レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

立派なオトナのファンとそうでないワタシ

2018-06-24 03:00:00 | 日記
サッカーのW杯で賑わっています。前回一行だけ書き込みましたように、アイスランド代表は初戦で強豪アルゼンチンと対戦。健闘して引き分けに持ち込みました。これで国中のムードがさらにヒートアップしています。

これを書いているのは金曜日の午後なのですが(仕事の合間)午後三時から対ナイジェリア戦があります。勝ってほしいものです。(*アイスランドはナイジェリアにまさかの0ー2で完敗。乾杯したくなるほどの完敗で、国民総ガックリとなりました。これで最後の望みはアルゼンチンがナイジェリアに僅差で勝ち、アイスランドがクロアチアに大差で勝つこととなってしまいました)

加えて我らがニシノ日本も、コロンビアを公式戦では初めて破り、大いに盛り上がっていますよね。こちらの小さな日本人社会でも盛り上がっています。って、少なくとも私の周囲では。




ナイジェリア戦の先発イレブン
-Myndin er ur @footballiceland-


オリンピックやW杯で、毎回ファンに影響するのは時差ですよね。今回のロシアはアイスランドよりも三時間先行しています。ですから、それほど大きな時差ではないのですが、逆に昼間の試合は普通の意味での「オフィスアワー」に引っかかっています。

予選の第一・二試合は、お昼の正午、午後三時、夕方六時の三試合で組まれています。二つの試合が重なって行われることはありません。予選の第三試合だけは、同じ組の二試合は同時間に行われます。先に一方の試合の結果が出てしまうと、もう一方の試合のチームに有利不利の関係が生じてしまうことがありますからね。

ともかく、このゲームの時間帯では、見たい試合がある人は、仕事と時間のやりくりをしなくてはなりません。私などはわりと時間の融通がきく仕事なので、その点は楽しています。

ですが「必ず」というわけでもありません。事実アイスランドxアルゼンチン戦は、ちょうど同じ時間に日本人ツーリストのカップルの方の、極めてプライベートな挙式がありましたので、試合の大半は観ることができませんでした。まあ、それは仕事ですので、仕方ありません。

アルゼンチン戦は土曜日の午後一時からでした。「だったら休日だしアイスランドの人は皆観戦できただろう」と思われる方もありましょう。ですが、土曜日に仕事をしている人もいます。お店一般はそうでしょう。あと病院、警察関係とかもシフトで働いている人がいますね。

で、ここがアイスランドのアイスランドたるところなのですが、土曜日は「試合のため午後は閉店します」というのがほとんどだった、とニュースでやっていました。ワオ! ワタシャ、閉店しなかったゾ!

実際、今日、金曜日の午後三時の対ナイジェリア戦にしても、郵便局などまで「試合のため午後一時半で業務を終了します」と、早引けがホームページで「宣言」されていました。息子に「お前の会社はどうなるの?」と訊いたところ「一時間くらい前に終わるって」ということ。

そういう国家総動員体制で臨むのが、W杯でのアイスランドの試合です。初戦アルゼンチン戦の試合後は、「アイスランド人の99,6%が試合を観た」というニュースが流れました。アイスランドチームのキャプテン、アーロン・エイナルさんは記者会見でこのことを知らされ「残りの0,4%の人たちが何をしていたのか気になりますね。眠っていたのではなければいいですが」

もちろん彼がこういうのは、国丸ごとの支援を感謝しているからで、「私たちだけのためにプレーしているわけではありません。『私たちの人々』のためにもプレーしているわけですから、みんなにフィールドの上にいるような気になって欲しいです」とキャプテンらしいコメント。

ただ、この「99,6%」に関しては、私は多少「?」感があります。テレビの視聴率というのをどうやって測るのか詳しくは知りませんが、先に書きましたように、私は試合を後半途中まで観ることができませんでした。

それに式のあった教会に行く途中で驚いたのですが、かなりの車が走っていたのです。実は私は「通りはゴーストタウンのように静かだろう」と想像して自宅を出ていたのです。

二年前のヨーロッパカップで、アイスランドとフランスの準決勝戦の時は、そのようにゴーストタウン化していたのを覚えていたからです。「え?なんで、こんなに車があるの?みんな試合観ないでいいの?」という気がしました。

おまけに、途中では道路補修のために二、三十人の人が作業をしていましたし。まあ、彼らの多くは外国人労働者かもしれませんが。




インゴウルブスヒリバでのパブリック・ビュー 前回の大会から
-Nyndin er ur Mbl.is-


さて、日本と同じく、楽しく観戦応援するために「パブリック・ビュー」なるもがこちらでも行われるようになってきました。皆で集まって大画面で観戦する、アレですね。

レイキャビクのダウンタウンのインゴウルブルス広場では、大きなスクリーンが設置され、W杯の全試合を中継しています。私がちらっと前を通った際はポルトガル–モロッコ戦をやっていました。

ですが、アイスランドの試合となると、もっと広い場所でないと収まりきれないでしょう。ダウンタウンから少しのところにあるフリョームスヴェイトガルズル(音楽隊公園)でも、今日のナイジェリア戦のパブリック・ビューがあるとアナウンスされています。

他にもここそこでレストランやホテルがパブリック・ビューを提供しているようです。

ちょっとこの関連で言いますと、日本の第三戦はポーランドですね。アイスランドにいる移民の最大グループはポーランド人です。全体で36000人弱の移民のうち、14000人ほどがポーランド人ですので、移民の三分の一以上はポーランドから来ているわけです。

そのポーランドの大使館が、日本x ポーランド戦のパブリック・ビューを、ダウンタウンの「ビオ・パラディース」という映画館で開催するというのです。日本人もちゃんと招待されています。

何人かの日本人の友だちは誘い合って行くようです。私も誘われていますが、遠慮しようと考えています。なぜならば、ワタシは「敵と仲良く肩を組みながら観戦」ができるほどオトナではないからでした。(^-^;

ポーランド人が圧倒的多数であろうところへ出ていって、万が一点でも入れられたりしようものなら、「このー!!」とワタシの中のハルクが出てくるかもしれません。

でも、私のハルクは悪いことは何もしませんから、念のため。こういうことを気楽に書いていて、「ネットでテロを予告」とか間に受けられてしまうことがあるようですから。表現には気をつけないと。

日本xコロンビア戦を観ていて、日本人とコロンビア人(と思われる人)が仲良く笑顔で観戦しているシーンがありました。ああいうのがスポーツ観戦の正解なのでしょう。世界にはエライ人もいます。

さらに試合後、恒例?となった日本人サポーターの人たちの、会場のゴミ拾いの様子を外国人の人がヴィデオに撮ってFacebookに投稿したものを拝見しました。このサポーターの皆さんも大したものです。日本の良いイメージを世界に広めてくれています。最敬礼。

というわけで、門前の小僧のワタシは、世界のそこここにいらっしゃる立派なオトナの日本人の皆さんの爪の垢でも煎じていただくことにしましょう。

ガンバレNippon!! Afram Island!!


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

W杯からIT – 現代的「ひょうたんから駒」

2018-06-16 19:08:10 | 日記
サッカーのワールドカップが始まりましたね。アイスランド代表も初参加ということで、こちらでは相当に盛り上がっています。アイスランドの初戦はアルゼンチンです。まあ普通に考えて「引き分けられれば勝ち」という感じでしょう。

今、これを書いているのは金曜日の午後なのですが、試合は土曜日の午後一時(アイスランド時間)なので、まだ結果はわかっていません。二年前のヨーロパカップの時も、アイスランドは強国のポルトガルと対戦し、まさかの引き分け。それから勢いに乗ってベスト8まで行きました。今回も二匹目のドジョウとなりますかどうか。

(*二匹目のドジョウになりそうです。強豪アルゼンチンと1:1で引き分けました! )



メッシのPKを防いだハンネス この日のヒーローでしょう
Myndin er ur Visir.is/GRETTY


今回のワールドカップには... ...という前に私がどの程度のサッカーファンかはっきりさせておきます。中高生の頃はサッカー小僧で、自分でもやっていました。当時は日本ではサッカーはエンターテイメントとしてはマイナースポーツでしたので、海外からの情報も乏しかったのですが、雑誌とかはマメに目を通していて、それなりに「ツウ」だったと思います。

その頃のスター選手はだれだったかというと、例えばヨハン・クライフ、ベッケンバウアー、ケビン・キーガン等々です。すでに監督時代を通り越して引退しているような歳でしょう。クライフは亡くなってしまいましたが。

今はそれほどのファンではありません。プロの試合でも、観始めれば面白がって觀ますが、実際に会場へ観に行こうとか、普段からフォローしているチームがイングランドやドイツにある、というところまではいきません。

ですから、周りがすでに相当ヒートアップしている今現在でも、私自身はそんなには熱くなっていません。なり行きによっては相当熱くなりますが。って、そういうところが「ホンマもん」のファンではないところですね。スミマセン... m(_ _)m

そうは言っても、今回のW杯には我らが日本も参加しているので、応援するチームがダブルであります。二十六年間こちらに住んでいますが、正直言ってそれでも応援の第一は日本です。

これはもう、理屈では説明できないもので、なんだかんだ言っても「ニッポンジンだ」と感じてしまう状況の一つです。

その次はアイスランド、もちろん。ヨーロッパカップのベスト8を賭けての試合で、アイスランドがイングランドに2:1で逆転勝ちした時などは、相当舞上がりましたよ。

昔ほどのファンではなくなった、と自分でも自覚できるのは、この二チーム以外には、何も応援するというか、ひいきのチームがないことです。昔なら、イングランドやスコットランドを、かなり熱心に応援してテレビをみたものですが、いつの間にかそういうことがなくなっていました。

教会の難民との祈りの会を担当していますが、そこにはイラン出身の人が多くあります。ほとんどは難民として逃げてきた人たちです。そのイランも今回のW杯に出場しています。(**今、これを書いている間にイランはモロッコと対戦しています)

で、面白いのは、イランから逃げてきたはずの難民の人たちは、それでもイランを応援するのです。なんで?「イランの国や自然や普通の人々は大好き。ダメなのは今、権力を持って圧政をしいている、あの『体制』だから」

ほとんどの人が同じことを口にします。なるほど。別に自分の国そのもの –文化や人々や生活様式– が嫌で逃げてきたわけではないわけです。ただ現在の「体制」から迫害され不当な扱いを受けた、と。これは、イランからの難民の人たちに、かなり共通に見られる顕著な点です。

そういうことを考えると、やはりサッカーとかスポーツの祭典は良いものですね。他の諸々の事実は取り敢えず脇に置いておいて、自分の国の応援に熱狂できるわけですから。(***結果イランは初戦1-0でモロッコに勝ちました。皆、やはり大はしゃぎでした)




ヨーロッパ中で名物となったアイスランドチームの「Hu!」バイキングクラップ
Myndin er ur Knappspyrnusambandid.is


ところで熱狂するには、試合を観戦しなくてはなりません。W杯をロシアまで観戦に行く人はともかく、圧倒的多数は自宅やその他の場で、中継をテレビなりネットなりで観るものでしょう。私もそのひとりです。

アイスランドの試合はもちろんテレビで中継されます。しかし、普通の国営チャンネルではアイスランドの試合以外は、皆が関心あるだろう、というメジャーなものしか流してくれない可能性があります。前々回の時は日本がデンマークを破った試合が中継されず慌てたのを覚えています。前回も確かそんな感じ。

より多くの試合を観るには、民放のスポーツ専用チャンネルに申し込まなくてはなりません。年間を通して追っかけているわけではない私としては、そこまではしたくないのです。

これまでは、ネットで無料でほとんどの試合を流してくれるサイトがあったのですが、最近これは、何かスポーツ「賭け」のアドが強烈に絡んできたりして使えないものになってしまいました。もしかしたら、今はもうないかもしれません。

そこであちらこちら調べていたら、ひとついいものが出てきました。ExpressVPNというアプリで、これをダウンロードすると、世界の多様なサーバーとリンクでき、BBCなどの視聴地域が限定されているサイトのストリーミングに入ることができるというのです。ブロックを解除するわけです。ちなみに、詳しくは知りませんが、これは違法行為ではないそうです。

実はこのアプリ、昨年夏に一年間99,9ドルで買ったものなのですが、使い方がわからず「騙された」感で放っておいたものなのでした。「Twin Peaks」のシリーズ3を観たかったのですが、諦めてしまいました。

今回、もう少し良くしらべてみて、ようやく使い方がわかりました。試してみると、ちゃんと見られるではありませんか!万歳!十ヶ月前に出した99,9ドルがやっと最後の二ヶ月で役に立つ!

これで日本の試合の視聴ができそうです。まずは安心。

そこでふと思いつきました。だったら諦めていた「Twin Peaks3」も観れるのではないか?はたまた日本のTVerとかも?最近、ネットへの違法ストリームは管理が厳しくなり、以前はちゃんと観ることができた「正直さんぽ」や、「ヒルナンデス」「バイキング」すらも観るのが難しくなってきています。

「正直さんぽ」は完璧にTVerのみ。しかし、皆さん、TVerの視聴は「日本国内だけに限られております」ということ知ってますか?これを知った時、実に頭にきました。なぜ外国住まいはのけものなのでしょうか?

そのくせ、どこの民放も「テレビの取材の対象になりそうな、ユニークな日本人をアイスランドで知りませんか?」的な協力を頻繁にしてくるくせに。「自分は人を利用したいが、サービスは提供してあげない」ということになります。喝!!!

で、TVerは観られるでしょうか?結果は... 書きません。日本のケチな民放の連中に余計な情報を与えるのはイヤですから。(^-^;

とにかく、W杯が始まったとたん、変ななり行きでネット世界の最新のテクニックのひとつを学ぶことができました。「ひょうたんから駒」ではない、「サッカーからIT」?(蛇足でしょうが、ここで「駒」とは将棋の駒ではなく、「馬」のことですからね −今、ネットで調べて知ったばかりですが。そういえば、昔学んだような気が... )

それでは、頑張れNippon!!! そして、Afram Island!!!

(****そして今回の最後のオチです。今回は国営放送が全試合放映を決めていたんだって...)
(*****さらに追い打ち。いずれにしろFIFAのサイトですべて観れるって????) (^-^;


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カフェを知らない自分に気付いた六月

2018-06-10 03:00:00 | 日記
私はアイスランドの国民教会(the National church of Iceland)の牧師をしています。私の職域は移民の人たちに対するサービスと、移民の周辺に生じる様々な問題に対処することです。

私自身が移民ですので、ある面では公私の区切りをつけるのが非常に難しくなることがあります。公私混同ということは、私の生活の中ではかなり頻繁に出てくる事象です。それは必ずしもマイナスのものとは限りません。

まず「移民目線」で社会のあり様を眺められる、ということは移民牧師の職務を果たす上で、かなり特権的なものだろうと考えます。

例えば自分が移民として不快な体験をしたような場合、それが個人の体験に留まらないで、移民全体の問題としての問題提起に発展したりすることが、よくあります。

一番わかりやすい実例は脅迫です。脅迫は何回か受けたことがあります。理由は「移民のくせにアイスランド社会の批判を口にするとはなんだ。黙れ! さもないと...」ということでした。

二回ほどは、泣き寝入りせず、きちんと警察およびメディアにご報告しました。警察は頼りにしていませんが、メディアはきちんと取り上げてくれて、「脅迫なんかに負けないで頑張って!」というにわか応援団ができてくれたりします。

こういう展開を得ることができれば、「脅迫なんてペイしない。逆効果の方が大きい」という事実を社会に示すことができるわけです。私の場合は二回とも実にうまく展開してくれ、誰だか知らない脅迫者には「あっかんべ〜!」の気分を味わえました。

そういう「プライベートから仕事に」という方向のベクトルではなくて、逆に仕事で体験したことがプライベートのあり様に影響を与える方向のベクトルもあります。




難民の人たちとの祈りの会 ブレイズホルトゥス教会


移民牧師の職務の開始の始めから、いくつかの原則がありました。そのうちのひとつは「移民が社会から切り離されたグループにならないよう、移民とアイスランド人が共にいる環境を造る姿勢で臨む」というものでした。

そのため、移民だけを対象とした英語礼拝というものは持たない主義でやってきました。「移民もアイスランド人も、老若男女全部同じ礼拝(マス)に集うのが教会」という理想です。これは間違っていないと思います。少なくとも理念としては。

さて、ここ三年間ほどは、移民よりはむしろ難民申請者のサポートに埋没しているのが仕事の実情となりました。

その過程で「どうしても難民申請者を集めての英語の礼拝が必要だ」という状況が生まれてきたのです。難民申請者の半分は一年か一年半のうちに強制送還されて去っていきます。その送還の是非はともかくとして、そういう不安定で厳しい時期を過ごしている人たちを教会の礼拝に招かない、ということはおかしい、という気がしたのです。

私としては、これはあくまで「仮のプラットフォーム」であり、滞在許可が得られた人たちの場合は、順次、普通のアイスランド人の礼拝へ移って行く、というのが理想像でした。

で、現在の難民の人たちとの英語礼拝では、毎回三十人から四十人が集まります。毎回同じ人もいますが、半分くらいずつ入れ替わります。滞在許可を得た人は、仕事にもついていますから毎回は来られないのです。そういう人たちが半分くらいは毎回入れ替わって出席しているわけです。

ということからもわかることなのですが、メンバーの半数以上が「元」難民申請者になっています。つまり滞在許可を得た人たちなのです。

以前なら「サッサと一般の日曜礼拝へ移ったら?」と言ったのでしょうが、実際に目の当たりにしていることを見ると再考を余儀なくされてしまいました。

参加者の七割以上がペルシャ語を話す人たち、イラン人、アフガン人、クルド人なのですが、実は英語のできない人もかなりいます。そいう人たちのために、英語のできる人が通訳をしてあげます。

これが、礼拝のプログラムに関してだけではなく、日々の生活の必要に関してもこの人たちは助け合うようになっているのです。病院に行く時とか、役所に相談に行く時とか。

さらに滞在許可を得た人が、新しくきたばかりの難民申請者の相談に乗ってあげたりしていることもごく日常的です。こうしてみると、私が担当している英語礼拝は、実際には英語とペルシャ後の礼拝であり、かつペルシャ語のコミュニティとなりつつあるのです。

このように人々が助け合い、支え合っているのを見ていて、「これはこれで、いいではないか?」という風に私の考えも変わってきたのです。

私の役目は、人がアイスランド人の礼拝へ行くようにけしかけることではなく、むしろこのコミュニティとアイスランド人のコミュニティが、定期的に交わる機会を造ってあげることにあるのではないか?と。

これが、仕事で体験した、というか「している」ことです。

今度はプライベートの方なのですが、私はこの二年間ほど。あまりこちらの他の日本人の方々とは接触していません。以前は日本語教室にも参加していましたし、大学で日本語科の手伝いもしていましたので、わりと他の日本人の方々との接触は多かったのです。

で、二年ほど前に日本語教室を引退した際に、「よし、少し『脱日本人社会』を試みよう!」と心に決めたのでした。「アイスランドに住んでいるんだから、ここのちいちゃな『日本』に閉じこもらないように気をつけないと」

さて、先週の木曜日のことです。このブログを読んでくださっている奇特な日本人の女性の方とお会いする機会がありました。「せっかくだからお会いしてお話しでしたいです」ということで、ご主人と共にお会いすることになりました。




この辺まではかろうじて知ってる、近年再開発されたオールドハーバーのカフェエリア


それで「適当なカフェはどこか?」ということを考え始めて気がつきました。知っているカフェがぜんぜんない。なんで?

今のアイスランドは経済再生が波に乗ってきていて、レイキャビクの街並みはあれよあれよという感じで変わっていっています。その中で、消えて行くカフェあり、リフォームしたカフェあり、さらにそれらを上回って新しいカフェが出てきているのでした。

そして、さらに気がついてしまったのです。「オレ、最近カフェにぜんぜん行っていないんだ」なんで?「あっ! 友達いないからだ!」

ジャーン! そうなんです。私「脱日本」して以来、ほとんどカフェというところへ行っていないのでした。

ひとつの理由は、私がアイスランド人と話をするときは、無駄なお金を使わなくて済むよう、教会で会うことが多いことです。コーヒー紅茶は教会でタダで飲めますから。

しかし、もうひとつの理由は、日本人の人と会わなくなったことです。なにしろワタシは「お友達」と呼べる人は日本人の中にしかいないのです。で、その人たちと会わなくなったら、当然カフェに行く機会も消えることになります。一人カフェはしませんので。

ここで、さっきの教会での移民コミュニティの話しにくっつくのですが、やはり日本人が日本人と会って助け合い、サポートし合うのは当然だし、そんなに意地になって「脱日本」をしなくてもいいんじゃないの〜?という気持ちになりつつあります。日本のセンスでの笑いも必要だし〜。

いやいや、それよりも問題の核心はオマエさんが友だちいないことの方だろ?という陰の声が聞こえてくるような気がしますが。

とにかく、このような具合で、仕事での体験が、逆にプライベート生活の見直しのきっかけになったりすることもあるわけです。

まあ、牧師という職業は公私混合の「気」が高い仕事だと思いますし、このような公私間の影響はまったく気にしません。むしろこれこそ「表裏」がない生活をしている証しではないか! と結論付けるワタシでした。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レイキャビク市政の行方と無責任なワタシ

2018-06-03 03:00:00 | 日記
先々週の土曜日に行われたアイスランドの地方選挙ですが、結果が出ています。レイキャビクではかなり選挙前の予想とは異なる結果になったようです。

投票は土曜日の夜10時に終了し、即刻開票が始まります。実際は一部は投票の終了前から始まっているようです。小さな国ですし、レイキャビクなどでも夜中の三時頃には大勢があきらかになります。

私は日曜日は仕事がありますし、市政には今のところそれほど関心を持てなかったので、結果を待たずにさっさと寝てしまいました。で、日曜の朝起きて、ネットでニュースを見て多少驚いたわけです。

予想では第二党の支持率だった独立党が30%の得票を得て第一党になりました。選挙前の支持率ではずーっとトップを走っていいた社民連合は26%弱の得票で第二党に転落。

地方選初進出のヴィスレイセン(再生)党はが8%強の得票で第三党に入り、リベラルなピラター(海賊)党が8%弱。新党社会主義者党が健闘して6%強、これも地方選挙初参戦の「中道党」「人々の党」もそれぞれ6%と4%を得て議席を得ました。

我が緑の党は4,3%と、選挙前支持率の7,2%を大幅に下回り、議席数も2から1に「半減」。やはりワタシなんぞがリストの31番に座っていたから、悪運を呼んだのかも...

議席数は独立党が8、社民連合が7、ピラターとヴィスレイセンがそれぞれ2、残りがそれぞれ1ずつという分配になります。国政では与党の進歩党(という名前の保守党)は惨敗して議席0。




保守・革新がきれいに二分した今回のレイキャビク市議会選挙
Myndin er ur Visir.is


保守・革新という二分法は今ではそれほど賢いアプローチとは思わないのですが、日本の皆さんに大雑把なイメージを持ってもらうためには役にたつかも。

保守陣営が独立党、ヴィスレイセン、中道党、人々の党です。革新陣営は社民連合、緑の党、社会主義者党とピラター。

もうちょっと付け加えると、新党の社会主義者党というのは2017年にグンナル・スマウリさんという人を中心にして結成されましたが、昨年秋の国政選挙には参加していません。

レイキャビク市政戦況では、最低賃金制度の見直し(実際に給与で生活できない市民が大勢いる)、住宅の適正な配分、市当局内での派遣職員の廃止(皆、正規な職員にする)等々で、今の市民の現実に即した公約を並べています。

中道党は、元首相(進歩党)のグンロイグル・ダヴィさんがパナマ文書事件をきっかけにしたゴタゴタの後、立ち上げた党で、非常に個人の影響が強い党です。国政選挙でも議席を得ています。

人々の党も、社会主義者等と同じように、今の社会の中で四苦八苦している人の層の要求を土台にして立ち上げられました。2016年の初国政選挙では議席を得られませんでしたが、昨年秋の選挙では一議席を得ています。

この党の困ったところは、「お年寄りや障害を持った人たちの生活が改善されないのは、移民や難民の方にお金を使っているからだ」という移民排斥思想の「気」があることです。

この点は社会主義者等は異なっており、移民もきちんとした市民とする認識を持っているようです。実際に社会主義者党のリストナンバー1で、今回の議席獲得者の中では最年少の26歳のサンナ・マグダレーナさんはお母さんがアイスランド人でお父さんはタンザニアの人だそうです。

市政選挙初陣の中での最後、ヴィスレイセンについては後で触れます。




社会主義者党から当選したサンナ・マグダレーナさん 26歳は最年少市議会議員となります
Myndin er ur Visir.is


これらの党についてもうひとつ言えるのは、中道党とヴィスレイセンが、有力政治家を中心にして結成された、いわゆる「既存体制」の分派であるのに対して、社会主義者党と人々の党の方は、「虐げられた」市民の声を土台にして(少なくともそのように主張して)できた党であることです。市政の中で、この生い立ちがどのように反映されてくるのかは、多少興味があります。

ところで、これまでのレイキャビク市政の与党は、社民連合、緑の党、ピラター、それに昨年秋の国会選挙で惨敗した「明るい未来党」でした。明るい未来党は今回は選挙に参加していません。

で、単純に獲得議席数をこの保守・革新二分法で比較しますと、保守系12、革新系11となります。「ダーグル現市長、さようなら」となります。

ですが、例えば現在の国政の政権は、独立党、進歩党(という名前の保守党),ヴィスレイセン、そして緑の党の連立で、保守革新混合です。首相はこのうち唯一革新系の緑の党のカトリーンさんです。

政治ですから、それほど大義だけで動くこともなく、それぞれの分野で利害が競合したり、あるいは人々には知られたくないようなところでの利害問題もあることでしょう。

今回の選挙結果で一番ウハウハ喜んだのはヴィスレイセンでしょう。ヴィスレイセンというのはもともと独立党の不平分子が、党を抜けて立ち上げたものです。イデオロギーよりは各個の問題に対しての賛否で集まっているように見えます。

で、結果として今回議席を得た党の一覧の中では、一番真ん中くらいに位置するのです。中道党よりも中道と言っていいでしょう。

ですから、選挙結果が今回のように「ちょうど保守・革新で半分ずつ」みたいなバランスになると、自分たちの価値が増すわけです。左右どちらでも自分たちを取り入れた方が多数派になるからです。

私自身はこういうことが年中行事的になっていることには首をかしげざるを得ません。付加価値が大きすぎるのです。今回も結果が出た後で、メディアはヴィスレイセンの当選者を追っかけ回していましたが、彼らは実際は8%を得ただけなのです。(緑の党の二倍近いことはスルーしますが... (^-^; )

さらにヴィスレイセンの喜びがアップしました。社会主義者党が「どこの党とも連立工作に参加することはない」と宣言したからです。これによってますますヴィスレイセンの「付加価値」は上昇。

革新陣営にとってはヴィスレイセンがなければ、市長を失うことになりました。ヴィスレイセンの党首ソルゲルズル・カトリーンさんは「私たちは自分を高く売るわよ」と開票後のインタビューで語っていました。

昔は美人でそれなりに魅力のある女性でしたが、年々ドク... いや、やめとこ。やっぱり牧師がそういうことを書くのはよくないですね、正直だとしても。(^-^;

これを書いている金曜日の夕方現在、ヴィスレイセンは革新陣営にすり寄って連立協議をしています。どうなることやら。

私としては、どうかなあ?保守市政、革新市政のどちらにもプラスマイナスがありますから、どちらを望む、と決めるのが難しいです。

原理原則的には私は緑の党路線を支持しますので革新が望ましいのですけどねえ... 実際の政策ポリシーでは、賛同できないものが相当あったりして。

というわけで、今回はワタシは非常に無責任かついい加減な立場でこの選挙の結果を眺めていたのでした...批評ばっかで意見がない、というのはまったく好きではないんですけどね、そういうツボにはまってしまうこともあるようです。

とにかく改めて、あるいは新たに市議会に座るみなさんには、真摯に責務に向き合っていただいきたいものです。神の支えがありますように。(一応そう言うのが礼儀です)


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com


Home Page: www.toma.is
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする