レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「森と、泉に、囲ーまれて...」の一日

2022-05-29 23:53:43 | 日記
こんにちは/こんばんは。




Vatnaskogurキャンプ場よりEyravatn湖を臨む
Myndin er eftir 私


この一週間ほど、レイキャビクでは「夏の極みか?」と思えるほど良い日々を迎えています。気温的にも15度まで達することもあり、これはもう大変なことです。ちなみに例年、東部では気温がさらに上がり、時折20度!ということさえあります。うらめ... いや、うらやましい。




日曜日の天気の様子
Myndin er ur Vedur.is


さて、週末もそんな快晴だったのですが、個人的に金曜日には特別なイベントに参加しました。参加者というよりは企画者の側だったので、それなりに忙しくもあり、不安もあり、というような数日でした。

イベントというのは、ウクライナからの難民の人たちと、レイキャビク近郊のキャンプ場へ行き、一日のバカンスを楽しもう!というものです。難民の人たちといっても、今回は特に子供たちに焦点を当てたものでした。

結果として、大型バス三台に分乗して、130人くらいの人たちと共に行くことになりました。二台はレイキャビクから。もう一台は西部地方のBifrostビフロストという大学の町から。大学の施設を利用して、100人ほどのウクライナ難民の人たちが生活しているのです。

向かった場所はVatnaskogurバトナスコーグルというところ。Vatnは「水」「湖」を意味し、skogurは「森」という意味です。その名の通り、キャンプ場はEyravatnエイラバトンという湖の湖畔に位置し、森林に囲まれています。レイキャビクからバスでちょうど一時間の距離です。




ここがVatnaskogur


「湖畔のキャンプ場」というとすぐに「十三日の金曜日」のジェイソンを連想してしまうワタシは、あまりそういうところへは行きたくありません。最初に行ったのは1994年頃の話しで、それ以来行ったことはありませんでした。

それが、今年になって、二週間ほど前に自分の教会のピクニック、そして今回、と五月中に二回も行く羽目となってしまいました。もちろんジェイソンはいませんでしたが。

今回の企画は、私と同僚のアニー牧師が企画者でウクライナ難民センターのボラをしているマルクスという若い男性が強力な助っ人となってくれました。参加者は130人くらいだったのですが、そのうち「企画側」にいたのは私たち三人と、ターニャさんという、在アイスランド二十二年になるウクライナ人のおばさんだけ。

これで仕切れるのか?と思われるのですが、バトナスコーグルには常在のスタッフが十人弱おり、このスタッフさんたちがいろいろと手伝ってくれるのです。というか、滞在中はほとんどすべてのことをやってくれるのです。

バトナスコーグルは、実は教会関係のKFUM(YMCA)が設立・運営をしている施設で、教会のフェルミング(献信式)を控えた少年少女たちのための一泊二日のキャンプなどで頻繁に利用されているのです。ちなみに「キャンプ」といってもテントのキャンプではなく、ちゃんと宿泊用のロッジがあります。






キャンプ場の「顔」である古いホール兼ロッジ





新しく明るいロッジもあります





小さいながらチャペルあります





体育館と野外フィールド


献信礼準備のキャンプは、秋から冬にかけて行われます。春から夏は、小中学校の生徒のためのキャンプに利用され、また夏期には親子キャンプのコースなどが開かれているそうです。

KFUKというのは、日本でいえばYMCAなのですが、ずっと教会色が強く残っており、それ故にリピーターとなつかない人に分かれるような気がします。私自身、KFUMにはハナにつくところがあり、お気に入りではなかったのですが、今回良くしてもらったことで、多少考えが変わりました。(なんというご都合主義! (^-^;)

と、いうことで、今回は写真でこの日の様子とバトナスコーグルをご紹介してみようと思います。




到着便





さっそく野外の遊具で遊び始めます





Lunch ready! ホットドックのグリル





食後は湖でモーターボート試乗 小さな子供がいたため手漕ぎのボートは今回はなし





コーヒーブレイク 誕生日の子がいたためHappy Birthday を皆で合唱





Thank you for the support! - Our pleasure.



帰りのバスから 正面は湖ではなくフィヨルドの海 上部が青いのはバスの窓の色です



今回は写真を多用しての簡単ブログでした。月末の真夜中までチョー忙しいのです。スミマセン! m(_ _)m


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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「想定外」があったユーロビジョン?

2022-05-21 20:11:49 | 日記
こんにちは/こんばんは。

レイキャビクは時折「夏」を感じさせてくれる陽気になってきました。気温は10℃を超えるかどうかですが、太陽が出てくると時折15℃に近づくこともあります。そうなると「暑い」です。

四月中に夏日を記録していた日本とは大違いですが、「暑い」「涼しい」は大抵の場合「ないものねだり」の会話になってしまいますね。(*^^*)




清涼感アップ用ピック1
Myndin er eftir Square_LAb@unsplash.com


さて前回は、14日の土曜日に決勝が行われたユーロビジョンに触れました。日本でも結果が報道されたと思いますが、結果はウクライナの優勝となりました。

Kalush Orchestra というバンドのパフォーマンスによるStefaniaという歌が優勝曲です。二位はイギリスのSam Ryderさんの歌うSPACE MAN。アイスランドの「姉妹」は結局下から三番目の二十三位。

私自身は昨今のユーロビジョンの歌曲にはほとんど興味がありませんので、今回も歌の部分はまったく見ませんでした。ただ、ポイントの発表の部分は結構面白いので、その部分(全体の放送時間の四分の一強くらい?)だけフォロー。毎年、こんな感じでです。

採点は二部構成で、まずヨーロッパ(プラス、イスラエルとオーストラリア)のテレビ局のそれぞれが任命したジャッジの採点結果を発表します。参加25カ国にすべて回していきますので、結構時間がかかります。

ポイントは12点が最高で、11点はなく、次いで10点。次の9点もなく、それから1点刻みで減っていき最小得点は1点。11点と9点がないのでないので、トータル10カ国が点を得ることができます。自国の曲には点を与えることはできません。

この各国テレビ局のジャッジによる採点。始めの五カ国くらいの審査の結果を見ると、おおよその「形」が現れてきます。今回は、スペイン、ギリシャ、イギリスあたりがリーディング国という感じでした。

第一部の各国テレビ局ジャッジの結果では、イギリスが283点でトップ。スウェーデンが僅差の258点で二位。次いでスペイン231点。ウクライナは、この第一次ジャッジの結果では192点で四位。




清涼感アップ用ピック2
Myndin er eftir Einar_H_Reynis@unsplash.com


採点の第二部は視聴者による直接の投票によって行われます。投票といっても携帯からのSMSですが。これも当然ながら、自国に投票することはできません。っていうか、例えばアイスランドの携帯からアイスランドに投票することはできません。各国の携帯局を通して投票が行われるので、この点をコントロールしているようです。

この視聴者の直接採点は、全体の採点の半分を占めます。つまり、テレビ局任命のジャッジと対等の採点権があるわけです。というか、実際はそれ以上の権威があるのでは?と思います。視聴者採点の実際数の方が大きように思われますので。

司会者もご丁寧に「テレビ局ジャッジの採点は終わりましたが、これはまだ半分。後半何が起きるかわかりませんよ」と解説、はたまた警告?

確かにテレビ局ジャッジと一般視聴者の評価は同じではありません。テレビ局ジャッジは、一応それなりの見識を持った方々が選ばれているはずです。評価もそれなりのものとなるでしょう。

対して一般視聴者の方は、自身の感覚というか、曲よりも歌い手が好きか嫌いとか、個人的な思い入れで投票できます。

始めにこの「ギャップ」が出たのがモルドバへの採点。モルドバはテレビ局ジャッジでの特典が僅か14点。それが一般採点では239点を獲得。239点というのは、テレビ局ジャッジでの三位のスペインの231点を超えています。

その他にも、テレビ局ジャッジで36点だったノルウェーが、視聴者ジャッジでは146点を得たりしました。

対して、第一部採点で一位二位だった、イギリスとスウェーデンは、それぞれ183点と180点と、いずれも第一部採点を下回る得点です。

そういう展開だったので「この分だとウクライナは300点くらい行くんじゃないか?」と思って見ていたのですが、結果はなんと439点! これで一躍トップに躍り出て、そのまま逃げ切りました。




ユーロビジョン2022 ファイナル
Myndin er ur Wiwiblogs.com


で、この結果に関してはいろいろ言われました。「これ、パフォーマンスされた歌曲に対しての評価なのか?ウクライナの今の現状に対する応援得点なのか?」

アイスランドにいるウクライナ難民の中からさえ「今回のユーロビジョンでは、アートではなく、政治が焦点になってしまった」という声が聞かれましたよ。

まあ、ウクライナの現状に関しての応援メッセージというのは、確かに相当あったのだろうと思います。ですが、私は個人的には、それよりも一般視聴者の採点システムに「想定外」の穴が空いてしまったのではないかと考えます。

アイスランドの携帯局を通してはアイスランドには投票できないシステム、ということは先に書いた通りです。ですが、ウクライナからは五百万人超の人々が難民となって国外へ逃れています。

半数は子供でしょうが、大人の人たちはおそらく逃れた先でその国の携帯番号を得ることでしょう。アイスランドではそうなっています。その人たちが、当然のことながら自国に投票したのではないか?と。

つまり、仮に二百万人のウクライナ難民が、ポーランドやルーマニア、その他の国々からウクライナに投票したのではないかと思うのです。そうなると、これは政治的メッセージというよりは、普通の意味での愛国心、あるいは自国文化への思慕と考えて良いのではないでしょうか?




優勝したウクライナのKalush orchestra
Myndin er ur Eurovision.tv


私は、今回も参加曲はまったくといっていいほど聴いていません。だから、イギリスの曲がどんなだったか、スウェーデンの曲がどうだったか、まったく知りません。

ウクライナの曲も知らなかったのですが、勝利者の最後のアンコール披露でちょびっと聴きました。半分くらい聴いてネットを閉じましたが。私には何の魅力もない歌でした。スミマセン... m(_ _)m

これらの曲をご自分でジャッジしたい方はこちら:

優勝Kalsh Orchestra (Ukraine) :“Stefania”

準優勝Sam Ryder (UK): “SPACE MAN”


今回のユーロビジョンに、現在のヨーロッパの政治事情が覆い被さったことは確かです。全然無関係だったら、その方が問題がありますよ。

ただ、その結果、本来の音楽の祭典としての性格、目的が歪められてしまったのか、否かは、そう簡単には結論付けられないかもしれませんね。

音楽、とりわけポップスのような庶民の日常に密接している音楽というのは、人々の社会環境や政治状況から中立ということはあり得ないことなのでしょう。

めずらしく、ユーロビジョンに考えさせられてしまったワタシでした。


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Eurovision万歳!!

2022-05-15 01:04:11 | 日記
こんにちは/こんばんは。

なんやかんやと慌ただしい日々を送っております。時々目にするコマーシャルでいのっちが「疲れは内部から対処しないとダメ」とか言っています。アリナミンかなんかのCMですよね。

「オラ、関係ないな」と思っていましたが、最近、疲れが取れてないのかも?と思えるようになってきました。




5月14日はイタリアはトリノでEurovision決勝
Mynin er ur Eurovision.tv


面白いもので、疲れていてぐっすり眠れる時と、疲れてるのに眠れない時が混在するようです。もう、四十年も前になりますが、新橋でサラリーマンをしていた頃、「自前の説」を披露するのが好きな先輩がいました。

その先輩によると、「疲れている時に十分休むには、精神の疲れと、身体の疲れを一致させる必要がある。頭脳労働で疲れた時には、ジムへ行くかジョギング。肉体的に疲れている時は、難しい本を読んで頭を疲れさせる。

これで、ばっちり眠ることができる」とか、言っていました。まあ、あながちデタラメではないのかも、という気もします。

昨晩(金曜日の夜)は、よく眠れずに何度も目が覚めてしまいました。それで気がついたことがあります。もう、結構「暗くならない夜」に近づいている。そりゃあそうか。もう五月半ば。あと一月余りで夏至ですものね。

慌ただしい日々が続くと、そんなことも気が付かずに過ごしてしまっていたりします。

ネットで調べてみたところ、昨日ではなくて今日(5月14日土曜日)ですが、日の出は4時16分、日の入りは22時34分ということです。気象局の日毎のデータには「真夜中」という項目があり、今日、土曜日に続く夜の「真夜中」は1時24分だそうな。

で、どんなものなのか、昨晩思いついて「写メ」(これは「死語」ですか???) を撮りましたので見てみてください。

始めは就寝直前の11時半くらい。我が西街の古アパートの西側と東側です。一枚目が西側。









次は午前2時12分。ちょっと寝ぼけてて、時計がきちんと写っていなかったのですが、写真編集用のアプリで明るさをマックスにして、かろうじて読み取れれました。







最後は3時35分。もうかなり夜明け間近な感じですよね。







「真夜中」は1時半くらいのはずだったので、おそらく二番目の写真よりはもう少し暗くなっていたと思います。ですが、レイキャビクの五月、六月はだいたいこんな感じで、もう少しすると「暗い」時間は存在しなくなります。

単細胞のワタシは、この「一日中明るい」というだけのことで嬉しくなってしまい、夏はだいたい機嫌良く過ごしています。

さて、慌ただしいのは私だけではなくて、周辺社会も慌ただしそうです。というのは、今、これを書いている5月の14日土曜日、アイスランドの全国の地方選挙の投票日なのです。かつ、夜にはユーロビジョン・ソングコンテストの決勝があるのです。

このふたつだけで、相当数のアイスランド人がソワソワしています。

まず地方選挙ですが、レイキャビクでは現市長のダーグル・エッゲルトスソンさんが、2014年以来というかなりの長期政権を維持しています。市議会はダーグル市長の母体である社民連合、ピラター(海賊)党、再生党、そして緑の党の四つが与党を構成しています。余談ですが、ダーグルさん、もともとはお医者さん。

国会では第一党である独立党は、市議会では野党。前回の選挙以降の特徴の一つは、独立党と並んで、アイスランド政界の常連である進歩党(という名前の保守党)が、一議席も有していないことです。

今回の選挙前アンケートの解析によると、どうやら四議席くらいを奪回するのでは?と言われています。




ダーグル現レイキャビク市長
Myndin er ur Dv.is


私は個人的には今回の選挙は独立党が勝つ番だろう、と考えていました。ダーグル市政に飽きてきた人が多いと見たからです。

ところが、最近国政の方で、2008年の経済恐慌以来、半官半民になっていたアイスランドバンクの、政府保有株の放出に関連したスキャンダルがあり、国民の多数が怒り新党、じゃない怒り心頭に達したため、独立党支持にかげりが生じました。

まあ、結果が出ていないので、これ以上は言えません。結果が出たらまたご報告します。

次にユーロビジョンですが、これはアイスランド人にとっては国民的イベントになっています。ユーロビジョンの始まる頃から、通りから人影が消えてしまいます。

家庭で見る人も多いですが、どこかの家に集まってのユーロビジョンパーティーも非常に多く持たれています。

信じらんねーよ、まったく。あんなつまらないコンテストで。(^-^;

ちなみにアイスランドも決勝に進んでいます。まあ、この曲はわりといい曲だと思うのですが、ユーロビジョンでは通用しないだろうと思っていました。パンチ不足というか、サビがない歌というか。

正直、予選を通過したのには驚きました。歌っているのは三人姉妹なのですが、なぜかグループ名がなくただSysturシストゥル「姉妹」とだけ呼ばれています。

姉妹で驚かされるのはもうひとつ、そのメイクの濃さです。どれだけ塗ったくってんだい?というのが私の第一印象でした。そういうこと言うと、嫌われるでしょうが、写真を見ていただければ、少なくともウソではないとご理解いただけるかと。

それから、これも余談ですが、ロシアは参加禁止になっています。当然。ウクライナは決勝に残っています。




「姉妹」
Myndin er ur Eurovoix.com


「姉妹」のユーロビジョン参加曲はこちらのYoutubeから


私の家に居候している三十一歳の息子もユーロビジョンパーティーに出かける予定。今夜は私にとっては静かな憩いの夜になりそうです。その点では、ユーロビジョンバンザイ!


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「凡庸」なワタシのユニファイド・メモリは?

2022-05-07 05:01:05 | 日記
こんにちは/こんばんは。

GWも終わろうか、という時期ですが、皆様は楽しいホリデーを過ごされたでしょうか?今年は、三連休が二回と、最後に連休がひとつだったとか。間の平日二日に上手く休みを取れた際には、合計十日間の連休?

十日連続だとかなり長いですね。それに、コロナの規制も今年は緩和されてたようですし、良い休みをエンジョイされたことを願います。




くつろぎ感アップ用ピック1 今回はレイキャビク市街ピック
Myndin er eftir Nicolas_J_Leclercq@unsplash.com


その間、こちらにはもちろんGWはありませんので、私はごくごく普通の日常を過ごしておりました。正確には、ウクライナ難民故の「特殊割り当て」の仕事が入っていますので、「ごく普通」ではない日々が続いているのですが、二ヶ月もそういうのが続くと、そちらの方が「普通」になってきてしまいます。

つまり新しい環境に  –それが良いものであっても、悪いものであっても–  慣れてくる、ということなのでしょう。これは「恵み」にも「悪弊」にもなり得る諸刃の剣のように見受けられます。

先日、ウクライナ難民の女性の方ふたりと話しをしていたら、おひと方は東部のドネツクの出身、もうひとりの方はマリウポリの出身と知らされました。一番、戦闘が激しいところです。

ふたりとも家族がまだドネツクにいるということなのですが、家族の安否を心配すると共に「家族はそういう状況にいることに慣れてきてしまっている」とか懸念を示していました。

ニュースで破壊し尽くされたような市街地の映像を見ているこちらとしては、「慣れる、なんてあり得る?」という気にさせられます。

おそらく「慣れる」ということは、良いこと悪いことの次元を超えて、「生き残る」ための本能というか「術(すべ)」なのだろうと考えます。




くつろぎ感アップ用ピック2 コンサート・ホール「ハルパ」内
Myndin er eftir FUTC@unsplash.com


さて、このブログを読んでくださっている方はお気づきだろうと思いますが、私は非常に凡庸な男です。「凡庸」といっても意味は広いでしょうが、私の場合は特に「理解が遅い」「切り替えが遅い」「散漫な集中の仕方が長きに渡る」というようなところに集約されると思います。

最後の「散漫な集中の仕方が長きに渡る」というのは、要するに120%の集中力で一時間で終わらせられるものを、70%の集中力しか持たないので、六〜七時間かけてしまう、というようなことです。

その反面で「切り替えが遅い」これは複数のことに同時に対応する能力がない、ということです。例えば、ある日に結婚式を担当するとしますと、その日は「それだけ」になります。他のことが頭に入ってこないのです。

最近、マックとかでよく「ユニファイド・メモリ」とか聞くじゃないですか。作業処理上のメモリーの大きさと効率のことだと思うのですが、ワタシの頭はそのメモリーというか対応力に乏しいのです。よって、複数の作業を同時に遂行することは不可。

それでも、一日で結婚式二回、ということは過去何度かありました。これは基本的に同じ線上のことなのでまだ可能。ですが、結婚式とお葬式、というような組み合わせはまったく無理です。

もっとも周りを見回しても、結婚式とお葬式を一日で担当している牧師さんはいないですね。別にそこまで背負わなくても、他に担当できる牧師さんがスタンバイしていますから。

というわけで、日常生活すべからず、私は「一度にひとつ」みたいな限界を抱えて生きております。マイナスばかりではないですね。例えば、時折耳にする「二股」「三股」とかの危険は、ワタシの場合はゼロです。(^-^;  したくても能力的にムリ。




くつろぎ感アップ用ピック3
Myndin er eftir Ludovic_Charlet@unsplash.com


なぜこんなことを書くかというと、ここ数週間のブログを眺め返して気がついたことがあるからです。ウクライナ難民のことばかり。気がついても、驚くというよりは「ああ、そうだろうな」というのが正直なところ。

三月の初めに、教会の中での「ウクライナ難民対応チーム」のようなアサインメントを受けて以来、このことにかかりきりのようになっていて、あまりそれ以外のことが見えていません。

来週にはアイスランドも参加しているユーロビジョンコンテストがあります。火曜と木曜日の二回に分けて準決勝。そして土曜日が決勝コンテスト。その同じ日には、アイスランドの地方総選挙です。

ラジオとかでは、結構ユーロビジョンの話題で盛り上がっているようですが、ワタシは全然蚊帳(カヤ)の外です。(「蚊帳の外」なんて、今時通じるのかな?)

加えて、テレビとかでは地方選挙も熱いトピックですし、私も辞めそうで辞めなかった緑の党の一員なので、選挙関係のメイルや集会案内、活動参加の要請等が毎日のように入ってきます。

緑の党に関する顛末はこちら: 「やめるの『ヤーメタ!』の巻き」

アイスランドでは、原則五年間以上継続して居住している場合には、外国人でも地方選挙に参加することができます。実は私は、今回もレイキャビク市の比例代表名簿に入っています。二十四番目。

こういう席は、実際に市政に参加する可能性はゼロのため、「名誉席」とか呼ばれています。もっと平たく言うと「飾り席」「雛壇」であって「こういう社会的地位の人もいるんだよ」「外国人もいるんだよ」ということをアピールするために用いられます。

外国人と選挙についてはこちらも:この国で選びたい! 選挙権と国籍




レイキャビク市政選挙 24番目のワタシ
Myndin er ur vg.is


ですから、選挙で一生懸命に走り回っている人たちも多くいます。それでもワタシにはどこ吹く風ですね。ユーロビジョンも選挙も頭に入ってこないのです。

私自身にとっての実害はないのですが、唯一困るのは、私自身が普段から関わっている「ウクライナ人以外の難民の人たち」と共にいる時間もやはり削られてしまっていることです。精神的にも「共にいる」部分が減少してしまっていることは、事実ですね。

これは良いことではありません。実は難民の人たちの中からも「なんでウクライナ難民ばかり優先するのか?」「難民差別じゃないのか?」みたいな声も漏れ聞こえてきます。

つい一年足らず前、タリバンの復権を前にしてアフガニスタンからの難民が急増した際には、アイスランドでもそのニュースがひっきりなしだったのですが、今はアフガンの「ア」の字も聞こえてきません。

確かに当事者にしてみれば、「そういうもんじゃないだろう?」と言いたくなるのは当然でしょう。

これらはかなりセンシティブな事柄ですし、きちんと丁寧に対応する必要があります。この点は、また機会を見てきちんと書いてみたいと思います。

サポートをしている側にしてみれば、別に誰彼を好みで優先しているわけではないし、後回しにしているわけでもない。差別しようとしているわけでもありません。それは確かだと思います。

ですが、そういう状況の中で生じてくる「差別」とみなされることこそ、実は本物の「差別」なのではないかという思いがあります。これも、かなり繊細な事柄でしょうし、言葉足らずで誤解を生みたくはありませんので、またの機会に改めて書いてみたいと思います。

とにかく「凡庸」であるワタシは、まだもうしばらくは「ウクライナ」に頭を持って行かれたままになりそうです。それでも「オレたちのことはもうお忘れ?」と他の難民の人たちから後ろ指をさされないよう、心には「ゆとり」を保てるよう祈って参ります。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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