18日(火)。毎朝8時過ぎに、目白通りを横断して、手の腱鞘炎の治療のため北区の整骨院に通っているのですが、横断歩道の向こう側からこちらに向かってくる中年男性が気になります 右手に松葉杖を持ち、左手にレジ袋を提げて、信号が青になるや否やこちらに”走って”くるのです 松葉杖を持っていれば 足を怪我していて ゆっくり歩いてくると誰もが思うじゃないですか、奥さん それが、”走ってくる”のです。それも毎日ですよ アータ 何か理由が、というか ”企み” があるに違いありません 私の推理はこうです
「朝の8時台といえば通勤時間帯で電車は超混んでいる 通勤時間が長いので何とか座席に座りたい。しかし地下鉄都営三田線は東急と直結して以降 なかなか座れない なにかいい知恵はないか? そうだ、松葉杖をついていれば座っている人が同情して席を譲ってくれるかもしれない ためしに1度やってみたら旨くいった よし、明日から毎日この手でいってみよう」
どうでしょうか私の推理は? 「少しでも要領よく、楽に生きていく知恵として取った行動」という解釈は? えっ、推理小説の読み過ぎですって
ということで、わが家に来てから今日で1967日目を迎え、安倍晋三首相は17日午前の衆院予算委員会の集中審議で、12日の立憲民主党の辻元清美幹事長代行の質問後に「意味のない質問だよ」とヤジを飛ばしたことを謝罪した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
意味のないヤジを飛ばすから謝罪することになる 国の代表者にしては情けない!
昨日は寒かったので夕食は「みそ鍋」にしました 材料はキャベツ、シメジ、モヤシ、鶏肉団子、豚バラ肉と「みそ鍋の素」です。鍋はあったまりますね
下山進著「2050年のメディア」(文芸春秋社・1800円+税)を読み終わりました 下山進氏は1986年 早稲田大学政治経済学部政治学科卒。同年から文芸春秋社に編集者として勤務(2019年3月まで)。1993年コロンビア大学ジャーナリズムスクール国際報道上級課程修了。2018年4月から慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授として講座「2050年のメディア」を立ち上げる。この講座を出発点として、インターネット後のメディアの巨大な変化を調査し、本作を上梓した。現在、上智大学文学部新聞学科非常勤講師も務めている。著書に「アメリカ・ジャーナリズム」、「勝負の分かれ目」がある
私が本書を読もうと思ったのは、1月23日に日本記者クラブ・レストランで開かれたK氏を囲む懇親会で「あの本、読んだ?」と話題になったからです どうやら、最近のメディア傾向から新聞協会事務局内におけるパワハラ問題までが扱われているとのことでした しばらく忘れていましたが、先日 書店で目に入ったので購入することにしました
下山氏は巻末の「謝辞」の中で、この本を上梓するに至った経緯を次のように述べています
「文芸春秋に編集者として勤務していた2017年6月、たまたま開いた日本新聞協会の調査データのウエブページで直近の10年間で日本の新聞の部数が約1000万部蒸発し、売上も5645億円失われていたことを知った 1999年に上梓した『勝負の分かれ目』のエピローグで『日本のマスコミに目を移せば、新聞や放送はそれぞれ再販制度、放送法などの規制に守られて業界内での格差はあるにせよ、とりあえず安泰であるかに見える しかし、この変化の波ーすでに70年代には日本の製造業は経験し、90年代に日本の金融業は経験しているーは、やがてこうした太平の惰眠を貪り、旧来の方法を墨守している新聞や放送界にもやってくるだろう』と書いた この20年の間にその『変化の波』は、日本の新聞界を直撃していたのだ この変化の波はどうして起きて、どこに行こうとしているのか。これは、人生のある部分をかけうるに足るテーマだとすぐに分かった このようにして、紙のメディアの破壊的縮小の原因と今後繁栄するメディアの条件を探る調査型の講座『2050年のメディア』が立ち上がったのだった」
本書は ひと言でいえば、読売、日経、ヤフーの3社を中心に、インターネット後の20年の軌跡を調査し、メディアの巨大な変化を明らかにしたノンフィクションです
430ページを超えるハードカバーを読み終わってまず感じたのは、筆者・下山進氏の人脈の広さです 文芸春秋社に編集者として長年勤務していた実績からみれば良く理解できます しかも、人脈が広いばかりでなく、書こうとする人物との関係がかなりディープです。この本の中で一番多く登場するのは読売新聞グループ本社の代表取締役社長・山口寿一氏ですが、下山氏は彼の懐に飛び込んで本心を引き出しています これは徹底的な事前調査がなければできないことで、また、お互いの信頼関係がなければできないことです
新聞に絞って話を進めると、全国の加盟新聞社等からの分担金で事業を行う(社)日本新聞協会の会費分担金収入は、部数連動で上下する仕組みから、2001年度には22億6800万円あったのが、2017年度には18億2000万円にまで激減しています(第22章 疲弊する新聞)。その背景にあるのは、新聞各社の主な収入源である販売収入が激減しているという実態です その理由は、いわゆる「読者の新聞離れ」によるところが大きく、とくに若者たちを中心にスマホ・ケータイがあれば新聞はいらないという現象があります それに加え、新聞社の2大収入源の一つである広告収入も激減しているという実態もあります これは、販売部数が多いほど広告収入が多くなる仕組みになっているので、部数が減ればそれだけ広告収入も減るのです。新聞広告は かつて媒体別シェアでテレビ広告に抜かれたのと同じように、インターネット広告に抜かれたばかりか大きく離されているというのが実情です ちなみに電通「日本の広告費2018年」によると、総広告費6兆5300億円に占める新聞広告費のシェアはたったの7.3%で、これに対しインターネット広告費は26.9%で、テレビ広告費の29.3%に迫っています 全盛期の新聞広告とインターネット広告のシェアが逆転しているのが現状です
そうした中で、新聞各社は新聞の「電子版(デジタル新聞)」の発行に力を入れるようになっていることも本書で紹介されています 朝日新聞デジタル、読売新聞オンライン、デジタル毎日、日経電子版などですが、これらの中で最も経営的に順調にいっているのは「日経電子版」のようです 下山氏の著書から離れますが、今年1月17日付の日本経済新聞によると、日本経済新聞朝刊販売部数は223万6437部、電子版有料会員数は69万8627人となっています。これはかなり大きい数字です この背景には、2000年代の前半に、朝日、読売、産経、毎日などの全国紙が自社のウエブサイトやヤフーに自分たちの新聞の記事を ほぼ無料で出していた時に、日経(杉田亮毅社長)だけは「3割ルール」を定め、本紙に掲載された記事の3割しか無料では読ませないことにしており、これがデジタル有料版への重要な布石となったという事実があります(第7章 日経は出さない)
新聞協会事務局内のパワハラ問題については、第22章「疲弊する新聞」に書かれています。要するに新聞の部数激減に伴って会費分担金収入が減った新聞協会で、2013年頃から事務局上層部3人により大幅な人件費節減のための「急進的な成果主義」が着手され、不当な始末書をとり、恣意的な人事考課により降格をし、年収をダウンさせることによって、多くの職員が辞めていった・・・というものです 私は定年前の2009年に同協会を退職しNPCに転職したので詳細は知らなかったのですが、同協会が毎月発行(その後電子化・隔月刊)し、OBにも送られてくる「事務局報」の「事務局人事」欄を見て、中堅職員が次々と退職したり、降格人事が頻繁に行われていることを知り、「何かが変だ??」と思っていました そして2017年6月に朝日と日経の記事を見て初めて新聞協会でパワハラが横行していたことを知り ビックリすると同時に、やっぱりか、と思いました こんなことは新聞協会の歴史が始まって以来の不祥事です 驚くのは協会職員を通じてもたらされたパワハラ問題について、読売新聞グループ本社の山口寿一社長がほとんど一人で調査にあたったということです 当時の新聞協会会長は読売新聞グループ本社会長の白石興二郎氏でしたが、山口社長は白石会長に断ったうえで、協会の賃金台帳や始末書などを調査し、パワハラ被害者への事情聴取などを行ったうえで、加害者の3人を呼び出して真意を確かめたといいます あの忙しい山口社長がそこまでやったというのはちょっと信じられないですが、本当のようです 少なくない職員が心療内科に通っていた、と3人の処分の後で側聞しました。不本意ながら退職せざるを得なかった人たちは、今ごろどこでどうしているのだろう、と心配になります 現在の専務理事兼事務局長N氏は、新聞協会からNPCの監査役を経て専務取締役に就任し、さあこれから という時に、「後任は彼しかいない」として新聞協会に呼び戻された優秀な人物です 私は新聞協会でもNPCでも一緒に仕事をしたことがありますが、能力においても人柄においても、まさに彼しかいないと思います 現在、彼は多くの職員が退職した後の限られた人員で事務局を運営してるわけで、大変な苦労があると思いますが、彼なら協会事務局をしっかり立て直していけると思います OBはみんな応援しているので 頑張ってほしいと思います
なお、この第22章はあくまでも新聞協会事務局内部の出来事であり、本作の全体の流れの中では、本流を外れた異質なテーマであることを忘れてはならないと思います
以上、新聞媒体に関するテーマの一部をご紹介してきましたが、「紙のメディアはどうなるか」といった根本的な問題をはじめ、これからのメディアの方向性を考える上で避けて通れない問題が数多く提起されています メディア関係者に限らず広くお薦めします