アイスランドでの庇護申請者の人たちについてはこれまでも何度も書いてきました。庇護申請者とは難民なのですが、個々人で第三国に渡り、そこで難民申請をする人のことです。
申請は当局によって審査されなければなりませんが、その回答がされるまでの「待ち期間」というのが時には一年以上になることもまれではありません。その間、することがなくて拷問に等しくなることがあります。
その問題を解消するためにいろいろなことが工夫されてきたのですが、昨年初めよりレイキャビク市が難民の人たちの滞在を受け入れ始め、昨夏頃よりレイキャビクが難民の人の主たる滞在先になってきました。(それまでは国際空港の周辺のレイキャネスバイルという町でした)
難民の人たちに対しての、というよりは難民の人たちと「共にする」活動のためにはレイキャビクの方が色々な意味で企画運営しやすくなりました。そして昨秋から赤十字が毎週水曜日にオープンハウスを開いて集うようになっています。
私は難民の活動に関しては、赤十字のボランティアをもう十年近くしてきています。まあ、自分の仕事にかぶる部分が大きいので、純粋なボラとはいえないでしょうが。で、このオープンハウスにももちろん参加しています。
今は夏ですので、皆で外へ出て行くような企画も多くあり、先週は市の郊外にあるArbaejarsafnアルバイヤーサブンという博物館へ出かけました。このアルバイヤーサブンは十九世紀末から戦後あたりまでの建造物を移動したり再建したりして、当時のレイキャビクの生活を再現しているところです。
ですから明治村のように、テーマパークのように広い敷地の中の「村」になっています。多くの古い建物があり、昔風のお店やカフェもあります。(カフェはそんなに昔風ではありませんが) 牛や羊のいるミニ牧場もついています。
スタッフの人たちも皆、伝統的な衣装を着ていて雰囲気を盛り上げています。
今回私たちは英語によるガイドツアーを予約していたので、いくつかの建物の由来やエピソードを聞きながら巡回することができました。もちろんガイドさんも、それらしい服装をしています。
男性ガイドバルドゥルさんの話しでは、このレイキャビク版明治村は1957年にオープンしました。市が郊外の何もない場所に土地を買い(土地はそんなに高いものではありません、日本と違い)、歴史的な価値のある建造物を集め始めました。もちろん建物の中に収容されるべきものもです。
今でこそこのアルバイル(アルバイヤーサブンというのは、アルバイルの博物館という意味で、アルバイルというのは「川のファーム」を意味します)の地は、居住区の中に位置していますが、当時は町からはずれたド田舎だったそうです。町から歩いて半日の距離にあったので、人が休息する旅籠のようなゲストハウスもあったそうで、そのゲストハウスも展示されています。
現在のダウンタウンの真ん中にあった、結構大きめの建造物もありますが、これは壊さずにそのままをトレーラーに乗せて移動したのだそうです。ところが運転手がノーテンキで道路の凹凸におかまいなしで突っ込んだため、建物が滑り落ちバラバラになってしまったとか。現在のものはそれをまた再築したものだそうです。
普通の民家もありました。居間兼寝室のようなところには、そうですね八畳くらいの横長の部屋に小さめのベッドが六つ。「六人ここで寝たの?」という質問にバルドゥルさんが答えるには「いいえ、十人程度です。ひとつのベッドにふたりが背中合わせに寝たんです」。
「今世紀初頭は暖房というものがまったくありませんでした。だから寒さは尋常ではなく、人々はなるべく固まって家の中でじっとしていたのです」
なんでも階下の台所へ行かなくてもすむように、なるべく食事も同じものを取り続けたとか。確かに山小屋と同程度の家屋で暖炉さえなかったら、冬はどうしたのだろうか?と想像するのも難しくなります。
アルバイヤーサブンの中にある教会
教会もあります。この教会は屋根が芝吹きで四十人ほどが入れるような、かわいらしいものです。柱と梁がいっぱいあるので、会衆席に座ると牧師さんの顔が見えなくなります。この教会は1842年に北部地方で建造されたものだそうですが、足りない材料を補って再築されました。
お世辞にも居心地がいいとは言えない教会ですが、実は今でも外国からのカップルの結婚式などで使われています。私も三回くらいここで挙式を担当したことがあります。雰囲気があってロマンチック、に思えるのだそうです。
ちなみに、皆さんの中で「挙式はアイスランドで」とお考えの方があったとしても、ここは止めたほうがいいと思いますよ。理由は、先ほどちょっと触れましたが、見通しが悪いので写真とか撮るのが難しいですし、オルガンは時代ものだし(昔の日本の小学校で使っていたようなもの)、トイレも遠いですからね。
ただし、もちろん「ふたりだけで、こじんまりと式を満喫したい」という向きであれば、ここはピッタリとくるかもしれませんが。ああ、あと「いにしえ風に」も加えとかないと。
とにかく、このアルバイヤーサブンは観光に来られた方には必見の場所だと思います。アイスランドがついこの間までどんなところだったかを知るためには、貴重な知識を与えてくれますから。
六七八の三ヶ月はハイシーズンでいろいろなお店やイベントもあります。それ以外はローシーズンでお店とかは閉まってしまいますが、毎日午後一時にはガイド付きツアーがるとのこと。詳しいことはホームページでお確かめください。
アルバイヤー野外博物館が含まれるレイキャビク市の博物館ホームページはこちら
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
申請は当局によって審査されなければなりませんが、その回答がされるまでの「待ち期間」というのが時には一年以上になることもまれではありません。その間、することがなくて拷問に等しくなることがあります。
その問題を解消するためにいろいろなことが工夫されてきたのですが、昨年初めよりレイキャビク市が難民の人たちの滞在を受け入れ始め、昨夏頃よりレイキャビクが難民の人の主たる滞在先になってきました。(それまでは国際空港の周辺のレイキャネスバイルという町でした)
難民の人たちに対しての、というよりは難民の人たちと「共にする」活動のためにはレイキャビクの方が色々な意味で企画運営しやすくなりました。そして昨秋から赤十字が毎週水曜日にオープンハウスを開いて集うようになっています。
私は難民の活動に関しては、赤十字のボランティアをもう十年近くしてきています。まあ、自分の仕事にかぶる部分が大きいので、純粋なボラとはいえないでしょうが。で、このオープンハウスにももちろん参加しています。
今は夏ですので、皆で外へ出て行くような企画も多くあり、先週は市の郊外にあるArbaejarsafnアルバイヤーサブンという博物館へ出かけました。このアルバイヤーサブンは十九世紀末から戦後あたりまでの建造物を移動したり再建したりして、当時のレイキャビクの生活を再現しているところです。
ですから明治村のように、テーマパークのように広い敷地の中の「村」になっています。多くの古い建物があり、昔風のお店やカフェもあります。(カフェはそんなに昔風ではありませんが) 牛や羊のいるミニ牧場もついています。
スタッフの人たちも皆、伝統的な衣装を着ていて雰囲気を盛り上げています。
今回私たちは英語によるガイドツアーを予約していたので、いくつかの建物の由来やエピソードを聞きながら巡回することができました。もちろんガイドさんも、それらしい服装をしています。
男性ガイドバルドゥルさんの話しでは、このレイキャビク版明治村は1957年にオープンしました。市が郊外の何もない場所に土地を買い(土地はそんなに高いものではありません、日本と違い)、歴史的な価値のある建造物を集め始めました。もちろん建物の中に収容されるべきものもです。
今でこそこのアルバイル(アルバイヤーサブンというのは、アルバイルの博物館という意味で、アルバイルというのは「川のファーム」を意味します)の地は、居住区の中に位置していますが、当時は町からはずれたド田舎だったそうです。町から歩いて半日の距離にあったので、人が休息する旅籠のようなゲストハウスもあったそうで、そのゲストハウスも展示されています。
現在のダウンタウンの真ん中にあった、結構大きめの建造物もありますが、これは壊さずにそのままをトレーラーに乗せて移動したのだそうです。ところが運転手がノーテンキで道路の凹凸におかまいなしで突っ込んだため、建物が滑り落ちバラバラになってしまったとか。現在のものはそれをまた再築したものだそうです。
普通の民家もありました。居間兼寝室のようなところには、そうですね八畳くらいの横長の部屋に小さめのベッドが六つ。「六人ここで寝たの?」という質問にバルドゥルさんが答えるには「いいえ、十人程度です。ひとつのベッドにふたりが背中合わせに寝たんです」。
「今世紀初頭は暖房というものがまったくありませんでした。だから寒さは尋常ではなく、人々はなるべく固まって家の中でじっとしていたのです」
なんでも階下の台所へ行かなくてもすむように、なるべく食事も同じものを取り続けたとか。確かに山小屋と同程度の家屋で暖炉さえなかったら、冬はどうしたのだろうか?と想像するのも難しくなります。
アルバイヤーサブンの中にある教会
教会もあります。この教会は屋根が芝吹きで四十人ほどが入れるような、かわいらしいものです。柱と梁がいっぱいあるので、会衆席に座ると牧師さんの顔が見えなくなります。この教会は1842年に北部地方で建造されたものだそうですが、足りない材料を補って再築されました。
お世辞にも居心地がいいとは言えない教会ですが、実は今でも外国からのカップルの結婚式などで使われています。私も三回くらいここで挙式を担当したことがあります。雰囲気があってロマンチック、に思えるのだそうです。
ちなみに、皆さんの中で「挙式はアイスランドで」とお考えの方があったとしても、ここは止めたほうがいいと思いますよ。理由は、先ほどちょっと触れましたが、見通しが悪いので写真とか撮るのが難しいですし、オルガンは時代ものだし(昔の日本の小学校で使っていたようなもの)、トイレも遠いですからね。
ただし、もちろん「ふたりだけで、こじんまりと式を満喫したい」という向きであれば、ここはピッタリとくるかもしれませんが。ああ、あと「いにしえ風に」も加えとかないと。
とにかく、このアルバイヤーサブンは観光に来られた方には必見の場所だと思います。アイスランドがついこの間までどんなところだったかを知るためには、貴重な知識を与えてくれますから。
六七八の三ヶ月はハイシーズンでいろいろなお店やイベントもあります。それ以外はローシーズンでお店とかは閉まってしまいますが、毎日午後一時にはガイド付きツアーがるとのこと。詳しいことはホームページでお確かめください。
アルバイヤー野外博物館が含まれるレイキャビク市の博物館ホームページはこちら
応援します、若い力。Meet Iceland
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