レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

まだここにある低気圧

2018-02-25 05:00:00 | 日記
前回は、この冬アイスランドが見舞われている荒天、ミニ台風に関して書きました。実は先週も引き続きこのミニ台風に悩まされました。特に水曜日は、レイキャビクを含む、南西部及び南部にオレンジ·警報が出され、午前7時くらいから午後1時くらいにかけて、猛烈な風が時折雪やみぞれを交えて吹き荒びました。

運の悪いことに、午前8時くらいから10時くらいが、ミニ台風のピークになり、通勤時間にまったく被ってしまいました。このところ息子が私の古アパートに居候しているのですが、彼も8時半くらいに車で出勤。帰宅してから「運転がしんどかったし、スボンが雨でびしょびしょになった」とぼやいていました。

私自身は自宅勤務でラッキー。冬の朝が暗い期間は、私は午前中にはなるべくアポを入れずに、デスクワークの時間に当てています。朝が暗いと体調がすぐれなくなることが多くなってきたので、その対策です。デスクワークのほとんどは自宅でもできるものが多いのです。

今回のミニ台風は、水曜日を含めて、その前の二日間くらいは気温が上がり、かなり寒さが和らいでいたこともあり、大量の雪解け水を巻き込んで相当な交通障害を引き起こしました。




道路が川化して怖いのは、どこが道かわからないこと
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レイキャビク近郊の幹線を含む道路のあちこちが「川」と化し、車が動けなくなったり、道路封鎖されたりしました。除雪車が雪ではなく、水を押し出している映像がニュースで流れました。道路だけではなく、なんとケフラビク国際空港でもご同様。

このところのミニ台風というか、低気圧群の疲れるところは、「台風一過」の晴天ということがなく、ミニ台風が過ぎた後も、低気圧の一部がはびこったまんまで、相変わらず風が強いことです。もちろん警報は引っ込みますが、この風、例えばデンマークだったら絶対「強風!」とみなされる強さでしょう。

ところで、この水曜日のように、オレンジ警報が出されるような場合には、当然警察、レスキュー隊、消防関係などはスタンバイして出動に備えます。今回は平日の朝にかかっていましたので、学校関係者なども休校にするかどうか、という決断をしなければなりません。

学校に関していうと、ちょうど登校時間にもぶつかっていましたので、前夜のうちから「子供をひとりで登校させないで」という呼びかけが警察関係からだされていました。それだけではなく、実際に休校にするかしないかは、それぞれの学校の判断にまかされます。相当数の学校がやすみになったのではないかと思います。

ちなみに、休校になるとして、その旨を各生徒の家庭に伝達しなければならないのですが、最近外国人家庭の子供も増えているため、アイスランド語だけでは伝達しきれない、という事態が起こっています。ある時、荒天で休校になった時、外国人の子供たちだけは何も知らずに登校してきてしまった、というような珍事?が実際に起こりました。珍事と言ってはいけませんね。当の子供とその家庭にとっては怒り心頭もんです。

私自身は、午後に空港の街ケフラビクでの祈りの会があったのですが、これは前夜のうちに当然「お休み」宣言を出しました。実際、朝から道路は封鎖されたとのこと。

他のいくつかの教会関係の会議や集会も、前夜のうちからキャンセルされていました。さすがアイスランド人。手馴れています。




これは国際空港で水を押し出そうという懸命の作業
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金曜日には、再びイエロー警報が一日中出されました。北西部ではまたしてもオレンジ警報。これだけひっきりなしだと、さすがに疲れてきます。

という、惨めな天候と道路事情を強いられているレイキャビク市民ですが、救いはすでに夕方6時半くらいまで完璧に明るくなっていることで、「冬は永遠ではない」と励ましてくれることです。

日の長さ、は絶対に後戻りせず進んでいく頼もしい自然現象です。青空はまったく当てにならないアイスランドでも、日の長さの変化は「鉄板」です。まあ、逆に暗くなっていく時も同じですけどね。

私はなぜか、周りが明るくなると嬉しくなってきます。かつては陽が落ちて、赤提灯の微笑みが目に染みるようになると嬉しがっていたのですが、人も変わる部分は変わるようです。

荒天の話しばかりで退屈させていることと思います。すみません。今のところ、他にあまり話題がないのです。ユダヤ教徒が男の赤ちゃんにする「割礼」という儀式があるのですが、これをアイスランドでは禁止にしよう、という法案が今、熱い議論を呼んでいます。

「割礼」というのは男性の大切な部分の包皮をちょっと切る施術です。詳しいことはネットで調べてください。表現に気を使いますので。

もともとは赤ちゃんを病気から守る意味があったと理解していますが、ここアイスランドではこれを「赤ちゃんの身体に危害を与える反人権行為」と考える人が多いようです。私はこの法案には反対ですが、きちんと書かないと誤解を呼ぶので、またの機会に書きます。

それから、日本では感動を呼んでいた平昌冬季オリンピックですが、こちらではあまり身が入っていません。もともとアイスランドからは有力な選手が出ていないのが最大の理由と思います。

その他にも、アルペンスキーやアイスホッケー、カーリング等、あまり馴染みがない競技が多いからではないかと想像します。意外と思われるでしょうが、アルペンスキーはこちらの人はあまりやりません。っていうか、する場所がないのです。

ニュースの中のスポーツコーナーで扱われるのも、むしろスキー距離。逆にスキー距離というか、スキーを履いての長距離散歩をする人はあちこちにいるようです。こっちの方が馴染みがあるとか。

羽生結弦選手が金メダルを獲った時は、号外がでたそうですね。日本ではさぞかし湧いたことだろうと思います。多少、残念な気がします、一緒に興奮できないで。

小平奈緒さんと女子追い抜きの金メダルもよかったですね。小平さんのレースはバイキングで一度観れましたし、追い抜きの方のレースもようやく見れました。スポーツは権利問題がシビアで、なかなかネットでも観られないのです。追い抜きのレースは感激しました。涙が出てきましたよ。こういう感動はスポーツならではですね。

そして雨後の竹の子族ですが、私も結構小平選手のファンになりました。なんか、全部が素敵なひとですね、小平選手。坂上忍さんもそう言っていましたが、その点は同感です。って、要するにおじさんたちの意見か?(^-^;

というわけで、悪天候を愚痴るだけのブログになってしまいましたが、ご容赦。そういう時もあります。度々。

今週は何か紹介するのを楽しみにできるような出来事が起こってくれますように。

****

と、書き終わっていたところに、高木菜那選手のマススタートでの金メダル、さらに女子カーリングの銅メダル獲得のニュースが入ってきました。当然、両者とも観れていないのは残念ですが、嬉しいニュースです。頑張っているのはみんなでしょうが、カーリングのチーム、特におめでとう!です。


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気まぐれ天気に付き合うサダメ

2018-02-18 05:00:00 | 日記
今、これを書いているのは16日の金曜日の夕方なのですが、私の古アパートの寝室兼仕事部屋の窓の外には青空が広がっています。風もなく、春が近着いてきたかのような空気です。

ところが下の方、裏庭や道路へ目をやると、残雪が小山となっているのが見えてきますし、「あ〜、まだそうは簡単には春は来ないよな〜」と現実に引き戻されます。

実際、今から一週間前の週末は、今日とはまったく違う天気模様だったのですし、それによって大分振り回されてしまいました。今回はアイスランド、ちょっと限ってレイキャビくの天気に関連したことを書いてみます。

私は東京(都下)で生まれ育ち、その他には何年間か名古屋で暮らしました。基本的に太平洋側の、かなり落ち着いた気候のもとで過ごしてきたわけです。

ですから、日本の中でも天気が厳しくなる地方の様子はまったく知りません。おそらく想像を超えた厳しい天候に日々直面している方は多いのだろう、とは想像します。Facebookとかでも散見していますので。

そういう方にとっては、「アイスランドの天気はこんなだ!」とか書いても、「それで〜?」という感じになるかもしれませんが、それはそれで納めておいていただきたいと思います。

さて、こちらの天気の特徴ですが、「アイスランドの天気は山の天気だ。晴れていたかと思ったら、あっという間に雨が降り出し、しかも強風が吹きつけてくる」というようなことを何回か書いてきました。

これは本当にその通りなので、皆さんの中でアイスランドへお出かけの方がありましたら、天候の変化に対する備えはいつも怠らないでいていただきたいと思います。生命に関わるようなことすらありますからね。

日本では台風が発生した場合は、発生直後からちゃんと追跡していきますよね。そして日本へ接近する可能性が大きくなるにつれて、詳細がレポートされますし、また大きさが増すに連れて警戒度も増しますよね。

アイスランドでは、台風ほどの大きさはないような「ミニ台風」とでもいうべきものが割と頻繁に発生します。特別な言葉はないようで、単にlaegd(低気圧)とかstorm(ストルム)と呼びます。季節限定ではなく、私の感覚では一年中、いつでもやってくると思います。

そしてこのミニ台風が発生すると、天気予報が激変してしまい、色々と影響が出てくるわけです。台風のように、何日も前からその到来が予測されるものと違い、このミニ台風は、一日とか半日くらいの前振りで来てしまいます。アメリカの竜巻ほどではないでしょうが、かなり突然出てくるわけです。

ですから、何かのイベントを計画している時に、週間天気予報が割りと安定した予報を出していて安心していても、このミニ台風のおかげですっかり予定が狂わされてしまうことがあるのです。

一週間前の土曜日には、私のオフィスのある教会でお父さんがアイスランド人、お母さんが日本人である赤ちゃんの洗礼式がありました。その直前の天気予報はひどいもので、大雪に加えて大風になるというものでした。

お母さんのご両親も駆けつけていたので、スケジュールの変更が難しく延期はできないので心配したのですが、幸いミニ台風というか、この場合は普通の低気圧だったのかもしれませんが、到来が遅れてことなきを得ました。




全国に荒天の週 北西部に住むレベッカさんの撮った写真!
Myndin er eftir Rebekka.Gudleifsdottir.Facebook


しかしです。翌日の日曜日は私が担当する英語での礼拝がある日でした。

私の場合、特別職牧師であるので、普通の教会の日曜礼拝のようにスタッフが揃っていません。ということは、プログラムのコピー印刷から始まり、コーヒータイムの茶菓の買い出し、椅子の並び替え等の礼拝の直前準備のほとんどを私が自分ですることになります。

Facebookでのイベントにアップもしますし、英語がダメな(イラン·アフガン)人用にペルシャ語でお話しの要旨をまとめたものを依頼して、それをコピーしたりと、細々した準備がそれなりにあるわけです。

最後に、私は英語ペラペラではありませんので、何回もお話の「読み」の練習をしなくてはなりません。そして最後の最後に、教会に定期的に集っている難民、元難民の人たちにSMSでリマインダーを送ります。

こうした一連のリチュアルを通過して準備万端。「さあ来い、日曜日」という気分になるのです。今回もそういうスタンバイはできていました。

しかしです。あの遅れていた低気圧がまだそこにいたのです。土曜の晩の天気予報はひどいもので、「これだったら礼拝は中止か?」と真剣に考えなくてはならないほどでした。

その後、多少予報が持ち直し。そして...

日曜日の朝8時過ぎ。風もなく、雪も舞っていません。「これは助かった」と思いました。やはり天は味方してくれる。そう思い、9時くらいにネットの予報を見てみると...

なんとレイキャビク一帯は「オレンジ警報」になっています! この警報はアイスランドの気象局が昨年の11月から新しく取り入れたシステムで、緑(異常なし)、黄色(強風、注意)、オレンジ(風速24m/s以下、相当注意)、赤(風速24m/s以上、危険)に別れるのだそうです。

CAP(Common Alerting Protcol)という国際的に共通のシステムに依っているのだそうです。ですが、これまで「オレンジ」レベルの警報は見たことがありません。警報の度合いは風の強弱だけではなく、雨、雪その他の気象条件も加味して判断するそうです。

さて困りました。予報では日曜日午前10時過ぎから夕方までモーレツな荒天になるとのこと。そうなるとしたら午後2時からの礼拝は中止にしなくてはなりません。こちらの言葉ではMessufallメスファットゥルといい「礼拝(メサ)落ち(ファットゥラ)=礼拝中止」を意味します。

今は9時半。しかし外はほとんど「凪」と言いたいくらいの静かな天気。私の集会に来る人の多くは難民の人たちでもちろん徒歩とバスの利用者です。しかも何人かは郊外の田舎の宿舎をあてがわれおり、バス停に着くまでなんと一時間歩かなくてはなりません。中止にするなら、十分なゆとりを持ってその旨伝えないと。

迷いました。せっかく準備してきたのに、中止にするのは残念なこと極まりない。しかし、バス利用の人を強風と雪の中をこさせるのは、非道というか、危険なこと。あー、どうしようか。

十五分迷いましたが、教会に電話をし「メスファットゥル」を伝えました。ちなみに教会は通常の午前礼拝のためにすでにスタッフが来ていましたし、午前中の礼拝は無事にできたようです。午前礼拝に来るのは大体が近所の人たちですから。

でもこれで、天気が悪くならなかったら責任問題になるなー。「サボりたくて休みにしたんだろー」とか言われかねないし...

午前11時を回っても、多少風が強まったくらい。あー、サボり屋の汚名を着せられるかー、と思っていると、突如突風が荒れ狂い始め、雪で視界数メートル状態となりました。

午後1時半くらいにはバスが運行を中止。続いてドミノ·ピザも出前を中止。礼拝中止にして正解だったようです。

午後3時くらいになると、隣り町のコーパボーグルで車8台が巻き込まれる交通事故のニュース。警察は「なるべく自宅に留まって外出しないように」というお願いの声明を発表しました。




7台巻き込まれ事故のニュース
Myndin er ur Visir.is


さらに夕方には空港のある町ケフラビクへ行く途中の町、ボーグルで車7台が巻き込まれる追突事故の報。さらにあちらこちらの幹線を含む道路が閉鎖されました。いたるところで、車が雪漬けになって立ち往生しているとのこと。

そのニュースを聞いた頃には既に「状況を冷静に分析し、人の安全を尊重する判断を下せるリーダー」という感慨に浸り切っていました。自己満足と言った方が正解ですが。

ミニ台風、あるいは大雪等が集会のある日にぶつかってしまい、集会を中止にするか否かの判断を迫られることは、やはり年に二、三回はあります。そういう場合のマニュアルはですね、「迷ったら中止にする」ということです。

集会が一回中止になって、人生に取り返しのつかない損失を受ける、ということはまず考えられませんが、荒天の中を無理して外出してなんらかの事故に遭う危険は実際にあります。特に車の場合は。

くるくる変わる天気の国ですから、肩肘を張るよりは、その気まぐれな天気に付き合うことを学ぶ必要があるようです。結構慣れてきたかな、この国に。


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アイスランドに住む人々

2018-02-11 05:00:00 | 日記
この冬は穏やかに収まると期待していたのですが、一月の半ばごろから断続的な降雪、それに頻繁にやってくるストーム(ミニ台風と言っていいでしょう)のおかげで、不安定な冬になってしまっています。

アイスランドという国名にもかかわらず、メキシコ暖流とかの影響もあってこの国はそんなに厳寒の国ではありません。レイキャビク近郊に限って言えば、豪雪地帯でもありません。寒さにしろ降雪にしろ、日本の方がはるかに寒く、雪も深い土地が多いのです。

実は今日(2月10日)のお昼に、赤ちゃんの洗礼式がありました。お父さんがアイスランド人でお母さんが日本人。お母さんのご両親はアメリカ在住なのですが、孫の顔を見にやってきています。

ところが今日の天気予報がものすごく悪く、とても心配したのです。大雪かつ強風という最悪のコンビが、しかも三日くらい続くと予想されていました。ご両親の旅程があるから、そう簡単に延期できないだろうし、どうしたものかと思いました。

幸い雪は今積もっている以上には積もらず、風は強いですが、まあ「これくらいは」という範疇にとどまってくれ、無事に式を終えることができ、ホッとしています。誰か行いの良い人が私たちの中にいたのでしょう。私ではないです。

さて今回は、アイスランドにはどんな人がどのくらい住んでいるのだろうか?ということに関連することを書きます。今月初めの新聞で、アイスランドの昨年末の人口が348.580人になった、と紹介されていたからです。

加えて、それ以前、一月のニュースで「昨年一年間にアイスランドへ移住してきた外国人の数が7.000人。これに加えて、外国からの派遣労働者が5.000人来ている」というものがあったのです。これは相当な数です。

一体どうなってんだー!?と思い、統計局の資料を覗いてみようと思ったわけです。

残念ながら、こういった変化が統計教の資料に反映してくるまでには、多少の時間がかかります。まだ、2017年末のきちんとしたデータは統計局は発表できていませんでした。

でもせっかくですから、一年前の状況をまずお伝えしておきたいと思います。

さて、これから示します数字は、特に断りがない限り2016年12月31日時点での数値です。まず総人口。338.349人。その一年前の2015年末の人口は332.529人ですから、6.000人弱の増加ですね。




二十年後のアイスランドの人口予想
アイスランド統計局資料 Hagstofa.is


2017年初めの内訳は、男性が171.033人。女性が167.316人。当たり前ですが、大体50-50です。平均寿命はいつも書いていますので割愛。もっと目新しい数字は、いまのアイスランドでの平均年齢です。想像できますか?

これが意外と若いもんで、37.9歳だそうです。そういえばアイスランドの一世帯あたりの子供の数が一時期二人を下回ったのですが、今は二人以上に戻ったと記憶しています。現状を維持するには一世帯、というかお母さんひとり平均で、2,2人の子供が必要なのだそうです。

さて、総人口338.349人中、外国籍のみを持つ住民は(つまり外国人ということです)30.275人。その中のひとりは私です。私が移って来た1992年当時は、外国籍者数は約5.000人でしたから、まあよく増えたものです。六倍。パーセントに換算すると、8,9%になります。

ところが外国からの移民の中にはアイスアンド国籍を取得する人も多くあります。その人たちは、一度アイスランド国籍を取得するとアイスランド人として勘定され(当たり前ですが)、たとえ二重国籍を有していたとしても「外国人」枠からは消えてしまいます。そういった人は、一体どのくらいいるのでしょうか?

1997年からの二十年間で、アイスランド国籍を取得した外国人は全部で10.694人にのぼります。最近の数年間の数値を見てみると、大体七百人くらいが毎年「新しいアイスランド人」となっています。

で、これらの「新アイスランド人」を、「旧外国人」とみなして「外国人」枠に入れて勘定しましすと、2017年初頭の段階での外国人数は一万人増加して40.969人となり、割合も12%に達します。

実際には、1997年以前にアイスランド国籍を取得した人もいますし、さらに移民とアイスランド人の子供達、つまり生まれながらに二重国籍を有している人もあるわけです。ですから、こういう「外国人関係者」をすべて勘定に入れるならば、今のアイスランドでの移民(関係者)割合は12%をはるかに超えていくはずです。

さらに、先ほど書きましたように、昨年中に7.000人の外国人が移住してきているというのですから、ここでも他のヨーロッパ諸国並みに移民が一般化してきているということでしょう。

移民の中で一番多数を占めているのはポーランド人です。彼らはこの十年間以上このタイトルを保持しています。13.769人のポーランド人がここには住んでいます。二位のリトアニア人が2.306人ですから、ブッチギリの数ですね。

これも最近ですが、ポーランド政府が国内の労働力が不足し始めているため、外国に出ていっている労働者に帰国を進めているのだそうです。どうなるでしょうか?

我らが日本人ですが、総勢68人。あれ、少な! 男女の内訳は女性が圧倒的で51人。男性は、私を含めて17人。ただし、ここには大使館勤務の方々は勘定されていません(現地採用職員を除く)。また、交換留学の学生さんたちも含まれていません。これらの方々をすべて含めると総勢100人足らずにはなるのではないか、と計算します。




こちらに在住する日本人の数は...?
統計局資料 Hagstofa.is


また、私たちの子供たちの多くはアイスランド人とのハーフですので、彼らもこの数字には含まれていません。子供たちだけで、どのくらいいるでしょうか?7〜80人はいるのではないかと思います。いや、もっといるかも。

ちなみに、私がアイスランド在住邦人の仲間に加わった1992年当時は、確か日本人成人総数は6人か7人だったと記憶しています。それを考えると、やはり増えたもんですね。

日本人では女性が圧倒的多数であることと、子供達の多くがハーフであることを考え合わせると合点が行くでしょうが、アイスランド人男性と日本人女性が結ばれる率がとても高いのです。

交換留学で日本へ行ったり、こちらに来たりしている学生さんたちが、どのくらいの確率で当地で後の配偶者を発見しているのか、真面目なリサーチをして欲しいものです。かなりのものでしょう。

なぜアイスランド人男性と、日本人女性の組み合わせで、その逆は成り立たないのか?仮説はありますが、またそのうち。以前書いたこともあると思います。

理由はともあれ、日本女性はここではモテるのですが、日本男性は別にモテないのです。そして私は日本男性なのです。「アイスランドなど糞食らえだ」と思ってしまう状況のひとつなのでした。

さて、私の記憶に間違いがなければ、統計局は前年のきちんとしたデータを春には開示したと思います。昨年の大規模な「移住」がどのようなものであったのか、新しい資料が出ましたら、またご紹介したいと思います。

日本も大雪とかインフル流行とかで大変なようですね。それぞれにお気をつけてこの冬をお過ごしください。


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ハルマゲドンとピザの宅配

2018-02-04 05:00:00 | 日記
先日、ネットのニュースを拾い読みしていて面白い記事を見つけました。アイスランドのガイドブックを書いたりしているアルダ·シグムンドゥスドティールさんという女性が、アイスランド国内の読み方が難しい地名をピックアップして、その読み方を教えてくれるというのです。

「読み方が難しい」というのは、もちろん外国からのツーリストにとって、ということです。

アルダさんがまずは自分のFacebook上にこれを紹介したところ、たちまち1500ものシェアがなされとのこと。私もアルダさんのFacebookをのぞいてみました。個人のアカウントではありますが、アイスランド紹介関係の自身の著作を売るための「ページ」にもなっています。

アルダさんは、アイスランドの地図上にこれらの35の難しい地名を持つ観光スポットを示してみたのですが、反響が大きかったので、後から「それぞれの地名を実際に聞くことができるように」と、ご自身で地名を読み上げたリンクを作ったということです。

実際に発音を聞いてみたい方はこちら


で、これらの35の地名を見てみますと、確かに読み方が難しいのはわかるんですが、それより先にものすごく長い地名ですね、それぞれ。アイスランドの単語には良くあることなのですが、短い単語が次々と連結していって、長〜い単語を形成します。これらの地名もこの仲間です。

ですから、その長〜い単語を形成しているひとつひとつの単語を知らないと、きちんと読めない、という結果になります。日本語でも同じですよね。「航空機疑惑問題等防止対策協議会」というのをグーグルで見つけましたが、日本人なら簡単に読めるこの単語(ただし内容が簡単にわかるかどうかは別ですが)、日本語を学び始めたばかりの外国人だったら往生するでしょう。




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実際にアルダさんが挙げている35の場所から例を取りますと、南部にTindafjallajokulsdalurというところがあります。カタカナで表記してみると「ティンダフャットゥラヨクルスダールル」となりましょう。

これはtind+fjalla+jokuls+dalurという四つの言葉が連結してできています。辞書に載っている単語の形で意味を言いますと、tindurは「頂き、ピーク」 fjall「山」 jokull「氷河」 dalur「谷」となります。

ですから、この地名は「頂き山氷河谷」とでもなるのでしょうか? 長い割に意味が薄い気がしますが... (^-^;

もうひとつ。北東部にLaufskalafjallgardurというところがあります。初めて聞く地名で、もちろん、私は行ったことがありません。カタカナ表記では「ロイフスカウラフャットゥルガルズル」となるでしょう。

これはlaufs+kala+fjall+gardurという四語の連結です。意味は順番に「葉っぱ」「キャベツ」「山」「庭、園」となります。「キャベツ」だけは私が意味を取り違えているかもしれませんが、多分大丈夫です。「葉キャベツ山の園」ということでしょうか?

このような普通の単語の連結なら、ある程度アイスランド語がわかってくるようになればそれほどまごつくことはありません。ですが、それでも「勘違い」というものはあります。

以前、Facebookの教会関係のグループで、なにやら議論していました。詳しく見なかったのですが、heimsendingという言葉だけ目に入りました。heimは「自宅へ」とか「自宅に」の意味。sendingは「送ること」を意味します。ホームデリバリーのことですね。

で、ピザの配達か何かの議論をしているのだろうと思いました。その後、何回かチラチラ議論が横目に入ってきたのですが、何かピザとは関係ないことを議論している風、しかも真面目に。

それで、よーく見てみると、それはheimsendirについての議論だったんです、heimsendingではなくて。heimsendirとはheims「世界の」とendir「終わり」の連結語です。「世界の終わり」ハルマゲドンについての議論でした。ピザの出前じゃなかった。(^-^;

これなどは単語がわからないからではなくて、読み間違いが原因ですよね。あまり皆さんは普段は気にされていないかもしれませんが、日本語、特に漢字はものすごく「視覚性」が強い言語です。

ですから、私たちは文章を目で見たとき、読むより先に目で内容を理解し始めていることがあります。要するに「形」で内容を先取りしてしまうわけですね。私は、どうもそういう習性が、アイスランド語を読む時にも身についてしまっていたようです。

先の勘違いでは、私はhemsendirという単語の形を見て、heimsendingと取り違えてしまったわけです。

つい先日も同じような経験をしました。UNICEFから手紙が来たので、「なんだ?」と思い封を切りました。すると「あなたはこの十年間、家庭内暴力をしてきました...」は!? なんだ!?

ところがよーく見直してみると「あなたはこの十年間ワールドフォースターになってくれています云々」「ワールドフォースター」はアイスランド語ではheimsforeldriと言います。一方heimilisofbeldiは「家庭内暴力」。またしても私の「見間違い」でした。

日本語でも勘違いしやすい言葉というのはありますよね。今でも時々思い出すことがあります。もう三十五年以上前のことですが、大学生の頃カフェで友人三人と軽食をとっていました。

友達のひとりが、食べ足りなかったらしく大声で店員さんに「すみません、中華ツイモンお願いします!」??ここ中華じゃないけど??

彼が言いたかったのは「追加注文願います」確かに紛らわしいかも。「あー、いつか絶対やると思っていた...」と本人の弁。覚えています、しっかりと。

話しが途中から変な方向へそれてしまった感がありますが、元へ戻ってアイスランドの地名。アルダさんの作ってくれた地名視聴用のリンク、多分日本でも有効と思いますので、時間のある方はぜひ試してみられては?

カタカナ表記はどうしても実際の発音とはかけ離れてしまいます。ホンマもんの音を聞かれるのは損のないことだろうと思います。


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