レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アズベンタ - 飾り付けの心得

2022-11-28 09:44:16 | 日記
こんにちは/こんばんは。

今、これを書いているのは27日の日曜日、夜の9時を回ったところです。昨日、少し冷え込んだと思ったら、レイキャビクの郊外にあるエイシャという山の上半分が真っ白になっていました。

そして今日の朝、「真っ暗」な中を朝9時に教会に着いてみると、駐車場から庭まで真っ白に霜が降りています。やっと遅い冬の到来のようです。もっとも、今「真っ暗」と書きましたように、日の長さ、短さはズレることなく毎年確実にやってきます。




レイキャビク、ダウンタウンの人喰いネコ


前回書きましたように、今日の日曜日から教会は新しい年に入ります。今日からがクリスマスに備えるためのAdventaアズベンタ(英Advent)「待降節」という期間になり、これがクリスマスイブまで続きます。

正確に言いますと、教会の暦は古来のユダヤ式の一日の測り方に従っているので、一日を午前0時から24時まではなく、日没から日没までとします。ですから、アズベンタも昨日の土曜日の夕から始まっていることになります。

ちなみに、それ故クリスマスは24日のイブと25日の二日にまたがっている(かのように)見えるわけです。実際は、というかユダヤ式に数えれば、これは25日一日のことになるのです。

私は毎年、きっちりと十一中旬までに、一応の家の大掃除とクリスマス用の飾り付けを準備しておきます。そしてアズベンタの始まる土曜日の午後6時に「スウィッチ・オン!」にして飾りの灯りを点灯します。

本当はそういう準備をするためにアズベンタがあるのですから -これも正確に言うと、別にそういう飾り付けのようなことが教会でいう「クリスマスの備え」ではなく、もっと内面的なことを指すのですが- そんなに焦る必要はありません。




西街古アパートの恒例のアズベンタの窓飾り


ただ、かつてはこのクリマス前の準備の中に「クリスマスカード書き」という大仕事があり、この作業を落ち着いてするためには、他の「雑事」を早々に終えておく必要があったのです。そのためアズベンタの飾り付けは十一月中旬に終わらせる習慣ができたのでした。

クリスマスカードというのは、私の場合は実際は封書で、アイスランド国内で百通くらい、日本向けが六十くらいはあったと思います。これらに宛名を書いて、切手を貼って、というのは「労働」でした...

いつの頃からか、E-メイルがカードに取って代わり、さらにメイルが他のSNS的な通信手段に変わっているのは皆さんのご常識。ワタシ的には楽になった部分と、ちょっと残念な部分の双方を感じています。

さて、先週のことなのですが、ふたつのアンケート調査に協力する機会がありました。ネットでのアンケートです。どちらも健康状態に関するアンケートで、ひとつはアイスランド大学からで、もうひとつはアイスランドのLandlaeknisembaettidランドライクニスエンバヒティズという、なんというか、国のお医者さんのトップの監督オフィスのようなところからのものでした。

双方ともかなりの質問量があり、答え終わるのにそれぞれ十五分以上かかりました。ただ、内容的にはかなり似通ったものが多かったですね。だいたいふたつのカテゴリーで、肉体的な疾病の記録とか様子に関するものと、精神衛生というか、不安やストレスの状態に関するものです。




これも拙宅の飾り付け ツリーは32回目のクリスマス

面白かったのは精神衛生に関する質問群の方でした。
Q: あなたは現在の生活に満足し、幸せを感じていますか?
A: はい、とても。
Q: あなたは、仮にもう一度生き直すことができるとしても同じ人生を選びますか?
A: はい、確かに。
Q: 職場での人間関係や仕事をめぐる環境に満足していますか?
A: はい、とても。

実際の言葉はこの通りではなく、いろいろな答えの選択肢の中から一番適するものを選ぶという選択式だったのでうが、内容をまとめるとだいたいこういうことでした。

続いて別の角度からの質問。
Q: 日常的に不安や心配を感じることがありますか?
A: はい、毎日のように。
Q: ストレスや不安のために眠れないことがありますか?
A: はい、ほとんど定期的に。

これらは、数多くの質問の中からのいくつかに過ぎませんが、この部分を答えていて自分でも笑ってしまいました。だって始めに答えていることと、次に答えていることが明らかに矛盾しているじゃないですか!

生活や仕事環境に満足している男が、日常的に不安や心配を感じ、そのため眠れない夜もあるということになります。答えだけ読んだら「こいつ、頭の思考回路がショートしてるんじゃないの?」とか。

選択式に加えて、特に説明をつける機会も与えられないのでこういうことが起こり得ます。

この理屈が合わないような答えの真相は単純なものです。私は実際にそこそこ幸せな生活をしていると思っていますし、仕事もこのうえなく大好きな職を与えられています。仕事の「出来」に関しては不満足がきりがありませんが、それは自分の才能の不足故ですので次元の違う問題。

その一方で、日常的に不安や心配を抱えているのも事実です。寝付けない夜もあります。嘘ではまったくありません。どういうことかというと、要するに私が不安を持ち、心配しているのは私自身や私の生活ではなく、私の周囲にいる人たちのことなのです。

こういうことを言うと「なんだ、『良い人』ぶりやがって、気に入らねえ」と罵声を浴びるかもしれませんが、それがポイントではないのです。「自分はいいんだけど、周囲が心配」という状況にある人は存外多いものと考えます。




気分一新用ピック
Myndin er eftir Jonatan_Pie@unsplash.com


お医者さんをはじめ医療従事者の方々、介護や障害を持つ人々へのサービス従事者の皆さん、なんらかの更生施設で働く方々、等々。

そういう方々の中の相当数は、もしかしたら「自分の生活にも不安があるが、周囲の人たちの心配もする」という厳しい現実に直面されているかもしれません。私の場合は、その点自分の心配はないという「楽なバージョン」(少なくとも今は)ということになるのでしょう。

私が心配をしている人たちは、具体的には圧倒多数が難民申請者の人たちです。かつ、その申請が拒否されて国外退去、もしくは強制送還に直面している人たち、さらには実際に送還されて別国で路頭に迷っている人も含まれます。

コロナが明けたところで、これまで滞っていた送還が大規模に再開しはじめました。ここのところ、その関係の相談が多く正直言って疲れ始めています。今日はアズベンタの第一日曜日の楽しい集会だったのですが、集会後に子供五人を抱える夫婦が申請拒否になったことを伝えてきました。

やれやれ... お昼に日本がコスタリカに負けてがっかりしていたのですが、それが消えてしまうような、さらに大きなガクンに見舞われました。まあ、今夜は考えず、夜が明けてから(夜はなかなか明けない時期です(^-^; ) 改めて仕切り直しをして考えるつもりです。

「アズベンタの初日からこれかよ」と思ってしまったのですが、このアズベンタとは実は「これは我らの神の憐れみの心による。この憐れみによって、高い所からあけぼのの光が我らを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く」(ルカ福音書1:78-79)ということが神より示された時期なのです。

ある意味、アズべンタこそ困難に直面し、暗いところへ押しやられている人々のことを思い向き合う時期だといえます。そしてそこから逆に今の自分自身の有りようを見直し、感謝したり正したりしていくことができます。

それこそが「クリスマスへの備え」ということであり、ツリーやイルミネーションの飾り付けよりもはるかに大切なことになのです。

というわけで、明日からホントのアズベンタの二日目だ〜!ということになります。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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アドベント W杯 そこに生きている人々

2022-11-22 01:08:43 | 日記
こんにちは/こんばんは。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Cassie_Boca@unsplash.com


十一月もあと一週間あまり。レイキャビクでは相変わらず5〜9度くらいはあるような比較的暖かい日が続いています。それでも風が吹くと、さすがにサムっ!という具合にはなってきました。ちなみに私はまだシャツは半袖で過ごしています。

個人的には -これも相変わらずですが- 慌ただしい日々が続いていました。最近興味が「復活」したのがNFL 、つまりはアメリカン・フットボールなのですが、これは雑事を忘れるにはもってこいのエンターテイメントで、ここんところ日本のバラエティ番組を抑えて、私のプライベート時間消費のトップに立っています。

高校生の頃、初めてアメフトというものをテレビで見始めたのですが、その頃は相当ハマってボールを買い込み、学校でタッチフットなどをしたりしましたね。その頃からミネソタ・バイキングスというチームがひいきだったのですが、今年はそのバイキングスが久々に強いチームなりました。

これまで8勝1敗でリーグトップを走っていたのですが、昨日(日曜日)のダラス・カウボーイズ戦では40:3というコケ負け。暗い月曜日だ...




バイキングスのQB カズンズ (ウソウソ)


そういえばワールドカップも始まりましたね。あまり盛り上がっていません。私自身も入れ込んでいません。

なんで入れ込めないのかというと、まずは時期的なもの。私は教会で働いているのですが、教会では実は昨日の日曜日が一年の最後の日曜日。来週からは「新年」に入り、Adventアドベント「待降節」というクリスマスに備える時期が始まります。

で、今回のワールドカップ、まるまるとこのアドベントに被さっているのです。アドベントというのは、こちらでは家族でクリスマスの準備をする楽しい時期です。だから日曜日には、小さな子供さんとかのいるお父さん方は、子供連れでツリーの点灯式に行ったり、クリスマスの買い物に行ったりする時期なのです。

カタールとアイスランドの時間差は三時間。カタールの方が先行しています。だから試合開始が夜の7時とすると、こちらの夕方の4時。試合が見たいお父さんは悩むだろうとお察しします。子供を取るか、観戦を取るか...

日曜日に関して言えば、私の担当する礼拝は午後2時からなので、これも試合時間に引っかかるものがあります。えーい、迷惑千万な話しだ。礼拝を取るか、サッカーを取るか、では人は迷わないのです。アイスランドでの教会の宿命:「好天とW杯には勝てない」

てなことをいうと「そんなのはキリスト教中心の、それこそ勝手な話しではないか。世界にはイスラム教徒や仏教徒だってワンサカいるのだ。スポーツ競技の日程がイスラム教徒のラマダーン(断食の時期)にぶつかっていることだってあるのだぞ!」

まあ、それは確かにそうです。これは事柄の正当性というよりは、都合が良いか悪いかということの問題ですね。




先週の土曜日、ダウンタウンのクリスマスキャットの点灯式
Myndin er RUV.is


もうひとつ私が今回のワールドカップに入れ込めない理由。これは私個人というよりは社会的に取り上げられている問題ですが、カタールという国の人権問題です。この点は日本でも相当報道されているでしょうから、くどくどとは述べませんがポイントだけ。

第一はW杯開催に直接関係していることで、競技場や関連施設の建設現場で、多数の移民労働者が劣悪な労働条件の下で生命を失っていることです。イギリスのガーディアン紙によるとW杯開催決定以降、6500人もの移民労働者が亡くなっているとのこと。

カタール政府は「そんなに多くはない」と抗議していますが、ILO(国際労働機関)も「亡くなった労働者の数は、カタール政府の公式発表よりは多い」としています。

移民労働者に関しては、亡くなった方の数だけではなく、負傷した人や低賃金、給料不払い等々の問題もかなり指摘されています。

第二は性的マイノリティの人たち -LGBTQ- に対する差別問題です。これは決してカタールだけの問題ではなく、イスラム教国全般の中で共通するものがありますし、実際にはキリスト教会の中にも同じような考えを持っている人はあります。

ですがカタールだけに焦点を当てると、同性愛行為は違法行為になり処罰の対象になります。これは国の法律(市民法)。イスラムの宗教法であるシャリアではさらに重い罪とされ、死刑を課せられることもあります。





ジュールリメ杯
Myndin er eftir Rhett_Lewis@unsplash .com



私自身はカタールに行ったこともないので、ここから先は単に報道で見聞きしたことになるのですが、LGBTQが法律で処罰対象になることだけが問題なのではなく、一般の市民生活の中で、はなはだしい差別、嫌悪があり、性的マイノリティ者だけではなく、時にはLGBTQへの支持を表明する人の身の安全が脅かされることがあるらしいのです。

「国」というよりは「市民」の中にそのような差別思想があるということですね。イスラム教「だけ」バッシングにならないように言い添えておきますが、同様な偏見差別は、例えばキリスト教文化の下にあるアフリカの国の中にも非常に根強くあります。「例えば」ですよ、アフリカだけではありません。

その三。ジェンダー間の不平等。もっと単純にいうと女性の権利の脆弱なこと。先日、イラン人の知り合いから聞いたのですが、イランでは女性は夫や父親の同意書なくしては海外旅行へ行けないとのこと。カタールでも同様のようです。

婚外での性行為はもちろん禁止されており、女性が婚姻関係外で妊娠した場合でも処罰されるそうです。これがですねえ、同意による性関係だけではなく、レイプの場合も同じなんです。

女性がレイプ被害にあった場合、これが「婚外性関係」とみなされ、被害者であるはずの女性自身が裁かれます。何年か前にノルウェーの女性がドバイでレイプ被害者となり「有罪」とされた事件があり、こちらでは相当大きなニュースとなりました。

ノルウェー政府の努力でその女性は「恩赦」をもらい帰国できましたが... 被害者を有罪にしておいて「恩赦」とは笑わせるな、と言いたいですね。

さて、これらの問題、アイスランドではかなり議論の俎上に上がっています。周囲のヨーロッパ諸国でも同様のようです。実際にはカタールの人権問題に加えて、FIFAの内部腐敗も槍玉に上がっており、これもW杯盛り上がり不足の要因となっています。




イランxイングランド戦 国歌斉唱を拒否したイランチーム
Myndin er ur CNN.com


伝わってきているところでは、パリとかではサッカーのW杯やヨーロッパ杯では恒例の、屋外でのパブリックビューを今回は設置しないとか。レイキャビクでもロシア大会の時は、ダウンタウンの広場でパブリックビューがあったのですが、どうするんでしょうね。

現市長のダーグルさんは人権派(気取り)なので、おそらくパリの真似をするのではないかと思いますが...

「スポーツに政治を持ち込むな」という声をよく聞きますが、実際にはそんなに簡単に線引きできるものではないようです。

その関連でひとつ。月曜日に行われた試合のひとつ、イランvsイングランド。イランチームは試合前の国歌を歌いませんでした。言わずもがなですが、イランチームは今の「イラン国家」を支持していないことをこの行為で世界に示したのでした。

スポーツは基本的にそうなのでしょうが、サッカーは特に庶民に結びついていますからね。政治というよりは、「人々の生活の有り様」からサッカーだけを切り離すということは土台無理なことなのでしょう。

今回はアイスランド代表は予選を通過できませんでした。そういうこともあり「オイラは今回は一試合も観るつもりはない」という人も周囲にちらりほらり。「こうしなければいけない」となってしまうと、それはそれで問題でしょう。私は日本を応援しますし、サッカーの試合そのものを批判するつもりはありません。

ですが、カタールでの開催を決めたことを含めて、FIFAは「ハルクにぶっ飛ばされろ!」です。


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「準」高齢者と映画のエキストラあれこれ その2

2022-11-14 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。「準」高齢者です。

さて、今回は前回の続きで、最近参加してきた映画の撮影ロケにまつわることです。参加といっても、もちろん「その他大勢」の中のひとりのエキストラ役ですよ。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Cosmic_Timetraveler@unsplash.com


そうなんですがー....

映画の撮影とかって、たとえ末端のエキストラであっても一応の「守秘義務」というものがあり、たとえば撮影合間に撮った写真やビデオを勝手にSNSとかに公開してはいけないことになっています。

誰が主演するものなのかとか、撮影合間の雑事はそこに含まれないと思うのですが、一応日本のネットで確認すると、まだ今回の映画のことはまったく紹介されていないようなのです。

普通、いの一番に制作発表とかするものと思っていましたが、違うのかな?門外漢なのであまり確かなことは存じません。

ということなので、一応大事をとって、ここでも曖昧な形で書かせていただきたいと思います。こんなマイナーなブログで書いたって、まったくなんの影響もないでしょうが、そこが最近流行りの「コンプライアンス」というものでしょうから...

前回は、この映画に主役する俳優さんのアシスタント役をお断りしたところまでお話ししました。「ADさん役なんてまっぴら!」みたいなニュアンスで書きましたが、実際はこの俳優さんはきちんとした方らしく、私が勝手に想像していたようなことはなかったみたいです。

それでも、アシスタント役は私なんぞよりもよほどしっかりしたバリバリの方が務めていらしゃいますので、結局断って正解だったようです。

で、もうこの撮影とは関係なし、と思っていたのですが、十月の末になってまた前回の女性スタッフから電話。「なかなか十分な数の日本人の人が集まらないので、ぜひ助けて欲しい」と。「ママ(ミレヤさんというアーティストでバルタザール監督のお姉さん)もぜひにと...」いや、別にママとはそういう関係ではないから。

何度も書きましたが、在アイスランドの邦人の方は決して多くありませんし、その中でも男性は二割程度です。かつ、今回は特に「熟年以上の男性が必要」ということでした。そうなると、ここでは究極の希少生物。数合わせが困難であろうことは容易く伺い知れます。

で、親切でお人好しであるワタシは、加えてあわよくば銀幕デビューしたいという下心があったこともあり、エキストラで参加することにしたのでした。

すると、担当スタッフが交代して、今度はエキストラ手配専門のシグルンさんという女性から連絡がありました。ここにきて、どういう方々がエキストラ参加される予定かがわかってきました。




この手前のビルに参集 これは完成予想図で実際はまだ作業中
Myndin er ur Rvksutudios.is


撮影は三週間ほど連日行われるらしいのですが、私が参加したのが11月の2日の水曜日。予定は朝の8時から夜の8時まで。十二時間の拘束ですね。それでも実労は二時間もいかないことでしょう。

この日の撮影は、ロンドンにある日本居酒屋でのシーンということで、「かなり日本人の頭数が必要な場面」らしかったです。参加者リストを見ると、顔見知りの邦人の方が相当数。私が存じ上げないお名前もちらほらありました。

ホッとしたのは、これなら少なくとも話し相手には困らないだろうな、ということ。コロナのおかげで、他の日本人の
の方々と会う機会が激減していましたので、久しぶりに会って話しができるかと思うと、むしろ嬉しくなるくらいの気分。

日本大使館のスタッフの方のお名前もありましたので、ちょっとビックリしましたが、後で訊いてみると「いやあ、大使館総出で応援してみたいな感じです」とか。

もちろん、その方は有給を取っての参加ということでしたが、今の鈴木大使はご自身もツイッターでつぶやきまっくていますし、とても積極的にアイスランドとの共働分野を開拓しようとされているようです。

さて、今回の撮影はレイキャビクのかなり外れの方に位置するスタジオで行われました。もう隣りは海というくらいの外れ。そこに行くのは初めてだったのですが、大きなドーム型の体育館のような建物がいくつか建っている地域。

なんかハリウッドの映画会社の写真とかで見るような、そんな感じのエリアを作っている最中のようです。私たちが始めに集められたビルは、まだすっかり完成はしていませんでした。

後から知ったのですが、このスタジオ(地域)は、バルタザールさんがレイキャビク市と協力して建設しているものだということです。バルタザールさんは、お金の捻出力に定評がある人なのです。




これは撮影用の巨大なドーム内
Myndin er ur Productionparadise.com


で、入っていってシグルンに挨拶。結構カワユイ。しばらく知り合いの日本人の方々とおしゃべりし、かつ存じ上げなかった方々とも挨拶したりして、すっかり待ちモード。

その後、簡単なメイク。五分で終了。男はいつもこう。そして衣装。普通のスーツ。役どこは仕事帰りに一杯やるサラリーマン。スーツだったら自分で持って行くけど?とお伺いを立てていたのに。

他のロケでも共通しているのですが、撮影のスタッフさん、人まとめのシグルンさんのような人や、メイクさん、衣装さん、ADの方、総じてとても丁寧に感じ良く応対してくれます。

アイスランドって、普段あんまりそういう雰囲気じゃないから、すごく際立って感じられるんですよね。意外というか、ロケ文化ってやはり国外から来ているのかな?とか。

それと、このスタジオ。使い始めてすでに三年くらい経つということでしたが、暖かいし、トイレもきちんとしているし、例外的といえるくらいに心地良い場所です。これなら多少の待ち時間は耐えられる。

午前中は何もなく、ランチを支給され、午後になってからやっと撮影現場へ。撮影現場は隣りにある「体育館」の中です。そこにロンドンにあるという設定の「日本居酒屋」が作られていました。




撮影用の居酒屋のセット内 これはニュースでも流れていたので解禁写真かと


ちなみに、この場面は1969年の時代設定ということで、用意されていた広告とか小道具もその時代風のものばかり。この「居酒屋」については、数日後に国営放送RUVのニュースで紹介されていましたので、私の撮った内部写真も添えておきます。これは「守秘」のうちには入るまいと。

そこで、私にとっては同じように見えるカットを、いろいろな角度から何度も何度も撮影。休憩を含んで二、三時間かかったでしょうか?ワタシは他の皆さんよりも早めにクビというかお役御免になり、7時半くらいには帰路に着くことができました。万歳。

約半日の拘束で、もらえるのは二万クローナ、オンリー。お金のためではないことがおわかりいただけるかと思います。

この撮影は、年が明けてから日本へ行くそうです。公開されるのは来年の秋とかだそうで。気が長くなる仕事ですね。

主役の俳優さんは、もとアイドルで皆さんおそらくご存知の方です。ヒロインの若かりし頃は、Sで始まるグループにいたあの国民的スターの娘さん。そのお母様も撮影現場にいらしゃってましたね。この方も知られた人で、やはりオーラがありました。(若い!)

ところで、RUVのニュースで「居酒屋」が扱われた時に、原作Snerting「触れ合い」の著者オーラブル・ヨハン・オーラブスソンさんもインタビューされていたのですが、映画のストーリーはやはり原作のままではなく、オーラブルさんとバルタザール監督がふたりで練り直したのだそうです。

原作の10ページ目で止まっているワタシには、話しがどう変わろうが蚊帳の外なのですが、映画公開前には読み終えている「つもり」です。

今回は、ロケ現場で久しぶりに会えた邦人の人が多かったこともあり、ワタシ的にはかなり楽しく時を過ごすことができました。文句なし。あとはなんとか、スクリーン上に生き残っていたいものです。今度こそは。あまり期待してはいませんが。(^-^;


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「準」高齢者と映画のエキストラあれこれ

2022-11-12 17:43:33 | 日記
こんにちは/こんばんは。

前回の更新が先月末のハロウィーンの日でしたので、なんと十一日間も間が空いてしまいました。十年間のこのマイナーブログ史の中で最長の間(ま)だと思います。

いろいろ起こった日々だったこともあり、「アレっ?」と思っているうちに十日以上が過ぎてしまっていたのです。

「いろいろ」というのは、仕事関係のことや社会での出来事から、プライベートに至るまで「いろいろ」だったのですが、とにかくこの一週間余りは大好きな日本のバラエティ番組すらろくに見ていない、という日々になっていました。

プライベートなことのひとつは、また一歳古くなったことで、どこぞの教会にもあるFelag Eldriborgaraフェアラーク・エルドリボルガラ「高齢者会」までリーチとなったことです。本人は否定していますが...

なーんて書くと「オマエは高齢者を否定的に捉えているのか!」と糾弾されかねないですね。高齢者をネガティブに見ているわけではないのです。ですが、なんというか、周囲の人が「赤いチャンチャンコ」を受けるのは祝しながら、自分に回ってくると逃げ出したくなるみたいな...

同(おんな)じことではないか! スミマセンm(_ _)m




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Lorenzo_Castagnone@unsplash.com


さて、プライベートなことをもうひとつ。映画のロケに参加してきました。もちろん「その他大勢」の中のひとりで、実際に映画が完成した際にスクリーン上まで生き残っているかどうかはわかりません。

ロケ参加はひとつ、編集を生き残るか否かは別のことなのです。このことは承知してはいるものの、前回の「立ち上がる女」という映画で大ズッコケしたのはショックでした。(^-^;

大使公邸ランチレポート 料理の写真はないけど!


で、そん時思ったのです。もう、や〜めた!ロケのお手伝いはもうしない。

映画のロケって、ちゃんとした俳優さんとかはまったく別の世界ですが、エキストラのレベルではそんなにエキサイティングなものではありません。ひたすら待たされて退屈する。周囲にたまたま気の合う他のエキストラさんがいればラッキーですが、話し相手がいない時もあります。

何年か前にNetflixのSF的番組かなんかのロケに行ったことがあります。私はNetflixはアクセスがないのでまったく知らない番組でしたが、子供たちは「え〜!」と言っていましたので、知られた番組だったようです。

その時は30人くらいのエキストラさんが夕方からバスに集められて、エイヤバッキというレイキャビクから一時間弱の海岸沿いの町へ。

結構すごかったですよ。町中がロケ現場になったかのような騒ぎで、無数のロケ関係のバスやトラック、テント、大きな照明。そういう中のタウンホールみたいなところで待機。

周囲のアイスランド人のエキストラさんたちは、顔馴染みが多いらしく、出来上がったグループみたい。歌を歌い始めてご機嫌な様子でした。エキストラ仲間なんでしょうね。他の若い男の子は女性のエキスストラにナンパを始めたりして、それぞれに「目的」を見出しているようで。

三時間くらい待った挙句に「すみません。今夜の撮影は延期。明日また来れますかー?」エキストラの中に子供が何人かいたのですが、夜十時を過ぎたら子供達を働かせることは違法。で、撮影延期となりスゴスゴとバスで帰路へ。もちろん私は翌日は行きませんでした。




「立ち上がる女」ロケ地のシンクヴェットリル国定公園
Myndin er eftir Tucker_Monticelli@unsplash.com


また、ロケ地によってはトイレとかが簡易式しかないことも多くあります。前回の「立ち上がる女」はロケがシンクヴェットリ国定公園の中でしたので、待機はロケバスの中、トイレは男女兼用のボックスが外にふたつのみ。こういうのは、あんまり好きでないデス。

ただ、その時はエキストラの中の「上」扱いだったので、待機は「良い方」のロケバスに潜り込めました。コメディアンでレイキャビク市長も務めたヨウン・グナウルさんとか一緒にいたので、結構面白い時間を過ごせました。そういうこともあります。

ただその延長で「今回は銀幕登場」という気になってしまい、全カットの憂き目にあってガックリなのでした...  油断した。

そういう悲劇のプロセスを経たワタシは、もう金輪際エキストラの仕事はしない、と心に固く誓ったのでした。「仕事」といっても、お金のためにやっているわけではなく、「アジア系の人もいて欲しいから」という要望にお助けをしているだけのことが多いのですから。

そして、この六月くらいでしたか、映画関係者の女性から連絡がありました。「バルタザールが新作を作っているのだけど、日本のレストランが出てくるので、ロケ参加してもらえませんか?」

バルタザールというのはBaltasar Kormakurプロデューサー/監督のことで、Mryn(Jar city)「湿地」を始め人気のある映画やTVシリーズを手がけている人です。

その時はバックプレイヤー(要するに背後のエキストラ)かセリフ付きのチョイ役ということだったのですが、チョイ役にはもちろんオーディションがあります。撮影は十月か十一月になるということでした。

とにかくウクライナ難民の仕事が、まだ先が見えていない時期でしたので「忙しいので手伝えない」とお断りしました。なんという映画だったのかも知りませんでした。




バルタザール・コウルマクル監督/プロデューサー
Myndin er ur Wikipedia.com


その後、九月になって再び映画関係の女性スタッフから電話がかかってきました。「バルタザールの映画のロケがあって、ぜひ日本人の助けが必要なんです」ほらきた、エキストラ要請。と、思いきや今回はちょっと違うお話し。

実は、バルタザールの名前を聞いていたにもかかわらず、私は六月の電話のことをすっかり忘れており、このふたつを頭の中で結びつけてはいませんでした。

「映画は小説のSnertingスネルティング『触れ合い』の映画化で、監督はバルタザール。舞台はロンドン、アイスランドそして日本なのですが、ここでのロケが十一月に三週間くらいあるんです」

Snerting!!ちょっと関心が出てきました。これはコロナが出てきた2020年の夏から始まるオーラフル・ヨハン・オーラフスソンという人の筆による小説で、とても人気のあるものです。このブログでも書いたことがあります。

Snerting シルバー世代へのエール??


読み始めたのですが、実は初めの十ページくらいでいまだに止まっています。一年と九ヶ月... (恥)

「で、日本から主役の俳優さんが来るのですが、その方がこちらでの滞在中に右腕となってくださるアシスタントを探していて... 」

アシスタント!? 冗談じゃない。要するにADさんみたいなことでしょ?多分、アイスランドの映画関係者はご存じないのでしょう、日本のADさんの過酷な仕事ぶりを...




バルタザール監督のお姉さんはアーティストのミレヤ・サンパー
Myndin er ur Visir.is


すると電話口の女性は「私のママがミレヤ・サンパーなんですが、母が『トシキこそ第一に依頼して』というので...」

ミレヤ・サンパーさんとうのはこちらのアーティストなのですが、日本にも関心があって、日本で個展を開いたこともあります。以前、日本語関係でお手伝いしたこともあり、もう十年以上の知り合いです。

そして、そのミレヤさんはバルタザールのお姉さんなんです。「やれやれ〜 ƪ(˘⌣˘)ʃ (クレヨンしんちゃんのテイで) 弟の作品をお姉さんがアシストして、そのお姉さんの娘が連絡してくるってか?いゃ〜ん、まさにアイスランドだ〜。 

もちろんお断りしました。三週間張り付きということだったし、できるわけがない、仕事があるんだから。

というところで、長くなりましたのでここで一応終了しておきます。続きは間をおかずになるべく早く更新します。よろしくです。m(_ _)m


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