2日(水).映画でも観ようと新聞をチェックしていたら,日比谷の「みゆき座」で「ディーバ」という映画を上映していることが分かりました「ディーバ」とはオペラの「歌姫」のことなのでオペラに関係のある映画に違いないと思い,昨日,休暇をとって日比谷に出かけました 毎月1日は「映画の日」とのことで,入場料は一律1,000円でした
予備知識が全くない状態で観たのですが,最近の映画かと思っていたら画面が古めかしいのです タイトルをよく見ていると1981年という年号が目に入りました.どうも31年前のフランス映画だったようです.監督はジャン=ジャック・ベネックスという人です.物語は,
「郵便配達員ジュールはオペラ歌手シンシア・ホーキンスの大ファンで,パリ公演にやってきた彼女のリサイタルを聴き,隠れて録音します 彼女のサインをもらったあと,彼女のドレスも盗みます 後日,そのドレスを返却するために彼女の宿泊ホテルを訪れます.最初は憤慨していたシンシアも大ファンだというジュールの素朴さに心を許し,親密な関係になっていきます
一方,ジュールの録音したリサイタルのテープと,瀕死の売春婦がジュールのミニバイクのカバンに入れたテープが発端となって,ジュールはそれぞれのテープを追う2組の敵から追われる身となります それをゴロディッシュとその恋人アルバに助けられます」
この映画の冒頭,ソプラノのシンシア・ホーキンスがリサイタルで歌うカタラーニの歌劇「ワリー」第1幕のアリア「さようなら,ふるさとの家よ」は感動的です それをジュールが無断録音して,後で自分だけで聴くわけですが,その再現シーンもまた感動的です.歌の力です それにしても,この歌を吹き替えで美しく歌っているソプラノは誰でしょうか?80年代初め・・・・誰がいたろうか・・・?
「歌劇ワリー」の「さようなら,ふるさとの家よ」は・・・・・スイス・チロル地方の地主シュトロミンガーの娘ワリーは,隣村の猟師ハーゲンバッハを愛していますが,彼を嫌う父親から,執事のゲルナーとの結婚を命じられ,嫌なら出ていけと言われて,家出を決心して歌うアリアです
私がこの曲を初めて聴いたのはマリア・カラスのCDです.カラスの声は決して美声ではありません しかし,人を引き付けて離さない魅力があります.彼女の歌で「さようなら,ふるさとの家よ」を聴いて感動しない人はいないでしょう
もう1曲ホーキンスが歌う歌があります.シューベルトの「アベ・マリア」です.ジュールがそばにいて,自らピアノを弾きながら歌うシーンですが,途中で止めてしまいます
映画の中のオペラのアリアで思い出すの,はトム・ハンクスが主演を演じた映画「フィラデルフィア」です.まさにマリア・カラスの歌うジョルダーノの歌劇「アンドレア・シェニエ」のアリア「亡くなった母を」が感動的に流れていました
紀元前をBC,紀元後をADと言いますが,オペラ界においては「ビフォア・カラス,アフター・ディーバ」(カラス前,カラス後)を意味しますワリーの「さようなら,ふるさとの家よ」が収録されたマリア・カラスのCDはたくさん出ていると思いますが,写真のCD「ザ・ベスト・オブ・マリア・カラス」(EMI)にはベッリーニの歌劇ノルマから「清らかな女神よ」,プッチーニの歌劇ラ・ボエームから「わたしの名はミミ」,同トゥーランドットから「歌に生き,愛に生き」など,感動的なアリアばかり16曲収められています.お薦めします
内容といい文量といいtoraさんは超人です。
すごいや~ぁ。