レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

29,3度の夏 西街ブログは十年目に突入! ですヨ

2021-08-29 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

晩夏のアイスランドですが、地球温暖化の影響を受けて、世界の多くの国々と同様の「暑い夏」を引きずっています。

アイスランドの夏は例年特徴があり、レイキャビクのような南西部よりは、東部や北部での方が気温が高くなります。先週の火曜日には、その東部にあるHallormstadurハットゥルオルムスターズルというところで、なんと29,3度を記録しました。




29,3度を報じるFrettabladid紙のネット版
Myndin er ur Frettabladid.is


日本の皆さんからすれば「30度すらいってないじゃん」でしょうが、これはこちらでは異常な気温です。1939年に、これも東部にあるTeigarhornテイガーホルンというところで30,5度を記録したのが、アイスランドの記録なのだそうですが、火曜日には一時「それを上回るのではないか?」と期待されました。

余談になりますが、今回29,3度を記録したハットゥルオルムスターズルは、Egilstadirエイルススターズィルという大きめの町の近くにあり、森林国定公園の中に位置します。その辺りに流れているのがLagarfljotラーガルフリョートという河なのですが、ここにはLagarfljotormurラーガルフリョート・オルムル(スネーク)というモンスターがいるという噂があります。

全長10〜20メートルはあるような海蛇状の形態をしているようで、詳細はもちろん不明。うねりながら川面に背面をコブのようにさらしながら泳ぐようです。






アイスランド東部 赤いピンがハットゥルオルムスターズル



2012年だったか、確かテレビの撮影クルーかなんかが偶然撮影したフィルムがあり、「フェイクではない」というお上のお墨付きだとか。きゃりーちゃんの「世界の何だコレ! ミステリー」でも取り上げられていました。

ラーガルフリョート・オルムルの実写フィルムはこちら

さて、今回は小さなご報告があります。

このマイナー・ブログ、先日の8月26日をもってなんと十年目に入りました。始めた当時は毎日のアップ(更新)。それが隔日になり、週二回になり、現在は週一回、という風に変化、いや退化し続けてきています。それでも「あっぱれ」?なところもあり、アップしなかった週は一度もないのです。

正確にいうと、一周あいて八日目のアップ、というのはあったかもしれません。八日目がクリスマスとか、元旦とか特別なオケージョンの時ですね。そういう場合は、ワタシの怠惰が理由ではありませんのでご容赦。m(_ _)m

内容も多少の変化はありますね。始めはいろいろアイスランドの文化トピックみたいなものを紹介していましたが、やはりしばらくすると一巡してしまいネタ切れ。ですから、時事ニュース的なものや、教会の紹介的なものも定期的に入ってきています。




これは上述のラーガルフリョート・オルムルの想像図
Myndin er ur Visitegilsstadir.is


別にキリスト教の宣伝が目的のブログではないので、あまりに行き過ぎないように注意してはいますが、特に忙しい時期にはどうしても教会ネタが入ってきてしまいます。ワタシにとっては「業界ネタ」なので、書くのが楽なのです。

時事ネタ、というか「こういうことがありました」というニュース紹介も楽なのですが、あまり読んでいて面白くないでしょうね。ニュースならニュースを見ればいいじゃん、という気もしてしまいます。

「十年一日ではダメではないか。進歩せー!」という心の声もなくはありません。ちょっとVログを混ぜてみる?少なくとも、自分で街中、山中へ出向いてビデオ、写真を撮ってきたら?

自分でカフェやレストランへ行って食レポしたら?イベントへ行って現地レポしたら?

まあ、そういうようなことを一生懸命なさっている方もあるようですが、私の場合はどうしてもそういうのは馴染まないようです。

そういう観光大使的なものよりは、「アイスランドという国で暮らしていて、どんなことに出会うか?どんなことを考えるか?」というようなことをシェアしたい、というのがそもそもの目的でしたし、今もそうです。多少ブレることはありますが。




ハットゥルオルムスターズルの森林公園 
Myndin er ur Visiteigilsstadir.is

そんな感じで多少あっちへいったり、こっちへきたりを繰り返すブログですが、マイナー路線は堅持していきます。マイナー路線の堅持、なんて偉そうに聞こえますが、要するにマイナー以上のことはできませんからね。ˆ_ˆ') 

いつまで続けられるかわかりませんんが、まあ、十年を手近な目標としていきます。それには、多少なりとも読んでくださる奇特な皆さまの存在が不可欠となります。これからもよろしくお願いいたします。

そして「こういうことを知りたい」「こんなときはどうしているのか?」等のリクエスト、ご質問がありましたら、お気軽にコメント欄やあるいはメイルでお知らせください。そちらもよろしくお願いいたします。m(_ _)m


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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レイキャビク西街 スパイスの夏

2021-08-22 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。アイスランドでは晩夏がやってきました。毎年この時期には、長い夏休みから人々が戻ってきており、いろいろな活動が再開します。ただ九月からの「新年度」に備えての、準備的な活動が多いのですが、それ故にことさら「ああ、夏が終わったなー」というような雰囲気になります。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Roma_Ryabchenko@Unsplash.com


この夏の終わり期には、野外ワイワイどんちゃん騒ぎ祭り、ゲイ・プライドの行進、レイキャビクのカルチャーナイトやレイキャビク・マラソン等の定番フェスが目白押しであるはずなのですが、昨年に引き続きほとんどが中止となり、その部分では季節感まで失われてしまっています。

他のヨーロッパの国々でも似たり寄ったりなのですが、コロナのデルタ株感染が猛威を奮っている一方で、ツーリズムを始めとする経済活動は、制限付きではあるものの継続されています。

我がレイキャビクは西街の界隈でも、よく五、六人でまとまった歩行者に出くわします。例外なく外国からの観光客。多分家族。きっと、そこここのAir BNBを使っての滞在なのでしょう。西街界隈にはかなりあるようなのです、Air BNB。

そういう夏でしたが、私は結構忙しかったのと、ひとりで旅に出る趣味もないので、どこへも行かずヒマができると自宅でまったりしていました。生活必須事項かつ趣味の一部でもあるクッキングを、そんな中で楽しんでいたことは少し前に書かせていただきました。

アイスランド コロナ制限全廃と復活の趣味の料理人 


私、もともと料理はする男なのですが、決してグルメではありません。別に美味しいものについてのウンチクもないですし、稀な食材を探し求めているわけでもありません。ホームパーティーでアッと言わせるようなものを作ることを願うこともなく、あくまでフツーの家庭料理を作るのを良しとしています。

今年の夏はYoutubeのいろいろな動画を刺激として、簡単なイタリアンとか和食、それに中東系の料理を開拓しました。

特に中東系の料理は、機会があって口にする度に「美味い」と思うのですが、作り方とかはまったく知識がなく、「いつか作ってみたいものだ」という願望リストにキープされたままでした。

なにしろ「ラム肉が入っている、ピラフみたいな料理」とイメージするだけで、何という料理かも知らないままでしたから。




「ラム肉が入っている、ピラフみたいな料理」


日本の家庭料理って、基本は「出汁」じゃないですか。だから私も、もともとスパイスについての知識がほとんど皆無だったんですよね。それが中東料理となると、もうスパイスのオンパレード。

クミン、カルダモン、ターメリック... それぞれのスパイスの名前は聞いたことがありますし、シナモンやナツメグのように、たまには使うことのあったものもあります。ですが、それらをどのように組み合わせると、どのような結果になるのかについてはまったくのNo idea。中東料理は敷居が高かった理由のひとつです。

ですが、今回はこの難攻不落のスパイス文化にも挑戦してみました。とにかく食べたかったのは名前も知らない「ラム肉が入っている、ピラフみたいな料理」だったので、それらしきメニューをYoutubeでピックアップ。その作り方を調べてみました。

似たような動画をいくつもみたのですが、そうすると大体使われているスパイスも作り方も共通する部分があることがわかります。そうなると、それが基本なんだろうという察しがつくわけです。

で、それらの動画に共通して出てくるスパイスの一軍連中をスーパーで買い込んできました。まあ、それなりの出費ではありますが、メチャクチャではありません。ドライ・レモン(レモンというよりはライムのように見えるのですが)のような特殊な食材もありましたが、これはアラビヤ料理の食材店で見つけて買ってきました。




中近東料理ではよく使われる(らしい)ドライ・レモン


スパイスの多くは、すでに粉になっているものと、粒々のままのもの、さらには生のものもあるのですが、これはメニューに登場する頻度を鑑みながら、必要な形態のものを集めてみました。

そうこうして、未知の世界だったスパイス界の住民たちにも馴染みができてきたのですが、それでも時折「ガラム・マサラ」とかいうような、聞いたことのないスパイスが突然出てくることがあります。

ところが調べてみると、何ということはない、レギュラーメンバーのスパイスを合わせたものではないか。インド料理ではメジャーな調合なようで。知らぬはワタシばかりなり。まあ、初心者とはそういうものです。(*^^*)

そうこうしながら「ラム肉が入っている、ピラフみたいな料理」に実際にチャレンジしてみました。

その結果は... ?

まあ、やってみれば難しいことはなかったですね。スパイスさえ、手元に揃っていれば、料理としては単純な部類だと思います。肉を炒める。野菜を炒めてスパイスと混ぜる。お米と水を加えて炊く。というだけのこと。

いろいろ見ていてわかってきたのですが、この手の料理はカブサ、もしくはビルヤニと呼ばれるらしく、それぞれにラム肉バージョンとチキンバージョンがあるのが定番のようです。



チキン・バージョンのビルヤニ


多少難しかったのは、中近東のお米バスマティを炊くことで、要するにパエリアとかの時もそうなのですが、大き目の(フライ)パンで炊くわけですよ。ところがお米は炊飯ジャーで炊くことに慣れ切ってしまっているワタシは、なかなか水加減、火加減に自信が持てず、結局水を入れ過ぎてしまった感。

まあ、でも二回目、三回目と続けるうちにコツはわかってきした。継続は力なり。完璧とはいかないまでも、美味しく食べられる「ラム肉が入っている、ピラフみたいな料理」を作ることができました。めでたし、めでたし。

ついでに学んだことが、これまた結構重宝すること。それはヨーグルトを使ったドレッシングというかソースというか。これは、さっぱりしていて、とりわけラム肉料理には合うもののようです。

多少正確さは欠くかもしれませんが、ギリシャ料理で良く紹介されるタジキ(ザジキ)・ヨーグルトソースというのが、結局中近東でも広範に賞味されているもののようです。グーグルしてみたのですが、起源はどうもトルコ辺りにあるみたいです。





ヨーグルト・ソース二種 左:ギリシャ風 右:ゴマ風味


私のこれまでの食生活では、ヨーグルトは朝食の一部分以上のものではなかったので、これも知ってみて良かった、ことのひとつでした。

さて、こうしてこの夏、私は中近東料理にデビューすることができましたので、それなりに生産性のある夏だったことになります。

もっとも、私の手料理をメインで食べさせられるのは、居候している息子です。毎日中近東料理ではかわいそうなので、合間合間にイタリアンや和食(風)を混ぜて作っていたわけです。

そのイタリアン、プラス・ヨーロッパのレシピにもいくつも面白いものがありました。それら、とても簡単なものなので、またの機会にご紹介してみたいと思います。


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「目を覗き込む」ということ 

2021-08-15 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

コロナは相変わらずです。毎日百人超えの新規感染者が出て、医療体制が悲鳴を上げています。日本のニュースを見ていて、日本とアイスランドのコロナの状況が頭の中で勝手にシンクロしています。




清涼感アップ用ピック 上から見たマグマ
Mynin er eftir Martin_Sanches@Unsplash.com


さて、今日はちょっと真面目な話しです。オランダ生まれの神父さんでヘンリ・ナウエンという方がありました。1900年代の後半に多くの著述を残したキリスト教界のインフルエンサーです。

「傷ついた癒し人」という著作の中で、ナウエンは小さなエピソードを紹介しています。

ある小さな村に、まだ若い脱走兵が逃れてきました。村人は親切に彼を匿いますが、やがて追っ手の兵士たちがやってきます。兵士の長は「脱走兵を明日の日の出までに差し出せ。さもないと村を焼き払う」と言い残して去ります。

村人たちは困惑し、村の長老たる司祭のところへ相談に行きます。話しを聞いた司祭は書斎に閉じこもり、聖書を開いて解決を探します。

まもなく夜が明けるという頃、司祭は聖書の一句に目を留めました。「(...) その年の大祭司であったカイアファが言った。『あなたがたは何も分かっていない。 一人の人が民の代わりに死に、国民全体が滅びないで済むほうが、あなたがたに好都合だとは考えないのか。』」

司祭は村人たちのところへ行き、少年兵を差し出すように勧めます。脱走兵はこうして引き渡され、かわりに村は守られました。

村人たちはこの結末を祝いましたが、司祭は悲しく胸が塞がれました。その晩、天使が現れ司祭に「あなたは何をしたのか?」と尋ねます。司祭は脱走兵を差し出したことを話します。天使は思いがけないことを告げます。

「あの少年兵はキリストだった。あなたはキリストを差し出したのだ」「何と! でも、どうして私にそれがわかりましょう?」

天使は告げます。「書斎に閉じこもるかわりに、一度でもあの少年の目を覗き込んでいたらわかったことだろう」

この短いエピソードは、単純ですが深いものを含んでいます。私も定期的に教会のお話しの中で引用させていただいています。

実際に、現代の私自身の身の回りの生活を省みてみる時、この「相手の目を覗き込む」という簡単な行いがいかにないがしろにされているか、ということに思い至らずを得ません。皆さんはどう思われますか?




ヘンリ・ナウエン神父
Myndin er ur HenryNouwen.org


「目を覗き込む」というのは、要するにその相手の人と真摯に向き合い、その人の内心を理解しようと努めるということに他なりません。さらに単純に言うならば、その人と「人として向き合う」ということになりましょう。

それだけのことか?と思われる方もあるかもしれません。しかし、実際にはそう簡単にはいかないこともあります。

私は牧師ですので、しかも難民関係のサービスに従事していますので、ナウエン神父のエピソードにあるような「脱走兵を迎える」的な場面に出くわすことが多くあります。

ひとりひとりの「目を覗き込む」ことが、もちろん求められるわけですが、短時間のうちに多くの人と会わなくてはならない時とか、相手の話しの内容がいまいちはっきりしていない時など、だんだんと「目を覗き込む」ことがおろそかになりがちです。

そしてそれがおろそかになる時、私はその相談に来た人のことを「真摯に誠意を持って人間としては見ていない」という状態に陥ってしまっているのです。

これは、とんでもないことなのですが、もう自分自身で自戒する以外には防ぎようがありません。

そしてですねえ、私が問題だと思うのは、人の相談に乗ってあげるような仕事に従時している人ほど、「目を覗き込む」ことをないがしろにしてしまう危険があるのではないか?ということです。

イジメ苦で自殺してしまった子供のニュースが流れる度に、その子供の担任の先生がイジメの有無を認識していたかどうか?という問いがなされています。私は特に具体的な事例のことを考えているわけではないので、教師の人たちをここで責めるつもりはありません。

ただ、一般の人たちよりは、むしろ教師のような立場にある人の方が、より「目を覗き込む」ことを座右の銘とする必要がある、とは考えていますし、私自身についても例外ではないことは自覚しています。




清涼感アップ用ピック その2
Myndin er eftir v2os@Unsplash.com


さて、このことを申し上げた上で、敢えて糾弾したい、具体的な事例があります。スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの事件です。

ご承知のことと思いますが、ウィシュマさんは今年の三月に、収容されていた名古屋の入管施設で亡くなりました。公式には「死因は不明」ということですが、自殺ではなく、体調の不良による死であることは確かなようです。

もし、この事件の概要をご存知ない方がありましたら、ニュースのリンクから一瞥していただければと思います。私は毎日新聞のオンラインで読んでいるのですが、これは有料サイトなので、無料のサイトのリンクを選んでおきます。

「スリランカ人死亡」で再び露呈した入管の非道

死亡の日うめき声発する女性に「ねぇ薬きまってる?」の発言も…入管のスリランカ人女性死亡で最終報告


先週、出入国在留管理庁は、事件についての最終報告を提出しました。極めて不十分な報告であるように見受けますが。

入管は「収容者の体調を把握する体制がなかった」「医療対応の必要性に対する見落としがあった」「外部の医療機関へのアクセスがなかった」「体調の急変時の情報共有、対応体制がなかった」等々の「説明」をしています。

ニュースでは報告責任者と思われる方が「人権への配慮が足りなかった」というようなコメントをしていましたし、上川法務大臣も同じようなコメントをしていたようです。




ウィシュマさんの遺族の代理人を務める指宿昭一弁護士のTwitter
Myndin er ur Twitter.com


ですが、「体制が十分でなかった」「人権への配慮が不十分だった」「ひとりひとりと向き合う心がけがなかった」等々のことは、間違いではないでしょうが、本当にそれだけでしょうか?それよりもっと深いところにある「罪」「悪」が見過ごされている、いや隠蔽されてしまっているのではないでしょうか?

それは、そもそも名古屋入管はウィシュマさんと「人間として接していなかったのではないか?」「人間として見ていなかったのではないか?」ということです。「こんな女は...」という蔑みがそもそもあったのではないか?ということです。

先に「目を覗き込む」ことを疎かにしないことについて述べましたが、私はこのウィシュマさんの事件については、目を覗き込むことが疎かにされたのではなく、そもそもウィシュマさんについて、目を覗き込む「に値しない」という態度があったと考えます。

滞在ビザが切れていた、という点ではウィシュマさんは法に違反していました。それは数多くある視点のうちのひとつです。他の視点によれば、彼女はDVの被害者であり、自ら警察に助けを求めた女性であり、食欲不振やうつ、その他の体調不良を訴え、かつ実際に症状を示したきた女性です。

名古屋入管の担当者は、なぜそのような女性に対して、報告書にあるような酷い態度を示したかったのでしょうか?なぜ組織暴力犯罪の極悪容疑者に対するかのような仕方で接したのでしょうか?

必要があったのでしょうか?不法滞在者だから、そのように接しても「よかった」のでしょうか?それとも「そうしたかった」のでしょうか?

私も外国暮らしなので経験がありますが、不当な差別されるとものすごく不快に感じ、怒りを覚えるものです。だから、他人に対してもしてはいけないんです。周りで起こっていることをそのままにしてもいけないんです。

今回の報告書は不十分だと考えますし、ウィシュマさんのご遺族に対する入管の態度も誠意を欠いていると思います。

私はこの事件に関しては相当な怒りを持っています。そして皆さんにも怒っていただきたいと感じています。このような非人道的な差別と虐待が、日本国の公の機関でなされているということに、義憤を感じていただきたいと願っています。


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「中学入試試験 – 国語」とアイスランド語

2021-08-08 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。コロナ危険地帯のアイスランドよりご挨拶です。




清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Jonatan_Pie@Unsplash.com


いやあ、止まらないですね、コロナ。「昨日の土曜日以降、すべてのルールが撤廃されました。制度上は、というか、ルール的にはコロナ前の生活へ戻ったわけです」などと、のんきに申し上げたのが6月は27日。

それからわずか一ヶ月余りのうちに、アイスランドは再び「コロナ危険国」のライト・レッドフラッグ(上からニ番目の危険度)が立ってしまいました。

とにかく、インド由来のデルタ株、一度侵入されてしまうとあれよあれよと言う間に広がっていきます。七月後半の、アイスランドでの新規感染判明者数のグラフを見ると、いかにこのデルタ株が瞬時に国土を制覇しているかが見て取れます。

