レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

ものの話し方 – 日本の政治家編

2020-04-12 00:00:00 | 日記
Gledilega paskaグレージィレーガ・パウスカ!




グレージィレーガ・パウスカ!
Myndin er ur Landsspitali.is


Happy Easter! という意味の復活祭の日の挨拶言葉です。復活祭はクリスマスと並んで、キリスト教界の一大イベントなのですが、世界の多くの国々と同じくアイスランドでも、今年はきわめて慎ましいパウスカー(イースター)となっています。

アイスランドでは「C19はピークに到った」との観測が流れています。つまりこれからは力が弱まっていくだろう、ということなのですが、予断は禁物。パウスカーでも「遠出はしないように。Stay home!」が掛け言葉として使われています。

毎年、この時期にはフェルミングと呼ばれる、年内に十四歳の誕生日を迎える少年少女を対象とした堅信式が行われます。堅信式とは赤ちゃんの時に洗礼を受けた人が、自分自身でその洗礼の意義を確認する儀式のことです。

教会も忙しいですし、その男の子、または女の子とその家族、親戚一同にとっては大きなお祝いの機会。あちこちでパーティーが持たれ、プレゼントのお買い上げでお店も掻き入れ時期になります。

それが、今年はすべて延期となってしまいました。仕方ないですね。 加えて、通常のメサ(ミサ、礼拝)等もできませんので、あっちの教会でもこっちの教会でもFacebook等のソーシャルメディアを通じての「ライブ」を準備しています。「ホーム・イースター」ですね。

さて、例によって、実際にこのブログを書いているのは(このブログがアップされる二日前の)金曜日の午後です。この金曜日は日本語ではキリストの「受苦日」とか「受難日」と呼ばれる金曜日です。聖書にあるように、キリストが十字架にかかって亡くなった日がこの金曜日となります。

「受苦日」というとものすごく重いニュアンスですよね。でも実際にこの日はキリストの十字架の苦しみと死を偲び、追体験する日ですので、教会では沈痛な雰囲気となる一日なのです。




「復活祭の雪」は都市伝説 今年は金曜日に雪、そして日曜日にも、やはり!


もっとも英語ではGood Fridayとか呼んでいます。この名称なら多少沈痛さは和らげられるような気もしますね。脱線しますが、「受苦日」も漢字の変換キーを叩くと「熟美」とか出てきます。熟女か?(*^^*) 前回の 「聖週間」「性習慣」と並んで笑わせてくれます。

とにかく、そういう金曜日なので、例年からしてこの日はほとんどのお店は休業となります。スーパーとかも含めてです。あっ、そう、祝日、というか公式にお休みの日です。昨日の木曜日 –聖書的にはキリストが最後の晩餐を摂った日になりますが– も国民のお休みの日です。

今年の場合は、そこへC19のための「集会禁止」「外出自粛」がかぶさってきているため、街は例年にも増して静まりかえっているように思えます。

前回もちょっと書きましたが、こちらの人は大多数の人が従順に「外出自粛」や「2メートルルール」を守っているように見えるので、私はビックリさせられました。もう少し荒れるだろう、と思っていたのです。先日もまた家電のお店に用事があったのですが、この日は12- 3人のお客さんが「外待ち」状態でした。

小雪が舞っている日で見張りのスタッフもいなかったにもかかわらず、誰も文句も言わず、後から来たお客さんもおとなしく最後尾に2メートルの距離をとって並んでいました。

それでも「集会禁止」や「外出自粛」に腹を立て、毎日定例の記者会見を開いている警察の責任者、それと医療関係の責任者ふたり、計三人に悪口雑言を浴びせる人もいます。脅迫まであったようです。




定例の記者会見 左の三人がレギュラー
Myndin er ur Visir.is


でもそれはごく少数の人でしょう。政府も含めて、アイスランドは今はとても「挙国一致」という雰囲気があります。「挙国一致」というと、なにかファッショ的なものを連想してしまいますが、そういうような「他人を踏みつける」一致ではなく、「支え合って乗り切ろう」的な、良い方の「一致」です。

現首相のカトリーンさんは、私も属している「緑の党」の党首。ですが、首相としてはいまいち物足りないものがあり、私もガッカリ感を禁じ得なかったのですが、この危機に際しては、はっきりとしたリーダーシップを発揮しており、人気挽回しています。また可愛く見えてきました。ものすごく疲れているのは、傍目にもわかりますが。

ここのところ日本でもC19故の緊張感が増してきているようですね。日本の報道番組も、かなりフォローするように努めています。わずか「一週間」という短い期間で、事態がどんどん変化していきますので、対応する側は大変だと思います。




ワタシ的に人気挽回のカトリーン首相
Myndin er ur Frettatiminn.is


「緊急事態宣言」の発令ということで、日本もいよいよ危機に入った、という感じがしたのですが、安倍首相の会見とかを見ていると、正直ガッカリしてしまいます。

私、国外生活が長くなっていることもあって、こちらから日本を語る際にルールにしていることがあります。それは「一方的に悪く言わない、ネガティブな指摘をしない」ということです。

私だって、日本にいた頃、外国在住の誰彼さんが日本の悪口を言うのを聞いたらアタマにきていましたから。「責任ネエところからチョーシこくんじゃねえよ!」みたいな。

でも今、ちょっとだけ「こかせて」いただくと、話しの内容はともかくとして(もちろん内容は大変重要なのですが)、話し方がなってないですね。

なんですか、あの「... お願いをしたい所存でございます」だの「...といったことになるかもしれません」とかいうような、メリハリのない物言いは?しかも原稿に目を落としっぱなしで、自分の言葉になってない。

「こういう状況です。だから政府はこれこれのことを目的としてこの施策を実施します。つきましては自治体にはこうこう、国民にはこれこれの負担がかかるだろう。しかし、これをするのが今は最大の優先時だ。私が責任を取るからついてきてほしい」くらいのことを相手の目を見ながら言えないんでしょうかね?

くちゃくちゃしたへつらい口調は小池都知事も同じだと思ったのですが、小池都知事の方は、安倍首相に比べるとまだ「実のある」考えを持っているように思えます。オリンピック延期の結論が出るまではしどろもどろ感が強く、ワタシ的評価は低かったのですが、今は持ち直してきています。

前々回、「外出禁止令」発令の際のイリノイ州知事の記者会見のことに触れました。私はこの知事の名前さえ覚えていませんし、民主党なのか共和党なのかも、知事として有能なのか無能なのか、良い人物なのか嫌な奴なのかも存じ上げません。

ですが、この知事の記者会見では危機に際した社会にあっての「リーダーシップ」を感じました。「化け物がやってくるなら、俺が真っ先に相対してやる」というよな強さと責任感です。

実際にそうかどうかは、また別問題ですが、必要に応じてそのように話しをすることができるということは、指導的な立場の政治家にとっては不可欠の才能だろうと考えます。




Stay home!!
Myndin er ur usaid.gov


そういう点で、好き勝手を言わせてもらうなら、日本の政治家にはリーダーシップが感じられないですね。東日本大震災の時の枝野官房長官には、そういう雰囲気はあった、と思うのですが。でもそれは、遠い離れた距離からの感想です。

今の様子を見ていると、むしろ鈴木北海道知事とか、吉村大阪府知事とか、若い自治体の長の方がその意味でのリーダーシップを持っているようにも思えます。これも近くで見ると違うのかも、という留保は付けておきますが。

危機というのは、政治家にとっては試金石。ホンモノであることを示せるか、馬脚を表すかの岐路でしょう。

いずれにしても、日本で、NYやスペインのような状況にならないことを祈ります。でもそれには、皆が協力しないといけないですね。対策の中で、犠牲や損失に直面する人も多いでしょうし、というか皆が必ずそうなるでしょうが、これはもう避けられないことです。そういう事態はもうすでに起きてしまっているのですから。

最上の道を選び、歩まれますよう。その第一歩はStay homeだと、私は思います。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする