人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

タル・ベーラ監督「ニーチェの馬」を観る ~ 暴風が吹き荒れる映像が印象に残る モノクロ 2時間34分 / 読響アンサンブル・シリーズの年間会員券を取る

2020年02月10日 07時18分11秒 | 日記

10日(月)。ここ数日、朝 開店前の薬局に行列ができるようになりました 新型コロナウイルス対策用のマスクを求めて並んでいることは明らかです そんなに神経質になる必要はないと思うんですが、どうなんでしょう? 外から戻ったら手洗いとうがいを欠かさないことを徹底すれば予防になると思うのですが 私などは、インフルエンザの予防注射はここ20年近く接種したことはないけれど一度も罹患したことはありません。多分、菌に嫌われているのだと思います 新型コロナウイルスについても同じ対応で良いと思っています

ということで、わが家に来てから今日で1959日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、芸能界で予防のために観客とのハイタッチや握手の演出を控えたり、イベントを延期にしたりする動きが広がっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      ぼくは芸能人でも何でもないけど やれることは何でもやるよ  はい立っち!

 

         

 

2020年度「読響アンサンブル・シリーズ」年間会員券を取りました 今回も通路側席は取れませんでしたが、通路から2つめのかなり前方の席が取れました 全4公演のうち、2月19日は「バッハ・コレギウム・ジャパン」の定期演奏会(ヨハネ受難曲)とダブっているので、いずれ何とか手を打たねばなりません

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でタル・ベーラ監督による2011年製作 ハンガリー・フランス・スイス・ドイツ合作映画「ニーチェの馬」(モノクロ・2時間34分)を観ました

この映画は「1889年1月3日、イタリアのトリノの広場で、ムチに打たれ疲弊した馬車馬を目にした哲学者ニーチェが駆け寄り、その首をかき抱いて涙したが、彼は精神が崩壊し、最後の10年間を家族に看取られて穏やかに過ごした」というエピソードの馬のその後を、馬の持ち主である農夫とその娘の6日間の日常生活とともに描いた作品です

父親(デルジ・ヤーノシュ)と娘(ポーク・エリカ)は二人で人里離れた家で暮らしているが、彼らの日常生活はパターン化している 娘は右手が不自由な父親の服を着替えさせ、二人で茹でたジャガイモを1個ずつ食べる。娘は暴風吹き荒れる中、近くの井戸に水を汲みに出る。そして夜にはベッドに就く。そんな毎日が繰り返される 1日目は馬車で家に戻る。2日目には出かけようと馬に鞭打つが馬は動かないので父親は諦める 男がパ―リンカ(酒)を分けてくれとやってきたので分けてやる 3日目には馬車に乗った流れ者集団が井戸の水を求めてやってくる。しかしそれ以外の人との接触はない 馬はなぜか飼い葉を食べようとしない 4日目には井戸の水が干上がっていた 馬は相変わらず食べない。父親はもはやここには住めないとし家を引き払い馬を連れて丘を越えようとするが、彼らは戻ってくる 5日目には二人ともジャガイモをほとんど残してしまい、夜にはランプの火が点かなくなる そして6日目には、二人はジャガイモを前に沈黙する

 

     

 

「サタンタンゴ」では上映時間のかなりの部分で雨の降るシーンが続きましたが、この「ニーチェの馬」ではかなりの部分で暴風が吹いています まるで、人間は苛酷な自然に抗いながら生きて行かなければならないと訴えているかのようです この映画では「サタンタンゴ」同様、ロングショット(長いワンカット)が多用されていますが、7時間18分の「サタンタンゴ」で慣らされたせいか、それほど長いとは感じませんでした

タル・ベーラ監督はインタビューで本作について訊かれ、「人は人生を生きる中で、朝起きて、食事をとり、仕事に行く。いわばルーティーンというような日常を歩むのですが、それは毎日同じではないのです 人生の中で、我々は力を失くしていき、日々が短くなっていきます。これについて、人生はどう終わるのかについて触れる映画を作りたかったのです。メッセージはありません。これはただの映画であり、もしそれが観客の心に触れて動かすようなことができれば、我々はパーフェクトな仕事をしたと思います で、結果が出なければ我々は間違っていたのだと思います。私は預言者ではありませんし、友人とともにわれわれの見る、感じる世界を描いています 黙示録はテレビや映画では業火が出てきたりしますが、本当の終末というのはもっと静かなものであると思います。死に近い沈黙、孤独をもって終わっていくことを伝えたかったのです」と答えています

タル・ベーラ監督の「人生を生きる中で、朝起きて、食事をとり、仕事に行く。いわばルーティーンというような日常を歩むが、それは毎日同じではない。人生の中で、我々は力を失くしていき、日々が短くなっていく」という発言は、特に人生の折り返し点をUターンした人間にとっては身につまされる言葉です 毎日の生活を積み重ねるということは、それだけ歳を取っていくということですから

ところで、娘を演じたポーク・エリカは「サタンタンゴ」(1994年)で少女エシュティケを演じた女性ですが、たしかに、あの少女の面影があります 猫に洗剤入りの牛乳を飲ませ死なせるロングショットが忘れられません 彼女はタル・ベーラ監督の映画にしか出演しないそうですが、プロの俳優ではないそうです。観ていて演技を感じさせません

この映画では、同じフレーズが執拗に繰り返される「ミニマル・ミュージック」のような音楽が、オルガンのような重低音でモノクロ映像のバックに流れます まるで親娘の運命の行方を暗示する通奏低音のように聴こえます

 

     

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渡邉一正 ✕ 花房晴美 ✕ 東京フィル でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、「交響曲第2番」を聴く / 「サントリーホール・チェンバーミュージックガーデン」のチケットを11枚取る

2020年02月09日 07時20分50秒 | 日記

9日(日)。わが家に来てから今日で1958日目を迎え、複数の米メディアは7日、「ウクライナ疑惑」でトランプ大統領に不利な証言をした駐欧州連合(EU)米大使のゴードン・ソンドランド氏と、米国家安全保障会議(NSC)のアレクサンダー・ビンドマン陸軍中佐が解任されたと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     あからさまな報復人事だけど「勝てば官軍負ければ賊軍」だ 民主党が勝たねば!

     

         

 

昨日、毎年6月にサントリーホール「ブルーローズ」で開かれている室内楽の祭典「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン 2020」のチケットを11枚取りました 今年はベートーヴェン生誕250周年(1770年生まれ)ということで、ベートーヴェンの3つの全曲演奏会が用意されています

 

     

 

このうち、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲演奏会(ベートーヴェン・サイクル)は毎年楽しみにしているプログラムですが、今年はロシアの「アトリウム弦楽四重奏団」が演奏します

6公演セット券を取りました 日程・プログラムは次の通りです

Ⅰ.6月7日(日) 13時開演 ①第3番、②第16番、③第7番「ラズモフスキー第1番」

Ⅱ.  同      19時開演   ①第1番、②ボドロフ「弦楽四重奏曲第2番」、③第14番

Ⅲ. 6月9日(火) 19時開演 ①第9番「ラズモフスキー第3番」、②第13番「大フーガ付き」

Ⅳ.6月11日(木)19時開演 ①第2番、②第6番、3第10番「ハープ」

Ⅴ.6月13日(土)19時開演 ①第4番、②第8番「ラズモフスキー第2番」、③第12番

Ⅵ.6月15日(月)19時開演 ①第5番、②第11番「セリオーソ」、③第15番

上記のうち6月6日の公演は読響定期演奏会とダブっていますが、読響は他公演への振り替え制度があるので、それを利用します

次は葵トリオのベートーヴェン「ピアノ三重奏曲全曲演奏会」です 3枚セット券を取ろうとしたらすぐにソルドアウトになったため個別に取りました 2018年のミュンヘン国際音楽コンクール優勝の「葵トリオ」は、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのユニットです 日程・プログラムは次の通りです

