こんにちは/こんばんは。
先週は木曜日に急に気温がゼロ度まで下がり、急な冬の到来となりました。レイキャビクの一部では雪も降り、私の居候しているブレイズホルトゥス教会の庭などでは積雪しました。
レイキャビク近郊のエイシアの山では、上部がケーキに振った砂糖のように白く飾られています。麓あたりはまだ緑。きれいな光景ですが、寒い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/15/ae5f1f72370714c8de888c0ebbe83a60.jpg)
清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Thomas_Fatin@Unsplash.com
ところで、ここのところアイスランドで起きていることと、日本で起きていることが似通っています。コロナのデルタ株の感染者が増えてきた時期から、減少に向かうタイミング。
夏から秋に向かい気温が下がり始めた頃も同じようなタイミングでした。日本では自民党の総裁選が話題になっていた頃、こちらでも四年ぶりのアルシンキ(国会)選挙が白熱中。こういう中で「Nスタ」を見ていると、自分がアイスランドにいることを一瞬忘れてしまいそうです。
Nスタの天気予報で、ホランちゃんが「明日は朝から雨が強くなるんですねえ」などというのを聞いて「なんだ、朝から雨か」とがっかりしたりして、「いやいや、それは日本の話しだから」と気がつき、自分でも笑ってしまいましたよ。
さて、今ちょっと書きましたように、こちらでは四年ぶりの国会選挙が行われ、実は昨日の土曜日が投票日でした。
と言いながら、実はいまこれを書いているのもその土曜日なので結果はまだわかっていません。最近は日本時間でブログを更新するようにしていますので、更新時(日本時間の日曜日の零時)は、こちらではまだ土曜日の午後三時。
そこには九時間のタイムラグがありますので、よろしくご了解ください。選挙の結果は、また次回にご報告いたしますが、今回はアイスランドの政治状況の概観と選挙予想をご紹介しておきます。
アイスランドの国会は一院制で、議席は63あります。人口が約36万人ですので、単純に計算すると人口5700人がひとりの議員を持つことになります。もっとも、この36万人のうちの5万人は外国籍者で、彼らには国会選挙の投票権はありません。ちなみにワタシもそのひとり。
この国で選びたい! 選挙権と国籍
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/f7/1cfa6be7df6abef60b313d871ea8101f.png)
直前の支持政党リサーチ 団子レース状態
Myndin er ur Visir.is
選挙区は、北東選挙区、北西選挙区、南選挙区、南西選挙区、レイキャビク北選挙区、レイキャビク南選挙区の六つに分けられています。
日本のように個人に投票する仕方ではなく、すべていわゆる比例代表制によって議員が割り振りされます。ということは、各党で候補者リスト(比例代表名簿)の上位に挙げられている人たちは、戦う前から議席を保証されていることになります。
本来は、アルシンキの選挙は五月の第四週と決められているのですが、四年前に「政変」があった関係で、今回も九月の選挙となりました。
「政変」についてはこちらも:政権を一夜で崩壊させた「手紙」
現政権は最大与党の独立党、緑の党、進歩党(という名前の保守党)の三党連立で組まれています。三つ足して33の議席。首相は最大与党ではない緑の党のカトリーン・ヤコブスドティール党首が担っています。
この連立には、当初から反対の声も多く上がっていました。外野からではなく、緑の党の支持者の中からの反対の声が強かったのです。理由は単純で、独立党や進歩党の保守勢力に対して、緑の党はリベラル寄り。
「この連立では、我々の主張は実現できない」という向きが、緑の党内には多かったのです。この杞憂は現実のものとなり、政権の前半の二年間は、カトリーンさんよりは、むしろ独立党党首で財務大臣のビャルトニ氏が首相のような印象を与えていました。
それが変わったのが、コロナが出てきて以来。そこからカトリーン首相は見事なリーダーシップを見せ始め、保健衛生大臣のスバンディスさんと共に毎日のようにニュースのトップに出るようになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/c8/f3f990efbb60c007e80239e5d5035342.jpg)
個人的な支持率は圧倒的に高いカトリーン首相
Myndin er ur Visir.is
そして、コロナは依然としてあるものの、ワクチン接種が進む中で、経済活動が再会し始めた、という状況の中での国会選挙となっているのです。
というと、これまた日本の総選挙でも似たような状況なのではないかと思います。
今回の選挙は予想が非常に難しくなっているようです。レイキャビクでは選挙に参加している政党は全部で十あります(実際は十一あるのですが、十一番目の党はあまりに泡沫なので無視されています)。事前のリサーチでは、支持のトップはやはり独立党の20,6%なのですが、問題はそれ以降。
二位の進歩党(と言う名前の保守党)が13,4%、続いて社会民主党が11,7%、緑の党11,5%、ヴィスレイセン(再生党)11,4%、ピラター(海賊党)11,3%、中道党(とは真っ赤なウソの腐敗党)7,1%、人々の党(という名前の右派ポプリスト党)5,6%、新興の社会主義党が6,6%、真面目に相手にする気になれない自由党が0,6% 。
要するにかなりの「ドングリの背比べ」という「団子レース」状態なのです。実際にこれらの数字は、リサーチをする主体によって1〜2%は違いがありますので、進歩党からピラターまでは順不同というのが正解でしょう。
ちなみにアイスランドでも5%条項というものがあり、得票率が5%に満たない党は、議席を持つことができません。人々の党は、ついこの間まで4,7-8%の支持率だったので「バイバーイ」と期待していたのですが、ここにきて少し盛り返してしまいました。残念なことです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/c0/2555bcdd9f4cb3fb9f410efef71e27e8.png)
保守系新聞による議席予想
Myndin er ur Mbl.is
保守系の新聞モルグンブラウズィズ紙(独立党と一心同体)のリサーチでは、各党の予想される議席数は、独立党14、進歩党11、腐敗..いや中道党3、ヴィスレイセン7、人々の党4、社民党8、緑の党6、ピラター6、社会主義党4、としています。
明らかに保守系に好意的な予想ですが、逆にこういう数字が出ると物事が反対に動くことがあります。アナウンス効果と呼ばれていますが。どうなることやら。
ちなみに、カトリーン首相は、個人としての人気は高く、彼女の首相続投を望む声はリサーチでは過半数を超えています。
いずれにしても、今からかなりはっきりと予見できるのは、選挙後の連立の組み合わせが、ジグソーパズル並みに複雑怪奇になるだろうということ。確か前回も新政権発足までに二ヶ月くらいかかった記憶がありますが、今回もそのようなことになるだろう、と予想しています。
緑の党から初の首相 カトリーン政権の誕生
というわけで、選挙結果のご報告を慌ててする必要はないだろう、というのが私の見方です。間違ってたらゴメンナサイ、でした! (*^^*)
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
先週は木曜日に急に気温がゼロ度まで下がり、急な冬の到来となりました。レイキャビクの一部では雪も降り、私の居候しているブレイズホルトゥス教会の庭などでは積雪しました。
レイキャビク近郊のエイシアの山では、上部がケーキに振った砂糖のように白く飾られています。麓あたりはまだ緑。きれいな光景ですが、寒い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/15/ae5f1f72370714c8de888c0ebbe83a60.jpg)
清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Thomas_Fatin@Unsplash.com
ところで、ここのところアイスランドで起きていることと、日本で起きていることが似通っています。コロナのデルタ株の感染者が増えてきた時期から、減少に向かうタイミング。
夏から秋に向かい気温が下がり始めた頃も同じようなタイミングでした。日本では自民党の総裁選が話題になっていた頃、こちらでも四年ぶりのアルシンキ(国会)選挙が白熱中。こういう中で「Nスタ」を見ていると、自分がアイスランドにいることを一瞬忘れてしまいそうです。
Nスタの天気予報で、ホランちゃんが「明日は朝から雨が強くなるんですねえ」などというのを聞いて「なんだ、朝から雨か」とがっかりしたりして、「いやいや、それは日本の話しだから」と気がつき、自分でも笑ってしまいましたよ。
さて、今ちょっと書きましたように、こちらでは四年ぶりの国会選挙が行われ、実は昨日の土曜日が投票日でした。
と言いながら、実はいまこれを書いているのもその土曜日なので結果はまだわかっていません。最近は日本時間でブログを更新するようにしていますので、更新時(日本時間の日曜日の零時)は、こちらではまだ土曜日の午後三時。
そこには九時間のタイムラグがありますので、よろしくご了解ください。選挙の結果は、また次回にご報告いたしますが、今回はアイスランドの政治状況の概観と選挙予想をご紹介しておきます。
アイスランドの国会は一院制で、議席は63あります。人口が約36万人ですので、単純に計算すると人口5700人がひとりの議員を持つことになります。もっとも、この36万人のうちの5万人は外国籍者で、彼らには国会選挙の投票権はありません。ちなみにワタシもそのひとり。
この国で選びたい! 選挙権と国籍
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/f7/1cfa6be7df6abef60b313d871ea8101f.png)
直前の支持政党リサーチ 団子レース状態
Myndin er ur Visir.is
選挙区は、北東選挙区、北西選挙区、南選挙区、南西選挙区、レイキャビク北選挙区、レイキャビク南選挙区の六つに分けられています。
日本のように個人に投票する仕方ではなく、すべていわゆる比例代表制によって議員が割り振りされます。ということは、各党で候補者リスト(比例代表名簿)の上位に挙げられている人たちは、戦う前から議席を保証されていることになります。
本来は、アルシンキの選挙は五月の第四週と決められているのですが、四年前に「政変」があった関係で、今回も九月の選挙となりました。
「政変」についてはこちらも:政権を一夜で崩壊させた「手紙」
現政権は最大与党の独立党、緑の党、進歩党(という名前の保守党)の三党連立で組まれています。三つ足して33の議席。首相は最大与党ではない緑の党のカトリーン・ヤコブスドティール党首が担っています。
この連立には、当初から反対の声も多く上がっていました。外野からではなく、緑の党の支持者の中からの反対の声が強かったのです。理由は単純で、独立党や進歩党の保守勢力に対して、緑の党はリベラル寄り。
「この連立では、我々の主張は実現できない」という向きが、緑の党内には多かったのです。この杞憂は現実のものとなり、政権の前半の二年間は、カトリーンさんよりは、むしろ独立党党首で財務大臣のビャルトニ氏が首相のような印象を与えていました。
それが変わったのが、コロナが出てきて以来。そこからカトリーン首相は見事なリーダーシップを見せ始め、保健衛生大臣のスバンディスさんと共に毎日のようにニュースのトップに出るようになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/c8/f3f990efbb60c007e80239e5d5035342.jpg)
個人的な支持率は圧倒的に高いカトリーン首相
Myndin er ur Visir.is
そして、コロナは依然としてあるものの、ワクチン接種が進む中で、経済活動が再会し始めた、という状況の中での国会選挙となっているのです。
というと、これまた日本の総選挙でも似たような状況なのではないかと思います。
今回の選挙は予想が非常に難しくなっているようです。レイキャビクでは選挙に参加している政党は全部で十あります(実際は十一あるのですが、十一番目の党はあまりに泡沫なので無視されています)。事前のリサーチでは、支持のトップはやはり独立党の20,6%なのですが、問題はそれ以降。
二位の進歩党(と言う名前の保守党)が13,4%、続いて社会民主党が11,7%、緑の党11,5%、ヴィスレイセン(再生党)11,4%、ピラター(海賊党)11,3%、中道党(とは真っ赤なウソの腐敗党)7,1%、人々の党(という名前の右派ポプリスト党)5,6%、新興の社会主義党が6,6%、真面目に相手にする気になれない自由党が0,6% 。
要するにかなりの「ドングリの背比べ」という「団子レース」状態なのです。実際にこれらの数字は、リサーチをする主体によって1〜2%は違いがありますので、進歩党からピラターまでは順不同というのが正解でしょう。
ちなみにアイスランドでも5%条項というものがあり、得票率が5%に満たない党は、議席を持つことができません。人々の党は、ついこの間まで4,7-8%の支持率だったので「バイバーイ」と期待していたのですが、ここにきて少し盛り返してしまいました。残念なことです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/c0/2555bcdd9f4cb3fb9f410efef71e27e8.png)
保守系新聞による議席予想
Myndin er ur Mbl.is
保守系の新聞モルグンブラウズィズ紙(独立党と一心同体)のリサーチでは、各党の予想される議席数は、独立党14、進歩党11、腐敗..いや中道党3、ヴィスレイセン7、人々の党4、社民党8、緑の党6、ピラター6、社会主義党4、としています。
明らかに保守系に好意的な予想ですが、逆にこういう数字が出ると物事が反対に動くことがあります。アナウンス効果と呼ばれていますが。どうなることやら。
ちなみに、カトリーン首相は、個人としての人気は高く、彼女の首相続投を望む声はリサーチでは過半数を超えています。
いずれにしても、今からかなりはっきりと予見できるのは、選挙後の連立の組み合わせが、ジグソーパズル並みに複雑怪奇になるだろうということ。確か前回も新政権発足までに二ヶ月くらいかかった記憶がありますが、今回もそのようなことになるだろう、と予想しています。
緑の党から初の首相 カトリーン政権の誕生
というわけで、選挙結果のご報告を慌ててする必要はないだろう、というのが私の見方です。間違ってたらゴメンナサイ、でした! (*^^*)
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki