正直に告白しますが、二十年以上アイスランドに住んでいるにもかかわらず、私はアイスランド語の本を読みません。もちろん新聞は読みますし(目を通します)、仕事の関係の書類等も読みます。それは当然です。
しかし、仕事が引けた後の夜の少時間とか休日のプライベートな時間に読むものは全て日本語です。アイスランド語ではリラックスできないし、英語ですら嫌です。(例外は詩です。詩はアイスランド語で読むのが好きです) 日本語って視覚性が強いから、多分その分、脳を使う必要性も落ちるのではと考えています。(^-^;
さてそういう前提の上での話しです。当然こちらで話題になる本も私は読みません。話題について行くために読んだ人の感想や意見は尋ねます(安直な生き方)。それで二十年間やってきたのですが、後から気がついて「損したかなあ」と後悔するようなこともあるようです。
今を遡ること十三年。2000年にアルナルドル・イングリーザソンという作家が出した「湿地」という推理小説がありました。相当評判になり2006年には映画化もされたのですが、もちろん私は読みませんでしたし、映画も見ませんでした。
で、最近、その「湿地」が日本語に訳され相当な人気を博していることを知りました。日本語なら!と早速アマゾンで購入し先の日曜日に一気読みしました。ちょうど雨降りで風も強い日曜の午後でミステリー日和。面白かったです、相当。
ストーリーを明かすような無粋な真似はしませんが、この物語りで描写されているアイスランドというものは、かなり現実に沿っているように思われます。ひとつの殺人事件だけではなく、性犯罪の世間での受け止められ方、警察官の質、隠された家庭内の問題、事件に関わるアイスランド社会の構造、等々。
もちろん小説ですから、多少極端な描写はあると思いますがそれでも十分にリアリティは保たれています。アイスランドの社会に関心があり理解を深めたい方がありましたら、是非読んでみて下さい。私もこちらでの発行時に読んでいたら、もう少し社会理解がスムースに行ったかな?と反省しています。
面白かったのは、作中主人公のエルレンドゥル捜査官が何度となく「典型的なアイスランド的な犯罪は非計画的で勃発的なものだ」とのたまうことです。暴力を伴う事件に関して言えば、確かにそのような印象を受けますね。
ただ、経済恐慌をもたらした、壮大な国家的規模の詐欺まがいの投資事業に関しては別の印象を持っていますが。もう少し深く掘り返せば、その二者間に繋がりがあるのかもしれませんけどね。
先の刑務所事情に続いてこのクライム・ストーリー。アイスランドに夢を置く人にはつまらないブログ題材かもしれませんが、ここもバラ色天国ではありません。
大学の日本語コースに集まってくる学生さん達は、同じような夢を日本に対して持っています。非常勤講師としての私の仕事は、まずそういう「夢」にちょっかいを出し、日本の嫌な部分を紹介することにあり、と心得ていました。
別にひねくれているわけでも、意地悪なわけでもないですけど。どの国や地方であれ、本当に良いことを理解するためには、悪いことも理解しなければならないでしょうから。良いことを理解するには、悪いことの存在「にもかかわらず」そこに組せず、それを克服して理解を深める努力が不可欠だと信じます。
しかし、仕事が引けた後の夜の少時間とか休日のプライベートな時間に読むものは全て日本語です。アイスランド語ではリラックスできないし、英語ですら嫌です。(例外は詩です。詩はアイスランド語で読むのが好きです) 日本語って視覚性が強いから、多分その分、脳を使う必要性も落ちるのではと考えています。(^-^;
さてそういう前提の上での話しです。当然こちらで話題になる本も私は読みません。話題について行くために読んだ人の感想や意見は尋ねます(安直な生き方)。それで二十年間やってきたのですが、後から気がついて「損したかなあ」と後悔するようなこともあるようです。
今を遡ること十三年。2000年にアルナルドル・イングリーザソンという作家が出した「湿地」という推理小説がありました。相当評判になり2006年には映画化もされたのですが、もちろん私は読みませんでしたし、映画も見ませんでした。
で、最近、その「湿地」が日本語に訳され相当な人気を博していることを知りました。日本語なら!と早速アマゾンで購入し先の日曜日に一気読みしました。ちょうど雨降りで風も強い日曜の午後でミステリー日和。面白かったです、相当。
ストーリーを明かすような無粋な真似はしませんが、この物語りで描写されているアイスランドというものは、かなり現実に沿っているように思われます。ひとつの殺人事件だけではなく、性犯罪の世間での受け止められ方、警察官の質、隠された家庭内の問題、事件に関わるアイスランド社会の構造、等々。
もちろん小説ですから、多少極端な描写はあると思いますがそれでも十分にリアリティは保たれています。アイスランドの社会に関心があり理解を深めたい方がありましたら、是非読んでみて下さい。私もこちらでの発行時に読んでいたら、もう少し社会理解がスムースに行ったかな?と反省しています。
面白かったのは、作中主人公のエルレンドゥル捜査官が何度となく「典型的なアイスランド的な犯罪は非計画的で勃発的なものだ」とのたまうことです。暴力を伴う事件に関して言えば、確かにそのような印象を受けますね。
ただ、経済恐慌をもたらした、壮大な国家的規模の詐欺まがいの投資事業に関しては別の印象を持っていますが。もう少し深く掘り返せば、その二者間に繋がりがあるのかもしれませんけどね。
先の刑務所事情に続いてこのクライム・ストーリー。アイスランドに夢を置く人にはつまらないブログ題材かもしれませんが、ここもバラ色天国ではありません。
大学の日本語コースに集まってくる学生さん達は、同じような夢を日本に対して持っています。非常勤講師としての私の仕事は、まずそういう「夢」にちょっかいを出し、日本の嫌な部分を紹介することにあり、と心得ていました。
別にひねくれているわけでも、意地悪なわけでもないですけど。どの国や地方であれ、本当に良いことを理解するためには、悪いことも理解しなければならないでしょうから。良いことを理解するには、悪いことの存在「にもかかわらず」そこに組せず、それを克服して理解を深める努力が不可欠だと信じます。