Ⅰ.6月10日(水)19時開演 ①第1番、②ヴェンツェル・ミュラーの「私は仕立て屋カカドゥ」による変奏曲

Ⅱ.6月14日(日)14時開演 ①第4番「街の歌」、②第2番、③第6番

Ⅲ.6月18日(木)19時開演 ①第3番、②創作主題による14の変奏曲、③第7番「大公」

もう1枚は6月16日(火)19時開演の「アジアンサンブル@TOKYO」です プログラムは①モーツアルト(ラハナー編)「ピアノ協奏曲第21番K.467」、②ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第14番”月光”」、③ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」です 演奏はヴァイオリン=依田真宣、郷古廉、チェロ=佐藤晴真ほかです

最後の1枚は6月20日(土)19時開演の「クロンベルク・アカデミー日本ツアー」です プログラムは①ハルヴォルセン「ヘンデルの主題によるパッサカリア」、②メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番」、③ブラームス「弦楽五重奏曲第2番」です 演奏はチェロ=宮田大ほか。この公演はメンデルスゾーン狙いで買いました

上記のほか6月6日(土)には堤剛 ✕ 萩原麻未によるベートーヴェン「チェロ・ソナタ全曲演奏会」が、6月21日(日)には「フィナーレ・コンサート」がありますが、すでにコンサートの予定が入っているので諦めました

 

     

 

         

 

7日(金)午後7時から東京芸術劇場コンサートホールで東京フィルのコンサートを聴きました   これは「2020都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」、②同「交響曲 第2番 ホ短調 作品27」です 演奏は①のピアノ独奏=花房晴美、指揮=渡邉一正です

自席は1階J列32番、右ブロック右から4つ目です。会場は9割以上埋っているでしょうか

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの編成。コンマスは依田真宣です

 

     

 

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1898年夏から1901年にかけて作曲、1901年にモスクワでラフマニノフ自身のピアノ、ジロティ指揮モスクワ・フィルにより初演されました 第1楽章「モデラート~アレグロ」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の花房晴美は桐朋学園高校を首席で卒業後、フランス政府給費留学生として渡仏し、パリ国立音楽院で学びました。エリーザベト王妃国際コンクール他、多くの国際コンクールに入賞しています。2010年から「シリーズ・パリ音楽のアトリエ」をスタートさせ、これまで17回続けてきました

いつもオシャレな花房晴美がパープルの鮮やかな衣装で登場、ピアノに向かいます 第1楽章冒頭は教会の鐘の音を模したピアノ独奏から始まります。そこからオケを交えたダイナミックな演奏が展開しますが、あんな華奢な身体でよく迫力に満ちた音が出るものだと感心します 見た目は華奢でも、目に見えないところで体力維持のため努力を重ねているのでしょう 第2楽章はラフマニノフらしいロマンに溢れた曲想、第3楽章は華麗でスケールの大きな音楽が展開し、ラフマニノフ独特の大団円でフィナーレを迎えます

満場の拍手に、花房晴美はアンコールにドビュッシー「前奏曲集第2巻」から「花火」を鮮やかに演奏、メインのラフマニノフをすっ飛ばしました やっぱり彼女はフランス音楽を演奏すると圧倒的に輝きます

さて、ここで「アンコール」のあり方について考えてみたいと思います はたして花房晴美はアンコールに「花火」を演奏して良かったのかという問題です

経歴からも分かるように、彼女はフランス音楽を得意としています したがってアンコールに得意な「フランスもの」を弾くのは十分に理解できることです しかし、それが素晴らしければ素晴らしいほどメイン・プログラムで弾いた曲の演奏が「すっ飛んでしまう」のです つまり、今回のケースで言えば、何日か経って「あの時のドビュッシーは良かったな」と思い出す一方で、ラフマニノフが記憶から飛んでいるということになるのです

私が好きなピアニストの一人にロシアのヴァレリー・アファナシエフがいます 彼は、どんなに拍手やブラボーを浴びても絶対アンコールには応じないことで有名です 「ピアニストは語る~ヴァレリー・アファナシエフ」(講談社現代新書)の中で、彼は次のように語っています

「アンコールをたくさん弾く。それがサクセス・オリエンティッドなやり方です。私も若い頃には同じようなことをやっていたのかも知れません しかし、もうずっとそんなことはしていませんし、これからも、決してすることはないでしょう もちろん聴衆が、アンコールをしないことに不満なのは知っています。でも彼らは知らないのです。なぜ私がアンコールをしないのか みんながやっているから私もやらなくてはならないのでしょうか? でも私は、ただシューベルトの最後のソナタやベートーヴェンの最後のソナタという素晴らしい作品を、その曲の私の演奏を、忘れないでほしいだけなのです かつて(恩師の)ギレリスは、オール・ベートーヴェン・プログラムのアンコールとして『月光』を弾きました ソナタ全曲を弾けば、すべてが台無しになることはありません。プログラムにもう1曲、曲を付け加えるだけですから。しかし、超絶技巧曲を2曲弾いたら、聴衆はその曲だけ覚えていて、肝心のメインプログラムを忘れます。私は晩成型の人間です。たぶん今の方が昔より、ずっとよく音楽を理解できていると思います

これを読むと、彼は気難しい人間だと思われるかも知れませんが、そんなことは全くなく、数年前に紀尾井ホールで開かれたリサイタルの時のサイン会では、ニコニコして相手の顔を見ながらサインをしていました 上にご紹介した彼の発言は多くの演奏家の本音ではないかと思います この本を読んでから、私は本プログラム終演後の拍手は ほどほどのところで止めることにしています。あまり熱心に拍手をし続けると、演奏者にアンコールを強要していると勘違いされる恐れがあるからです

花房さんは、「聴衆の皆さんは きっと私のドビュッシーを聴きたいはず」と思って、サービス精神で「花火」を弾いたのだと思います でも、それが素晴らしい演奏だったので、長い目で見てそれでよかったのかな、と考えてしまいました

 

     

 

さて、コンサートに戻ります。プログラム後半は「交響曲 第2番 ホ短調 作品27」です この曲は1906年から翌07年にかけて作曲され、1908年にサンクトペテルブルクでラフマニノフ自身の指揮により初演されました 第1楽章「ラルゴ~アレグロ・モデラート」、第2楽章「アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

渡邉一正の指揮で第1楽章に入ります 冒頭、チェロとコントラバスの重低音が会場を満たします。この楽章では個々の楽器セクションは良く鳴っているのですが、どうも全体が有機的にブレンドされていないように感じます しかし、その心配も第2楽章に入ると解消されました 白眉は第3楽章「アダージョ」です 弦楽器の渾身の演奏に加え、アレッサンドロ・ベヴェラリのクラリネット独奏によるメランコリックな演奏が素晴らしい ロマンの極致をいく演奏とはこういう演奏を言うのでしょう 第4楽章は”元気溌剌何とか”といった感じの明るく活気的な曲想です オケ全体から溢れ出るエネルギッシュな演奏を聴きながら、数年前にラ・フォル・ジュルネ音楽祭で聴いたドミトリー・リス指揮ウラル・フィルによる唯一無二のスケールの大きな演奏を思い出しました 東京フィルも負けず劣らず力強く素晴らしい演奏を展開しました

会場割れんばかりの拍手とブラボーに、チャイコフスキーのバレエ音楽「眠りの森の美女」から「ワルツ」を華麗に演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

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髙木凛々子ヴァイオリン・リサイタルを聴く ~ チャイコフスキー「懐かしい土地の思い出」、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」、ヤナーチェク「ヴァイオリン・ソナタ」、ラヴェル「ツィガーヌ」

2020年02月08日 07時21分53秒 | 日記

8日(土)。わが家に来てから今日で1957日目を迎え、トランプ米大統領は5日、自らの弾劾裁判で有罪票を投じた共和党のミット・ロムニー上院議員について、「ロムニーは我々をだました。民主党の回し者だ」などとやゆする動画をツイートした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                   自分に歯向かう者は排除する まるで北朝鮮の金正恩委員長と同じ 気が合うはずだ

 

  昨日から娘が仲良しグループ4人でシンガポール旅行に行ってしまったので、しばらく夕食作りはお休みすることにしました 新型コロナウイルスが世界的に拡散している中で、どうかと思いましたが、前々から計画して楽しみにしていた旅行なので、せいぜいマスクを着けて 手洗いを頻繁にするように言って送り出しました   それにしても、料理って自分のためというより家族のために作っているんだな、とつくづく思います  

 

         

 

昨日は午前11時から上野の東京文化会館小ホールで「上野 de クラシック ~ 髙木凛々子 ヴァイオリン・リサイタル」を、午後7時から池袋の東京芸術劇場で「都民芸術フェスティバル・オーケストラ・シリーズ」参加公演=東京フィルのコンサートを聴きました ここでは髙木凛々子ヴァイオリン・リサイタルについて書きます

開場30分前の午前10時に文化会館に着いたのですが、すでに小ホールに続くスロープに列ができていました それでもD29番、右ブロック左から2つめの結構よい席を押さえることができました。会場は文字通り満席です

プログラムは①チャイコフスキー「懐かしい土地の思い出 作品42」、②バルトーク「ルーマニア民俗舞曲」、③ヤナ―チェク「ヴァイオリン・ソナタ」、④ラヴェル「ツィガーヌ」です 伴奏は日下知奈です

 

     

 

赤の鮮やかなドレスの髙木凛々子さんがピアノの日下知奈さんとともに登場、髙木さんがマイクで演奏曲目を簡単に紹介してから演奏に入ります

1曲目はチャイコフスキー「懐かしい土地の思い出 作品42」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が1878年に作曲したヴァイオリンとピアノのための作品です 第1曲「瞑想曲」、第2曲「スケルツォ」、第3曲「メロディ」の3曲から成ります

髙木さんの演奏で第1曲「瞑想曲」に入りますが、ヴァイオリンのカンタービレが美しく響きます 第3楽章は単独でも演奏される親しみやすいメロディーの曲ですが、髙木さんは丁寧に美しい音を紡いでいきました なお、演奏前のトークで第1曲「瞑想曲」は当初、「ヴァイオリン協奏曲」の第2楽章として構想されていたと解説していました こういうトークは参考になります

2曲目はバルトーク「ルーマニア民俗舞曲」です この曲はベーラ・バルトーク(1881-1945)が1909年から1915年にかけて作曲した作品です 第1曲「棒踊り」、第2曲「飾り帯の踊り」、第3曲「足踏みの踊り」、第4曲「プチュムの踊り(角笛の踊り)」、第5曲「ルーマニア風ポルカ」、第6曲「速い踊り」から成ります

バルトーク国際コンクール第2位入賞の実績を持つ髙木さんは、この曲を暗譜で弾きました おそらく「自分の曲」として自信があるのでしょう リズムもテンポも自由自在に、色彩感豊かに弾き切りました この曲では、作曲者と会話しながら演奏しているように見える髙木さんの姿がありました これは彼女の演奏の大きな特徴だと思います

 

     

 

3曲目はヤナ―チェク「ヴァイオリン・ソナタ」です この曲はレオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)が1913年に作曲(1921年改訂)した作品です 第1楽章「コン・モート」、第2楽章「バッラーダ・コン・モート」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「アダージョ」の4楽章から成ります

髙木さんの演奏で第1楽章に入ります 演奏前の解説で語っていた通り 民俗色濃厚な曲想です。第2楽章では日本人が感じるノスタルジックな曲想も聴かれ、また第4楽章では鞭を打つような荒々しい感情表現も聴かれました

プログラムの最後はラヴェル「ツィガーヌ」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1924年に作曲した作品で、「ツィガーヌ」とは「ロマ(ジプシー)」のことです この曲も自信があるのでしょう。髙木さんは暗譜で臨み、超絶技巧を駆使して、テンポや音色の変化が激しいこの曲の魅力を最大限に引き出しました

第3回東京音楽コンクール・ピアノ部門第3位の日下知奈さんのピアノ伴奏も、とても良かったと思います

二人はアンコールにクライスラーの「ロンディーノ」を爽やかに演奏し、大きな拍手に包まれました

なお、この曲は「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」として知られる作品ですが、タイトルにある「ベートーヴェンの主題」がどの作品のどの主題なのかが不明で、「実はクライスラーが作品を覚えてもらうために、ベートーヴェンの名前を借りてすべて自分で作曲したのではないか」という説があります 真偽は解りませんが、親しみやすく名曲であることには違いありません

4月25日(土)に髙木凛々子さんが出演するコンサートがあります 彼女が得意な曲の一つ、サラサーテ「カルメン幻想曲」を演奏します 神奈川方面の方はお出かけになってはいかがでしょうか。きっと素晴らしい演奏になると思います

 

     

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新国立オペラ、ロッシーニ「セビリアの理髪師」初日公演を観る ~ 脇園彩、ルネ・バルベラ、フローリアン・センペイ、パオロ・ボルドーニャ、マルコ・スポッティにブラボー!

2020年02月07日 07時22分00秒 | 日記

7日(金)。わが家に来てから今日で1956日目を迎え、消費者庁の伊藤明子長官は6日までに、新型コロナウイルス感染拡大の影響でマスクの需要が高まり、インターネット上で高額転売されていることについて「転売目的の購入は望ましくない」との見解を示した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                  マスクの転売はやめよう  オー!

 

         

 

昨日、夕食に娘の大好物「ビスク鍋」を作りました 簡単で美味しく温まります

 

     

 

         

 

昨夕、新国立劇場「オペラパレス」でロッシーニ「セビリアの理髪師」の初日公演を観ました 出演はアルマヴィーヴァ伯爵=ルネ・バルベラ、ロジーナ=脇園彩、バルトロ=パオロ・ボルドーニャ、フィガロ=フローリアン・センペイ、ドン・バジリオ=マルコ・スポッティ、ベルタ=加納悦子、フィオレッロ=吉川健一、隊長=木幡雅志、アンブロ―ジオ=古川和彦。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=アントネッロ・アッレマンディ、演出=ヨーゼフ・E・ケップリンガーです

 

     

 

アルマヴィーヴァ伯爵は、町一番の美人と誉れの高いロジーナに一目ぼれする しかし、ロジーナは、財産目当てで彼女にご執心の後見人バルトロの家に監禁状態にされ外出も出来ない そこで、伯爵はお金次第で何でも引き受ける「町の何でも屋」フィガロの智恵と力を借りることにする 幸いフィガロは理髪師兼雑用係としてバルトロ家に出入りできたので、伯爵に知恵を授け、あの手この手で家の中に入り込み、紆余曲折の後にロジーナに想いを伝えることに成功する そしてハシゴを使って2階から脱出しようとした時、彼の怪し気な行動を察知したバルトロに気づかれハシゴを外されてしまう しかし、フィガロの機転でピンチを脱し、ハッピーエンドで幕を閉じる

 

     

 

私が新国立オペラの「セビリアの理髪師」を観るのは2002年10月、2005年10月、2006年12月、2012年11月、2016年11月に次いで今回が6度目です また、ヨーゼフ・E・ケップリンガーの演出で観るのは5度目です

結論を先に書きます。歌手陣は最高級の粒ぞろいでした

真っ先に挙げたいのはロジーナを歌った脇園彩です 東京藝大大学院を修了後、2013年文化庁派遣芸術家在外研究員としてパルマ国立音楽院に留学。ロッシーニ・オペラ・フェスティバルのアカデミーに参加し「ランスへの旅」でイタリアでのオペラデビュー、ミラノ・スカラ座アカデミーを修了。ミラノスカラ座ほかで「セビリアの理髪師」ロジーナ役で出演したほか、イタリアを中心に活躍しています 新国立劇場では2019年5月に「ドン・ジョバンニ」ドンナ・エルヴィーラで出演しています 私は5月17日の初日公演で初めて彼女の歌を聴いたのですが、翌日のブログに「最も強く印象に残った。将来有望なメゾ・ソプラノ」と書いています 第1幕のカヴァティーナ「今の歌声は」、第2幕の技巧的なアリア「愛に燃える心に」をはじめとして、美しくも力強い歌唱で聴衆を圧倒しました 演技力も申し分ありません。2021年には新国立劇場「フィガロの結婚」ケルビーノに出演予定とのことです。ちょっと役不足のように感じますが、楽しみです

そして、第1幕でカヴァティーナ「町の何でも屋に道を開けろ」を迫力のあるバリトンで歌い上げ、聴衆の心を一気に掴んだフィガロ役のフローリアン・センペイは強烈な印象を残しました フランス出身で、フィガロ役を得意としており、フランスを中心に活躍しています 素晴らしい演技力と相まって存在感抜群でした

アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったルネ・バルベラはアメリカ出身のテノールですが、世界のオペラ劇場でモーツアルト、ロッシーニを中心に歌っています 第1幕のカンツォーネ「もしも私の名を知りたければ」はもちろんのこと、第2幕フィナーレの技巧的なアリア「もう逆らうのをやめろ」は圧巻でした 歌は良いのですが、あの顎鬚がどうもアルマヴィーヴァ伯爵らしくないと感じます。でもそう簡単に剃る訳にもいかないのでしょうね

バルトロを歌ったパオロ・ボルドーニャはイタリア出身のバリトンですが、第1幕のアリア「私のような医者に向かって」では語り口調で歌い始め、最後には早口言葉で畳みかける「技」が鮮やかでした 時々、日本語を使って会場を沸かせていましたが、演技力は抜群です

ドン・バジリオを歌ったマルコ・スポッティはパルマ生まれのバスですが、第1幕のアリア「中傷はそよ風にのって」は低音の魅力がたっぷりでした

全編を通して出場しているのに歌の出番は第2幕のアリア「年寄りは妻を求め」しかないベルタを歌った加納悦子は、年増の家政婦の嘆きを見事に歌い上げました この歌 大好きです

最後に、ミラノ生まれのアントネッロ・アッレマンディ指揮東京交響楽団は、歌手に寄り添いながら、時にロッシーニ・クレッシェンドでブッファの雰囲気を盛り上げながら、終始 軽快な演奏を展開しました

カーテンコールが繰り返されましたが、拍手とブラボーの嵐はなかなか止みませんでした 初日公演は大成功だったと言えるでしょう

 

     

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METライブビューイング「蝶々夫人」の指定取る / ディズニー映画「アラジン」&「ライオンキング」を観る ~ 世界最高峰のVR技術が可能にした超実写映像:早稲田松竹

2020年02月06日 07時27分29秒 | 日記

6日(木)。わが家に来てから今日で1955日目を迎え、トランプ米大統領は4日夜、内政や外交の基本方針を示す一般教書演説を米議会の上下両院で行い、2016年大統領選で自身の選挙スローガンとして米国民に約束した「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン(米国を再び偉大に)」を達成したという意味を込めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                    新しいスローガンは「メイク・トランプ・ファースト・アゲイン」で決まりかい?

 

         

 

昨日、夕食に「親子丼」を作りました 久しぶりに作りましたが美味しくできました

 

     

 

         

 

METライブビューイング、プッチーニ「蝶々夫人」の座席指定を取りました 2月11日(火・祝)午前10時から新宿ピカデリーです。いつものように後方の通路側席を押さえました 中国出身のホイ・へーが蝶々夫人を歌います。どんなマダム・バタフライになるでしょうか

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でディズニー映画「アラジン」と「ライオンキング」の2本立てを観ました

「アラジン」はガイ・リッチー監督・脚本による2019年アメリカ映画(128分)です

これは、ダイヤモンドの心を持ちながら、本当の自分の居場所を探す貧しい青年アラジンが、王宮の外の世界での自由を求める王女ジャスミンと巡り合い、”3つの願い”を叶えることが出来るランプの魔人ジーニーの力を借りながら、国王を殺し自らがその地位に就こうと企む国務大臣ジャファーを倒して幸せを手に入れるというファンタジーです

 

     

 

子ども達が小さい頃はアニメ版をVHSでよく観たものです 今回 実写版で観てみようと思ったのは、「ハリー・ポッター・シリーズ」のハーマイオニー役でお馴染みのエマ・ワトソンが美女ベルを演じた「美女と野獣」が素晴らしかったからです 今あらためて「アラジン」を実写版で観て、こんなストーリーだったんだな、と思い出しました

アラジンをメナ・マスード、ジャスミンをナオミ・スコットという美男美女が演じており、ウィル・スミスが魔人ジーニーを快演しています

「美女と野獣」と同様、ミュージカル仕立てなので、ストーリーの中で数々の歌が歌われますが、何と言っても名曲「ホール・ニュー・ワールド」が忘れられません

今の子どもたちはCGを駆使した美しく迫力のある実写版で観るのが当たり前になっているのが、羨ましく思います

 

         

 

「ライオンキング」はジョン・ファヴロー監督による2019年アメリカ映画(119分)です

サバンナの王国プライドランドの王であるライオン「ムファサ」に息子「シンバ」が誕生する しかし、叔父の陰謀によりシンバは父を失ったうえ王国を追放されてしまう 新たな世界で彼はティモン(ミーアキャット)とプンバァ(イボイノシシ)に出会い、”自分が生まれて来た使命は何か”を知っていく そして、叔父とハイエナが支配する王国に戻り自らの運命に立ち向かう

 

     

 

この作品も実写版のミュージカル仕立てですが、登場する動物たちや彼らを取り巻く自然界が本物そっくりなのは、世界最高峰のVR(バーチャルリアリティ)技術の為せる業です 映画もここまできたか、と感嘆します なお、牝ライオン・ナラの声をビヨンセが担当しています。どうりで歌が上手いわけです

