レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド的自慢話し

2015-09-27 05:00:00 | 日記
今回は少し自慢話し的に聞こえるかもしれませんが、自慢話しです。全部ではないですが、半分くらいは。(^-^;

それには理由があって、十日ほど前から非常にしんどい日々に入っており、少し肯定的自意識をしっかりさせる必要があるのです。というのは...

何度も書きましたが、私は職業的に難民申請者の人たちと繋がりがあります。原則、宗教的な背景によらずサポートをするのですが、キリスト教徒の人たちについては、やはり「祈りの会」のようにエクストラなサービスが加わり、個人的にも相談に乗ることが多くなります。

その集まりの中の三人がこの十日間ほどの間に「申請拒否」の回答を出されてしまい、その対応に追われました。また、別のふたりは最高裁で係争中なのですが、その判決がこれまた今週中に出るとのこと。気が重くなります。

加えてこれまた別のふたりが、ひとりはウツ症で、ひとりは感染症で入院。入院の度に引っ張り出されますし、さらに気が重くなってしまいます。

というわけで、私の周りのクリスチャングループに「ダークサイドのフォース」が襲いかかっているかのようです。そう、まさに「Starwars Episode3」でジェダイが壊滅的な打撃を受けたかのような状況なのです。

という有様なので、自信を取り戻すために?多少の自慢話し調はご容赦ください。m(_ _)m

今月の八日にAlthingiアルシンキ、国会が新たに招集されました。こちらは九月からが新年度です。

アイスランドは「キリスト教国」で国民の80%はキリスト教の教会に属しています。私がこちらに来た頃には九割以上でしたので、その率はどんどん下降しているのですが、それでも三年ほど前の憲法改正を巡る国民投票では、国民の57%が憲法に「キリスト教条項」を保持したい、という意思を表しました。

これはこれで難しい議論になり得ますが、ここではそっちには行きません。今日の話しは、そういうキリスト教文化の国なので国会も開会前にカセドラルで礼拝を持つしきたりがある、という方向へ行きます。

アルシンキフース(国会議事堂)は黒い石造りの建物ですが、カセドラルはアルシンキから歩いて一分の距離にあります。大統領、国民教会のビショップ、首相、国会議長、そして国会議員の人たちが、アルシンキフースから列をなしてカセドラルへ入っていくのが習わしとなっています。

「政教分離」を唱えるリベラルな議員さんたちは参加しません。強制ではないのです。日本でも、昔は日本共産党は天皇陛下がお出になる国会の開会には欠席するのが「習わし」でしたが、今ではどうなのでしょうか?

さて、そのカセドラルでの礼拝にはビショップとカセドラルの牧師さん(カセドラルの牧師職はやはり一格高いものと見なされています)が担当するのですが、説教(キリスト教的な講話と思ってください)を他の牧師がすることもよくあります。

それでも国会の開会礼拝ということで誰でも招かれる、というものでもないのです。一応、名士というか教会の重鎮のように見なされている牧師さんたちが説教者となるのが恒例です。

で、もうお分かりでしょうが、今回はワタシがその説教者に選ばれたわけです。前ビショップの下では私は「特命係」で、「スギシター!」ととにかく踏みつけられていました(右京さんほど頭脳明晰ではありませんが)。それが現在のアグネス監督になってからは、風向きが変わってきて、人間的な立場を回復してきています。

ですから私が国会開会の礼拝でお話しをするということは、ある意味杉下右京が警察官僚の集まりで演説するようなものだったのです。時代は変わった?調べてはいないのですが、多分外国人が説教をしたのは初めてのことではないかと思います(私は単にアイスランド在住の日本人です)。




首相、国会議長らを「従える」ワタシ


このことは八月の終盤に決まっていました。私はちょうど良い機会なので、難民申請者のことをメインにして話そう、と決めていました。なにしろ首相から大臣たちが集まっているのですから、この機会を逃す手はありません。難民問題は関心を引く度合いが少なかったですから。

ところが、これが不思議な「お導き?」で、九月になるとヨーロッパへ流れ込んだシリア難民の問題で議論は持ちきりになりました。教会の立場を問う声もずいぶん聞かれたので、私が難民のことをトピックにして話すのが、奇抜どころかまさにピッタリの状況になってしまったのです。

おそらく世間の多くの人たちは「難民問題が時の議論なので、アイツが選ばれたのだろう」と思ったことと想像します。しかし、事実はそうではなかったのです。

さて、礼拝自体は非常に簡素化された式次第で三十分で終わりました。それようにお話しを削るのに少し苦労しましたが、その分読む練習は短くて済みましたし。ちなみに内容の方ですが、好評でしたよ、議員さんたちには。実際に良い話しでしたから。

自慢気でいやらしいでしょうが、プロ意識もありますので。それに始めの頃は「日本から来た牧師?へえ、聖書読んだことあるの?」みたいな扱いを受け続けていましたのでね、多少の「ヤッター!」感は勘弁してください。

翌日のフリェッタブラージズ紙の一面にはアルシンキフースから教会へ向かう行列の写真が大きく載りました。ワタシも写っていましたが、そっちの方は、なんというか、やたらと背の低さが強調されてた〜!

説明しますが、私の前にいた大統領は背の高い人物で、後ろに「ついてきた」首相や財務大臣らもかなりでかい方の連中なのです。

まあ、そういうマイナスイメージもありますが、ある女性は「シンボリックな写真だ」と言っていました。「社会が多文化、多民族になっているという意味でよ」たしかにー。


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アイスランド「不便」事情

2015-09-20 05:00:00 | 日記
アイスランドに住んでいて「不便だ」と思わざるを得ないことは、これまでにもたくさんありましたし、今もあります。ただ、もう二十年以上こちらにいますので、その内容は時とともに変わってきています。

来た当初はまだインターネットが今のように発達していませんでしたので、日本との連絡のほとんどすべてが「不便」でした。日本の両親が送ってくれる新聞とビデオが着くのが約二ヶ月経ってから。

ニュースやテレビ番組はいつも「昔」のものを追っかけていたわけで、それ以外に日本の情報を得る術はありませんでした。というわけで、来てから十年間くらいの間に日本で起こったことは、私の頭の中にはあまりありません。

阪神大地震やサリン事件のような重大ニュースは、もちろん月遅れのニュースビデオで追いかけましたが、プロ野球情報やヒットソングなどはほとんどシャットアウトでした。

というわけで、日本の人と話す時、時折皆が知っている曲をワタシだけ知らない、という悲しいことも時々起こってしまいます。

ついでに食文化について触れますと、来た頃はお米と鶏肉に泣かされました。今でこそカリフォルニア米とはいえ、一応の日本米は手に入ります。以前はそうはいかず、ジャスミンがあれば御の字、なければイタリアのリゾット用のお米を常食していました。

時には「アンクルベン」以外には手に入らないこともあり、これには往生しました。「アンクルベン」をご存じない方は是非一度トライしてみてください。あれでおにぎりを作れたら、アイスランドから粗品を提供します。(^-^;

また、鶏肉を賞味する文化がなく、チキンはまるまる一羽を冷凍したものだけが入手可能でした。ですから鶏肉を使いたければ、まず解凍、それから丸ごと茹でてから肉を切り取る、という壮大な作業にならざるを得なかったのです。なぜ茹でるか?茹でないと生の肉はほとんど切り分け不可能です。

今では生の鶏肉はスーパーで売っていますし、ちゃんと部位に分かれ、骨付き骨なしも選べます。ただ値段は高いです。牛肉並みの値がします。何故でしょうね?

食材全般に関しては、生ものは別ですが、国際通販のおかげで今は非常に楽になりました。麻婆の素や焼肉のタレも買うことができますし、しかも一定の期間のうちに必ず手に入るので、買い置きに奔走する必要もなくなりました。ありがたや〜。

で、「The不便なこと」2010年代ものです。

これは個人の趣味に属する部分もあるのですが、エレクトロニクス製品の発売が遅いことです。しかも値が高くなる。

例えばiPhoneです。先日、アップルのイベントがありiPhone6S等が発表されましたよね。アイスランドからの写真もプレゼンで使われていました。なかなかあの3Dタッチはスグレモノのような感じがします。日本などではあと一週間くらいで手に入るのでしょうか、確か?

アイスランドでは...いつ手に入るものやら...なにしろ春に発売されたアップルWatchがまだ店頭に並んでいませんから。同じ頃発表さえれた新MacBook。12インチのRetinaスクリーンのやつですが、これも「この夏来たる!」の表示のまま秋を迎えています。

しかも値段が違うのです。この新MacBookを例に取りましょう。256GBの一番安いモデルです。日本のアップルのHPで調べると、標準小売価格は148,800円。同じものの価格がこちらの販売店(アップル直営ではありません)では247,900クローネに設定されています。

日本円に換算すると約234000円。80,000円以上高いことになりますね。ということは日本の標準小売価格(ビックカメラで買えばもっと安いでしょう)の1,56倍です。どうです、高いでしょう?(って、自慢じゃないだろう)

というわけで、このPC/Mac、携帯、smartwatch等の周辺機器に関しては,アイスランドは「孤島」蚊帳の外です。そして...悲しいかな、ワタシはそういったものが好きなのです。

私は完璧に「庶民」で、車はカローラが十年目に入りましたし、古くて小さいアパートはあちこちに修繕必要箇所が待機しています。待機したままでしょう、あと数年は。

しかしです。iPhoneとかは大好きで、必ず新しいモデルを買うのです。「必ず」ではないですね、Sシリーズは見送ることにしています。ただ今回は3Dプッシュが相当良さそうなので、掟破りになるかもしれません。

しかし、いつになることやら...

ちなみにSamrtwatchは手に入れました。日本のアマゾンで買って、転送屋さんを経由して来ました。関税は安くはありませんが、それでもこちらの設定価格よりは安かったです。転送屋さん、感謝。

必要なサービスを遅延なく編み出してくれるニホンはさすがです。ニホンに一ポイント!


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「大自然とカラフルな街」大丸本 Review

2015-09-13 05:00:00 | 日記
ヤー、やっと来ましたよ、Amazon Japanで注文していた新アイスランド案内ブック「大自然とカラフルな街 アイスランドへ」。著者の大丸智子さんは美人で私のお友だちです。(急にすり寄り始めてます (*^^*))

同時に注文していたスマートウォッチMoto360(旧モデルの方です)と一緒に来てくれました。Moto360はアイスランドで買うとなんと48.800クローネもします。Amazonで買ったら半額以下の23.000円。しかも税関の目をくぐり抜けて関税ゼロ。これも大丸さんのおかげです。

Moto360を買うのにいろいろ「ビデオレヴュー」を見ていたので、なんとなくそのノリで「大丸本(ダイマルボン)」のUnpacking からReviewをしてみたいと思います。




きれいな色使いの「大丸本」背表紙


郵便用の箱から取り出すとUnpackingは終了です。いきなり本登場。

きれいです。まず目に入ったのは表紙ではなくて裏の背表紙の写真とデザイン。様々な色のアイスランディックウールの毛糸玉が棚に収まっています。

表紙は前にもアップしたことがありますが、氷河をベースに青と白でまとまっていて、下の部分がカラフルな色のレイキャビクの街並みで、この色の対照も素敵です。

「大自然とカラフルな街 アイスランドへ」というタイトル。「街」と「アイスランドへ」がどういう関係なのか一瞬考えました。普通に読むと「街」が「アイスランド」を修飾するのですが、アイスランドは街ではなく国ですので、ここは互いに独立した言葉で、合間に「のある」とかを補って読むのでしょう。いやあ、タイトルからして考えさせてくれます。

さて、本を開くと...新本に特有の香りが漂います。(マニアか?)

内容です。巻頭に地図が収められ、巻末に簡単なアイスランド語のフレーズや滞在中の実際的な情報(通貨や電圧等)があるのはガイドブックの定番ですが、「大丸本」の特徴はページの紙質と色合いがパステル調で非常に落ち着きますね。写真も優しいものが多いように思えます。

目次的に内容を紹介しますと、メインの章は五つで、始めから「レイキャビクを楽しむ」「絶景の自然スポットをめぐる」「アイスランドの温泉」「アイスランドの音楽」「アイスランドデザイン」となっています。




楽しんで書いてる?「アイスランドの音楽」


「レイキャビクを楽しむ」にはかなりのページが費やされ、ざっと目視で測ると全体の三分の一はあるようにみえます。意外と「絶景の自然」と「温泉」は少なくふたつの章を合わせても「レイキャビクを楽しむ」より少し少ないでしょう。「音楽」と「デザイン」で残り三分の一くらいです。

「レイキャビクを楽しむ」の章では、通常の観光スポットもありますが、それよりもカフェ、レストラン、ショッピングスポットなどの紹介の方に重点が置かれている気がします。

これはかなりお値打ち情報?で「現地の人でないとわからない」的なものも含まれているようです。いや、現地人でもワタシのような引き篭もりは知らないような情報がたくさんあり、ワタシにも役に立ちそうです。

この「レイキャビク」と「音楽」「ファッション」は大丸さんが楽しんで書いている雰囲気が伝わってきます。不思議なもんで好きなことを書くときは、文章も生き生きしてくるんですよねエ。いや、その他の章の文章が死んでるとか眠ってるとかいうわけではないですよ、もちろん。

「絶景の自然」と「温泉」の章は、他のみっつに比べるとTo The Pointの感があります。特にオーロラについては僅か一ページに集約されています。

ですが、私の個人的な意見としてはオーロラ観光を含む自然観光スポットに関しては、ツーリストインフォメーションに十分な資料が用意されていますし、仮にデイツアーとかに参加するとしたらガイドさんも付くので、他に情報提供源が豊かにあることになります。ご心配なく。

最後の二章、「音楽」「デザイン」はワタシはまったくの門外漢なので、目を通しながら「なるほど、勉強になります」と頭を下げ通しでした。何もわからないので、書いてあることの評価はできません。悪しからず。

全体として感じるのは、やはり「大丸さん、楽しんで書いたな」感が強いことです。多分、カフェやお店にしても、デザイナーにしても、本当はもっといろいろ紹介したかったのではないのかなあ、という気がします。

というわけで、この「大丸本」、ただ機械的に情報を集めた無機的ガイドブックではありません。情報を細かく提供しながらも、著者大丸さんの好みやセンスの息遣いが行間から伝わってくるガイドブックで、「ライフスタイル」ガイドといってもいいのではないかと思います。

アイスランドに興味ある方なら絶対損はしませんので、是非一冊手元に置いてください。

Amazonでのおもとめはこちら。


ひとつだけ欠陥があります。大丸さんの「著者近影」がないこと。遠慮深いというか、表紙にアップすれば売り上げ倍増すると思うのですが... (^-^;


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「親愛なるエイグロー大臣」

2015-09-06 05:00:00 | 日記
八月の末からヨーロッパでは難民のニュースがさかんに流れています。内戦やイスラム国の脅威を逃れようというシリアや中東、アフリカからの難民が絶えることなくヨーロッパに向かってきます。

その過程で地中海でボートが沈没し二百人あまりが生命を落としたり、国境をくぐり抜けるために隠れていた冷凍庫車両の中で子供を含む七十人以上が亡くなっているのが見つかったりと、悲惨なできごとも後を断ちません。

特に報道が多いのがハンガリーです。ハンガリーはバルカン半島から上陸して欧州中心部へ向かう「難民ルート」のひとつで、特にシリアからの難民の人が多く、今年だけで十四万人ものシリア難民がこのルートを使ったといいます。ハンガリー政府は国境に有刺鉄線を張り巡るなどして、難民の越境を防ごうするとともに、ハンガリーからドイツ、オーストリアなどに「侵入」しないように国内に軟禁する政策を取りました。

そのため、首都のブタペストの駅や路頭にたむろして路上生活を強いられている人たち-子供たちを含む-の様子などが、ニュースのビデオなどで紹介されています。

また国境での警備兵と難民との小競り合いなどもビデオで流されているのですが、どうみても「暴徒」「反乱軍」を鎮圧しようとしているようにしか見えないものもあります。

そのようなビデオを見たアイスランドの人々の中に「アイスランドももっと難民を受け入れるべきではないか」という思いが膨らんできたようです。アイスランドはこの二十年間で三百四十五人の難民を受け入れています。

これは当初から「難民」として認定されてやってきた人たちで、庇護申請者としてやってきて、後から認められた人たちは含まれていません。

実はアイスランド政府は七月に今年と来年の二ヵ年で五十人の難民を受け入れることを発表していたのですが、最近の悲惨なニュースの洪水に「五十じゃなくて五千だろう?」という思いを持つ人たちが増えてきたようです。

政党のリーダーたちが「さらなる受け入れを積極的に考える」などと次々と談話を発表したりして、Facebookなどでも盛んな議論が持たれています。

ちなみに「断固反対」派もいます。「この国は今、保健衛生機構や一般住宅で大きな問題がある。なんでわざわざ難民を呼んで、さらに状況を悪くさせるのか?」というのが大方の論理です。

それらの問題があるのは事実なのですが、それは富や権利の分配が偏っていたり、住宅よりもホテルを優先する商業根性の故であって、それと難民救済を同等に論じるのはおかしな話なのですが、なぜか「難民」の話しになるとアイスランドが救いようのない貧民国だという主張が始まるのです。
私のFBでもそのような戯言を並べた人たちがいましたが、さっさとフレンドリストから退場してもらいました。



エイグロー福祉省大臣
- Myndin er ur Visir.is -


そのような「さらなる難民の受け入れを!」の声が高まる中で福祉省のエイグロー·ハルザアドティール大臣がインタビューで「そうは言っても、一般の人々はどれだけ難民受け入れに協力する意思があるのか疑問に思わざるを得ない」旨のコメントをしました。

これが逆に受け入れ賛成派の思いに火をつけてしまいました。ブリンディス·ビョルクビンスドティールという女性の作家が、FBで「親愛なるエイグローヘ」というページを作り、難民受け入れの賛同者を募りました。これが瞬く間に広まっていき、二日のうちに一万人もの人がジョインしたのです。

同時に「赤十字のボランティアにも登録して意気を示そう!」という呼びかけもあったようで、赤十字のボラ登録者が二日間で九百人にも達したのです。

現在のムードでは、受け入れ難民数を増やすのは既に決まったことのように見受けられます。

先の三日には、ドナルド・トゥスクEU理事会議長は加盟各国に「少なくとも十万人の難民をさらに受け入れるよう」アピールを出しました。それを受けて?ドイツとオーストリアが難民の緊急受け入れを決め、昨晩のニュースではハンガリー経由での難民の人たちを迎える映像が流されました。英国も受け入れを積極的に考える旨、方針を転換するようです。

私はアイスランドのこの難民支援の熱意は素晴らしいことだと思いますが、同時にそのうちのいくらかは「一時の熱狂」であろうとも思っています。それは少しも悪いことではありません。子供たちが海で溺れているのを見ても、何の義憤も感じないよりははるかに良いことだと思います。

ただその熱意は恒常的で、足が地に着いたものにならなくてはなりません。それはまた、別の課題ですし、赤十字をはじめ、関連組織が取り組まなくてはなりません。私自身、その課題には責任を持っているものと理解しています。

ところで日本では昨年一年間で、どれだけの難民申請があったかご存じでしょうか?史上最高で五千件の申請があったのです。ですが、難民認定された人の数は僅か十一人。率にして0,3%です。どう思われますか?

「全国難民弁護団連絡会議」という団体は声明を出してこう述べています。

「日本政府は、日本で難民認定者数が極端に少ないとの指摘に対し、難民条約の定義にのっとり「慎重な適正な手続きを経た上で個別に判断した結果、余り数が出ていないというのが実情である」こと、これまでの多かったミャンマー出身者の難民認定が減ったこと、社会情勢が悪化したわけではないトルコ、スリランカ、ベトナムなどからの難民申請者数が増えていることなどと述べている。

一部の報道にあるように、あたかも日本には難民として庇護するべき人たちが来ておらず、「偽装」や「悪用」が増えているかのような印象を与える。

(中略)当連絡会議は、あらためて、単に「偽装」や「濫用」の排除の方策が議論されるのではなく、守られるべき難民を守るとの視点から、難民法の国際的な水準をふまえた包括的な難民認定制度を実現するための抜本的な方策が実現されるよう求めるとともに、日本において真に難民条約の履行が確保され難民条約締約国としての国際的責務を果たすことができるよう(中略)改善に向けての取組をしていく所存である」

日本の皆さんには是非事実を確認して、考えていただきたいことのひとつです。

最後にもうひとつ。先の難民の欧州への流れを扱ったニュースの中で、読売のネット版はこういう見出しを使っていました。「不法移民防げ、欧州躍起…170キロ有刺鉄線も」難民は不法移民ではありません。ジャーナリズムがこういう認識しか持っていないのだとしたら、問題の根は深い、ということになるのでしょうね。

私は残念に思います。


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