人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未のラヴェル「ピアノ協奏曲」を聴く~新日本フィル”扉コンサート”~ワン・コイン・パーティーも

2012年08月12日 06時59分26秒 | 日記

12日(日)。昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルのクラシックの扉シリーズを聴きました プログラムは①ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」(ピアノ独奏:萩原麻未)、③サン=サ―ンス「交響曲第3番”オルガン付き”」の3曲。指揮は山田和樹,コンマスはチェ・ムンスです

終演後のワン・コイン・パーティーに初めて出席するため,入り口の受付で500円を払ってソフト・ドリンク+プチ・ケーキ引換券と,胸に付けるワッペンを受け取って会場に入りました

自席は1階10列8番,左ブロックのかなり前の方です.残念ながら通路側席ではありません 会場はほぼ満席.舞台左袖には2曲目のラヴェル「ピアノ協奏曲」のためにピアノがスタンバイしています

 

          

 

山田和樹が登場,1曲目のラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」が始まります.この曲は1899年,ラヴェルが24歳の時にピアノ曲として作曲したものですが,1910年に自身でオーケストラ版に編曲しました 山田はタクトを持たず両手で指揮をします.冒頭のホルンがたおやかに奏でられます.短い曲ですが,落ち着いた気持ちになれる名曲です

2曲目のラヴェルの「ピアノ協奏曲ト長調」のためにピアノが運び込まれました.元々舞台上にあったのは3曲目のサン・サーンスの交響曲のために置かれていたようです 萩原麻未というと,ヤマハのピアノで弾いているというイメージがあります.紀尾井ホールでのリサイタルの時もそうでした.しかし,この日はスタインウェイです.要するに,会場にあるピアノならどこのメーカーのでも弾くということなのでしょう.”弘法,筆を選ばず”ならぬ”萩原麻未,ピアノを選ばず”といったところでしょうか

鮮やかなブルーのドレスに身を包まれた萩原麻未が,山田和樹とともにニコニコしながら登場します山田のタクトで第1楽章がムチの音の合図で始まります.萩原麻未の演奏姿を背中越しに観ていると,髪の毛が長いこともあって,若き日のアルゲリッチを想い起します ニコニコ顔は,演奏に入った途端,獲物を追いかける雌豹に貌変します

第2楽章冒頭のピアノ・ソロの何と美しいことか そして,後半のイングリッシュ・ホルンとのアンサンブルの何と詩的なことか 一転,第3楽章は圧倒的なプレスト まるでジャズのようなノリで最後まで突っ走ります.萩原麻未の独壇場です

演奏が終わるとブラボーと拍手の嵐が押し寄せます.感極まった山田は萩原麻未をハグします.山田クン,ずるいぞ(笑) 萩原麻未は舞台に引っ込んで再び登場する時,ややあどけない顔で,ぴょこぴょこと出てくるので,とても20代中頃の女性とは思えません 雌豹のような鋭い演奏と,幼げな普段の仕草とのギャップの大きさが彼女の魅力かもしれません 愛くるしいと言ったらいいのでしょうか

拍手が鳴りやまず,4度も舞台に呼び戻された萩原はちょっと躊躇しながらも再びピアノに向かい,アンコールを演奏します さては得意のサン=サーンスの「トッカータ」か,と思っていると,静かなメロディーを奏で始めました ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」です.生誕150年ということからか,ラヴェルの同時代の作曲家ということからか,彼女のサービス精神を感じます.弱音の美しいしみじみとした良い演奏でした

3曲目はサン=サーンスの「交響曲第3番ハ短調”オルガン付”」です.舞台後方のパイプオルガンに室住素子がスタンバイします オケのメンバーも拡大してフル・オーケストラで大曲に臨みます

この曲はサン=サーンスが1886年に作曲したパイプ・オルガンが大活躍する大曲ですが,第1部(第1,2楽章)と第2部(第3,4楽章)から成ります.第1部の冒頭は弦楽器を中心に細かに刻まれたリズムで音楽が前進します.後半はまるで”祈り”の音楽です

第2部は一転して激しい音楽が展開します.後半部の冒頭にパイプ・オルガンの壮麗な響きが会場を満たします この時の高揚感をどう表現したらいいでしょうか 山田はグングン,オケを引っ張っていきます.オルガンとオーケストラが一体となってフィナーレに突入,山田のタクトが上にあがると,拍手とブラボーが会場一杯に広がります

山田を観ていて,指揮ぶりが小林研一郎によく似ているな,と思いました あらためて彼のプロフィールを見ると,指揮法を小林研一郎と松尾葉子に師事しています.去年聴いた時よりも自信と貫録が出てきたように思いました 今年9月からスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者に内定していることもあるかもしれません

山田+新日本フィルは弦楽(コントラバスを除く)のみでアンコールを演奏しました イギリスの作曲家の曲かな,と思ったのですが,後でロビーの掲示で確認するとビゼーの「アルルの女」から「アダージェット」でした.穏やかな良い曲です この日のプログラムはアンコールも含めてすべてフランスで統一したわけですね.演奏はすべて素晴らしく,とても良い演奏会でした

 

          

 

終演後,2階のバー・コーナーで先着60人のワン・コイン・パーティーが開かれました 胸にワッペンを貼って,引換券を出して紅茶とプチ・ケーキを受け取りました 新日本フィル室内楽シリーズの”夢先案内人”篠原英和さんの司会によってパーティーが始まりましたが,例によって天才的なトーク術で参加者をリラックスさせてくれました リハーサルあり,本番あり,そのうえパーティーの司会あり,と超多忙な篠原さんです.信じられないほどの活躍ぶりです 「演奏者が登場するまで,しばらくお待ちください」と言ってマイクを離れたかと思ったら,私のところに直行してきて「トラさん,座布団10枚おめでとうございます お約束の”室内楽シリーズ・ベストトーク集”です」と言って,4回分の名トークを納めたCDーRをくださいました.当ブログのコメントに「座布団が10枚たまったら名トーク集をプレゼントします」と書かれていたのですが,まさか本当に持ってきてくださるとは思ってもいなかったので,私はびっくりして「いえ,座布団はまだ6枚しかたまっていません」と言うと,「いえ,いえ,もう10枚です.どうぞ」とおっしゃいました.それでは,ということで有難く頂戴することにしました あとでゆっくりと名トークを拝聴させていただこうと思います.篠原様,本当にありがとうございました

 

          

 

 この日,紹介された楽員はコントラバスのフォアシュピーラー(篠原さんの解説によると,セクションの”中間管理職”)城満太郎,首席オーボエ奏者・古部賢一,オルガ二スト・室住素子の各氏と,何と指揮者の山田和樹,ピアニスト・萩原麻未の2人も顔を出すという超豪華メンバーでした

篠原さんが,インタビューする形でパーティーが進みましたが,新日本フィルの印象を訊かれた山田和樹氏は「新日本フィルは怖くないです(笑)」.これには篠原さんが「とかくオーケストラは新人指揮者に意地悪することがありがちなのですが,新日本フィルはそういうことがないということですね」とフォローしていました.山田氏はさらに「新日本フィルは日本の中で一番ヨーロッパのオケに音が近いのではないかと思います」と答えていました 彼の話し方を聴いていて,小澤征爾に似ているな,と思いました 彼はこれから,その小澤征爾が始めたサイトウキネン・オーケストラを振るため松本に向かうとのことでした.篠原さんの「小澤征爾の後任です」という鋭いツッコミと,参加者の温かい拍手に送られて,照れながら会場を去って行きました

 

          

 

室住素子さんは「オルガンは客席と一番遠いところにあるので,音がオケと同じタイミングで客席に届くように若干早めに音出しするようにしています 新日本フィルとは長い付き合いということもあって,みんな親切でやり易いです」と言っていました

 

          

 

萩原麻未さんへのインタビューは,篠原さんがいろいろと訊いていましたが,私はケータイで彼女の姿を写メすることに夢中で,内容はまったく耳に残っていません ただ,萩原さんを横にして篠原さんが「ここにいるといい香りが漂ってくるんですよ.フランスの香りが(笑)」と言って会場を沸かしていたことは覚えています.彼女,シャネルでも付けていたのでしょうか.今日のプログラムはオール・フランスものだったことだし

 

         

 

こんなに近くで萩原麻未さんを見るのは初めてです.とても感激しました

 

          

 

今回初めて参加したワン・コイン・パーティーでしたが,実りの多い会で,参加して本当に良かったと思いました.また次も参加したいと思います.なお,別名”ワンコ・イン・パーティー”に犬は1匹もいませんでした.イヌはイヌ,なんちゃって そういえば,胸のワッペンを付けたまま家に帰ってきたことに後で気が付きました 帰宅途中,スーパーで買い物をしたし,山手線に乗ったし・・・・・・アー,恥ずかし~

 

 

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ビブリア古書堂の事件手帖... | トップ | 久々に姫川玲子が活躍~誉田... »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいなあ~~(^-^; (りら)
2012-08-12 09:28:26
tora様~~、萩原さんのアンコールあったんですかあ~!それにワンコインパーティーお菓子付きですか~?私も土曜日に行けば良かったですう(-_-;)

あ、でも金曜日も演奏はとってもブラボーでしたよ(^-^)/私も萩原さんのピアノを聴いて、アルゲリッチに通じるものを感じました。笑顔も可愛いし、性格良さそうだし(笑)すごく魅力的ですね(^-^)/

魅力的といえば、山田和樹さんも良かったです。そうですか、オケは新人指揮者をいじめたりするんですね…そういえばのだめカンタービレでも千秋様がコンマスにいびられたりしてましたっけ(怖)でも新日本フィルの皆さんはそんなことしないんですね♪良かった(^-^;

ワンコはいなかったけど、すごい豪華メンバーが勢揃いのパーティーだったんですね♪萩原さん、黒づくめのパンツスタイルでもソフトな感じで可愛いですね。tora様、写メに夢中でインタビュー聞いてなかったって…もお~~(叱)(^-^;

そうそう、サンサーンスのオルガン付き交響曲、ホールで聴くのは初めてだったんです。すご~~く感動しました\(^-^)/

今日はこれからトリフォニーホールオープンデーに行ってきます。招待券当たったあとに有料公演のチケットも急いで購入し、室内楽、オルガン、オーケストラと盛りだくさんで楽しんできま~す(^-^)v
返信する
たびたび失礼します (りら)
2012-08-12 09:40:23
tora様、あんなに長々と書いたあとにスミマセン(-_-;)
篠原さんのベストトーク集、ホントにあるんですね!
いいなあ~~(^-^)/私はベートーベンとブラームスは会場で伺いましたが…2006年なんてすごい貴重じゃないですか~(^-^;
返信する
楽しんできてください (tora)
2012-08-12 09:50:22
りら様,これからトりフォニーのオープンデー・コンサートですか?いいですねぇ.トりフォニーって3つの響きのことだったですよね.内容は忘れましたが コンサート楽しんできてください
返信する
篠原英和ベストトーク集 (tora)
2012-08-12 10:00:20
りら様,篠原英和ベストトーク集,本当のことを言えば私も本当に存在するとは思っていなかったのです.たしかに2006年の「アマデウスSQ」を取り上げたトークは貴重な記録ですよね.何でも鑑定団で鑑定してもらおうかな
返信する
三位一体 (りら)
2012-08-13 20:01:56
tora様、トリフォニーは三位一体の意味で、市民とアーティストとホールが互いに育み育まれ三位一体となって独自の芸術文化を創造し発信していくというのが運営の基本方針なのだそうです。新日本フィルが在京オーケストラとして初めて本格的フランチャイズオーケストラとなり、トリフォニーホールを演奏活動の拠点としていることもそういった主旨の実践なのですね。

…と偉そうに書いてみましたが、昨日ホールでいただいた資料からの受け売りでした(^-^;

オープンデー、とっても楽しかったですよ(^-^)v
室内楽もトークを交えてなごやかな雰囲気でいつもとは違った楽しさでしたし(残念ながら篠原さんはいらっしゃらなかったのですが、チェロの矢野晶子さんのトークもすごく素敵でした)、オーケストラはすごい迫力で圧倒されました。ジュニアオーケストラとの共演も思ってたよりずっとハイレベルな演奏でしたね。申し訳ないくらい安いのに(一般1000円、私は友の会割引で500円でした)ホントに盛りだくさんで楽しい1日になりました。来年もぜひ行かなくちゃ(^-^)/
tora様もぜひどうぞ、オススメですよ(^-^)v
返信する
オープンデ―・リポート (tora)
2012-08-14 06:11:18
りら様,オープンデ―・リポートありがとうございました.楽しそうなコンサートだったようですね.来年は行ってみようかな
返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事