アドヴェントに入りました。馴染みのない方が多いかと思いますが、アドヴェントというのはキリスト教の教会歴の中の言葉で、待降節・降臨節とも呼ばれます。クリスマスから遡って4回目の日曜日までの四週間強の期間を指します。もっとも全ての教会においてアドベントという季節があるわけではなく、主にローマンカトリックの流れの教会においてです。
アドヴェントのことをアイスランドでは「ヨーラ・ファスタ」Jola Fastaとも呼びます。Jolaはクリスマス(jol)のことでFatsaは断食のことです。もともとはクリスマス後に洗礼を受ける人たちが断食をして備えたためのようですが、アドヴェントはクリスマスはキリストの生誕を感謝し祝う祭りですので、それに備えて断食をして心身を備える、という清貧の時期にふさわしいものとして受け継がれたようです。
もっともアイスランドの現実のアドヴェントは他の世俗社会同様で、清貧どころかクリスマス特需とでも呼べるような消費の時期になっています。それでも「この時期は肉類は口にしない」という主義を貫いている人も時々は見かけますが。
個人的は「断食」と「肉を食べない」とはそもそも意味が違うような気がするのですが... 断食とは生きるのに必要な食物を最小限に控えることで、「食べる」「生きる」ことを当たり前としない原点に帰る意味があると思います。
それに対して「肉を控える」というのは、肉好きな人にとっては多少の禁欲、肉の嫌いな人にとっては全く痛くもかゆくもないことを意味するくらいでしょう。「禁欲」ということがヨーラ・ファスタの中心とは思えないのですが、まあ、人によっては良い意味のあることなのかもしれません。
アドヴェントにはまた別の意味もあります。冒頭で「教会暦」という言葉を使いましたが、これはキリスト教会で使う宗教的な暦のことです。その暦ではこのアドヴェントから新しい一年が始まることになっています。つまり教会のお正月というわけです。
そういうこともあって2014年はどんな年だったかなあ?ということを、先日、普通より少し早いですが考えていました。実際にどういうことが起こったか、とは別の意味で強く印象に残っていることというものがあります。
私の場合、この一年で強く印象に残っているのが「電話で嬉しい知らせを受ける」ということでした。実際には毎年何回かはそういうことは起こっているはずなのですが、なぜか過ぎた一年ではそれがことさら印象に残っているのです。
嬉しさにも松竹梅、というか上中並、大中小?がありますが、「嬉しさ格別」ということでいうと、三回そのような機会がありました。
一回目は一月でグルジアからの難民の女性からの電話でした。この人は難民申請をして拒否されていたのですが、それでも無国籍者として八年間もアイスランドで働いていました。昨年夏に内務省に上訴し、半年以上も回答を待っていたのです。
私は職務としてこの女性を支援していたのですが、この時の電話で内務省からの通知を知らせてくれました。内務省からの返答は「人道上の観点から滞在許可を与える」。
二回目は七月でアフガニスタン出身の難民青年ヤシールからの電話でした。彼については以前ブログでも書いたことがあります。ヤシールは私の息子と同い年なのですが、それまで過去八年間ヨーロッパ各地を難民として受け入れてくれる先を探し続けていました。そしてここ二年はアイスランドで結果を待っていたのです。
彼は私の息子と同い年であったため、私も半分は保護者的な気持ちになりながら支援をしていました。先のグルジアの女性と同様、ヤシールからの電話の内容も上訴していた内務省からの返答を知らせるものでした。返答は「難民として認定する」。
そして三回目はつい先週のことでした。良い同僚でもある友人のポジションが、リストラ案の上位に入っていてここ数年非常に精神的にもつらい立場にありました。最近、この友人にとって望ましい別のポジションが空いて公募となってそこに応募していました。
私は応募するように勧めていたのですが、この場合はそれ以上なにもすることができず、ただ祈って待つばかりでした。先週ようやく選考結果が出て、その友人が選ばれたのですが、ビショップからの電話で結果を通知された後、いの一番で私に電話してくれたのです。
このような「嬉しい知らせ」を電話で伝えられた際に共通していたのは、「どう反応していいか分からない」ということでした。非常に強く心に願っていたことなので、嬉しいのには間違いがないのですが、それが自然に表に出てこないというか、どういう表現をしたらいいかが定まらずにマゴマゴしてしまう、という体(テイ)だった気がします。
