レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド式国民総背番号制

2013-01-30 05:00:00 | 日記
前回パラレル・ワールドの話しをしていた中で、「もうひとりの自分」というようなことを考えていたのですが、最近日本からのニュースの中で二回か三回、「同姓同名、誕生日も一緒」だった故に何かトラブルに巻き込まれた人があったのを思い出しました。

同姓同名だけならともかく、生年月日まで同じという偶然は日本一億人の中で一体どれくらいの確立で起るものなのでしょうか?

アイスランドでは、日本とは比較にならない三十万余という少ない人口の中で、これまた日本とは比較にならないほど高い確立での同姓同名が存在します。例えばヨウン・オーラフスソンという割とよくある名前を、今しがたネットの電話帳で調べてみたのですが、132人のヨウン・オーラフスソンさんが出てきました。

これは理由があって、以前「アイスランド人の名前」に関してブログしたことがありますので、よかったら参照してみて下さい。

「アイスランド人の名前 その4」

個人的なやりとりでは、氏名だけでは探している人物かどうか定かでない、というようなことがよくありますが、公的な事務になると、これだけの同姓同名者がいても間違いはまず起りません。なぜかというと、アイスランドではいわゆる「国民総背番号」というのを使っているからです。

この言葉に嫌悪感をいだく方も少なくはないのでは、と想像します。この「背番号」という言い方がここではマイナスに働いてしまっているような気がします。野球やサッカーなら背番号は憧れの的にだってなり得るのに、ここでは「囚人」のイメージになってしまうのかしらん?

アイスランドではこれを背番号ではなく、識別番号(ケンニターラ)と呼びます。識別番号は六桁プラス四桁の計10桁の数からなります。始めの六桁は生年月日です。ただ「年」は下二桁、つまり何十何年の部分だけです。続く二桁は生年月日が同じ人の中で、同じ番号がつかないようにするためのものです。

九桁目が「予備番号」と呼ばれるもので、計算の仕方の説明を呼んだのですが、なぜそういうものがそういう計算の仕方で必要なのか、私には良く分かりません。どうも絶対に同じ番号がふたつできないようにするための数学のようです。(機会があれば数学に強い人に尋ねてみます。悪しからず m(_ _)m )

最後の十桁目はちょっとお笑いですが、生まれた「世紀」です。19世紀というか1800年代生まれなら8、1900年代は9、2000年代は0ということになります。

で、この識別番号はアイスランドでは社会活動の中で「何をするにも必要」という必須のものになります。例えば識別番号なしには銀行口座も開けませんし、免許も取れません。およそ公的な手続きが必要なものには必ず付いてきます。

アイスランドに住むわけではないが、ツーリストでもない、というような短期滞在者には仮番号が与えられます。私が理解する範囲では、識別番号を持たないで生活しているのは外交官としての立場を持っている人たちだけかと思います。

もし日本でこの識別番号制を用いるとしたら十桁では足らないでしょうね。どれくらいの桁数が必要になるのでしょうか?番号だけ、というのも侘しい感じがしますから、花の名前とか動物の名前を織り込めば、多少暖かくなるかも。桜291086-07猫とか銀杏060872-54虎とか。多少「背番号臭さ」は減るのでは?
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あればいいな、パラレル・ワールド

2013-01-28 05:00:00 | 日記
「フリンジ」にはまっています。「不倫事」ではなくFringeです。日本でも最終の第5シーズン放映されていると思いますが、ご覧になっていますか?

Fringeって、あまり馴染みのない言葉ですが「非主流派」とか「周辺事物」を意味するとか。「X-Files」と同じように不可思議な現象の調査をするFBIのセクションの物語りです。

実は去年のクリスマス前までは、この番組を知りませんでした。ワタシ、大体FBIもののテレビは大好きで「X-Files」も全DVDを持っています。それなのにこのシリーズは素通りしてしまっていたので、意を決してシーズン1から4までのDVDをまとめて購入し、お正月の楽しみとしていました。

で、昨日シーズン4の最終話を見終わりました。まだ最終シーズンは見ていないのですが(こちらのテレビで今放映していますが、DVDでまとめて見る方が浸り込めるので好きです)、物語りはシーズン4で一応一段落した形になっています。相当面白かったです。

このシリーズは「パラレル・ワールド」を軸にして展開します。この世界と平行して瓜二つのもうひとつの世界がある、というアレです。クレヨンしんちゃんの劇場版「ハイグレ魔王」でも扱ってましたね。

パラレル・ワールドではほとんど同じ社会が存在しますが、少しは違ったところもあります。こっちの世界では9.11で無くなってしまったトウィンタワービルがあっちではしっかり残っています。

個々人については、対応したもうひとりがいて、名前も同じ、就いている職業も似ている。性格は気質は同じでも現れ方がちょっと違ったりします。

面白いのは-これはフリンジの中での設定ですが-夫婦もみな同じペアだったりすることです。ただ、片方では生きている人が、他方では亡くなっていたり、こちらでは子供のない夫婦が、あちらでは子沢山だったりすることはあります。

ようく考えてみると、完璧な一対一対応ではない?ことになりますね。まあ、その辺はテレビなんで...

物語りの展開の中で、徐々に「あっちの世界」の存在が明らかになっていくのですが、こっちの世界のFBIエージェントがあっちの世界へ潜入して行くシーズン2の始めでは、あからさまにこっちは「善の世界」あっちは「悪の世界」的な設定だったので、正直少しダレました。

ですが途中から「そんなこともない」と修正されていって、最後の方では結構助け合ったりするようになります。

物語りの展開の中では、この現時点でのパラレルに加えて、Time Lineが違うこっちの世界の別バージョンとそのパラレル、のように時間を巡っての「こっちとあっち」も出てきます。科学に弱いワタシは混乱してきます。

主役のオリビア捜査官にもあっち版がいて、さらに異なる歴史の展開を持つ(「あの時、この事件が起きなかった」という歴史の違いから展開が変わってしまった)別バージョンのオリビアとそのパラレルがいます。「どれが本物?」
「みんな本物。一応」

でもいいこともあります。オリビアに好意を寄せるリー捜査官は「こっちのオリビア」には想いが届かなかったので、「あっちのオリビア」のところへ出かけて行きます。「えー?そんなのありかよー?」でも、どうやらうまく行きそうで。

羨ましい。パラレルと、異なるタイムラインバージョンがひとつにまたそのパラレルがあれば、それだけで4回アタックする機会が得られますね。うーん、結構いいかも。科学者の皆さん、頑張って世界を繋いでください。
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ソリの捧げもの

2013-01-25 05:00:00 | 日記
前々回は「ソリの月」というアイスランドの古い暦の中の月のことをご紹介しました。そのソリの月は今日二十五日から始まります。今日はボンダ・ダーグル、「旦那の日」です。今回はこのソリの月に食されるアイスランドの伝統的食事である「ソリの捧げもの」についてです。

ソリの月の由来は十二世紀くらいに遡る相当古いものがありますが、現代のアイスランドでソリの捧げものと呼ばれている食事は割と新しいもので、十九世紀になってからのメニューであるようです。これはコペンハーゲンに留学していたアイスランドの学生が故郷を懐かしんで食べたとか、あるいはレイキャビクの考古学会がパーティーを古の仕方で催したのが始まりとかの説があります。

さて、その現代的な-とはいえ伝統的なのですが-ソリの食事、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

まずは魚の干物ですが、これはごく日常的に食べられています。おいしいですよ。

次は、レバのソーセージ、ブラッドプディングなどの「もつ食材」です。これらは昔日においては乳酸と共に樽漬けにして保存されたようで大切な保存食でした。

同じ酸っぱい系ですが、それより臭さの方が強烈なサメをアンモニア発酵させたもの。加えてクリスマス前のソルラウクス・メサにも食されるアンモニア発酵のエイも登場します。

そして主役は何と言ってもスヴィズと呼ばれる羊の頭を煮たものでしょう。羊の頭はなぜかかは知りませんが、正面から真っ二つにカットした形で売られています。食べられない部分を取り除くためかもしれませんね。ただし目玉は付いています。

これらをロウバと言う黄色いカブのようなものを煮ておろしにしたものやジャガイモと一緒にいただきます。



分かりにくいかもしれませんが、中央上は羊ちゃんの頭の右半分です
-Myndin er úr www.skeidgnup.is-

このようにソリの食材は大旨「もつ系」で、保存の関係から酸味をおびたものが多いのです。「美味しいか、不味いか?」と聞かれたら「不味い」です、ワタシ的には。魚の干物は美味しいです。羊の頭もいけます。目玉も大丈夫です。その他の物は全部ひとくくりにして「不味い」で構いません、ワタシ的には。

ユダヤ教に「過ぎ越しの祭り」というものがあります。この祭りの際にはユダヤ人はパン種を入れないで焼いたパンや苦い菜を食べることになっています。これらは神がユダヤの民を救い出した「出エジプト」の出来事(救いではあるが、決して楽なものではなかった)を忘れないためのものと言われます。

このソリの食事も「昔はこういうものを食べて、おいしいと思ったんだ」という教訓的な意味で食べるのであれば大切なことかも、という気はします。

ある食品メーカーでは、それでもこの「ソリ食のパック」が二千食は売れるだろう、と見込んでいるとの記事が新聞に出ていました。この数、一体多いんでしょうか、少ないんでしょうか?ビミョー?
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意外な「Gun」 社会、アイスランド?

2013-01-23 05:00:00 | 日記
ソリの月に食べる伝統的?料理について書くつもりでしたが、ソリは二十五日に始まりますので、一回「待ち」にします。

話しは全く変わって「ガン」、銃についてです。

クリスマス前のあのアメリカのコネチカットの町の悲しい惨劇以来、アメリカでは銃規制の法律について盛んな議論が交わされているようですね。そのことについてはこちらのメディアでも扱われているのですが、それに関連してアイスランドでは「ガン」の存在はどうなっているのか?という記事が先日の新聞に出ていました。

ちょっと意外なのですが大人の16,2%が銃を所有しているというのです。男女別で見ると成人男性の25,3%、成人女性の7,3%が銃の所有者だそうです。

居住地区別で見ると、レイキャビクの首都圏では15,5%、田舎の地方では17,8%とのことです。

年齢別で見ると50歳以上の18,5%、18歳から49歳では14,3%なんだそうです。

ひらたく言ってしまえば、「田舎に住んでいるおじいさん」の指数が上がるほど銃の所用率も上がる、と言うことになりますね。それにしても男女の差はかなり大きい気がしますが。

ついでに、支持政党別の銃の所有率も計算されていて、「進歩党」という名前の保守等(田舎基盤)がトップで31%、ついで万年与党だった「独立党」が23,4%、現与党の「社民党」と「緑の党」は共に19%程度です。つまり「ガン規制」をするなら今のうち、と言うことになりましょうか?

ただ、ここでいう「銃」と言うのは、もちろん小銃ではなくて猟銃のことになります。小銃の所有は禁止されていますし、スタンガンもダメです。一度、日本の青年がそうとは知らずに入国してしまい、後から発見されて罰金プラス没収という憂き目に会っていました。

もうちょっと加えると、日本でなら通信販売やそれなりの店で買える、簡易警棒なども禁止されています。水鉄砲は大丈夫です。

こちらの田舎では鳥の猟を趣味でしている人は結構いるようですし、ミンク猟も猟銃で行われることがあるはずです。ミンクというのは実は大変な害獣?で、羊等の酪農をしている人たちにとっては大敵です。

以前、短い期間だけ田舎に住んでいた時に、隣りの家で(それでも歩いて10分)取ったミンクの始末をする小屋があったのですが(どういう「始末」だったかよく知りませんでしたが)、とにかく臭いぞ、と言っていました。匂いが付いたら取れないんだそうです。皮剥ぎだったのかなあ...?

話しが脱線しました。ともかくそういうことで一昔前までは猟そのものが生活の身近にあったのでしょうね。

では、その猟銃を使った犯罪はどうかというと、強盗などで使われる(実際に発砲される事件は少ないと思いますが)ことはあるようです。ただ、そんなに頻繁にではないように思われます。やはりちいちゃな社会なのですぐにメンが割れてしまう、ということもあるのかもしれません。

日本でも最近は発砲事件がかなりあるようですね。日本の場合はまだそれでも発砲事件は「そういう」世界の方々の間同士のことのようですが、一般の人の日常生活までおびやかされることがあると聞いています。怖いですね。

ところで、昔から思っている疑問なのですが、どうして日本のおまわりさんは短銃を持っているのでしょうか?去年、神奈川で突進して来るイノシシに向かって巡査が発砲したことさえニュースになっていましたから、それほど必要性はないように思えるのですが。そんなことないのかな...?
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旦那の日と奴隷

2013-01-21 05:00:00 | 日記
日本で七草がゆを食するのはいつか、そして七草とは何と何か?と問われても答えに窮する人は少なくはないと思います。(やたらに人を巻き込むのはやめにします。「私は」窮します、ということです)さらに何故そういう風習ができたか?と突っ込まれたら完全降伏です。

日本でさえそうなので、アイスランドではなおさらです。毎年一月末から二月にかけて「古く伝統的な料理」というのを食すことは知っていましたが、詳しい由来は知ることなく過ごしてきました。今年はブログの効用で少しだけ調べてみました。

まずこの伝統食は「ソラブロート」(ソリの捧げもの/食事)というのですが、このソリ(ソラはソリの連語形です)というのはアイスランドの古い暦の中での第四の月のことを言います。このソリの月は大分古くからの文献にも残っているようで、十二世紀の古写本の中でも触れられているとのこと。「ソリ」(Thorri)というのは人の名前で、今でも使われています。

ソリの月は冬の第十三週の金曜日から始まることになっており、現代の暦で言うならば一月の十九日から二十六日の間に納まります。今年の場合は一月二十五日から「ソリの月」に入ります。

このソリの月の第一日を特に「ボンダ・ダーグル」(「ダーグル」は「日」の意味)と呼びます。「ボンダ」というのは「農夫」のことを指しますし、同時に一家の主人、旦那と言う意味もあります。ということでこの日は「父の日」ならぬ「旦那の日」というわけです。

由来が古い分、このソリの月の伝統行事がいかなるものであったかは不明なことも多いようですが、このボンダ ・ダーグルにもそれなりの習わしがあったとのことです。農家の主婦はこの日の晩に農家の敷地の表門までソリを迎えにでます。そして家に残った者は全て立ち上がってうやうやしくソリを招き入れました。(この辺は全てWikipediaの受け売りです。m(_ _)m )

もちろん今ではそのようなしきたりを実践している人はいないと思いますが(絶対とは言いませんが)、「旦那の日」としてご主人に花を贈る主婦の方々はいらっしゃいます。ついでに約一ヶ月後、ソリの月の翌月ですが「妻の日」がありますので、男女平等です。

で、このボンダ・ダーグルの晩に当時のご馳走を食べて晩餐を祝ったのが「ソリの捧げもの/食事」のひとつの由来のようです。もうひとつの由来は古いお話しの中でノルウェーのスナイル王の子の一人、ソリは毎年冬の中頃に生け贄を捧げたとの記述があり、ここからソリと言う月の名前と食事が来ている、というものです。

ただし、いずれにしても現在アイスランドでこの時期に「ソリの捧げもの/食事」として食しているものは、この古のボンダ・ダーグルの晩餐とは別物であるとのことです。それについては次回に書きてみたいと思います。

最後に、ソリの月の最後の日のことを「ソラスライトゥル」と言うのですが、これは「ソリの奴隷」という意味です。何だこれは?と思っていくつか調べたのですが、なぜこういう名称がついているのかまだ不明です。「旦那の日」で持ち上げられておいて、最後は奴隷化し、翌月の「妻の日」に続くのか...旦那の運命?と勘ぐってしまいました。

本当の由来は何なのでしょうか?
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