました ブラとはブラゼルのことですが,いつかテレビの阪神戦で観客席が映し出されたのを観ていてら「ファミリー・マートン」はまだご愛嬌で許せるのですが,「天使のブラ」というパネルが掲げられていて唖然としました 「あんた,トリンプかワコールの回し者かい?」と突っ込みを入れたくなりました.ブラゼルが日本語を理解してこれを見たら気が抜けるだろうな,と思いました いずれにしても,今の阪神は胸ではなく戦力の”底上げ”が必要ですね

         

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