レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アドヴェントと往く年、そしてオーロラ

2014-11-30 05:00:00 | 日記
アドヴェントに入りました。馴染みのない方が多いかと思いますが、アドヴェントというのはキリスト教の教会歴の中の言葉で、待降節・降臨節とも呼ばれます。クリスマスから遡って4回目の日曜日までの四週間強の期間を指します。もっとも全ての教会においてアドベントという季節があるわけではなく、主にローマンカトリックの流れの教会においてです。

アドヴェントのことをアイスランドでは「ヨーラ・ファスタ」Jola Fastaとも呼びます。Jolaはクリスマス(jol)のことでFatsaは断食のことです。もともとはクリスマス後に洗礼を受ける人たちが断食をして備えたためのようですが、アドヴェントはクリスマスはキリストの生誕を感謝し祝う祭りですので、それに備えて断食をして心身を備える、という清貧の時期にふさわしいものとして受け継がれたようです。

もっともアイスランドの現実のアドヴェントは他の世俗社会同様で、清貧どころかクリスマス特需とでも呼べるような消費の時期になっています。それでも「この時期は肉類は口にしない」という主義を貫いている人も時々は見かけますが。

個人的は「断食」と「肉を食べない」とはそもそも意味が違うような気がするのですが... 断食とは生きるのに必要な食物を最小限に控えることで、「食べる」「生きる」ことを当たり前としない原点に帰る意味があると思います。

それに対して「肉を控える」というのは、肉好きな人にとっては多少の禁欲、肉の嫌いな人にとっては全く痛くもかゆくもないことを意味するくらいでしょう。「禁欲」ということがヨーラ・ファスタの中心とは思えないのですが、まあ、人によっては良い意味のあることなのかもしれません。

アドヴェントにはまた別の意味もあります。冒頭で「教会暦」という言葉を使いましたが、これはキリスト教会で使う宗教的な暦のことです。その暦ではこのアドヴェントから新しい一年が始まることになっています。つまり教会のお正月というわけです。

そういうこともあって2014年はどんな年だったかなあ?ということを、先日、普通より少し早いですが考えていました。実際にどういうことが起こったか、とは別の意味で強く印象に残っていることというものがあります。

私の場合、この一年で強く印象に残っているのが「電話で嬉しい知らせを受ける」ということでした。実際には毎年何回かはそういうことは起こっているはずなのですが、なぜか過ぎた一年ではそれがことさら印象に残っているのです。

嬉しさにも松竹梅、というか上中並、大中小?がありますが、「嬉しさ格別」ということでいうと、三回そのような機会がありました。

一回目は一月でグルジアからの難民の女性からの電話でした。この人は難民申請をして拒否されていたのですが、それでも無国籍者として八年間もアイスランドで働いていました。昨年夏に内務省に上訴し、半年以上も回答を待っていたのです。

私は職務としてこの女性を支援していたのですが、この時の電話で内務省からの通知を知らせてくれました。内務省からの返答は「人道上の観点から滞在許可を与える」。

二回目は七月でアフガニスタン出身の難民青年ヤシールからの電話でした。彼については以前ブログでも書いたことがあります。ヤシールは私の息子と同い年なのですが、それまで過去八年間ヨーロッパ各地を難民として受け入れてくれる先を探し続けていました。そしてここ二年はアイスランドで結果を待っていたのです。

彼は私の息子と同い年であったため、私も半分は保護者的な気持ちになりながら支援をしていました。先のグルジアの女性と同様、ヤシールからの電話の内容も上訴していた内務省からの返答を知らせるものでした。返答は「難民として認定する」。

そして三回目はつい先週のことでした。良い同僚でもある友人のポジションが、リストラ案の上位に入っていてここ数年非常に精神的にもつらい立場にありました。最近、この友人にとって望ましい別のポジションが空いて公募となってそこに応募していました。

私は応募するように勧めていたのですが、この場合はそれ以上なにもすることができず、ただ祈って待つばかりでした。先週ようやく選考結果が出て、その友人が選ばれたのですが、ビショップからの電話で結果を通知された後、いの一番で私に電話してくれたのです。

このような「嬉しい知らせ」を電話で伝えられた際に共通していたのは、「どう反応していいか分からない」ということでした。非常に強く心に願っていたことなので、嬉しいのには間違いがないのですが、それが自然に表に出てこないというか、どういう表現をしたらいいかが定まらずにマゴマゴしてしまう、という体(テイ)だった気がします。

たった三回なのですが、それだけでこの一年が嬉しい一年であった気がします。それぞれの一回にはそれぞれの歴史と経緯がついていますからね。「嬉しい知らせ」を電話で受けられるということも、考えてみると「嬉しい出会い」のおかげであるともいえるでしょう。

このアドヴェント、まずは先の一年の「嬉しい知らせ」を感謝することから私は始めたいと思います。


最後にちょっとPR。知り合いのスノリ・ソウル・トリッグヴァソンさんが三年をかけてオーロラの短編ビデオを作成しました。スノリは映像芸術を学んだ映画製作者です。

このビデオの作成には百三十夜をアイスランド各地五十箇所で過ごしたとのこと。紹介を頼まれたのでぜひ見てみてください。トレイラーと無料のビデオで関心を持った方はぜひ有料ビデオへ。とても神秘的、綺麗です。

トレイラーはこちら 

無料視聴ビデオはこちら 

有料ビデオはこちら 



まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アシュラの祝い in Iceland

2014-11-23 05:00:00 | 日記
一週間前の土曜日、私が居候しているレイキャビクのネス教会と「ホライゾン」という文化団体が協働して「アシュラ祭」を祝いました。百三十〜五十人が集まり盛況となりました。

「ホライゾン」というのは実は主体がトルコ出身のムスリムの人たちです。ちょっと複雑なのは中心メンバーはそれでもトルコ人ではなく、デンマーク人であることです。つまりは彼らの親がトルコからデンマークに移住し、彼らはそこで生まれたということ。皆、デンマーク語もトルコ語も話すバイリンガルです。

もちろんトルコ出身の人もいます。「トルコ系」ということではアイスランドに七十人くらいいるのだそうです。日本人とトントンですね。

私は先の夏からこのホライゾンの人たちと知り合っていたのですが、「十一月にトルコでは『アシュラ』という祭りを祝うのだが、教会の人たちと共に祝うことはできないだろうか?」と持ちかけられました。

このアシュラ、イスラムでもトルコなど多数派のスンニ派とイランなどのシーア派では大分違いがあるようです。シーア派ではかなり感情的な祭儀のようで、男性は自らの背中をナイフの先などで傷つける血生臭いおどろおどろしいものなのですが、トルコではどうも大分事情が異なっているようです。

ホライゾン版の「アシュラ」Ashuraというのはノアの箱船のお話に関係しているものだということです。ノアの箱船はトルコのアララト山に到着したという伝説があります。そしてノアが洪水のあとで陸地を見つけた時、彼は箱船内に持っていたすべての食材を混ぜてプディングを作って祝ったのだそうです。

私はこの「アシュラ」、古代インドの神で後に仏教にも入り込んだ阿修羅とも関係があるのかと思ったのですが、まったく縁はないようです。

このごちゃ混ぜプディング、なぜか味は美味だったそうで、トルコではこの祭りにごちゃ混ぜプディングを作り、近所に配ってまわる習慣があるのだそうです。そして現在ではこのごちゃ混ぜのアシュラプディング、人間の多様性と同時にまとまりを表すシンボルとしても見られているとのことです。




アシュラ「ごちゃ混ぜ」プディング



以前にも書いたことがありますが、現在アイスランドではイスラム教に対する偏見と嫌悪が増加しています。レイキャビクでのモスクの建築はホットな議論の対象で、反モスクのサイトには五千人もがLikeを押しています。

問題なのはモスク反対だけではなく、「中東に核を落とせ」とか「エボラ熱はムスレムへの祝福だ」などというとんでもない言葉が飛び交ってしまっています。

そういう中で教会ももっと積極的にムスレムとの友好対話を進めるべきだ、と私や周囲の教会関係者は思っている矢先だったので、このアシュラ祭を協働して進めることになりました。

「アシュラ祭」でのスピーチ(一部英文法に誤りあり。悪しからず)


話しはトントン拍子に進み、この機会にわざわざトルコからゲストが来てくれることにもなりました。ひとりは「セーマ」という伝統的かつ宗教的なトルコの踊りを披露してくれるダンサー。男性です。しかもオッさん。修行僧のように見えるのですが、本業はなんと不動産屋さんとのこと。

セーマという踊りは非常にシンプルなのか、あるいは非常に奥が深いのか、ただグルグル回るだけなのです。一曲七、八分はあるかと思うのですが、ずっと同じ場所で回るばかり。それ用の衣装を着て舞うのですが、それなりに見栄えはします。(失礼 m(_ _)m )




セーマの踊り手は「セーマゼン」と呼ばれます。


その他にふたり、「エブル」という非常に珍しい美術を披露してくれる男性が来てくれました。このエブラは水面に絵の具のようなものを流して、それを紙に反転させる絵画でとても面白いです。

先生たちは前日の金曜日の夕方からネス教会に来てくれ、教会の若者たちにこのエブルの手ほどきをしてくれました。若者たちも喜んで習っていましたし、土曜日の本場でのデモンストレーションでもお客さんが群がっていました。




エブルの講習





完成品 水の上に絵の具を落として描いたとは!


そしてさらにホライゾン関係の女性軍が中心になって百五十人分のアシュラ「ごちゃ混ぜ」プディングと、さらにトルコのスウィーツやケーキ、クッキーなどが祭りに供され、皆大喜び。私もアシュラを初めていただきましたが、「まあ、そうだろうな」という味でした。(失礼 (^-^; )




アイスランド人はこういう機会に食すのがホントに好きです


アイスランド在住の移民の人たちもかなり参加してくれ、結果としては非常に良いものがあったと思います。私は呼びかけ人三人組のひとりだったので、ホッとしました。

祭りは終わればもちろん後片付けが続きます。朝から準備が始まって、本番は三時から五時。お客さんが帰ったのが五時半。片付けが終わったのが七時前でしたが、疲れたー。その後三日間疲れたままでした... 

でも私の目的、つまりイスラム教への不当な偏見に異を唱えて(イスラム教界に問題がないといっているのではありませんよ)、きちんとした関係を築くには日頃からの努力が不可欠になります。焦らずに一歩一歩ですね。


まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精神的アイスランド離島生活

2014-11-16 05:00:00 | 日記
早いものであと二週間すると師走に突入です。こちら的にはアドヴェントというクリスマスに備える時期に入ります。もっとも街中はすでに相当クリスマスになっていますが。

さてここのところニュースや新聞の扱いから話題を拾ってご紹介してきましたが、今週はたいしたニュースがなかったので久々に自分ネタです。悪しからず。

私は毎年秋から冬への変わり目、十月から十一月になるとなんとなく「うつ」っぽくなるのですが、今年は冒頭に書きましたように「気づいたらアドヴェント目前」という感じで、うつっぽくなることがありませんでした。

なぜだろう?と考えたら相当に忙しかったんですね、珍しく。仕事上いろいろあったのですが、仕事だけでなく自由時間でも新しく始めたことがあったのも影響していました。

九月の中旬から「アイスランド語 会話訓練」という講習に参加しているのです。滞在歴二十年以上で今さら「会話訓練」というのは若干恥ずかしいものがありますが、私は読み書きに比べて、会話能力がガクッと下がります。

Facebookとかで結構達者に書いているものですから、「話すのも同等にできるのだろう」と思い込んで来る人に幻滅を与え続けてきています。そのような感じの負の体験を夏にもしましたので、一念発起して講座に申し込んだのです。

講座は月、水の週二回、五時から七時半までで五週間。「ミーミル」という語学系のカルチャーセンターのような学校で開かれています。もちろんアイスランド語だけではなく、イタリア語や日本語もメニューに載っています。

私は二回連続で受講しているため、まだまだ十二月の半ばまで続くことになります。受講するだけではたいして効果は期待できないため、文法書の読み直しや、きちんと消化していない単語リストの復習とかも合わせてすることにしました。

もうひとつは「本の音読」で、これは日本語教室の子供達にはやらせているくせに、自分の勉強ではまったく手をつけない、という怠慢百パーセントの課題です。小説を最低一日五ページは声に出して読む、ということを毎日やっています。

読む本はミステリーで初めはリルヤ・シーグルザードティールさんという美人作家のもの、次いでは日本でも翻訳が出ている人気作家アルドナドゥル・インドゥリーザソンさんのものを読んでいます。このふたりの作品は文章が簡潔で読みやすいので私などにはちょうど良い読み心地です。

やってみて思うのですが、この「音読」はかなり効果があるという気がします。なんというか、話しの展開の中で言葉がバラバラでなく、関連したものとして言葉を発する、ということの良い練習になっている気がします。

会話訓練のクラスで、タイや中国の人も一緒にいるのですが、やはりイントネーションの強い言葉の人は会話では苦労するようです。タイ語も中国語も音節の後の方にアクセントが置かれたり、音程が上がったりするのが多いからだと思うのですが、アイスランド語っぽく聞こえないことが多々あります。

中国の方などは単語の音節のひとつひとつが独立した単語のように発音されて、一語が三語くらいになってしまうこともあります。ちょっと違う点ですがフランス人の男性は「ハンナ」と「アンナ」の違いが分からない、と真剣に訴えていました。フランス語、Hを発音しないから、聞き分ける能力も退化するみたいですね。日本人のLとRのようなものか...?

日本語の場合はタイ語や中国語の問題の変形だと思いますが、発音がのっぺらぼーで「平ら」なイントネーションが普通のためか、アイスランド語の原則である「最初の音節にアクセントを置く」ということをごく自然に忘れてしまっていることが年中です。これだけでも「分かりにくいアイスランド語」になってしまいま」す。

以前「アルショーザフース」Althodahusという移民関連の施設があり、そこで協働していたことがあったのですが、これはアイスランド語では初めに強調がきて「『A』ルショーザフース」と発音します。それを私はごく自然に平らに「アルショーザフース」と言ってしまい、分かってもらえなかったことが多々ありました。

というわけでここ二ヶ月の間、「アイスランド語上達特訓期間」のような感じになっているのですが、それに伴い生活習慣も変わってきています。ここのところ大好きな「有吉くんの正直さんぽ」も「マツコ・有吉の怒り新党」もまったく見ていません。テレビはアイスランド国営放送もので、たまに英語のシリーズもの、その他の時はアイスランド語のラジオです。

慣れてしまえば別にどうこういうことはないのですが、今度日本のテレビを見たときに「ギョエーッ‼」ってなるのではないかと... 付かず離れずというのが得策なのでしょうが、実際には難しいようです。まあ、しばらくは「精神的」アイスランドの離島生活を続けることになるでしょう。

でもどうか、ワタシを忘れないでください... (*_*)


まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

庶民が怒る三十の理由

2014-11-09 05:00:00 | 日記
こちらでは先の水曜日の五日からAirwaves音楽祭が始まりました。また日本からも大勢いらっしゃっていることでしょう。私はそちらの方はトンと疎いし、他に書く人がたくさんいらっしゃると思うのでパスさせていただきます。

そのさらに二日前の三日の月曜日に、大きな反政府集会がありました。そちらの方のことを今回は取り上げます。

私は先週末までとても忙しくしていたため、この集会の呼びかけは知ってはいましたが、「いつどこで何時」ということまで頭に入っていませんでした。他のイベントでダウンタウンの図書館へ行ったのですが、五時過ぎという時間にもかかわらず駐車場がいっぱい。あちこちぐるぐる回ってやっと空き場所を見つけることができました。

「何だこりゃ?月初めでみんな飲み食いしに出てきたのか?」とか考えながら図書館に入ると、イベント担当者が「今日は抗議集会がかち合っちゃってるから...」と言っていたので、ようやくその集会のことを思い出しました。

アルシンキ(国会)前のオイストゥルヴァットゥリルに四千五百人が集まったといいますから、かなり盛り上がった?抗議集会です。抗議する相手は政府というか現政権。現政権は前回の選挙で大躍進した進歩党(という名前の保守党)といつも手堅い独立党の連立です。

進歩党の支持率は選挙当時と比べて半分以下の12,3%、独立党はそこまでは下がっておらず23,6%、政権としては33%です。まあ、政権を獲ってから支持率が下がるのは常道ですが、進歩党の激減はやはり特筆に値します。

さて、有権者たちは何がそんなに不満なのでしょうか?抗議集会の呼びかけ人のひとりであるグビュズムンデュル・ハルズル氏が自身のブログで「十一月三日に抗議する三十の理由」というのを挙げていますので、そこから理由を見ていきたいと思います。各項目に続くコメントは私のものです。




4.500人が集まって怒りをぶつけた抗議集会
Myndin er ur Visir.is / Eftir Fridrik


1)食品税の税率アップ
これは法案が提出されましたが、まだ決議されてません。7%から12%へのアップ。
2)保健衛生システムの崩壊
今現在(七日夜)医師のストが続いています。理由は労働条件の改善。適正な給与にしろ!

3) 一般市民は現在医療費の20%を自分の財布から払っている。
税金が高いのですから、これでは意味がありません。
4)国の2%の家族が、負債のついていない財産の半分近くを所有している。
「平らな社会」はもはや神話になりました。

5)所得の高い方から10%の人が全所得の三分の一を占めている。同じく20%の人が56%の所得を占めている。
これは知りませんでした。ビックリ。
6)銀行の高給取りのボーナスが上昇している。
この国をめちゃくちゃにした連中がいまだにでかい顔をしている。

7)少なからず人が貨幣価値指数連動の学生ローンを一生支払わなければならない。
貨幣価値指数連動というのは、もともとはインフレなどでの貨幣価値の変動を計算してのものでしたが、2008年の経済崩壊でアイスランドの通貨価値が大激減してしまったために、一般のローンがとんでもなく膨張してしまいました。そのため学生ローンの返済が「一生もの」となっていることがあります。

8)漁業関係における天然資源利用料が、漁業関係者が2009年以来800億の利益をあげてきたにもかかわらず引き下げられている。
漁業関係者は進歩党、独立党双方の支持基盤です。

9)経済的困窮に巻き込まれる子供の数の増加。
つまり子供いる家庭の経済困窮が多いということです。
10)不動産価格が実際の収入と不釣り合いになってしまっている。

12)貨幣価値指数連動の仕組みが、何十億というお金を一般市民から金融機関へ移動させている。2013年には4,2%のインフレで負債が700億クローネも上昇した。昨年末の時点で、全国の家庭の負債額は1兆9270億に達している。

13)2009年からの五年間で約2兆5千億クローネの魚業関連を含む企業の負債が帳消しにされている。一般家庭の負債は同じ時期に3千億クローネのみ帳消しになっている。
14)高地の自然は高圧電線と高速道の建設に脅かされている。
15)年金システムの崩壊。|
16)新憲法制定案がお蔵入りになったままだ。
新憲法‼︎ 「母さん、私たちの新憲法、どこへ行ってしまったんでしょうか?」♬Mamma, do you remember...?♪「そんなこともあったなあ...」という感じになっています。

全部は書ききれませんので約半分のみです。大きな問題から小さな問題までごちゃまぜの感はあります。しかし、これだけ見てもこの国の庶民は怒っていることが分かると思います。

この国はまだまだ経済崩壊の傷を深く負っているのです。いくら見かけは立ち直ったかのように見えても、医療システムや年金システム、税制の公平など以前は庶民が信頼を置けた仕組みが今ではまったく信頼の置けないものになってしまっているのです。

それにしても、前回の選挙で進歩党の口先の公約に乗って投票した方もどうかと思いますけどね。私は選挙権がないので野次馬根性で勝手に言わせてもらいますが。窮地に追い込まれると奇跡を期待してしまうのは人間の性(さが)なのでしょうか?

ちなみに明日の月曜(十日)にも抗議集会が呼びかけられています。どのくらい盛り上がるでしょうか?


まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

同棲、結婚、離婚、ひとり

2014-11-02 05:00:00 | 日記
今回はアイスランドの離婚事情です。前にも関連することを書いたことがありますが、今回は二週間ほど前の新聞に載っていたリサーチの結果からご紹介してみます。

リサーチをしたのはエッタ・ハンネスドティールさんという心理学者の女性です。この方、他の心理学者と共にクリニックを開設しているようですが、特に「夫婦−ペア療法」の専門家だそうです。

結婚しないで一緒に住む「届け出同棲」が非常に一般化しているこの国では、「夫婦とペア」と併記する必要があります。ちなみにここでいう「離婚」も結婚していて離婚するものだけでなく、届け出同棲を解消するものも含まれますのでご承知置きください。「離婚−解消」というのは面倒臭いですからね。「破局」でいいか?でも破局はちょっと残念すぎる気がします。(^-^; 

アイスランド語では離婚も同棲解消も同じ言葉でスキルナズルSkilnadurといいます。統計的にいいますと2006年から2010年までの五年間のスキルナズルの割合は37%になります。以前書いたことですが、日本の統計の離婚率というのは0,2%とかいわれることがありますが、これは離婚した人の数を総人口で割った「離婚人口率」でほとんど実際上の意味がありません。ある期間の
離婚数を同じ期間の結婚数で割ると、やはり三割台になったと記憶しています。

リサーチで指摘されていることで、まず面白いのは離婚をする際にリーダーシップを持つのは、つまり離婚を持ち出すのは、男性の場合が33,9%、女性の場合が65,3%となっていて、離婚の三件に二件は女性の側から、ということのようです。やっぱり、オンナが強いからなあ、ここでは。日本も同じか?

さてリサーチの主眼点は離婚の理由について当事者がどのような意識を持っているかです。離婚の理由の第一位は「もはや(生活のいろいろな面で)同じ生き方をしていないようになった」(63,3%) これは日本でいう「性格の不一致」と同じといっていいでしょう。第二位は「愛情がなくなった」(51,2%)

エッタさんの話しではこのふたつは離婚に対しての「卵が先か鶏が先か」のようなもので、実際上は考察の主点にはならないとのこと。確かにそうですね。

第三位からが多少具体的になっていきます。「話をするのが難しくなった」(42,5%) これは気持ちが向き合っていないというだけではなく、すれ違いの生活で話しをする機会が無くなってしまった、というものも含まれるようです。

第四位が「生活上のプライオリティが食い違ってしまった」(38,7%) これもありふれてますが、現実的にとてもよくある問題です。

第五位は「飲酒またはクスリの問題」(35,5%) これは女性が理由としてあげる率が40%で20%の男性の二倍あります。ということは問題があるのが男性の場合の方が多いのでしょう。

アルコールはアイスランドの隠れた問題のひとつですが、最近ではマスコミに自分の過去としてアルコール問題を語る人もかなりあります。北欧で著名な作家のエイナル・マール・グビューズミュンドゥスソンさんなどもそのカミングアウトをして、私などはびっくりさせられました。

第六位は「精神的暴力」第七位「精神上の問題(病気など)」でどちらも30%前後。第八位が「浮気」(26,2%) これも女性が理由としてあげる率が38,5%で15,3%の男性の二倍あります。噂によるとアイスランドの男性の三分の一は浮気をしているそうですが、それにしては浮気はそんなに高位の理由にはなっていないようです。

第九位は「性生活の不一致」(24,6%) 第十位は「その他」で19,8%でした。

このリサーチは追跡調査も含まれていました。2005年から2006年にかけて離婚した人たちに、その後別の相手と一緒になったか、ひとりのままかの調査をし、現在の生活の満足度を尋ねたようです。

結論は、別の相手と一緒になった人の方が現在の生活の満足度が、ひとりでいるままの人の満足度よりかなり高いということ。さらに言うと、浮気などの裏切りで離婚した人は、再び他の誰かと一緒になることに抵抗を感じることが多いとのことです。

こうしてみると離婚の原因は日本のそれと大差はないように思えますね。アイスランド的ビックリはあまりありませんでした。

私は職業柄、夫婦の危機の話しを聞き相談に乗ることも多いのですが、私が頻繁にあると感じるのは、リサーチには出てきませんでしたが、「しゅうとめ」問題です。この場合は例外なくアイスランド人の夫のママが子供をコントロールしている、というパターン。結構いますよ、マザコン亭主。

ワタシ自身離婚経験者でいまだにひとり者ですが、離婚そのものは後悔していませんね。その後自分自身を取り戻したのは目に見える事実ですから。まあ、結婚生活は難しいものですよね。ひとりは楽です。独身、結婚、バツイチ、相手あり、どれをもある期間体験しましたが、ひとりが一番楽なのは確かです。

でも相手がいた方がいいけど。(*^^*)


まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする