こんにちは/こんばんは。
嘘みたいな話ですが -少なくとも私にとっては- 七月も最終週に入ってしまいました。歳が進むにつれて、月日時間の進行速度が加速しているように感じてしまいます。
この分では、仮りにあと二十年生きられるとしても、その体感・「心感」・実感はせいぜい五年分くらいしかないのでは?という気がしてしまいますね。ちょっと不安かも。
本文とは無関係 清涼感アップ用ピク
Myndin er eftir John_Salvino@Unsplash.com
さて、アイスランドなのですが、ここへきて変化がありました。コロナです。書く方も食傷してはいるのですが、こちらのコロナ事情が日本のニュースに載ることは少ないと思いますので、一応マイナーブログの使命と感じて書かせていただきます。
アイスランドでは、十六歳以上の住民の約九割が少なくとも一回のワクチン接種を終えたこと、さらに実際の新規陽性者が極小になったことから、6月26日以降、ほぼすべてのコロナ感染予防用の制限が撤廃されていました。
もちろん、感染した場合や、濃厚接触者となった場合の隔離とか、入国に際しての規則、制限とかはありますよ。
それで、極端から極端へ走るのが得意なアイスランドの人たちは「コロナは終わったー!」とばかりに、連日連夜飲めや歌えや... いや、そういうのは一部でしょうが、それでも社会全体に解放感が満ちました。
海外からのツーリストも急ピッチで戻ってきており、大打撃を受けた観光業界も復活し始めています。ということは、社会全体の経済活動が復活過程に入っているわけです。経済は繋がっていますから。
ところが、同じように人の移動とコロナも繋がっています。国境を超えて人が移動すれば -という言い方はひっかかるものがありますので言い換えますが- ウイルスがいる地域といない地域を繋ぐ人の移動があれば、当然ウイルスも付いてくることになります。
そういうことが起こったようで、ここアイスランドでも流行りの「デルタ株」が出回り始めたのです。
賑わいを取り戻しつつあるケフラビク国際空港前
Myndin er ur Visir.is
二週間まえにひとり、ふたり... という感じだったのが、金曜日の新規感染判明者は95人、先週の火曜以降の五日間トータルでなんと350人の陽性者判明。これは人口十万人あたりの率で換算すると111,3人となります。ヨーロッパで使うコロナマップでは、「コロナフリー」のグリーンだったアイスランドですが、一挙に「危険」レッドに転落です。
また、ご多分にもれず、現在の陽性判明者の過半数は二十代から四十代の、比較的若い層です。
というわけで、またしても今日の日曜日からいくつかの制限が復活しました。まあ、個人的にはびっくりはしていません。海外を見ていても、そうなるだろうことは明らかでしたから。
今回の制限の主なものを挙げますと、集会は上限を二百人とする。お店等での客数も同様。ソーシャルディスタンスは1メートル。それができない状況ではマスク着用義務。
飲食店でのお酒の提供は夜11時までとし、12時には閉店のこと。 プールやジムは、収容キャパの75%を限度とする、等々です。
個々人の生活にとっての不自由さから考えると、全体として、それほど厳しい内容とはなっていません。パブやバー、ジムの経営者、それに大イベントの企画運営者にとっては、それなりに痛いものを含むと思われます。
実は、今回のちょっと目には「ゆる〜い」制限がなされる裏には、政府内でかなりの議論があったようです。
議論の下地になったのは、ソウローブルさんというコロナ対策で筆頭に立つ疫病予防医師の方の「メモ」。日本の尾美感染対策分科会会長みたいな人。このソウローブルさんは、コロナの発端より、政府に提言を出し続けてきています。
彼が指摘したのは、まず、今回陽性判明がした人の中での、ワクチン接種を受けた人の割合。これがかなり高いのです。全体数は見当たらないのですが、例えば木曜日に陽性判明した76人中、54人が二回の接種を終えていました。なんと七割強! ソーロウブルさんは正直に「期待していたほど効かない...」とがっかりを表明。
それでも、今日の時点で入院を必要するほどの症状が出ているのは、4人だけ。別の感染症関係のお医者さんは、「ワクチンは重篤化を防ぐという点ではきちんと機能している」と説明しています。
こういうところから、感染者数が拡大していても、「今すぐ人がバタバタと倒れる危険はないだろう」というのが施策者側の視線のようです。
それと合わせて、先ほど書きましたように回復方向へ動き始めた、観光業会を始めとする経済界があります。「ここでまた制限ができたら、もうもたないよ」というかなり強い危惧の声が聞かれました。
この一年あまり、コロナで働き詰めのソウローブルさん
Myndin er ur Visir.is
さらにもうひとつ、ソウローブルさんが指摘したのが、今回の感染源。かなりの多くの感染者の源がふたつ特定できるそうで、ひとつはダウンタウンのセレブなクラブ。私は行ったことがありません、当然。これから行くこともないでしょう。
もうひとつが、先のサッカーの欧州選手権で、あの満杯のウェンブリースタジアムへ感染旅行に行ってきた人たちです。まあ、ある意味、納得できる感染の状況ですよね。
ですから、バーやパブの営業時間制限や、大規模集会の上限設定、1メートルのソーシャルディスタンス等々は、確かにこちらの現状に沿った施策といって良いと思います。
逆にいうと、それ以上に締め付けをする理由は見当たらない。少なくとも現状では。むしろ人命のリスクが低い状態で、これ以上経済活動を制限するのは、逆に経済を通して人命を危うくする、みたいな考えはあるみたいです。
ただ、八月始めには「ショーザハウティーズ」という、伝統の野外ワイワイ大どんちゃん騒ぎがヴェストマン諸島で企画されています。一万、とかいう数で人が集まるお祭りです。去年は形だけで、なくなくお流れになってしまいましたが、その分今年はリキが入っていました。
それが直前での「二百人規制」。今回の制限は、一応「8月13日まで」となっていますので、お祭りの主催者は「数週間、開催時期を先へ伸ばす」ことも考えているそうです。
このお祭りについてはこちらも 「夏休みの最後の砦 の週末」
本来はアイスランドの夏の風物詩 ヴェストゥルマンナ諸島の野外祭り
Myndin er ur Hatid.is
「人命がものすごくやばい」という危機時と比べて、「感染者数は増えているが、重篤者が少ない」という状況では、むしろいろいろな利害が衝突して、特定の規制を設定するのは難しくなるようです。
夏が終わった九月(もうすぐだ!)には国政選挙もあります。ということは、政治家の皆さんもウケの良くないことはしたくない。
どこにでもある事情でしょうが、そういう中から出てきたわりには、今回の制限は、私としては納得できる的を得た施策だと評価しています。
まだ公式には明らかにされていませんが、これからははっきりと「感染者数ではなく、重篤者数に注目する」という方向を選択することになるのではないでしょうか?
東京オリンピックも始まりましたが、日本(というか東京か?)の感染者推移がこれ以上高まらないことを願います。気をつけてお過ごし下さい!
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
嘘みたいな話ですが -少なくとも私にとっては- 七月も最終週に入ってしまいました。歳が進むにつれて、月日時間の進行速度が加速しているように感じてしまいます。
この分では、仮りにあと二十年生きられるとしても、その体感・「心感」・実感はせいぜい五年分くらいしかないのでは?という気がしてしまいますね。ちょっと不安かも。
本文とは無関係 清涼感アップ用ピク
Myndin er eftir John_Salvino@Unsplash.com
さて、アイスランドなのですが、ここへきて変化がありました。コロナです。書く方も食傷してはいるのですが、こちらのコロナ事情が日本のニュースに載ることは少ないと思いますので、一応マイナーブログの使命と感じて書かせていただきます。
アイスランドでは、十六歳以上の住民の約九割が少なくとも一回のワクチン接種を終えたこと、さらに実際の新規陽性者が極小になったことから、6月26日以降、ほぼすべてのコロナ感染予防用の制限が撤廃されていました。
もちろん、感染した場合や、濃厚接触者となった場合の隔離とか、入国に際しての規則、制限とかはありますよ。
それで、極端から極端へ走るのが得意なアイスランドの人たちは「コロナは終わったー!」とばかりに、連日連夜飲めや歌えや... いや、そういうのは一部でしょうが、それでも社会全体に解放感が満ちました。
海外からのツーリストも急ピッチで戻ってきており、大打撃を受けた観光業界も復活し始めています。ということは、社会全体の経済活動が復活過程に入っているわけです。経済は繋がっていますから。
ところが、同じように人の移動とコロナも繋がっています。国境を超えて人が移動すれば -という言い方はひっかかるものがありますので言い換えますが- ウイルスがいる地域といない地域を繋ぐ人の移動があれば、当然ウイルスも付いてくることになります。
そういうことが起こったようで、ここアイスランドでも流行りの「デルタ株」が出回り始めたのです。
賑わいを取り戻しつつあるケフラビク国際空港前
Myndin er ur Visir.is
二週間まえにひとり、ふたり... という感じだったのが、金曜日の新規感染判明者は95人、先週の火曜以降の五日間トータルでなんと350人の陽性者判明。これは人口十万人あたりの率で換算すると111,3人となります。ヨーロッパで使うコロナマップでは、「コロナフリー」のグリーンだったアイスランドですが、一挙に「危険」レッドに転落です。
また、ご多分にもれず、現在の陽性判明者の過半数は二十代から四十代の、比較的若い層です。
というわけで、またしても今日の日曜日からいくつかの制限が復活しました。まあ、個人的にはびっくりはしていません。海外を見ていても、そうなるだろうことは明らかでしたから。
今回の制限の主なものを挙げますと、集会は上限を二百人とする。お店等での客数も同様。ソーシャルディスタンスは1メートル。それができない状況ではマスク着用義務。
飲食店でのお酒の提供は夜11時までとし、12時には閉店のこと。 プールやジムは、収容キャパの75%を限度とする、等々です。
個々人の生活にとっての不自由さから考えると、全体として、それほど厳しい内容とはなっていません。パブやバー、ジムの経営者、それに大イベントの企画運営者にとっては、それなりに痛いものを含むと思われます。
実は、今回のちょっと目には「ゆる〜い」制限がなされる裏には、政府内でかなりの議論があったようです。
議論の下地になったのは、ソウローブルさんというコロナ対策で筆頭に立つ疫病予防医師の方の「メモ」。日本の尾美感染対策分科会会長みたいな人。このソウローブルさんは、コロナの発端より、政府に提言を出し続けてきています。
彼が指摘したのは、まず、今回陽性判明がした人の中での、ワクチン接種を受けた人の割合。これがかなり高いのです。全体数は見当たらないのですが、例えば木曜日に陽性判明した76人中、54人が二回の接種を終えていました。なんと七割強! ソーロウブルさんは正直に「期待していたほど効かない...」とがっかりを表明。
それでも、今日の時点で入院を必要するほどの症状が出ているのは、4人だけ。別の感染症関係のお医者さんは、「ワクチンは重篤化を防ぐという点ではきちんと機能している」と説明しています。
こういうところから、感染者数が拡大していても、「今すぐ人がバタバタと倒れる危険はないだろう」というのが施策者側の視線のようです。
それと合わせて、先ほど書きましたように回復方向へ動き始めた、観光業会を始めとする経済界があります。「ここでまた制限ができたら、もうもたないよ」というかなり強い危惧の声が聞かれました。
この一年あまり、コロナで働き詰めのソウローブルさん
Myndin er ur Visir.is
さらにもうひとつ、ソウローブルさんが指摘したのが、今回の感染源。かなりの多くの感染者の源がふたつ特定できるそうで、ひとつはダウンタウンのセレブなクラブ。私は行ったことがありません、当然。これから行くこともないでしょう。
もうひとつが、先のサッカーの欧州選手権で、あの満杯のウェンブリースタジアムへ感染旅行に行ってきた人たちです。まあ、ある意味、納得できる感染の状況ですよね。
ですから、バーやパブの営業時間制限や、大規模集会の上限設定、1メートルのソーシャルディスタンス等々は、確かにこちらの現状に沿った施策といって良いと思います。
逆にいうと、それ以上に締め付けをする理由は見当たらない。少なくとも現状では。むしろ人命のリスクが低い状態で、これ以上経済活動を制限するのは、逆に経済を通して人命を危うくする、みたいな考えはあるみたいです。
ただ、八月始めには「ショーザハウティーズ」という、伝統の野外ワイワイ大どんちゃん騒ぎがヴェストマン諸島で企画されています。一万、とかいう数で人が集まるお祭りです。去年は形だけで、なくなくお流れになってしまいましたが、その分今年はリキが入っていました。
それが直前での「二百人規制」。今回の制限は、一応「8月13日まで」となっていますので、お祭りの主催者は「数週間、開催時期を先へ伸ばす」ことも考えているそうです。
このお祭りについてはこちらも 「夏休みの最後の砦 の週末」
本来はアイスランドの夏の風物詩 ヴェストゥルマンナ諸島の野外祭り
Myndin er ur Hatid.is
「人命がものすごくやばい」という危機時と比べて、「感染者数は増えているが、重篤者が少ない」という状況では、むしろいろいろな利害が衝突して、特定の規制を設定するのは難しくなるようです。
夏が終わった九月(もうすぐだ!)には国政選挙もあります。ということは、政治家の皆さんもウケの良くないことはしたくない。
どこにでもある事情でしょうが、そういう中から出てきたわりには、今回の制限は、私としては納得できる的を得た施策だと評価しています。
まだ公式には明らかにされていませんが、これからははっきりと「感染者数ではなく、重篤者数に注目する」という方向を選択することになるのではないでしょうか?
東京オリンピックも始まりましたが、日本(というか東京か?)の感染者推移がこれ以上高まらないことを願います。気をつけてお過ごし下さい!
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
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