レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「思い」に追いつかない日本語、アイスランド語

2017-01-29 05:00:00 | 日記
これまでも何度か触れてきたことですが、日本人として日本の社会と「つながっている」ことと、現実に長きに渡ってアイスランドに居住し、家庭を持って働いている、つまりは「ここで暮らしている」ということの間のバランスを保つのは、そんなに簡単なことではありません。

ネットが高度に普及している現在、身体はアイスランドにあっても、心は日本にいるような生活をすることは可能です。極端なことを言えば、こちらで何が起きているかまったく関心を持たず、こちらの友人も作らず、言葉も学ぼうとしなくても、そのままやっていけてしまう環境はあります。

これは、その人本人の人生観ややりたいことにも依りますので、「これはいい、それはダメ」のように決めつけることはできないでしょう。

また、例えば大使館の職員の方々や交換留学生の皆さんのように、定期的な移動や帰国を前提として居住している方もありますので、そのような場合にはまた話しが変わってきます。

私が念頭に置いているのは、私自身のような庶民でいて、老後はともかくとして「当面はこちらで暮らす」ことになっている場合です。私は老後もこちらで過ごすつもりですが。

私の場合は不器用で、日本とアイスランドのふたつの国を行ったり来たりしながらバランスを取ることはなかなかできません。

優れたアーティストなどになると「ニューヨークを基盤にしながら、日本でも活動を続ける」とか、よくある話しのようですね。大したものですが、きっとそれはそれでご苦労があるのでしょう。

さて、私個人に限って言いますと、仕事柄アイスランドの社会で何が起こっているのかについていくことは必要条件です。そのうえで何か言ったり行なったりしなくてはなりません。仕事の面でいえば100%アイスランドが舞台です。

私の生活での「日本」というのは、どちらかというと、日本の親戚関係と友人との付き合い、食べ物、エンターテイメント、というようなプライベート面に関わる性格が強いのです。

ですから、リラックス時間には、つまらないアイスランドの番組よりは日本のテレビが見たい、横文字の本よりは梓林太郎がいい、というようなことになっているわけです。

で、ここで気をつけないといけないのが、自分でも気付かぬうちにアイスランドの国会で何が議論の的になっているのか知らないのに、「Aska、2月22日に新アルバム発売」「江角マキコ、突如引退の影に不倫か?」なんていうニュースは詳しく知ってたりしてしまう、ということなのです。

「バランスを取るのが難しい」と言ったのはそのようなことなのですが、どうしてもアイスランド語で何かしよう、と頑張っている最中に日本語がずるずると入ってきてしまうのを防ぎきれないのです。




好きか嫌いかいう時間
Myndin er ur Youtube.com


話しが大きく脱線しました。

言いたかったことは「アイスランドで日本からの庶民が仕事をするには、アイスランド語の勉強をおろそかにはできない」ということだったのです。

これでやっと本題。(^-^;

先日放送された坂上忍さんの「好きか嫌いか言う時間」を見ました。私は長らく有吉ファンなのですが、最近坂上忍さんが上回ってお気に入りになってきました。

この番組、ご存知と思いますがスタジオに何十人かの日本在住外国人の方々が集まって、日本の文化や社会の様々なトピックを議論する仕組みです。日本について、異なった文化的背景を持つ多くの目から見た像を参考にして、考え直してみよう、という趣旨だと思います。

(多少勘違いしていました。別に毎回外国人の人が集まるわけではないようです。私が見た回がたまたま外国人を招く回だったようで。失礼いたしました)

前にも一度か二度見たことがある気がしますが、まず驚いたのは日本語の流暢な外国人が大勢いることです。そのことは他の街頭インタビューなどでも気が付いていましたが、こう大勢が一堂に会すると改めて感心させられます。

私が子供だった頃はイーデス·ハンソンさんがほとんど唯一の「日本語喋るキャラ」だった記憶があります。その頃ももっといたのでしょうが、テレビが今のようには開かれていなかったのかもしれませんね。

で、私が今回見た「好きか嫌いか言う時間」ですが、トランプ大統領の日中露への「つぶやき」がトピックのひとつだったので、かなりアツい議論となりました。

議論の内容は、まあそれなりだったと思うのですが、それより印象に残ったのは参加者が自分の日本語の能力の中で、なんとか自らの主張を伝えようとしている姿でした。十分流暢に意見を表すことができる人もいましたが、中には感情が先に立ってしまって言葉が追いつかない人もいます。

私自身、そういう状況はこちらで日常的に体験していますのでよくわかります。「言葉が自分の言いたいことに追いつかない」と自覚するとものすごくイライラしてきちゃうんですよね。でもそこを乗り越えていかないと、参加できないんですよね、議論に。




Shinobu Sakagami 最近気に入っています
Myndin er ur Ameblo.jp


私は移民の人々がそこの社会に参加することは、非常に大切なことだと考えます。ホスト社会にとっては耳の痛い話しや、やっかいな問題になることもあるでしょうが、きちんとした議論がなされているなら、益になるプラスの方が多くなるはずです。

ただ、移民の人たちとの議論で気をつけなくていけないことは、私たちはどうしても流暢な日本語を話す人の意見は普通に聞けても、おぼつかない日本語を話す人の場合は、その日本語の不十分さの方に気がいってしまい、何を言いたがっているのか掴み損ねてしまう、ということが起こり得ることです。

日本語の上手下手は、その人の意見や考えが良いものであるかどうかとは無関係です。日本語が流暢だからその意見も良い意見だ、なんて思ってしまったらとんでもない勘違いです。

逆に本来聞くべき意見なのに、日本語の不十分さの故にその意見が伝わらなかったら、これも残念なことです。これは意見を言う側の問題であるだけではなく、聞く側の姿勢の問題でもあると思います。

神学校時代に恩師の先生から言われたことがあります。「今はもはや英語ができるというだけでは十分ではない時代ですからね。何を言うかが問題ですよ」

その通りだと思います。意見を対等に交換する、というのが民主主義システムの基盤ですが、移民という立場にしてみれば「意見の対等な交換」は向こうから勝手に歩いてきてはくれません。その国の言葉を学ぶ、という高いハードルがあります。

不十分でもアイスランド語、日本語で話しをしようとしているのなら、その人はすでにこの高いハードルに取り組んでいるはずです。自分のちいちゃな殻に閉じ籠らず、アイスランドなり日本なりの社会に参加しようと努力しているはずです。

ですから、それを聞く側は、その人と言いたいことを理解してあげようと努めてあげるべきではないでしょうか?それも民主主義の一部ではないかと思うのですが。


応援します、若い力。Meet Iceland

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雪、汗、焦りの一週間

2017-01-22 05:00:00 | 日記
この一週間の間、アイスランド全土がひとつのニュースに没頭してきた感があります。残念ながら、昨夏の男子サッカーの欧州カップでの活躍のような楽しい話題ではありません。二十歳の女の子が失踪しているのです。

今さら実名を隠すことに意味はありませんが、わざわざ日本にまで実名を広めることも気が引けますので、ここではバウラさんとしておきます。

バウラさんは金曜の深夜に友だちらとレイキャビクのダウンタウンのパブで時を過ごしたようです。明け方に近い午前5時前後に店をひとりで出ました。そしてそれ以降消息が途絶えました。

「普段から素行に問題があるような子ではなかった。だからこそ心配しているんです」母親のシグルンさんは土曜日中に警察へ捜査依頼をだしたようですが、やはりそう簡単には捜査陣は動かなかったようです。

それでも日曜日の真夜中(土曜の深夜)には警察から「行方不明の女性を探している。 情報を求めます」という案内が各メディアへ出されました。もちろん氏名、顔写真付きの情報依頼です。

そして日曜日から、警察犬やレスキュー隊を動員しての本格的な捜索が始まりました。この時点では警察はバウラさんの捜索発見を「一番の優先事項にする」と言っていたようです。

捜査が始まると間もなくしていろいろな事実の断片がメディアにも紹介され始めました。まず、土曜日の未明5時25分前後ですが、パブを出たバウラさんがひとりで、ダウンタウンのオールドメインストリートを歩いている姿が、通りのいくつかの監視カメラに映っていました。

足元は定かでないし、そうとう酔っ払っているのが見て取れますが、これはこの世代の若者の間では珍しくはありませんし、この時間に女性がひとりで、というのもこちらではそう常識はずれでもないことです。

そして、その後すぐに赤いKIAの乗用車が映り込んでいます。その他の状況から考えて、「おそらく」バウラさんはこの直後に、この赤い車に乗り込んだものと推測されました。自分の意志でかどうかはもちろん不明。

その後、バウラさんの携帯がどこのキー局に綱がって行ったか、という手がかりから、バウラさんはレイキャビクから車で20分ほどの距離にある古い港町のハフナフョルズルへ移ったことがわかりました。正確には彼女の携帯が、ですが。

そして5時50分、携帯がオフにされました。同時に朝6時くらいに、その港町で赤いKIAの乗用車が通りの監視カメラで確認されました。




雪の中での港付近の捜索
Myndi er ur Visir.is


もちろん警察はこの車の持ち主、あるいは使用者に連絡を呼びかけていましたが答えなし。そして、「おそらくこの車」というのが火曜日に、ハフナフョルズルとレイキャビクの中間の町コーパヴォーグルで発見され、押収されました。

この車は長期レンタカーで、ある会社が借り受けていましたが、その直接に使用者は「シロ」であることがすぐに判明。問題の週末には「外国籍の者」が借り受けて使用していたことがわかりました。

そして、今度はバウラさんのものと思われる左右の靴が港際で発見されます。
そして、この「外国籍の者」がグリーンランド国籍の大型漁船のクルーであることも明らかにされました。しかも、この船、すでに帰国に向けて出航した後。

同時並行して継続されていた港際と丘の原野の大捜索も実りは無し。日曜の夕からは雪が降り出して、ぐっと冷え込んできていたので、捜索の人たちも大変な作業であったろうと想像します。

そして、火曜の真夜中近くにビックリニュースが入ります。出航していたグリーンランド国籍の漁船が、自主的にハフナフョルズルにUターンして戻って来るというのです。それでも到着は水曜の真夜中になります。

そして水曜の午後、まだ沖にいる漁船に向けてSWAT要員を乗せた国境警備隊のヘリが飛び立ちました。そして夕方頃には、ふたりの船員を船上で逮捕したとの報。




再入港した漁船を待ち受けるパトカー
Mydin er ur Visir.is


水曜の夜半から、接岸した漁船内の探索と、逮捕された船員たちの事情聴取が始まりました。

木曜になり、船内から相当キロ数の大麻が見つかったとのこと。ただし、警察は「バウラさんの失踪とは無関係と思われる」とコメント。今、これを書いている木曜夜現在、バウラさんの行方は不明のままです。

アイスランドは小国ですし、基本的には田舎国家です。ですからこのような事件が起きると途端に一致団結して事件の無事な解決を願うようなところがあります。今回も、まるで国民が皆捜査官になったような雰囲気ですし、火曜日の夜に持たれた、バウラさんの無事を願う祈りの会には、大きな教会を埋め尽くすほどの人が参加しました。

逆に、事件に関わりのないグリーンランド人の人たちが店から追い出されたり、通りで白い目で見られる等の、残念な差別も起こってしまっているようです。

私が思うのはやはりアイスランド人のこれまでの常識と、現在あるアイスランドの事実との間に「差」ができてしまっているということです。

今はこの国も国際社会の一部になってきているのです。多くの「現代的な常識」を持つ外国人たちが入り込んできています。以前は女の子が酔っ払って、夜中の通りをひとりで歩いても大丈夫だったのでしょうが、今はやはり危険なのです。

ただ、念のために付け加えておきますが、私はもしバウラさんが事件に巻き込まれたのだとしても、「被害者にも責任がある」などとは考えません。悪いのは加害者の方です。ですが、被害者にならないようにする警戒も必要だ、ということです。

最近、麻薬に関しても同じようなことを書きましたが、日本からいらっしゃる皆さん、アイスランドにも危険はたくさんあります。ある意味、「日本の常識」をお持ちになることも忘れないでください。

***

土曜となり、失踪から丸一週間が経過しました。バウラさんは未だ見つかっていません。容姿者ふたりは関わりを否認しています。




総動員されているレスキュー隊のメンバー
Myndin er ur Visir.is


金曜日、土曜日は朝からレイキャビクとハフナフョルズルを中心として、「車が往き帰りしてこれた距離」と「乗用車が乗り入れられる路面状況」を考慮して、相当な範囲での捜索が行われました。すべての地区のレスキューチームが出動しています。

警察の捜査指揮官のグリームル氏は、文字通り不眠不休で捜査の指揮を取っています。国民からの賞賛の声も上がってきています。私もこういう状況での「ひとりを大切する」というアイスランド人の気質というか根性は見上げるものがあると思います。

まだ終わってはいませんが、この一週間は捜査陣には文字通り、雪と汗と焦りの日々だったと思います。ご両親や家族にとっては、文字通りの地獄の思いでしょう。可能性は少なってきましたが、それでもなんとかバウラさんが無事に保護されることを願い、祈ります。

***

こちらの時間で日曜日の午後5時(日本時間では月曜日の午前2時)、警察が記者会見を開き、日曜の午後1時にバウラさんの遺体を、南海岸沿いのソルラウクスホブンという町から西15キロの海岸で発見したことを伝えました。

とても残念に思います。

ご遺族、お友だちだった方々に神の癒しと支えのあることを祈ります。


応援します、若い力。Meet Iceland

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

燈台の緑の灯りが綺麗な静かな夜

2017-01-15 05:00:00 | 日記
さて、10月末の選挙からずーーーーーーっと政権作りを続けてきたアイスランドの国会議員さんたちですが、年を越してようやく先の水曜日に新政権、そして新内閣が誕生しました。

独立党、ヴィスレイスン(「再生」「再建」の意味)、そして明るい未来党の三党の連立政権で、全議席63のうち32議席という、一議席差による多数派政権です。首相は前政権で財務大臣を務めていた独立党のビャルトニ·ベネディクトゥスソン氏。

大臣たちの顔ぶれを党別にみると、独立党が五人、ヴィスレイスンが三人、明るい未来党がふたりとなります。これまで大臣経験があるのは、独立党の中のふたりと、ヴィスレイスンの中のひとりだけです。

ということですが、それ以上に面白い話しもとりわけないので、これはこれでおしまい。ただ、新政権が誕生した、というニュースでした。

さて、クリスマスやお正月という「楽しく平和に過ごしたい」と多かたが願う時期でも、事故や悲しい出来事が起きてしまうのは認めざるを得ない現実です。大晦日明けのトルコの銃乱射テロなど、わざわざそのタイミングを狙ってなされる事件もあったりしてしまいます。

私が居候しているヒャットラ教会の主任牧師の人が、クリスマス中ミサ以外で忙しかったらしいので尋ねてみると(私はガッツリ休みました)、若い女性がひとり自殺、別の若者が急に病気で亡くなったとのこと。

牧師さんにとっても大変ですが、亡くなられた方々の家族にとってはさぞ重い出来事だったと想像します。




エメラルド·グリーンの燈台の灯り


で、自殺についてなのですが、昨年アイスランドでは44人の方々が自殺で自らの生を絶ってしまいました。これは12月21日の時点だったので、上記の方を含めると、少なくとも45人になってしまいますね。男性33人、女性12人だということです。

専門のサイトによると、毎年30人から50人の人が自殺をしてしまうとのこと。「自殺未遂」はなんと年間500〜600件あるのだそうです。

実を言うと、自殺および自殺未遂に関しては私も時折関係することがあります。私がするわけではないのですが、難民申請者の人が極端なウツ状態や捨て鉢な態度からから自殺を試みることはあります。未遂で倒れていた青年の第一発見者になったこともありました。幸い生命は取り止めましたし、今は申請が認められて普通の生活を始めています。

これまでアイスランドの社会は自殺に関して公に語ることを嫌がってきました。なんでもオープンに話す気風がありますし、性生活やセックスオリエンテーションなどこちらが決まり悪くなるくらい語られることがある社会なのですが、やはり顔を背けるトピックもあるのです。

それらの中で、精神病やウツ病に関しては、ここ数年で飛躍的にオープン度が増してきています。いまだにクローズドだったのが自殺と麻薬問題でした。
自殺や麻薬の過剰摂取で人が亡くなった場合、それらの死因が語られることはまずありませんでした。

自殺に関していえば、別に認識が甘かったわけではなく、赤十字などは「生命の電話」活動をずっとしてきましたし、他にも自殺防止のための団体も常にいくつかあったようです。

ただ社会全体に対して、家族を自殺でなくした方などがあけすけにその顛末を語るようなことは非常に稀なことだったと思います。




冬至の真夜中 前方のライトはヨーコ·オノさんのピース·タワー


ですが、ここにきて新たに「Pieta Island」(ピエタ·イスランドと読みます。アイランドではありません)という団体が設立されました。家族を自殺で亡くなった方々等が中心になっています。

この団体はアイルランドの Pieta Houseという自殺と戦う団体をモデルにしているとのことで、生命の電話や面談で自殺を考えてしまう人たちをサポートすることを目的としています。その点では従来の団体と同じです。

ですが、Pieta Islandが特に強く主張していることが「自殺についての議論をタブー視することをやめよう。もっと普通に話し合おう」ということです。実際に自殺で家族をなくした方や、自殺未遂の経験がある人がそのことを公に話すことは決して容易なことではないようです。

「家族を守れなかった」という思いからくる罪責感や、自殺未遂を「敗者の刻印」のように考えてしまう人もあるようです。ですが、一般の人たちがこの問題を認識し、考えるためにはそのような人たちから直接話しを聞くことが、とても重要なことだと思われます。

(と、言っているそばから、今横目で見ている国営テレビのニュースで、ウツ病から自殺願望が出てきてしまった若いお母さんが自分の体験を語っています)




雪を冠った大きな黒い岩とキャンドル、磯の香りと波の音 綺麗な夜でした


私がこの団体に関心があるのは、先ほど書きましたように仕事の上で自殺についてもう少しよく理解する必要を感じていたのと、団体のボードに知り合いの牧師さんや、難民の人たちとの祈りの会を手伝ってくれている人が入っているからです。

既に去年になってってしまいましたが、12月21日冬至の日の真夜中に、市中のある灯台のもとへ三百人ほどがトーチを掲げて出向き、キャンドルを灯し、亡くなった方々の名前を灯台の壁面に書き込むという催し/集まりがありました。(もちろん許可済み)

トーチやキャンドル、燈台の明かりは生命と希望を表すのだそうです。特に燈台の灯りはポジティブなGoを表す緑(写真ではエメラルド·グリーンに見えますが)にセットされていました。そして冬至のこの日から、一日一日とまた明るくなっていくわけです。

近しい人を亡くされたのでしょう、涙を流している人もかなりいました。それでも静かな綺麗な夜で、私はその集まりの「誠実さ」に心打たれるものがありました。

Pieta Islandの働きが実り豊かなものになり、自殺を考えている人々が別の生き方の希望を見出す助けとなることを願い祈ります。


応援します、若い力。Meet Iceland

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

麻薬都市? レイキャビク!?

2017-01-08 05:00:00 | 日記
師走から年末年始とまた「日本のテレビネット依存」度が高くなってしまいました。特にいまや「ヒルナンデス」や「ミヤネ屋」のような「平日の午後バラエティ」までネットで見れることがわかりました、というかわかってしまいました。

「別に見なくてもいいんじゃ〜?」という気が自分でもするのですが、前にも書いたようにこれらの番組はなんか「解毒剤」的な効果があって、ストレスをなくすにはいい効果があるようです。

さてそのミヤネ屋では、12月上旬はASKAさんの違法麻薬使用容疑での逮捕に関する扱いが非常に多かったです。その中で誰のコメントだったかは覚えていないのですが、「アンフェタミンという覚せい剤は、ヨーロッパでは一般的だが、日本では非常に珍しい」というのがありました。

麻薬·覚せい剤のことはよく知らないのです、ネットで調べてみました。覚せい剤というのはふたつの主製品があるようで、メタンフェタミンとアンフェタミンがそれらのようです。ちなみにメタンフェタミンは日本人の長井長義さんという方によって百年ほど前に生み出されたそうです。

そして日本で主に流通しているのはこのメタンフェタミン系のクスリで、ヨーロッパで主に流通しているのがアンフェタミン系列だということです。

実際、このアンフェタミンという名前はこちらのニュースでは耳にすることが多いのですが、覚せい剤にヨーロッパ系とか日本系があるとは知りませんでした。ミヤネ屋も勉強になります。




本文とは無関係 名物、大晦日カウントダウンの花火


さて、本題です。先週の水曜日にちょっとオドロキのニュースがありました。レイキャビクがヨーロッパで四番目にアンフェタミンを消化している都市だ!というのです。マジか?

これはアイスランド大学の薬学及び毒性物学科のアルンディサー·スー=チン·レブという人が、第18回の「生命及び健康科学カンファレンス」で発表する自らのリサーチの告知番からきたもののようです。

アルンディサーさんのレポートによると、ヨーロッパで一番アンフェタミンの使用量が多いのはベルギーのアントワープ。第二位と三位がドイツのドゥルメンとドルトムント。そして四位が我がレイキャビク。って、自慢することじゃない。

ちなみに五位はラティ(フィンランド)、六位はオスロ、七位ヘルシンキ、八位ユートレヒトと続きます。

どうやって調べるんだろ?って思いますよね。このアルンディサーさんは、警察関係ではなく自然科学系の学者さんですので、調べる方法は薬の売人からの聞き込みとかではありません。なんと汚水のサンプルの継続的採取とその分析によるリサーチだったようです。

新聞に一通りのリサーチの仕方が書いてあったのですが、正直言って私の理解の度を越えています。ですが非常に大雑把に言うと、し尿処理施設に自動的にサンプルを収集する機会を取り付け、そのサンプルを分析することによって、どれだけのアンフェタミン、あるいは他の薬物が含まれているかを分析するようです。

尿検査の地域集合版というわけですね。ひとりだけだと「お茶をすり替えて入れた」でポシャってしまいますが、集合版となると確率は揺るがなくなるのでしょう。しかも二年間続けたリサーチだそうな。

大雑把な検査のように思えてしまいそうですが、アルンディサーさんによると「この方法では従来のリサーチ法に比べて、ずっと早くかつ正確な分析ができる」のだそうです。

面白いのは、このリサーチ結果では、アンフェタミンの使用は週の平日を通して安定している?というか恒常的に消費されているとのこと。それに対して、コカインの使用は週末になると多くなるのだそうです。

アルンディサーさんのリサーチは自然科学の側からのものでしたが、警察側からの資料はこのリサーチの結果を裏付けているかのように思われます。

2014年に警察が押収したアンフェタミンは3,5キロ。それが翌2015年には22,6キロと、六倍以上になっています。

というわけで、皆さん。「レイキャビクはクリーンで安全、平和な都市だから安心してリラックスしよう!」などと思い込みすぎないでくださいね。麻薬都市ですよ、ここは。

まあ、それがすべてではないのは確かですが、麻薬都市という顔もあることは今回のリサーチでも「実証」されています。現代先進国の都市である以上、必ずどこかに危険とトラップが隠されています。

アイスランドへお越しの際は、天候、運転、麻薬等、気をつけるべくところは気をつけながら、羽を伸ばせるところでは十分伸ばして、温泉につかってリラックスしてください。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Gledilegt nytt ar 2017 謹賀新年!!

2017-01-01 03:00:00 | 日記
新年明けましておめでとうございます。アイスランド語ではGledilegt nytt ar グレージィレクト·ニヒト·アウルです。

旧年中、ブログを訪ねてくださった皆さんには心より感謝申し上げます。また今年もよろしくお願いいたします。

もう何度か触れたことがあるのですが、大晦日と元旦にかけては必ずアイスランドと日本の間の9時間の「時差」をひしひしと感じさせられます。

日本で年が明ける頃、アイスランドはまだ午後の3時。こちらまで「新年」がやってくる頃には日本ではすでに日が昇っています。

その一方で、例えばFacebookなどでアイスランドにいる人とも、日本にいる人とも同時にコミュにケーションが持たれていますので、どのタイミングで「明けましておめでとう」と言うのがベストなのか、いつも迷ってしまうのです。日本の友人にアケオメを伝える時には「こっちはまだだけど」なんて注釈をつける始末。

ただこのブログでは原則として日本時間に合わせることにしています。日本向けに書いているブログですから。時間は自分では調整できないですからね。どこかに合わせないと。

さて、新年には「新年の誓い」とか「新年の抱負」とかが付き物ですね。皆さんはいかがでしょうか?私個人としては年々この「新年の誓い」を見つけるのが難しくなってきているのですが、アイスランドの国にとっての新年の「誓い」ではないでしょうが、「課題」は見え見えです。

こちらでは、10月末の選挙以来、依然として新政権が発足しないままに年を越しています。バラバラに分かれてしまった選挙結果から「難しい政権樹立·組閣になるだろう」とは思いましたが、まさか年を越すとまで予想した人はいなかったのではないかと思います。

毎年12月には翌年の予算を法制化しなければならないという、大切な法案審議があるのですが、これも審議はもちろん10月末選挙で選ばれた議員さんたちがしたわけですが、内閣は「実務代行内閣」のまんまで済ませてしまいました。

アイスランドにとっての新年第一の課題は、政権を作ることでしょうね、まずもって。このままでいったら、本当に国会が内閣化してしまいますよ。のんびりしているのかノーテンキなのか。改めて「不思議の国アイスランド」を実感しています。






次に私自身のことを言わせていただきますが、今書いたように「新年の誓い」とか「抱負」とか、見つけるのが毎年難しくなってきています。ですが今年は例外で、昨年のうちから決まっていて、すでに実践に取りかかっています。

というか、これもともと全然「新年の誓い」とは関係なく、違う動機で始めたものなのですが、ちょうどタイミング的に合っているのでそのまま「新年の誓い·抱負」にもしてしまいました。

それはペルシャ語の勉強です。やり始めてみると結構面白いので、またあらためて詳しくレポートしてみたいと思います。

私が定期的に会う難民申請者、あるいはもと難民だった人の中には大勢のペルシャ語を母国語とする人たちがいます。主としてイランやアフガニスタンの人たちです。

英語ができる人の場合はいいのですが、実際は英語ダメな人の方が多いのです。で、集会などでは英語のできる人が、その場で通訳的なボラを買ってでてくれてやりくりできています。

週一回とか定期的に会っているにもかかわらず、直接話しができないというのはつまらないですよ。コーヒーとかの懇談の時間でも話しができない。特に必要な時はスマホのアプリとかで用件をわかってもらおうとしますが、非常に限られたことしか伝えられません。

こういう状態にいいかげん痺れが切れてきたので、いっそのこと自分でペルシャ語を少し勉強して多少はコミュにケーションが取れるようにしよう、と思い立ったわけです。

私はコースに通うのが苦手で、基本独習です。わからないことは訊きます。周りに先生がいっぱいいますから。心強いな。

まだ始めて三週間くらいですが、それでも挨拶くらいはできるようになりました。二言三言ですけどね。それでも人間関係というのは面白いもので、「近さ」「打ち解け度」が随分変わっていくのを感じます。

というわけで、今年は「ペルシャ語で簡単な会話ができるようになる」というのが私の誓い、というか抱負です。

皆さんの今年2017年の夢、抱負、約束ごとはどんなものでしょうか?世の中、自分個人の抱負や努力だけで変わるものではないでしょうが、何かしら「これをやろう」というものが胸中にあった方が、一日一日の大切さを示してくれるのではないか、と考えます。

末筆ながら、皆様の今年一年のご多幸をお祈りしています。また世界ができるだけ平安でありますように。


応援します、若い力。Meet Iceland

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする