15日(日).昨日,初台の東京オペラシティ・コンサートホールで東京交響楽団の東京オペラシティシリーズ第68回公演を聴きました 会場内がやけに明るいので,天井を見上げると,舞台の真上の天上部分の大きな三角窓が開けられていて,空に雲が浮かんでいる様子が見えました オペラシティ・コンサートホールならではの演出です この窓は開演時間には閉じられました.
プログラムは①モーツアルト「歌劇:コジ・ファン・トゥッテ序曲K.588」,②同「ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488」,③細川俊夫「ピアノとオーケストラのための月夜の蓮~モーツアルトへのオマージュ」,④モーツアルト「交響曲第29番イ長調K.201」の4曲.指揮は東響桂冠指揮者・秋山和慶,②と③の独奏はラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも活躍した児玉桃です
コンサートマスターが登場しても観客が反応しません.この日は,室内楽で活躍している長原幸太が客員コンマスとして登場したのです ニキティンさんや大谷康子さんはアルバイトでしょうか
1曲目の歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲は,秋山のタクトのもと軽快に進みます 序曲を聴いただけでオペラの楽しさが想像できます
舞台の左袖からピアノがセンターに運ばれ,白の鮮やかなドレスの児玉桃が秋山とともに登場します秋山のタクトで第1楽章「アレグロ」が始まります.私はモーツアルトのピアノ協奏曲の中ではこのK.488が一番好きです.この曲の出だしを聴くと幸せな気持ちになります 聴きどころは第2楽章「アダージョ」です.児玉はゆったりと丁寧に音を紡いでいきます.途中,いままで聴いたことのないメロディーを弾いたような気がしましたが,気のせいだったでしょうか?なにしろ,この曲の第2楽章と第3楽章にはカデンツァがないのですから,やっぱり気のせいかも
第3楽章「アレグロ・アッサイ」は喜びが一気に爆発してフィナーレを迎えます
休憩後の細川俊夫「ピアノとオーケストラのための”月夜の蓮”~モーツアルトへのオマージュ」は,モーツアルト生誕250年にあたる2006年に作曲され,児玉桃がソリストとして初演しました
曲はピアノの独白から始まりますが,観客に過度の緊張を強いるこういう曲(いわるゆ現代曲)が苦手です 最後にモーツアルトの「ピアノ協奏曲第23番」の第2楽章の主題が現われる,と解説に書かれていますが,聴いていてもどこにそのメロディーが現われたのか,さっぱり分かりませんでした 終演後,作曲者・細川俊夫が客席から舞台に呼ばれ,児玉,秋山とともに観客の拍手に応えていました
最後の交響曲第29番イ長調K.201は,モーツアルトが18歳のときに作曲した,いわば”青春の歌”ですが,短い曲ながら独特の味わいのある穏やかな曲です
舞台上を観ると弦楽器がいつもどおりスタンバイしているのに対して,管楽器が4人しかいません あらためてプログラムを見ると「オーボエ2,ホルン2,弦5部」と書かれています.聴いていて思うのは,交響曲というよりはディヴェルティメント(喜遊曲)に近いということです
秋山の指揮のもと東響は軽快なテンポで生き生きとモーツアルトの世界を描いていきました 私は東京交響楽団の指揮者団の中では,この秋山和慶が一番好きです
ここ数日,疲れがたまったせいか,どうも軽い風邪を引いたらしく喉が痛みます 昨夕はビールを止めて普通のごはんを食べて早めに寝ました
〔表紙はクリムト作「ヒマワリ」1906~07年〕
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