たった三回なのですが、それだけでこの一年が嬉しい一年であった気がします。それぞれの一回にはそれぞれの歴史と経緯がついていますからね。「嬉しい知らせ」を電話で受けられるということも、考えてみると「嬉しい出会い」のおかげであるともいえるでしょう。
このアドヴェント、まずは先の一年の「嬉しい知らせ」を感謝することから私は始めたいと思います。
最後にちょっとPR。知り合いのスノリ・ソウル・トリッグヴァソンさんが三年をかけてオーロラの短編ビデオを作成しました。スノリは映像芸術を学んだ映画製作者です。
このビデオの作成には百三十夜をアイスランド各地五十箇所で過ごしたとのこと。紹介を頼まれたのでぜひ見てみてください。トレイラーと無料のビデオで関心を持った方はぜひ有料ビデオへ。とても神秘的、綺麗です。
トレイラーはこちら
無料視聴ビデオはこちら
有料ビデオはこちら
まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
アドヴェントのことをアイスランドでは「ヨーラ・ファスタ」Jola Fastaとも呼びます。Jolaはクリスマス(jol)のことでFatsaは断食のことです。もともとはクリスマス後に洗礼を受ける人たちが断食をして備えたためのようですが、アドヴェントはクリスマスはキリストの生誕を感謝し祝う祭りですので、それに備えて断食をして心身を備える、という清貧の時期にふさわしいものとして受け継がれたようです。
もっともアイスランドの現実のアドヴェントは他の世俗社会同様で、清貧どころかクリスマス特需とでも呼べるような消費の時期になっています。それでも「この時期は肉類は口にしない」という主義を貫いている人も時々は見かけますが。
個人的は「断食」と「肉を食べない」とはそもそも意味が違うような気がするのですが... 断食とは生きるのに必要な食物を最小限に控えることで、「食べる」「生きる」ことを当たり前としない原点に帰る意味があると思います。
それに対して「肉を控える」というのは、肉好きな人にとっては多少の禁欲、肉の嫌いな人にとっては全く痛くもかゆくもないことを意味するくらいでしょう。「禁欲」ということがヨーラ・ファスタの中心とは思えないのですが、まあ、人によっては良い意味のあることなのかもしれません。
アドヴェントにはまた別の意味もあります。冒頭で「教会暦」という言葉を使いましたが、これはキリスト教会で使う宗教的な暦のことです。その暦ではこのアドヴェントから新しい一年が始まることになっています。つまり教会のお正月というわけです。
そういうこともあって2014年はどんな年だったかなあ?ということを、先日、普通より少し早いですが考えていました。実際にどういうことが起こったか、とは別の意味で強く印象に残っていることというものがあります。
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私は応募するように勧めていたのですが、この場合はそれ以上なにもすることができず、ただ祈って待つばかりでした。先週ようやく選考結果が出て、その友人が選ばれたのですが、ビショップからの電話で結果を通知された後、いの一番で私に電話してくれたのです。
このような「嬉しい知らせ」を電話で伝えられた際に共通していたのは、「どう反応していいか分からない」ということでした。非常に強く心に願っていたことなので、嬉しいのには間違いがないのですが、それが自然に表に出てこないというか、どういう表現をしたらいいかが定まらずにマゴマゴしてしまう、という体(テイ)だった気がします。
たった三回なのですが、それだけでこの一年が嬉しい一年であった気がします。それぞれの一回にはそれぞれの歴史と経緯がついていますからね。「嬉しい知らせ」を電話で受けられるということも、考えてみると「嬉しい出会い」のおかげであるともいえるでしょう。
このアドヴェント、まずは先の一年の「嬉しい知らせ」を感謝することから私は始めたいと思います。
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このビデオの作成には百三十夜をアイスランド各地五十箇所で過ごしたとのこと。紹介を頼まれたのでぜひ見てみてください。トレイラーと無料のビデオで関心を持った方はぜひ有料ビデオへ。とても神秘的、綺麗です。
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