この映画を観て、一番面白かったのはティモンとプンバァの漫才コンビです プンバァが怒り狂ってハイエナたちを牙で突き上げていくシーンはスカッとします このコンビは「ライオン・キング」からスピン・オフして独立し、下の写真のように何作か作られています 子どもたちはこの「ティモンとプンバァ」と「チップとデール」が大好きでした 昨年、CDの置き場に困ったので、20年以上観ていない これらのVHSテープ約70本をまとめてゴミ置き場に捨てたら、あとで娘と冷戦状態に陥り、回収を余儀なくさせられました たぶん、一生捨てられないと思います

 

     

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2020年度「読響アンサンブル・シリーズ」のハガキ 2通届く / 「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」、「風をつかまえた少年」を観る ~ ギンレイホール

2020年02月05日 07時24分34秒 | 日記

5日(水)。わが家に来てから今日で1954日目を迎え、11月の米大統領選でトランプ大統領に挑む野党・民主党の候補者選びの幕開けとなる中西部アイオワ州党員集会が3日夜始まった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      ジョーにしても バーニーにしても エリザベスにしても 決め手を欠くんだよなぁ

 

         

 

昨日、夕食に私の定番料理「ひき肉と野菜のドライカレー」を作りました ワインはお正月の帰省時に息子がお土産に持ってきてくれた山形の赤ワインです

 

     

 

         

 

読響チケットセンターから2020年度「読響アンサンブル・シリーズ」の会員先行発売のハガキが2通届きました 1通は「郵便はがき」、もう1通は「メール便」です 内容はまったく同一です「さすがは天下の読売グループがバックについているから」と言うべきでしょうか? あるいは「何が何でも同シリーズのチケットを完売したいという気持ちの表れ」と言うべきでしょうか? 私に言わせれば、「何でこんな無駄なことを平気でやるのか こんな無駄なことをやるよりも、少しでもチケット代を安くしてくれ」と思います

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」と「風をつかまえた少年」を観ました

「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」はポー・バーナム監督による2018年アメリカ映画(93分)です

中学校生活最後の1週間を迎えたケイラ(エルシー・フィッシャー)は、”クラスで最も無口な子”に選ばれてしまう 待ち受ける高校生活に不安を抱える彼女は、SNSを駆使して不器用な自分を変えようとするが、なかなか上手くいかない 高校生活が始まる前に、憧れの男の子や人気者の女の子たちに近づこうと奮闘するケイラだったが空回りするばかりだった そして、父親や友達との関りの中で、虚勢を張ることの虚しさを知るようになる

 

     

 

エイス・グレードとは8学年のこと。日本で言えば中学3年生に当たります 彼らは、生まれた時からSNSが当たり前に存在するティーンエイジャーです ケイラはSNSの動画に自分の顔をアップして、同年代に向けて「前に一歩踏み出そう」とかいろいろとアドヴァイスを語りますが、クラスメイトや父親との実生活上の経験を通して、結局 自分では何もできないし、他人にアドヴァイスをする資格などないことに気が付きます 大人になっても虚勢を張って生きている人が数多くいる中で、高校に入る前にその虚しさに気が付くケイラは賢いと思います でも、それはやるだけやって気が付いたのであって、頭で考えていただけではなかったのです よくいますね、「自分はやれば何でもできる。やらないだけだ」という人が はっきり言います。そういう人は何もできません クールなケイラを見習って自覚してほしいと思います

 

         

 

「風をつかまえた少年」はキウェテル・イジョフォー監督による2018年イギリス・マラウイ合作映画(113分)です

2001年、アフリカの最貧国のひとつマラウイを大干ばつが襲う 14歳のウィリアムは貧困で学費を払えず通学を断念するが、図書館で出合った1冊の本をきっかけに、独学で風力発電のできる風車を作り、畑に水を引くこと思い付く しかし、ウィリアムの暮らす村はいまだに祈りで雨を降らそうとしているところで、ウィリアムの考えに耳を貸す者はいなかった それでも家族を助けたいというウィリアムの思いが徐々に周囲を動かし始め、ついに風力発電によって井戸の水を汲み上げ、畑に水を引くことに成功する

 

     

 

この映画は、当時、人口の2%しか電気を使うことができず、世界で最も貧しい国のひとつと言われたアフリカのマラウイで、少年が風車で自家発電に成功した実話を収め、世界各国で出版されたノンフィクションを映画化したものです

風力発電によって井戸から水が汲み上げられ、畑に流れていくシーンは感動的です しかし、よく考えてみれば、たったの19年前までマラウイではほとんど電気が普及していなかったのです それが、満足に学校に行けなかった一人の少年の知恵によって解決に結びついたのです この映画が教えてくれる教訓は「貧困から救われるのに最も必要なのは教育である」ということです

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「寅さんの人生語録・改」を読む / 井岡瞬「桜の花が散る前に」「もし俺たちが天使なら」「乙霧村の七人」「代償」「痣」、柚木麻子「BUTTER」を買う

2020年02月04日 07時24分30秒 | 日記

4日(火)。わが家に来てから今日で1953日目を迎え、東京都豊島区にある遊園地「としまえん」が近く閉園し、跡地に映画や小説で世界的に人気な「ハリー・ポッター」の世界観を反映した新たなテーマパークを2023年度にも開園する方向で調整が進んでいる というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「プール冷えてます」が「人気冷えてます」になった? 今度は魔法で回復かな?

 

         

 

昨日の夕食は、食品ロスで有名になった「恵方巻」は無視して、「肉豆腐」と「ホウレン草と大根の葉のお浸し」を作りました 大根の葉を捨てるのがもったいないので使いました。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

本を6冊買いました 井岡瞬が5冊、柚木麻子が1冊です 井岡瞬は先日「悪寒」を読んで、「この作家は中山七里以来のストーリー・テラーだ」と思い、彼の作品を片っ端から読んでやろうという気になりました 私は何か(本でもCDでも何でも)が気に入ると そのシリーズを全て揃えたくなる性癖がありますが、その癖が出ました

1冊目は井岡瞬「桜の花が散る前に」(講談社文庫)です    これは2012年8月に講談社から刊行された単行本「桜の咲かない季節」を改題、加筆修正し、2016年3月に文庫化したものです

 

     

 

2冊目は井岡瞬「代償」(角川文庫)です この作品は2014年3月に刊行された単行本に加筆修正を加え、2016年5月に文庫化したものです


      
     

3冊目は井岡瞬「もしも俺たちが天使なら」(幻冬舎文庫)です これは2014年6月に幻冬舎から刊行された作品に加筆・修正を加えたものです

 

     

 

4冊目は井岡瞬「乙霧村の七人」(双葉文庫)です これは2014年12月に双葉社から単行本として刊行された作品を、2017年に文庫化したものです

 

     

 

5冊目は井岡瞬「痣(あざ)」(徳間文庫)です これは2016年11月に徳間書店から刊行された作品を2018年11月に文庫化したものです

 

     

 

6冊目は柚木麻子「BUTTER」(新潮文庫)です この作品は2017年4月に新潮社から刊行され、2020年2月に文庫化されたものです

 

     

 

いずれも読み終わり次第、このブログでご紹介していきます

 

         

 

「寅さんの人生語録・改」(PHP文庫)を読み終わりました これは山田洋二・浅間義隆 作、寅さん倶楽部 編によるものです

この本には、49作にわたる映画「男はつらいよ」に登場した主人公・寅さんをはじめ、さくら、博、おいちゃん、御前様、タコ社長などの名セリフが収録されています

 

     

 

冒頭には星野哲郎 作詞・山本直純 作曲・渥美清 歌による「男はつらいよ」の主題歌が収録され、巻末には「寅さん50年のあゆみ」として、第1作「男はつらいよ」(昭和44年8月公開。監督:山田洋二・マドンナ:光本幸子)から第50作(令和1年12月公開。監督:山田洋二、マドンナ:浅丘ルリ子、後藤久美子)までの一覧表が収録されています 併せて、昭和44年以降の寅さんの動き、その時の政治・社会状況、映画界の動向が一覧表として紹介されています

2月2日のブログでご紹介したセリフ以外で、面白かった寅さんの名セリフをいくつかご紹介します

①第2作「続・男はつらいよ」から。寅次郎の葛飾商業時代の恩師=散歩先生(東野栄治郎)との会話。

散歩先生:俺が我慢ならんことは、お前なんかより少しばかり頭が良いばかりに、お前なんかの何倍もの悪いことをしている奴がウジャウジャいるということだ・・・

寅次郎:私より馬鹿がおりますか

②第43作「寅次郎の休日」から。

それじゃなにか、真面目な男っていうのは、女に惚れないのか。じゃ俺なんか総合的に見たら、真面目じゃないってわけか

③第5作「望郷篇」から。タコ社長の印刷工場で。

おはよう、労働者諸君。今日からぼくは君たちの仲間だぞ!ともに働き、ともに語ろう

④第2作「続・男はつらいよ」から。

おう?・・・手前さしづめインテリだな。

⑤第24作「寅次郎春の夢」から。おばちゃんが日米親善を訴えたので。

どうして日本とアメリカが仲良くしなきゃいけないんだ。いいか、あの黒船が浦賀の沖にへ来て、徳川三百年天下太平の夢が破られて以来、日本人はずっと不幸せなんだぞ

⑥第7作「奮闘篇」から。

寅次郎:何だ、お前ら知らねえのか・・・。ほら、ミドリはコトナルものよ、アジなるものよって・・・。イニシエの言葉にあるだろう。つまり僕たち二人はそういうケースなんだ。

さくら:わかる?

博:縁は異なもの味なもの のことだろう

⑦第8作「寅次郎恋歌」から。

うるせえ!そうか、おいちゃん、そういうことを言うかい。それを言ったらおしまいだよ

⑧第18作「寅次郎純情詩集」から。不治の病に侵されている綾(京マチ子)に。

綾:寅さん、人間はなぜ死ぬんでしょうねえ。

寅次郎:人間?うーん、そうねえ。まあ、なんて言うかなあ、まあ結局あれなんじゃないですかね、あの、こう人間が、いつまでも生きていると、あの、こう丘の上がね、人間ばかりになっちゃうんだよ。うじゃうじゃ、うじゃうじゃメンセキが決まっているから。で、みんなでもって、こうやって満員になって押しくらマンジュウしているうちに、ほら足の置く場所もなくなっちゃって、で、隅っこに居る奴が、「お前どけよ」なんてやると、ア、アーなんて海の中へ、ポチャンと落っこって、アップ、アップして「助けてくれ!助けてくれ!」なんつってね、死んじゃうんだよ。まあ、結局、そういうことになってんじゃないですかね。昔っから。うん、まあ、深く考えない方が、それ以上は

⑨第40作「寅次郎サラダ記念日」から。

満男:大学へ行くのは何のためかな。

寅次郎:決まってるでしょう、これは勉強するためです。

満男:じゃあ、何のために勉強するんかな。

寅次郎:・・・ん?そういうむずかしいことを聞くなって言ったろう、お前に。・・・つまりあれだよ、ほら、人間長い間生きてりゃ色んなことにぶつかるだろう、な。そんな時に俺みたいに勉強してない奴は、この振ったサイコロで出た目で決めるとかその時の気分で決めるよりしょうがないんだ、な。ところが、勉強した奴は、自分の頭でキチンと筋道を立てて、はて、こういう時はどうしたらいいかなと考えることができるんだ。だからみんな大学へ行くんじゃないか。だろう?・・・久しぶりにキチンとしたこと考えたら頭が痛くなっちゃった

⑩第21作「寅次郎わが道をゆく」から。妹さくらへの手紙(速達)。

拝啓、この間は俺が悪かった。九州の山奥で朝な夕な反省をしている。もう二度と柴又には帰らない。そうすればお前達に迷惑をかけずにすむからな。遠い旅の空から、俺は死ぬ日までお前達の幸せを祈り続けている。 あばよ。妹へ  寅次郎

追伸 最後のめいわくだ。宿賃を貸してくれないか、頼む

こうして挙げてくると、キリがありません。ここにご紹介しきれない多くの名言があります 「はじめに」の中で 山田洋二監督は、寅さんの「労働者諸君!」にしても、おいちゃんの「馬鹿だねぇ」にしても、御前様の「困った」にしても、自分が脚本に書いたわけではなく、渥美清や森川信や笠智衆がアドリブで吐いたものだと書いています 名言はアドリブから生まれるのかも知れません また「男はつらいよ」を観たくなってきました

 

     

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エルデーディ弦楽四重奏団でモーツアルト「弦楽四重奏曲第22番」、ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番”セリオーソ”」他を聴く / 「音楽の力」は恥ずべき言葉~坂本龍一氏の主張

2020年02月03日 07時19分41秒 | 日記

3日(月)。わが家に来てから今日で1952日目を迎え、トランプ政権は1月31日、対人地雷の使用を朝鮮半島だけに限るとした オバマ前政権が決めた方針を撤回したため、今後はどこでも対人地雷が使えるようになる いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     どこまでも世界を悪い方向に牽引しようとするトランプ政権は いずれ地雷を踏む

     

         

 

昨日の朝日新聞 文化・文芸欄に「『音楽の力』は恥ずべき言葉 坂本龍一、東北ユースオケ公演を前に」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

坂本龍一は被災3県の子どもたちから成る『東北ユースオーケストラ』を結成、2014年に音楽監督に就任して以来、演奏会を定期的に開いてきた その坂本が、「『音楽の力』は一番嫌いな言葉だ」と言う 「ニューヨークが同時多発テロで緊張状態にあった時、音楽に癒されたことはある しかし、『この音楽には、絶対的に癒やしの力がある』みたいな物理的なものではない。音楽を使ってとか、音楽の社会利用、政治利用は本当に嫌いだ」と語る。なぜそうした考えに至ったのか訊くと、坂本は、ナチスドイツがワーグナーの音楽をプロパガンダに利用し、ユダヤ人を迫害した歴史を挙げた 「当時を経験していないのにトラウマでね。音楽には暗黒の力がある。ダークフォースを使ってはいけないと子どもの頃から戒めていた」と語る。「災害後によく『音楽の力』という言葉が聞かれるが、テレビなどで目にすると、大変不愉快だ。音楽に限らずスポーツもそうだ。プレーする側は『勇気を与えたい』とか言っている。少年たちも大人の真似をして『勇気を与えたい』とか言っている。恥ずべきことで悲しい 音楽の感動というのは、基本的に個人個人の誤解だ。感動するかしないかは、勝手なこと。ある時にある音楽と出会って気持ちが和んでも、同じ曲を別の時に聴いて気持ちが動かないことはある 音楽に何か力があるのではない。音楽を作る側がそういう力を及ぼしてやろうと思って作るのは、言語道断でおこがましい」と主張する。では坂本は何のために音楽を奏でるのか訊くと、「好きだからやっているだけ 一緒に聴いて楽しんでくれる人がいれば楽しいが、極端に言えば、一人きりでもやっている」という答えが返ってきた

坂本氏の発言の中にある「ある時にある音楽と出会って気持ちが和んでも、同じ曲を別の時に聴いて気持ちが動かないことはある 音楽に何か力があるのではない」というのは、その通りだと思います 以前、このブログにも書いたことがありますが、私は 音楽をはじめとする芸術は「それが無くても生きていける」もので、実は何の役にも立っていないものだと思っています その「何の役にも立っていない」ものに貴重な時間と なけなしのお金をかけて全精力を注ぐことこそ 最も尊い 生き甲斐であるとも思っています 坂本氏が「好きだから音楽活動をやっている」ように、私は「好きだからコンサートに行き、映画を観、本を読んで」います そういう意味では、坂本氏の主張はよく分かります さて、あなたはどうお考えでしょうか

 

         

 

昨日、晴海の第一生命ホールでエルデーディ弦楽四重奏団のコンサートを聴きました    プログラムは①ドホナーニ「弦楽四重奏曲 第3番 イ短調 作品33」、②モーツアルト「弦楽四重奏曲 第22番 変ロ長調 K.589 ”プロイセン王第2番” 」、③ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 作品95”セリオーソ” 」です

エルデーディ弦楽四重奏団は1989年に東京藝大出身者により結成されたクァルテットで、メンバーは第1ヴァイオリン=蒲生克郷、第2ヴァイオリン=花崎淳生、ヴィオラ=桐山健志、チェロ=花崎薫です。このうち花崎夫妻は、薫氏が大阪フィルの首席チェロ奏者を、淳生さんが古典四重奏団のヴァイオリン奏者を務めています

 

     

 

自席は1階6列25番、右ブロック左通路側です。会場は6割程度の入りでしょうか。テレビ収録があるようで、カメラとマイクが設置されていました

1曲目はドホナーニ「弦楽四重奏曲 第3番 イ短調 作品33」です この曲は、ハンガリー出身のエルンスト・フォン・ドホナーニ(1877-1960)が1926年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・アジタート・エ・アパッシオナート」、第2楽章「アンダンテ・レリジオーソ・コン・ヴァリアツィオー二」、第3楽章「ヴィヴァーチェ・ジョコーソ」の3楽章から成ります

この曲は初めて聴きますが、同年代に同郷のハンガリーで活躍したバルトーク(1881年生まれ)やコダーイ(1882年生まれ)とは曲想が全く異なり、ブラームスの流れを受け継ぐ後期ロマン派の印象を受けます 3楽章の中では第1楽章が長大です。私は第3楽章がアイロニカルで面白く聴けました

 

     

 

休憩後の1曲目はモーツアルト「弦楽四重奏曲 第22番 変ロ長調 K.589 ”プロイセン王第2番” 」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1789年から1790年にプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世のために作曲した3曲の弦楽四重奏曲のうちの1曲です 王がチェロの名手だったことからチェロのパートが活躍するように書かれています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「メヌエット:モデラート」、第4楽章「アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります 

蒲生氏がプログラム・ノートを書いていますが、この作品はモーツアルトの弦楽四重奏曲の中で唯一「ラルゲット」(やや遅く)という表示記号を使用しています 通常は「アンダンテ」(歩くような速さで)を使うところです この楽章はゆったりしたチェロの独奏から始まるので、チェロを歌わせることを意識して「ラルゲット」のテンポを指定したのでしょうか 花崎薫氏のチェロが美演でした

超ベテランぞろいということもあってか、全曲を通して 落ち着いた優美な演奏が聴けました

モーツアルトの「プロイセン王」セットというと、私はプロイセン王第1番(弦楽四重奏曲第21番K.575)が好きで、ヴェラー弦楽四重奏団のLP(1966年録音)が愛聴盤でした これはCD化されたので現在はCDで聴いています 第1楽章「アレグレット」の冒頭を聴いてすっかり虜になりました

 

     

 

最後の曲はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 作品95”セリオーソ” 」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1810年に作曲、1814年にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ・マ・セリオーソ」、第4楽章「ラルゲット・エスプレッシーヴォ~アレグレット・アジタート」の4楽章から成ります 「セリオーソ」(厳粛な)というのはベートーヴェン自身が命名したものですが、出版に際して外されました なお第3楽章には「セリオーソ」の表記があります。この曲は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の中で最も演奏時間が短い作品ですが、それだけにベートーヴェンの魅力が凝縮されています

4人の演奏で第1楽章に入りますが、冒頭の緊張感に満ちた音楽こそ「セリオーソ」ではないか、と感じます また、第4楽章のフィナーレでは、取ってつけた様な明るいメロディーが疾走しますが、いつ聴いても「セリオーソ」には合わないと思ってしまいます

4人の演奏は誰かが突出することなく落ち着いて聴けます アンコールにモーツアルト「弦楽四重奏曲第23番ヘ長調K.590"プロイセン王第3番」の第3楽章「メヌエット(アレグレット)」を演奏し、大きな拍手の中、コンサートを締めくくりました

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「男はつらいよ 50 お帰り 寅さん」を観る ~ 満男がイズミと再会し 寅さんの思い出を振り返る。歴代のマドンナも4Kデジタル修復で蘇る

2020年02月02日 07時16分31秒 | 日記

2日(日)。わが家に来てから今日で1951日目を迎え、トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」を巡る上院の弾劾裁判は31日、証人を召喚するための採決が行われ、与党・共和党の反対多数で否決、野党・民主党が求めたボルトン前大統領補佐官らの召喚は行わないまま審理を終了することになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これでトランプは無罪になるらしいけど  近い将来 共和党が後悔する日がくるぜ!

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーで山田洋二監督「男はつらいよ 50 お帰り 寅さん」(2019年・116分)を観ました ブログネームを tora としている私にとっては他人事ではありません 「男はつらいよ」は、山田洋二監督により1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、1997年の「男はつらいよ  寅次郎ハイビスカスの花  特別編」以来22年ぶりに製作された作品です 倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らとともに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子らも出演、さらに在りし日の渥美清が登場します

 

     

     

柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男(吉岡秀隆)の妻の7回忌の法事で集まった人たちが思い出話に花を咲かせていた サラリーマンから小説家に転身した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミ(後藤久美子)の姿があった イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリー(浅丘ルリ子)が経営する喫茶店だった

 

     

 

満男が昔を回想するシーンの中に車寅次郎を巡る数々のエピソードが再現されます まず最初に驚くのは、若き日の倍賞千恵子のハッとするような若さと美しさです 前田吟も若かった ひろしがさくらにプロポーズするシーンでは思わず涙が出ました おばちゃん(三崎千恵子)もおいちゃんも懐かしい おいちゃんは森川信(第1~8作)、松村達雄(第9~13作)、下條正巳(第14~48作)と受け継がれてきましたが、私が「これこそ おいちゃんだ」と思うのは初代の森川信です。寅が失恋するたびに、首を振って「バカだねえ、ほんと、バカだねえ」と嘆くセリフが忘れられません また、寅が失敗をしでかし、頭痛がして寝込むときの「おい まくら、さくら持ってきてくれ」も名セリフです もちろん「おい さくら、枕もってきてくれ」の言い違えです このシーンは残念ながら今回の映画には収録されていません また、寅さんは数々の人生訓を残しています。その中で最も印象に残っているのは、思春期の満男から「おじさん、人間って何のために生きてるのかなぁ?」と訊かれた時に答えた「何というかなぁ、あ~生まれてきてよかった、そう思うことが何べんかあるだろう。そのために人間は生きてるんじゃねえのか?」というセリフです

歴代のマドンナは多分 全員が登場(4Kデジタル修復)しています ちなみに、全作品の中で今回を含めて最多出演は浅丘ルリ子と後藤久美子の各6回、次いで竹下景子が3回、栗原小巻、吉永小百合、大原麗子、松坂慶子が各2回で、その他のマドンナは各1回です

今回収録された寅さんのエピソードの中で一番面白かったのは「メロン騒動」です 「車屋の家族がリリーと一緒に いただき物のメロンを食べているところに寅が帰ってくる。しかし、誰も 寅の分を勘定に入れていない。自分の分がないことに寅は怒り出し、おいちゃんと喧嘩が始まる。おばちゃんが泣き出して 皆しんみりしてしまう」というストーリーです   このシーンは何回見ても可笑しいし、なぜか最後には悲しくなってきます それが「男はつらいよ」です

ひと昔前の映像の中の倍賞千恵子や前田吟と 現在の二人を比べると「随分 歳をとったなあ」と思いますが、それだけ観る側の私たちも歳をとったんだなあ、と感慨深いものがあります   彼らよりも、満男役の吉岡秀隆にその感を強くします 子供の頃から大人になるまで彼を「満男」としてずっと見守ってきたからなおさらそう感じるのかもしれません

今回は収録されていませんが、山田監督は「男はつらいよ」シリーズで結構クラシック音楽を使っています 強く印象に残っているのは吉永小百合がマドンナを演じた「柴又慕情」で、ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「春の声」を使っていたこと そして、大原麗子がマドンナを演じた「噂の寅次郎」(か「寅次郎真実一路」のどちらか)で、モーツアルト「ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488」の第2楽章「アダージョ」を使っていたことです どちらの音楽もベスト・チョイスと言ってよい選曲でした

渥美清という役者は、山田監督にさえ本名・田所康雄の私生活は一切見せなかったといいます。われわれにとっては渥美清=車寅次郎でした 彼は最後まで「フーテンの寅」を演じなければならなかった。晩年は病(癌)を押しての出演で、相当苦しそうだったといいます 第49作「男はつらいよ  寅次郎ハイビスカスの花  特別編」を撮り終えて1996年8月4日、68年の生涯を閉じました。それから24年、寅さんはスクリーンに戻ってきました。お帰り 寅さん

 

     

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井岡瞬著「悪寒」を読む ~ 中山七里顔負けの「どんでん返し」が待っている!

2020年02月01日 07時37分33秒 | 日記

1日(土)。今日から全国的に2月です。「二月は逃げる」と言います。29日しかないこともあって、あっという間に終わってしまいます 今月の予定はコンサート18回、映画10本、読書は目標4冊です

昨夕、元の勤務先の同僚S氏、E氏と新橋で呑みました 遅めの新年会といったところです 午後5時の約束の時間の前に時間があったので烏森神社の付近をうろついてどこかいい店はないかと探していたら、「蛇の新」という暖簾に出会いました この店は独身時代よく先輩に連れてこられて飲んだ店です 暖簾に「NHK交響楽団」とあるのは、NHKが渋谷に移転する前 内幸町にあった時に、N響楽団員の常連客が通っていた店で、彼らがこの暖簾を寄贈したのです さっそくS氏とE氏を誘って「蛇の新」に入り、ビールで乾杯しました お店の人の話では、最近はN響の人より新日本フィルの楽団員の方が店に顔を見せるケースが多いとのことで、高価な楽器を抱えて来ると緊張するそうです それにしてもどうして錦糸町が本拠地の新日本フィルの人たちが来るのか不思議です


     

 

お店の人の言うことには、この店は今年3月25日に閉店するとのことです 原因は後継者がいないということでした。とても残念です

 

     

 
この店で約2時間飲んだ後、地下鉄千代田線で、3人揃って湯島のE氏のボトルが入れてある「CoCo  Cafe」に移動しました 私は2度目ですがS氏は初めてです 前回この店に来て歌った時に、自分はなんて下手なんだと思ったので、最初は遠慮して歌わなかったのですが、そのうち「せっかく来たんだから歌わなくっちゃ」と思い直し、加山雄三と沢田研二の歌を歌いましたが、やっぱり下手になる一方でした。ここでは約1時間半いて、解散しました。もう歌うのは止めようと思います

ということで、わが家に来てから今日で1950日目を迎え、北朝鮮当局は31日までに、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの対策として、中国と北朝鮮を結ぶ全ての航空便と列車を停止する措置を決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ついでと言っちゃあ何だけど   船の瀬どりを止めてくれないかなあ  評判悪いよ!

 

         

 

昨夕は私が飲み会だったので、娘のために「鶏の唐揚げ」を作りました 前日、栗原はるみ先生の「うまみ醤油」(ニンニク、ショウガ、削り節、醤油)を作って冷蔵庫で冷やしておいたので、それを使いました 唐揚げを作るのはすっかり慣れ、もう失敗はありません    お気づきでしょうか? 月初めにあたりランチョン・マットを新調しました

 

     

 

         

 

井岡瞬著「悪寒」(集英社文庫)を読み終わりました   井岡瞬は1960年東京都生まれ。2005年「いつか、虹の向こうへ」で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞しデビュー   著書に「代償」「本性」などがある

 

     

 

大手製薬会社に勤務する42歳の社員・藤井賢一は、不祥事の責任を取らされ、山形の系列会社に左遷させられる 鬱屈する生活を送る中、東京で暮らす妻の倫子から「家の中でトラブルがありました。途中まで洗濯はしたのですが、妹に相談したら警察が来るまで掃除をしない方がいいと言うので、床はそのままにしてあります・・・・」という不可解なメールが届く その数時間後、警察から倫子を傷害致死容疑で逮捕したという知らせが入る。殺した相手は賢一が務める会社の南田常務だった 単身赴任中に一体何があったのか。ただ事ではないと感じた賢一は深夜バスで東京に向かう 一方、警視庁捜査一課の真壁刑事が真相の解明に向けて捜査を始める そこで浮き彫りになったのは、殺人の現場となった藤井の家に居合わせたのは殺された南田常務、倫子、倫子の娘・香純、倫子の妹・優子、賢一の母親・智代だったらしいことが分かる 倫子は「私が殺した」と自白したのに、香純も、智代も「私が殺した」と言い、優子は「智代が殴ったのを見た」と言う。誰かが誰かをかばっているが、真相は分からない 誰がどういう目的で南田を殺したのか? プロローグの裁判シーンで、被告人席で検事の質問に「わたしは、被害者を殺したいほど憎んでいました」と答えているのは誰なのか

私が井岡瞬の小説を読むのはこれが初めてですが、彼の構成力に圧倒されました どんでん返しに次ぐどんでん返しのストーリー展開で、中山七里顔負けの長編ミステリーです 

この小説のテーマは、一番身近な人をどこまで信じられるか、ということだと思います 一気読み必至です。お薦めします

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