先の金曜日から遡る二週間での、人口十万人あたりの感染者指数は421。人口約三十六万ですから、感染者数はおよそ1515人になりますし、実際に隔離生活の入っている人が1421人ほどいるようです。

デルタ株侵入の初期には、病院に入院する人の数は少なかったのですが、さすがにここまで感染者数が増えてくると、入院者も増えてきます。現在は21人の方が入院中、そのうち3人の方がICUに収容されているとのこと。




金曜日の時点でのコロカ関連の統計
Myndin er ur Covid.is



感染判明者数の推移 赤線部の約ニ週間でこの増え方!
Myndin er ur Covid.is


日本の方からすると、それでも「少な!」と思われるでしょうが、八王子の人口二分の一のこちらのサイズからすると、これはもうコロナ患者に関しては手一杯寸前の数なのです。

一時期は「コロナ?もう終わった、終わった」的なノー天気だった社会一般も、ここへきて再び、か三度か四度か?緊張感を持ち始めています。もう一度厳しい制限の下の生活に戻るべきなのか否か...

また、新しいニュースがありましたらご報告したいと思います。

さて、今月初めにちょっと面白い体験をしました。っていうか、そのこと自体はすでに何ヶ月も前に起こっていたのですが、私は知らなかったことなのです。今月初めにお便りをいただき初めて知らされたことです。

昨年の春に、河出書房新社さんより「外国語漂流記– 未知なる言葉と格闘した25人の物語」という本が出版されました。25人の方が、それぞれにご自分が格闘した外国語についての考えや、思い出、学習法などを綴ったもので、中学生を対象にしたもの、ということでした。

で、その中で、私もアイスランド語についてひとつの章を担当させていただきました。この本については、一度書いていますので、詳しくはそちらをご参照ください。

「漂流する二十五人 ... の中のひとりデス」




「外国語漂流記– 未知なる言葉と格闘した25人の物語」


先週の月曜日に教育NPOという団体からメイルをいただきました。藤間寿紀「先生」宛! なんと「先生」おほっ!

内容はくだんの本の「ご執筆になられた文章を某有名私立中学校の入試問題に使用させていただきました。入試問題故、事前のご了解がいただけませんでした」とのこと。

さらに「過去の入試問題として、コピーして配布することも考えておりますので、改めてご了解をいただきたい」ということで、著作権使用料として1000円いただけるそうなのです。

試験問題も添付してくださっていたので、さっそく見てみたのですが、確かに私の書いたものが、あの懐かしい入試の問題になっていたのです! 定番ですよねー、「次の文章を読み、後の問いに答えなさい」で始まる国語のテスト。もう何十年もご無沙汰していますが。

結構長目の引用で、全体の三分の二くらいは使っていただいたのではないでしょうか?そして、そここにあの棒線が引っ張ってあったり、四角の空欄が散りばめられていたりして「試験問題」化していたのでした。

これって、結構嬉しいものですね。感慨すらありますよ。もとの本の趣旨からして、すごく若い年代の人たちに少しでも語学勉強の刺激というか、「ん?」というきっかけを与えたい、という軽い読み物です。

ですから、なんとなくでもいいから目を通してもらえれば御の字。それが入試問題となれば、受験生の皆さん「全員」が、「真剣」に「熟読」してくれるわけですから、これはありがたいことです。

教育NPOさんからいただいたメイルには、もちろん快諾のお返事をし、1000円の著作権料は謹んで辞退させていただきました。




これは本からのチラ見


ところで、私自身、中学校の入試試験問題のイメージというか記憶があまりなく「どんだけ〜?」という感じがしました。こんなに程度が高かったっけ?というのが初めの印象でした。

実際に、問題に取り組んでみたのですが、いくつか答えに迷ってしまうものもありました。いやあ、中学の入試問題が解けない... ということは小学生に負けてる?ギョギョッです。

もうひとつ考えたのは、問題を制作する人は、どういう理由でワタシの文章に行き当たり、それを問題文にしようと思ったのでしょうか? まあ、小学生にもわかる文章、というのは基本的にあるでしょうね。

別にことさら低年齢層を意識して書いたわけではないんですけど... ワタシの書くものはだいたい小学生にちょうどいいくらいだ、ということなのかなあ。嬉しいような、悲しいような。


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櫻子さんとボッシュ、そしてOhtani-san! のいる夏休み

2021-08-01 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

八月です。毎年のように書いてきたことですが、八月の第一の週末は、こちらではVerslumannahelgiヴェルスルマンナへルギ「商人の週末」と呼ばれるお祭りの週末で、月曜日が祝日となっています。

なかなか休みが取れない商店関係の人がゆっくり楽しめるように、という趣旨で始まったもののようですが、昨今は大規模な野外でのフェスがあちらこちらで持たれる週末となっています。

それが昨年はコロナで全滅。今年は! とはりきっていた人も多いのですが、先週書きましたように、こちらでもコロナのデルタ株が急速に広まっており、残念ながら今年もお流れになってしまいました。

野外フェスのメッカと化したヴェストゥルマンナ諸島では、八月の後半に延期して開催、という夢をまだ持っていると聞いています。




清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Thomas_Bennie@Unsplash.com


そのコロナですが、この広まり方は目を見張るものがあります。先週の後半は連日百人以上の新規陽性判明が出、金曜日には新記録の一日145人陽性。現在約千二百人余りが隔離されています。これにより、直近二週間での人口十万人あたりで感染者指数は286となりました。

これは相当高い数値なのですが、例えば東京都と比べてみましょう。東京ではでは昨日は新規感染者4000人超えということでしたが、7月17日から30日までの二週間を見ると、トータル約27202人となります。これ公式のサイトのグラフで調べたのですが、17日だけ数値がはっきり記載されておらず、グラフの高さからの推察しました。

東京の人口を大雑把に一千万人として計算すると、人口十万人辺りでは272人となります。ですから、今のアイスランドの感染指数286というのは、今の東京を超えるレベルということになります。

それでも、こちらでは病院に入院する人は少ない、と前回書きましたが、ここ数日で入院者数も多少増加し、現在十人が収容されており、うちおふたりがICUに入っているとのこと。

というところでコロナの情報はおしまい。(さすがにウンザリ)





一時期減力していたマグマ復活! 同僚牧師さんがハフナフョルズルという町から月曜日に撮ったもの
Myndin er eftir Sighvatur Karsson

さて、なんとワタシは今、「夏休みー!」なのです。ようやく先週の木曜日から。その直前一週間は、高校時の期末試験前のがんばりで仕事に取り組み、ようやく「ここまでは」と決めていたラインまでこなすことがでたので、そのままお休み入りしました。

正直言って、考えていたより早く休みに入れるので嬉しいです。一時期は「休めないかな?」とさえ考えていましたから。

ようやく待ちに待った休暇!というような時には、アイスランド語ではLangthrad friラングスラウズ・フリイという言葉を使います。「長く」「渇望されていた」「休暇」ということを意味します。

休みは十日間、のつもりでいたのですが、この熱血頑張りによって十二日間に延長できそうです。もしかしたら十四日間に再延長するかも。

日本の皆様からすれば「ゆったりとした夏休み」と思われるでしょうが、こちらではガッツリ一ヶ月、みんな休みます。法律で決められていますから。実は、私たち牧師業は六週間まで休みを取ることができます。実際に、私の居候先の教会の牧師さんは六月半ばからこの週末明けまで夏休みです。

ですから、私の十二日間、などというのはまだまだ日本的なメンタリティ?を背負ったものなのです。私は働き詰めには賛成しませんし、一ヶ月休むくらいが健全だと思っています。それでも、さすがに六週間は難しいな、私には。

さて、夏休み。本来なら日本へ帰省したいのですが、こういう状況下ではまだそれは不可能。天気がいいので国内旅行は可能ですが、ひとつ問題があります。誰と行くのー?ショボッ...

思い出すのは去年ですが、去年は仕事のストレスと疲れがハンパなく、確か七月の上旬で「もうダメ... 」と ギブして夏休み入りしました。二週間、本当に何もしないで過ごした覚えがあります。

今から思えば、多少ウツの入り口まで行っていたんでしょうね。

浜のアザラシ、陸のナマケモノ




アニメ、そしてドラマにもなった櫻子さんストーリー


幸い今年はそこまでは行っていませんでした。そこでまずは読書三昧。読みたかった本がいくつかあり、しかも読むだけではなく「浸りきって」読みたかったのです。

初めに読んだのが旭川のご当地物語りの「櫻子さんの足元には死体が埋まっている」の最後の三巻。太田紫織さんによるこのシリーズ、2013年の冬から今年の冬にかけて八年間続きました。計17巻まで行ったか。

語り手の高校生正太郎君とそのスクールメイツ、そして個性的な美人骨学者の櫻子さんを中心とするミステリーです。物語りは正太郎君の高校生目線で語られていくのですが、正直言ってこれが結構面白いのです。六十過ぎのおじいさんにとっても。

なぜなら、おじいさんは自分ではおじいさんと思っていないからです。六十になったくらいで、自分の中の「高校生」「大学生」がきれいになくなってしまうものではありません。いくらでもフラッシュバックできるのでした。

ストーリーもよく練られていて、深い部分もあるし、読んで楽しかったですね。終わってしまったのが、ちょっと残念ですが、「高校生が大人になっていく」という「成長」がストーリーのキーでもあるので、ここで(少なくとも第一部は)おしまい、というのは仕方ないところでしょう。

次に読んだのは、これもお気に入りのシリーズでマイクル・コナリーによるハリー・ボッシュ刑事シリーズ。コナリー(コネリー)ものはだいたい面白いのですが、その中でもボッシュものはピカイチで、彼は私のヒーローです。

Connelly World & Harry Bosch




TV化したBoschもの この俳優さんのイメージはワタシ的には違う


今回読んだのは、最新作ではないのですが、最新作から遡って最近の四冊。ボッシュものが三冊なのですが、その間に新ヒロインのレネイ・バラード刑事ものの第一作が挟まれます。ボッシュものの最新作は今、日本からアイスランドへの途上です。アマゾンで買ったので。

ボッシュは長年LAPDの腕利き刑事でしたが、昨今はいろいろとトラブルがあり、現在はサンフェルナンドというLAの中の小島のような市の嘱託刑事兼プライベートアイという設定。

以前書きましたように、007とかと異なり、ボッシュは普通に歳を重ねていくので、現在は六十六、七歳になってしまいました。当然、彼の働きにも年齢は影響を与えてきます。事件解決のために協力することになったDEA(麻薬捜査局)のエージェントは、ボッシュが若くないことを知り、「思いがけなく理想の潜入捜査官候補を得た!」と小躍りします。「この歳で潜入調査ができる奴なんていない」とかで。

潜入捜査は結果うまく行くのですが、その後の展開の中で、ボッシュはいくつかミスを犯し「もう引退すべき潮時か?」と自問します。

そんな彼を、デビューしたてなのに、ニ回目の作品で早速コラボ登場のバラード刑事が「あなたのような人はまだ必要」と言って励まします。そして、今、私の元へと飛んでいる最新作でもふたりは共演することになっています。




ワタシ的にはボッシュ役には断然トム・ベレンジャーが適任 年齢の問題はあるにしても


多分、ボッシュを以前のようには縦横無尽には動かせない、と考えた作者コナリーが、ボッシュの若返り分身としてバラードを持ち出したのではないかと推察します。だって、キャラがよく似てますから、このふたり。

櫻子さんものと合わせて、計七冊を四日間くらいで「浸りきって」読んだのですが、これこそ夏休みの醍醐味で、日常の現実からきれいに逃避できます。その合間合間にオリンピックのニュースとOhtani-san! の快投快打のニュース。

いい夏休みです。まだ数日残した時点で、すでにエネルギーは相当回復していますし、肝心なストレスの方もかなり払拭できています。去年とは大違い。

日本ではまさに酷暑のピークかと思いますが、引き続き熱中症とコロナに十分気をつけてお過ごしくださいますよう。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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コメント (3)
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