レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「身体はアイスランド 頭の中は日本」の日々

2020-04-26 00:00:00 | 日記
こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?「コロナ疲れ」になっていらっしゃらないことを願います。

まずはGledilegt sumar!! グレージィレクト・スーマル!! 「喜ばしい夏を!!」という意味の挨拶言葉です。




Gledilegt sumar! アイスランドは夏になりました


先週の木曜日、4月23日はこちらでは「夏の第一日」という国民の祝日でした。 公式にはアイスランドには夏と冬の二季しかありません。「グレージィレクト・スーマル」の後にTakk fyrir veturinn タック・フェーレル・ヴェートリン「(咋)冬をありがとう」という言葉を付け加えることもよくあります。

アイスランドの夏の始まりについてはこちらも: 凍てつく夏 古の知恵では想定内


アイスランドではコロナの感染は、今のところは収束を迎えています。先週の木曜日には新感染者がゼロで、これは感染第一号が確認された2月28日以来初めてのことでした。5月4日からは現行の集会禁止令や営業禁止令らの規制の緩和の第一段階が実施されます。

それを前にして、先週の火曜日にカトリーン首相、ビャルトゥニ・ベネディクトゥスソン財務大臣らが記者会見を開き、規制緩和の骨子や先の見通しについて説明をしました。

主な点は前回ブログに書いたようなことです。規制緩和を前にして社会の関心の的は、むしろ今後の社会生活、経済生活の立て直しの方へとシフトしています。

ということはつまり「失業者の増加に対する対策はどうするつもりか?」「経営困難になった会社に対する援助はどうするのか?」等々の声が大きくなってきているということです。

カトリーン首相は記者会見の日の夜、テレビのニュース解説番組に出演しました。「以前約束しましたように、雇用主が被雇用者の給与の25%を面倒見てくれれば、国が残りの75%を補います。

営業禁止の故に、経営が困難になった会社、特に個人経営の小さなビジネス、例えば理髪店やマッサージ業などですが、そういった事業主は14000あるのですが、従業員ひとりにつき80万クローネの支援をします。

40%以上の収益減があった場合には、、6百万クローネを限度としたローンを、100%政府責任で提供します。もちろん利子や返済についても負担にならないような条件になります。

また、夏期には学生が収入を得ることができるように、300のサマージョブを設ける予定です。

今の政府に政策の基本は、国民の生活と生活の価値を守ることであって、経済問題ではありません。皆、自由や収益を犠牲にして協力してきたのですから、私たちは国民の生活を第一の優先課題とします。

ただ、忘れてならないのはこのコロナウィルス禍はまだ完全に終わってはいません。ですから、あまり先走った計画を立てるべきではないでしょう」

これでも、もちろん不平を言う人々はいます。「障害を持った人たちへの支援額が少ない」「打撃を受けた観光業へのプランが足りない」等々。それでも、プランの骨子が、他には救いを求める術を持たない中小零細事業を中心にしているように見えることは良いことだと思います。大企業、例えばアイスランド航空などは、別個に政府の支援を受けているはずですし。

現政権は緑の党と独立党、そして進歩党(という名前の保守党)の連立政権です。元財務大臣のビャルトゥニ氏は以前首相を努めていましたし、その他にも閣僚経験が豊富。

緑の党のカトリーンさんは初の首相在任です。これまでのところ、やはり独立党と進歩党(という名前の保守党)のベテラン勢に押され気味で、持ち味を出せないでいました。

緑の党はリベラル系の支持者を持っていますので、当然彼らの間にも(私もそのうちのひとりですが)失望感が広がっていました。「カトリーンはビャルトゥニのポペット(人形)になってしまった...」みたいな。

ですが、今回のコロナ禍にあっては、カトリーンさんは非常に強いリーダーシップを見せてくれました。当初より歯切れが良く、しかも暖かみと理解のある仕方で国民に語ってくれたので「やっとカトリーン『首相』になった」というような感があります。当然人気挽回。と思います。少なくともワタシ的には挽回しました。

そういえば先週、日本の報道番組でも顔写真付きでカトリーン首相の名前も出ていました。「姓」の方で「ヤコブスドティール首相」とかになってましたけど。




テレビ出演中のカトリーン首相
Myndin er ur Ruv.is


コロナ対策でうまく舵取りをした国には女性リーダーが多いとか。台湾、ニュージーランド、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、そしてアイスランドが挙げられていました。

北欧ではなんと、男性リーダーは前回も言及したスウェーデンだけですね。

アイスランドの財務大臣のビャルトゥニ氏は、とにかく「Money money」男でいけ好かない奴です。それでも今回ばかりは真剣に企業救済を考えているようです。まあ、裏でどういう繋がりがあるのかはわかりませんけどね。でも、ちゃんとやってるんだから、それは評価。

こういう言い方すると、すごく嫌がられるかもしれませんが、今の日本の政府閣僚を見てると、本当にガッカリさせられます。「手を挙げた人に...」だって?あの言い方。まあ、これ以上はやめておきます。

さて、私自身ですが、先々週の水曜木曜あたりに咳が出ました。年に何回か咳が出る時期があります。子供の頃、喘息持ちだったので、その後遺症かな?

今回の咳もその類だと思ったのですが、万が一C19ということもあります。熱なし、だるさなし、骨の痛みなし、味覚あり、ということだったので、検査にいく条件はなし。

で、自宅謹慎となりました。先々週と先週のほぼ丸二週間。休みではないので、自宅でできる仕事をしましたが、それでもオフィスとは違います。どうしても横にiPadを置いて、何か見ながら仕事するみたいな「ながら族」となりました。

それで、日本の報道関係番組を見漁ることとなりました。午前中の「特ダネ」「羽鳥慎一モーニングショー」午後の「バイキング」「グッディ」「ミヤネ屋」さらには「Nスタ」

「Nスタ」はそんなに面白くないけど、ホランちゃんが見たいので。




バイキング 坂上忍さんは緊急事態解除までギャラを全て寄付するとか
Myndin er ur MSN.com


Youtubeで見るのですが、最近ライブ配信も多いですね。外出自粛の今の時期限定なのかな?だから、「Nスタ」みたいに夕方6時くらいまでかかるものは、本当に生で見ることもできるのです。日本の18時はこちらの午前9時。

「そんなにいろいろ見たって、中身は同じだろう?」と思われるでしょうが、まさにその通り。ニュースのネタは同じですから、基本的には同じことの繰り返しです。

ただ、その合間合間に司会者の個性や、コメンテーターの人たちの意見も入りますから、まあ、面白いですよ、私としては。ホランちゃんもいるし。(*^^*)

残念ながら、夏目三久さんの「あさチャン」はYoutubeにはアップされていません。

日本の報道番組を見漁って、しかも外出しない。そういう生活を一週間も続けていると、完璧に「身体はレイキャビク、頭の中は日本」という状態になります。

だから、アイスランドではコロナは沈静化してきている、と言いながら、「コロナはまだまだ渦中だ」という気分です。VRバーチャル・リアリティではなくて、なんだろう?「ネット・リアリティ」とでも言うべきでしょうか?

外出自粛だの外出禁止だのになっている環境では、ネットだけが外と繋がる術でしょうから、ネットで消費する時間は誰しも多くなるでしょう。

まったく、ありがたく助けになる技術ですが、やはり周囲の現実とは異なる部分があることは承知しておかないといけないですね。

二、三日前に夢を見たんです。ワタシが日本でリムジンバスを運転していたのですが、なぜか右側通行。いよいよアイスランドにいるのか、日本にいるのか頭が混乱し始めた印かも...

皆さんもネットの見過ぎ、ゲームのし過ぎで現実・非現実溶解混合の世界へ落ち込まないように気をつけてください。


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アイスランド 「2メートル」がもたらしたもの

2020-04-19 00:00:00 | 日記
こんにちは。お元気ですか?四月の中旬を迎えていますね。本来なら、メジャーリーグも始まっていて... というような発想はもうやめにしました。別に例年と比べてもがっかりするだけでいいことは何もありませんから。




もう一回 がんばれNippon!!
Myndin er ur Facebbok_Ganbare_Nippon


アイスランドでは、C19の感染は「一応の」収束に向かっていると言われるようになりました。

先日の火曜日のカトリーン首相、スバンディス保健衛生大臣らの会見で、5月4日までは現行の集会禁止、営業禁止、外出自粛を続行し、それ以降は段階的に制限を緩めていく意向が明らかにされています。

現在は例えば集会は二十人が限度。普通サイズのスーパーマーケットのようなお店でも適用されます。それが5月4日以降は五十人にまで枠が広げられます。幼稚園や小中学校、大学等も再開の予定。ただし「五十人枠」はここでも適用されます。

加えて、いわゆるSocial distance「2メートルルール」は5月4日以降も継続されます。

繰り返して言われていることは「急速な規制緩和は、第二次感染波を呼ぶ恐れがある。ウイルスはまだ社会のどこかに潜んでいるわけだし、対抗する薬もできたわけではない。くれぐれも気を抜かないように」

あくまでも「ここまでは」という条件付きの話しですが、アイスランドでは比較的首尾良くC19を押さえ込んでいると思われます。今月14日までの感染者数は1727人。42人の方が入院加療中で、うち8人の方がICUに入っています。亡くなった方が8名。回復された方は1077人いらっしゃいます。(15日の時点)

C19禍が甚大な被害をもたらしたイタリアやスペインでも、規制緩和と一部の商業活動の再開が宣言されたり、あるいはすでに実施されているそうです。こちらの担当者の人たちの見解はあまりポジティブではなく「ちょっと急ぎ過ぎでは...?」というものが多数派に見受けます。

前回も書きましたが、ここのところ日本のニュースやニュースワイド番組などにも付いていく努力をしています。幸いYoutubeなどでもライブ配信が多くなっていますし、一時のような日本のテレビからの「シャットダウン」状態からは回復しています。




日毎のC19の進捗を伝えるモルグンブラウジィズ紙
Myndin er ur Mbl.is


さて、アイスランドがこれまでのところC19の爆発的感染を防げているのには、いくつかの理由があると思います。これは私のまったく個人的な見解で、専門的なものではありませんのでご承知置きを。

感染拡大を防ぐには他者との「接触を極力減らすこと」というのは世界中で共通して言われていることと思います。空気感染をしないC19の場合は、接触を減らし、個人間の間に2メートルの距離をおけば感染の可能性はゼロに近くなる、ということです。

でも、この2メートルの距離を取るのが実際には難しい状況もあるだろうと思うのです、NYや東京のような大都市では。地下鉄やバスを利用せざるを得ない場合は距離は縮まってしまうでしょうし、スーパーなどでも売り場や袋に詰めるテーブルでは接近せざるを得ない、と聞いています。

その点がアイスランドはラッキーだと思いました。なにしろ絶対人口が少ないですから、なにをするにしても統率しやすいのは確かです。しかも、周囲にスペースは十分ありますから、気晴らしの散歩やら、子供たちの遊びやらでも、東京の都心に比べたら絶対にありがたい条件にあると言えるでしょう。

もうひとつ、この国で自宅待機が混乱なくスムースに進んだのは、規制が強化され、広範な商業活動が禁止された時に、同時に75%の給与補償の保証と、事業主については負担の少ないローンの提供や家賃等の支払い期間の猶予がされたことです。

甚大な支出になることは目に見えていますが、政治家たちは「それはそれで後から考えるべきことで、私たちが責任を持つ」という理解をしているように見えます。前にも書きましたように、私自身、カトリーン首相を再評価しているのですが、この点もその理由のひとつです。

日本からのニュースでは、政府は休業要請を出した相手に対しての補償は「しない」という「結論」を始めから持っていたようですね。ようやく全世帯一律十万円の支援金配布となったのですか? 十万円で何が変わるのかよくわかりませんが、ないよりはいいのでしょう。東京、大阪、神奈川のような地方自治体の方が、できる限りで補償をすることを願っているようですが、国のドライなほどの関心のなさというのは、傍から見ていても腹が立ちます。

休業要請を受けている事業主の多くの方が「家賃を払わないと...」という同じ点を口にされていますね。これも一律に支払い時期を遅延させる手立ては取れないものなのでしょうか?

もちろん家主の方々だって、都合があるでしょうし、銀行とかへの返済ができなくなって困る、とかいうこともあるでしょう。だったら今度は国が銀行へ働きかけるべきではないでしょうか?

こういう国難ですからね。みんながハッピーということは土台無理です。今すべきことは、損失をできるだけ分散し、重荷がある特定の人々にだけ集中することを防ぐことではないか?と考えるのですが。

アイスランドで感染拡大阻止が比較的うまくいったと思われる第三の理由は、社会が小さいが故に、国民がお互いを良く知っている、ということでしょう。

お互いの距離が近い、ということはそのままお互いが他人ではなくなることを意味しています。「自分が感染源になってはいけない」という気持ちは、かなりのアイスランド人にとって、外出抑制のエネルギーになっているように思われます。

先日、レイキャビクから車で30分ほどの郊外にある、クヴェラゲルジィという町の老夫婦が相次いでC19の故に亡くなりました。今週、その葬儀があったのですが、葬儀に参加できるのは近親者を中心に二十人まで。

他の人々は、ネットで流される映像を自宅で見ながらの列席。そしてご遺体が埋葬場へと向かった際には、全住民とも思える数の人が、通りに整然と2メートルの間隔を開けて並び、お見送りをしていました。

これもアイスランドを象徴するような光景に見えました。




同じ町の住民の死を悼むクヴェラゲルジィの人々
Myndin er ur Mbl.is_Sigmundur_Sigurgeirsson


もちろん、日本のニュースを見ていても「他人に感染させてはいけない」と多くの方が語っています。おそらくその点は日本でも同じなのでしょう。にもかかわらず、外出度が劇的に下がらないというのは、そうさせない理由があるからに違いありません。

日本と欧米での、この外出度の比較をした面白いYoutubeのビデオがありましたので、ご紹介しておきます。参考になると思います。

【コロナ対策でアップルが本気出した】Apple公式サイトの都市別の『外出自粛状況確認サイト』が画期的すぎる -Yusuke's Tech Room-


今回、言いたかったことはですね、「2メーターの距離を取れば、感染は減少する」ということです。それが難しい理由や、できない言い訳ではなく、「それによってこの国では感染は減少した」ということの証左をアイスランドに見出して欲しいと思います。

その確信を持って、日本の皆さんにも次のステップを考え実践していただけることを願います。特にGWです。呼びかけがあるのかどうか、すべてはわかりませんが、Stay home! が大切なことだと私は思います。頑張ってください。行動が結果を呼びますから。 がんばれニッポン!!


*追記

日本のニュースバラエティ番組をも見ていて、NYやフランス、あるいは多くの欧州国が取っている厳しい「ロックダウン式」が良いのか、あるいはスウェーデンが取っている「緩やかに規制による意図的国民総免疫式」が良いのかという議論を耳にします。スエーデンでは集会・外出規制も緩やかだし、飲食店も営業しています。

現在、フランスや英国が取っている厳しいロックダウン式は、「長期的には不可能」ということがよく聞かれますし、確かにそうだろうと思います。スウェーデン式なら経済生活は生き延びる可能性が高いように見えます。

ですが、欠点もあります。その点に(意図的にかどうかは知りませんが)触れていない議論が多いように見受けますので、一言追記しておきます。

スカンジナビア諸国はスウェーデン以外は、皆厳しい「ロックダウン式」の政策を取っています。昨日、4月17日の時点でのC19による犠牲者、亡くなった方の数の比較を見てみましょう。

デンマーク346人、ノルウェー164人、フィンランド90人、アイスランド9人、そしてスウェーデン1511人。

スウェーデンは亡くなった方の数が突出しています。これが「スウェーデン式」の持っている問題点です。この死者数を「やむをえない犠牲」と考えるのか、「助かる可能性を奪われた犠牲者」と考えるかは判断の分かれるところでしょう。

ですが、このような議論がテレビなどでなされる時に、きちんとプラスとマイナスの両面が知らされないとしたら、それは大きな問題だと思います。皆さんが、このトピックについての議論を耳にされることがありましたら、きちんと両側の事実が示されているかどうかには気をつけてくださいますよう。

世界のコロナウィルスに関わる情報サイトはこちら


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ものの話し方 – 日本の政治家編

2020-04-12 00:00:00 | 日記
Gledilega paskaグレージィレーガ・パウスカ!




グレージィレーガ・パウスカ!
Myndin er ur Landsspitali.is


Happy Easter! という意味の復活祭の日の挨拶言葉です。復活祭はクリスマスと並んで、キリスト教界の一大イベントなのですが、世界の多くの国々と同じくアイスランドでも、今年はきわめて慎ましいパウスカー(イースター)となっています。

アイスランドでは「C19はピークに到った」との観測が流れています。つまりこれからは力が弱まっていくだろう、ということなのですが、予断は禁物。パウスカーでも「遠出はしないように。Stay home!」が掛け言葉として使われています。

毎年、この時期にはフェルミングと呼ばれる、年内に十四歳の誕生日を迎える少年少女を対象とした堅信式が行われます。堅信式とは赤ちゃんの時に洗礼を受けた人が、自分自身でその洗礼の意義を確認する儀式のことです。

教会も忙しいですし、その男の子、または女の子とその家族、親戚一同にとっては大きなお祝いの機会。あちこちでパーティーが持たれ、プレゼントのお買い上げでお店も掻き入れ時期になります。

それが、今年はすべて延期となってしまいました。仕方ないですね。 加えて、通常のメサ(ミサ、礼拝)等もできませんので、あっちの教会でもこっちの教会でもFacebook等のソーシャルメディアを通じての「ライブ」を準備しています。「ホーム・イースター」ですね。

さて、例によって、実際にこのブログを書いているのは(このブログがアップされる二日前の)金曜日の午後です。この金曜日は日本語ではキリストの「受苦日」とか「受難日」と呼ばれる金曜日です。聖書にあるように、キリストが十字架にかかって亡くなった日がこの金曜日となります。

「受苦日」というとものすごく重いニュアンスですよね。でも実際にこの日はキリストの十字架の苦しみと死を偲び、追体験する日ですので、教会では沈痛な雰囲気となる一日なのです。




「復活祭の雪」は都市伝説 今年は金曜日に雪、そして日曜日にも、やはり!


もっとも英語ではGood Fridayとか呼んでいます。この名称なら多少沈痛さは和らげられるような気もしますね。脱線しますが、「受苦日」も漢字の変換キーを叩くと「熟美」とか出てきます。熟女か?(*^^*) 前回の 「聖週間」「性習慣」と並んで笑わせてくれます。

とにかく、そういう金曜日なので、例年からしてこの日はほとんどのお店は休業となります。スーパーとかも含めてです。あっ、そう、祝日、というか公式にお休みの日です。昨日の木曜日 –聖書的にはキリストが最後の晩餐を摂った日になりますが– も国民のお休みの日です。

今年の場合は、そこへC19のための「集会禁止」「外出自粛」がかぶさってきているため、街は例年にも増して静まりかえっているように思えます。

前回もちょっと書きましたが、こちらの人は大多数の人が従順に「外出自粛」や「2メートルルール」を守っているように見えるので、私はビックリさせられました。もう少し荒れるだろう、と思っていたのです。先日もまた家電のお店に用事があったのですが、この日は12- 3人のお客さんが「外待ち」状態でした。

小雪が舞っている日で見張りのスタッフもいなかったにもかかわらず、誰も文句も言わず、後から来たお客さんもおとなしく最後尾に2メートルの距離をとって並んでいました。

それでも「集会禁止」や「外出自粛」に腹を立て、毎日定例の記者会見を開いている警察の責任者、それと医療関係の責任者ふたり、計三人に悪口雑言を浴びせる人もいます。脅迫まであったようです。




定例の記者会見 左の三人がレギュラー
Myndin er ur Visir.is


でもそれはごく少数の人でしょう。政府も含めて、アイスランドは今はとても「挙国一致」という雰囲気があります。「挙国一致」というと、なにかファッショ的なものを連想してしまいますが、そういうような「他人を踏みつける」一致ではなく、「支え合って乗り切ろう」的な、良い方の「一致」です。

現首相のカトリーンさんは、私も属している「緑の党」の党首。ですが、首相としてはいまいち物足りないものがあり、私もガッカリ感を禁じ得なかったのですが、この危機に際しては、はっきりとしたリーダーシップを発揮しており、人気挽回しています。また可愛く見えてきました。ものすごく疲れているのは、傍目にもわかりますが。

ここのところ日本でもC19故の緊張感が増してきているようですね。日本の報道番組も、かなりフォローするように努めています。わずか「一週間」という短い期間で、事態がどんどん変化していきますので、対応する側は大変だと思います。




ワタシ的に人気挽回のカトリーン首相
Myndin er ur Frettatiminn.is


「緊急事態宣言」の発令ということで、日本もいよいよ危機に入った、という感じがしたのですが、安倍首相の会見とかを見ていると、正直ガッカリしてしまいます。

私、国外生活が長くなっていることもあって、こちらから日本を語る際にルールにしていることがあります。それは「一方的に悪く言わない、ネガティブな指摘をしない」ということです。

私だって、日本にいた頃、外国在住の誰彼さんが日本の悪口を言うのを聞いたらアタマにきていましたから。「責任ネエところからチョーシこくんじゃねえよ!」みたいな。

でも今、ちょっとだけ「こかせて」いただくと、話しの内容はともかくとして(もちろん内容は大変重要なのですが)、話し方がなってないですね。

なんですか、あの「... お願いをしたい所存でございます」だの「...といったことになるかもしれません」とかいうような、メリハリのない物言いは?しかも原稿に目を落としっぱなしで、自分の言葉になってない。

「こういう状況です。だから政府はこれこれのことを目的としてこの施策を実施します。つきましては自治体にはこうこう、国民にはこれこれの負担がかかるだろう。しかし、これをするのが今は最大の優先時だ。私が責任を取るからついてきてほしい」くらいのことを相手の目を見ながら言えないんでしょうかね?

くちゃくちゃしたへつらい口調は小池都知事も同じだと思ったのですが、小池都知事の方は、安倍首相に比べるとまだ「実のある」考えを持っているように思えます。オリンピック延期の結論が出るまではしどろもどろ感が強く、ワタシ的評価は低かったのですが、今は持ち直してきています。

前々回、「外出禁止令」発令の際のイリノイ州知事の記者会見のことに触れました。私はこの知事の名前さえ覚えていませんし、民主党なのか共和党なのかも、知事として有能なのか無能なのか、良い人物なのか嫌な奴なのかも存じ上げません。

ですが、この知事の記者会見では危機に際した社会にあっての「リーダーシップ」を感じました。「化け物がやってくるなら、俺が真っ先に相対してやる」というよな強さと責任感です。

実際にそうかどうかは、また別問題ですが、必要に応じてそのように話しをすることができるということは、指導的な立場の政治家にとっては不可欠の才能だろうと考えます。




Stay home!!
Myndin er ur usaid.gov


そういう点で、好き勝手を言わせてもらうなら、日本の政治家にはリーダーシップが感じられないですね。東日本大震災の時の枝野官房長官には、そういう雰囲気はあった、と思うのですが。でもそれは、遠い離れた距離からの感想です。

今の様子を見ていると、むしろ鈴木北海道知事とか、吉村大阪府知事とか、若い自治体の長の方がその意味でのリーダーシップを持っているようにも思えます。これも近くで見ると違うのかも、という留保は付けておきますが。

危機というのは、政治家にとっては試金石。ホンモノであることを示せるか、馬脚を表すかの岐路でしょう。

いずれにしても、日本で、NYやスペインのような状況にならないことを祈ります。でもそれには、皆が協力しないといけないですね。対策の中で、犠牲や損失に直面する人も多いでしょうし、というか皆が必ずそうなるでしょうが、これはもう避けられないことです。そういう事態はもうすでに起きてしまっているのですから。

最上の道を選び、歩まれますよう。その第一歩はStay homeだと、私は思います。


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オタクのいない悲劇... おじ(い)さんのテック奮闘記

2020-04-05 00:00:00 | 日記
日本の皆様、そして世界のどこかにいらっしゃる日本人の皆様、いかがお過ごしでしょうか?ワタシはちょっと疲れました。なんでこうなるかね?

もうCxxxx19の話しをするのはウンザリなのですが、そしてこのブログを覗いてくださっている奇特な皆様もゲンナリであろうことは承知しているのですが、それを避けて「日誌」を綴るのはなかなか難しいものがありますので、今回もC19の登場です。

ざっとアイスランドでの現在の状況をお知らせしておきましょう。土曜日の新聞からの情報です。まずC19への感染が確認された人の人数が1364人。そのうちの1024人がeinangrunエイナングルンという、なんというか「独房」暮らしのような状態に置かれています。

もちろん独房に実際に入るわけではなく、他者との接触がないように制限をされているということです。45人の人が病院に入院しており、そのうち重症でICUに入っている人が12人ということです。確かその人たちはみんな呼吸器を付けられています。 亡くなった方がこれまで4名。 ご冥福をお祈りしますし、家族や友人お方々にも慰めのあることを願います。 回復された方ももちろんあり、396人が「治った」と診断されたそうです。 




教会によくある祈りキャンドル


感染確認の前段階にある人たちはSottkviソットクヴィイという状態に置かれます。これは先ほどのエイナングルンの緩い版で、自宅待機とかサマーハウスとかに「自分で」二週間の間、閉じこもることです。散歩とかは行けるとのこと。ただし他者との接触はダメ。

このソットクヴィイにいる人が6300人。例えば会社の同僚が感染の確認をされた場合、その職場の人たちは全員ソットクヴィイ行きとなります。二週間しても症状がなければ一応「解放」されます。解放された人の数は10289人。ですから、17000人くらいがこのソットクヴィイを体験したことになりますね。

レイキャビクを含めて、アイスランドでは、ニューヨークやフランスのような「外出禁止令」は出されておらず、日本と同じなのかな?「外出自粛要請」の段階に留まっています。

一方で、前回書きましたように「集会禁止令」は出されており、スーパーとかも含めて21人以上が集まることはできません。スーパーといっても、大きなスーパーから小さな店までありますので、ちょっと変な感じ。

で、金曜日によく行く大きめのスーパーの前を通りかかると「この店は100人までOKの許可が出ています」という張り紙。なるほど。きっと大きなお店はこのような許可をもらっているのでしょう。

それでも、お店の中とかでも隣りの人と2メートルの距離を常に保つことが義務付けられています。これは前に書きましたが、皆、良い子でこのルールを守っているようです。この辺が「アイスランド人の不思議」です。

日本でもこのルールが適用されるとか、どこかで読みました。人口が多い土地では、なかなか大変でしょうね。「どうやって距離を測るのか?」という声も聞かれる、というようなことが書いてありましたが、こちらでは床にテープで2メートル間隔で印がつけられています。




リッカーショップでの2メートルウォーニング


当然、普通の規模のお店で20人のお客さんが入ってしまっている場合は、順番待ちで外に並ぶことになります。外にはさすがに2メートル間隔のテープはないのですが、それでもみんなきちんと2メートル「くらい」を保って待っています。感心、感心。

さて、冒頭に「ツカレター」と愚痴りましたが、その理由はたくさんあります。そのたくさんが絡み合って「疲れるなー」という状況を生み出してくれています。そのひとつ目の理由は「テック疲れ」です。

どこでも同じ状況だと思うのですが、「外出自粛」とか「集会禁止」とかのおかげで、みなが一斉にネットでのサイバーミーティングとかを始めたわけです。教会も然り。

あっちの教会でもこっちの教会でも、お客さんのいない礼拝の「ライブ配信」や「ビデオ配信」をしています。今の時代、別にこれらのことは最新テックでもなんでもなく、以前から毎日操ってきている人も多いでしょう。

ワタシも遅ればせながらビデオを作り、教会のホームページやFacebookに流し始めました。まあビデオに関しては、昨夏からYoutube進出?を期して学び始めていましたので、知識はともかく、機材はバッチリ確保してあります。

それでもライブ配信とかは、そんなに関心がなかったので、そちらの方はにわかにネットやYoutubeで知識を漁り始めたわけです。これは六十を越した人間には結構疲れる原因となります。

ビデオ配信の第一弾 ただし教会のビデオですからあらかじめご承知おきを
“Allow us to feel bad”


さて、しかしこれはまだ入り口。皆さんの中で、「ワタシ、テック関連はまるきりダメ」という方も多いと思います、そんな時、例えばFacebookとかでビデオを配信しなければならない、となったとしたらどうしますか?

普通、私たちがするのは「そうだ! テックオタクのXXくんに頼もう!」ではないでしょうか?不思議なもので、私たちの生活環境の多くの場面で、必ずそういう「オタク」がひとりくらいはいるものなのです。

ところがです。私の現在の居候先である教会は「高齢者教会」で、壮年層、青年層が極端に少ないのです。当然頼みの「オタク」もいない。そうなると自然と次善の策として、「オタク」の域には達していないくとも「興味を持っている」人間にお鉢が回っていくことになります。つまりワタシなのでした。

そういうわけで、私は自分の直接の責任である英語グループのビデオやら、ネット集会やらの面倒を見るだけではなく、居候先の教会のビデオやらライブ配信やらまで面倒を見なくてはならなくなったのです。

タイミングがいいのか悪いのか、今週は聖週間。今度の日曜日はパウスカ(復活祭)とう大きな祝日(それでも外出自粛ですから)です。ビデオとかも、そういう特別な時期用のものも流さなくてはなりません。

教会のオルガニストのオーリさんとかと話し合いながら内容を決めていきます。聖週間(余談: 変換の度に「性習慣」が出てくるんだよなー。違うって! ) には、アイス大詩人ハットゥルグリームル・ピエトゥルスソンの「受難詩集」を朗読する習慣があります。

それで、その詩の朗読と、オルガン奏を組み合わせた短いビデオを作ることに。ちなみに撮影に使うカメラ(SonyRX10M3)も、三脚も、マイクも、編集用のFinal Cut Pro Xも、ぜーんぶワタシの私物ですから。

ワタシも手慣れてはいませんから、なるべくシンプルに素人手作りで行きたいのです。そうするとカメラは一点固定で聖卓正面に設置。オルガン演奏の時は、パンしてオルガニストの後ろ姿を撮る、という図になります。

「それでいいだろ」と思ったのですが、オーリさん曰く:「後ろ姿では何をしているのかまったく見えない。少し横からのショットをいれられないか?」

ええい! 何をしてるかって、オルガンの音色が聞こえてるだろうに!

というわけで、今度はカメラを左の方へずらして、オーリさんの指捌きも映せるようにしました。でもマイクは聖卓正面に残して置かないといけません。 ということでワタシはトボトボと家電屋さんに出向き、マイクとカメラを距離を置いて繋げられるように延長コードを購入。




家電屋さんでも2メートルの距離を保ちながら入店待ち


翌日、教会で新しいアングルからオーリさんの指捌きをバッチリ収めたサンプルを視聴。すると「オルガンは手だけではなく、足も使ってるんだけど、足は映らないのか?」とのたもうではないか!

オーリさん、温厚な紳士で英語の礼拝でも弾いてもらっているのですが、やっぱりアー「ち」スト根性があるんだ! まいったなあ...

と、いうようなことがありワタシはツカレタのでした。それでもなんとか、このビデオも一作目が完成しました。上出来ではないですが、ネットに出ましたら見ていただけると幸い。ただし、素人の作り始めのものですからね。ご承知おきを。

これだけではまだ「ツカレター」の30パーくらいです。後は次回以降。ああでも、この話題でもC19よりは書いてて楽しいわン...


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