レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「コロナ規則全廃の歓声がロシア軍に吹き飛ばされてしまった〜」の巻

2022-02-25 16:06:40 | 日記
こんにちは/こんばんは。




清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Jeremy_Bishop@Unsplash.com


今回はいつもより一日早く更新します。今、これを書いているのは、2月25日の金曜日の午後です。ここ一ヶ月ほど断続的に襲ってくるカメハメハーン(ストーム)が今日もやってきています。

午後はアイスランド全土がイエロー警報(五段階中三番目)以上の警戒下にあり、レイキャビクを含む国の南部のほぼ半分ではオレンジ警報(上から二番目)が出されています。

私は金曜日はだいたい自宅勤務の日としているのですが、執務室(実際は寝室の一角にデスクがあるだけ (^-^; )の窓の外を見ても、暗い空と窓にぶつかる雨の水滴、そして風のうねりが聞こえるばかりです。

暗っ!





金曜日午後の気象状況
Myndin er ur vedur.is


正直暗いですね。天候的に暗いですが、それよりも社会の雰囲気が暗いです。そしてそれは悪天候の故ではなく、ロシア軍のウクライナ侵略のニュースが原因です。

アイスランドでの国際ニュースの扱い、あるいはアイスランド社会の国際ニュースの受け取り方は、それがどこの国からのものか、ということで左右されます。

以前にも何回か触れたことがありますが、例えば武力衝突やテロのニュースに関しても、それが中東やアジアの出来事だとすると、それなりの扱いで報道されるだけですし、社会の態度も「嫌だね〜... さてと次は」みたいな感じです。

それがいざパリで何かが起きたりすると、扱い方のレベルが違うのです。やっぱりヨーロッパの身内意識があるようです。まあ、人間社会であるなら、どこであってもそのような身内意識とかご近所意識は生じるものでしょうが。

パリの余波...アイスランドにも


ウクライナの場合は、西ヨーロッパではありませんので、「ワンブロック、間(あいだ)に挟んだお隣り」くらいの距離感はあるはずなのですが、ウクライナの隣りはポーランド。そのポーランドからの移民はここでは移民のほぼ半数を占めます。




ウクライナと周辺諸国マップ


さらに、今回の侵略でロシアと事実上の同盟を結んでいるベラルーシを挟んで、ウクライナの北にはバルト三国があります。このバルト三国からの移民もアイスランドには多いのです。

というわけで、アイスランド社会にとってウクライナは決して「東ヨーロッパのどこか」ではありませんし、かつ、テロとかではない軍事的侵略という事柄の深刻さ故に、アイスランド社会の感情移入も相当なものがあります。

実際的な問題としても、カトリーン首相は周辺諸国やアメリカと共に、ロシアへの経済制裁へ参加することをすでに表明していますし、さらにこれからNATOがどのようにロシアと対峙するかにもよるのですが、アイスランドがNATOの一種の中継地となるであろうことにも触れています。

とにかく、これ以上武力による衝突がエスカレートせずに、平和的な交渉に転じてくれることを願います。ただ「平和」というのは単に武力衝突がないこととは違いますね。武力によって押さえつけられた状態は、たとえ衝突がなくても「平和」ではなく「支配」「抑圧」です。

そう簡単に事態は打開しないでしょうし、重い日々が続くでしょう。こういう中で、私たち下々の者が気をつけなければいけないのは、「ロシア憎し。ロシア人すべて憎し」みたいな怒りに心を奪われてしまわないことでしょう。

プーチンを憎むのは構わないでしょうが、ロシア人のすべてがこの侵略に拍手をしているとは思いません。戦争は国民の総意などではなく、権力者の欲望の産物だということを忘れるべきではないと考えます。





家から歩いて7-8分のところにあるロシア大使館前での抗議集会
Myndin er ur Visir.is (Myndin er eftir VILHELM)


さて、明るいニュースに転換。本当に明るいかどうかは、ちょっと?な部分もあるのですが、まあ社会全体は「明るい」と受け取っています。

今日の金曜日の午前零時をもって、コロナ感染防止のすべての規制が撤廃されました。「すべての」規制です。

もう何人集まってもいいし、挨拶がわりに抱き合ったりキスしたりしてもOK。マスクをしなくてもOK。ディスコでひしめき合って踊ってもいいし、パブで腕組んで乾杯してもOK。

これまで、国外からの入国者は「48時間以内に出された陰性証明」とか「ワクチン接種済み証明」とか、いろいろ必要な手続きがあったのですが、これらもいっさい撤廃。

ですから、日本からアイスランドへいらっしゃる方がありましたら、アイスランド入国に関してはコロナに関係した制限は何もなくなりましたから。




コロナ規制の撤廃を嬉々とアナウンスする空港のサイト
Myndin er ur Isavia.is


危険物や禁止ドラッグの持ち込みとか、そういうのはダメですよ、もちろん。それからパスポートも必要。まあ、パスポートは入国の際には提示する必要ないですけど。

ただ、日本からの「出国」については、日本側からの規制や条件があるかもしれません。その部分はよく知りません。

そういえば、二、三日前に外務省のお知らせメイルで、アイスランドからの日本への入国の際には、もう検疫期間とういうか隔離されて過ごす義務が免除されるとか。ありがたや。これでまた日本が一歩近くなりました。

で、アイスランド社会はこの規制全廃を歓迎していますが、とりわけこれまで踏みつけられてきた飲食業界や観光業界は諸手を挙げて喜んでいます。「今年の夏は期待できる」とかどこかの観光ビジネスの人が言っていましたね。

その反面で、新規感染者数はこのところさらに増加の傾向にあります。何日か前には、新規感染者数の新記録で3600人とか言っていたのですが、昨日はなんと4300人。

こんな状況で制限撤廃して良いのか?という素朴な疑問がでてきますよね。

ここで大きなポリシーの転換があります。アイスランドでは、もはやCovid19を「特別に危険な病気」とは見なさいことに「オフィシャル」に方向転換したのです。





木曜日の新規感染者数を伝えるニュース
Myndin er ur Visir.is (Myndin er eftir VILHELM)


その典型が感染者についての規制の撤廃です。これまでは感染した場合には症状の有無にかかわらず五日から一週間の隔離が義務付けられていました。ですが、今日からは、休むか否かは本人次第。

つまり、普通のインフルエンザとかと一緒で、本人が具合が悪ければ休むし、なんでもないなら休まないで良い、ということになります。

というわけで、コロナに関しては、アイスランドはひとつのコーナーを回りました。医療関係の皆さんは、それでも念を押しています。「コロナがなくなったわけではありません。重篤化絶対にしないわけでもありません。手洗いやマスク着用、自分で気をつけて、必要と思われる注意を払ってください」

アーメン。ワタシはまだまだ注意しますよ。マスクもできるだけ着けるし、握手もハグもまだまだ避けます。まあ、ハグは相手を見ながら決めるかな?かわゆい女性(ひと)なら拒まず、いやむしろ積極的に。

今日は、本当ならこういう喜ばしい展開に歓声が上がるはずの日だったのですが、ロシア軍の砲弾にかき消されてしまった感があります。好むと好まざるにかかわらず、世界は結びついています。

ロシアの皆さん、もう少しマシな指導者を選んでくれ! と言いたい、です。

ああ、そうか。選ぶ自由がないんだっけ...


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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コロナ・ドカ雪・ストーム vs. 結婚式

2022-02-20 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。



レイキャビク市内のハウテイグス教会


ここ二週間ほど、レイキャビクは雪に見舞われています。昨今は雪のない冬というのもあった気がしますが、今年はそうはいきませんでした。なんか、今年のパターンは、昼間ではなく夜間に「密やかに」降雪して、翌朝目が覚めてびっくり、みたいなことになっている気がします。

車を動かす前に十五分くらいは「雪どかし」の時間をみておかないといけないですね。私の住んでいる、西街の界隈は古い地区で道路が狭く、かつ通り沿いに駐車をするのが許されています。

そうなると、除雪車が来てくれないのです。狭いのが理由かと思っていたのですが、どうやら「脇へどけた雪が駐車している車をさらに雪で閉じ込めてしまう」というのがその理由のようです。おかげで通りには凹の轍(わだち)が深々とついてしまい、抜け出るのが大変。

日本の雪深い地域の皆さんから見れば、たいした積雪ではないと思いますが、結構面倒ですね、このくらいの雪になると。




こんな感じ これは知り合いのFBから拝借のピック
Myndin er eftir vin minn


もともとアイスランド、というか、レイキャビクの辺りはそんなに雪の降る地域ではないのです。気温だってそれほど「アイス」ではなく、過去十年間の二月の平均気温はプラスの1,2℃。今年は平年より低く、マイナスの2,1℃になっています。

まあ、暖かくはないですが、お伝えしたいことは旭川や帯広のようなマイナス15℃、みたいなのは日常的にはないということです。その分、こちらでは日中も気温は上がらないので、一日中平均程度の気温で居続けます。身体的には、その方が楽な感じがしますね。

少し前に書きましたように、雪よりもカメハメハーン(ストーム)の方がトラブルサムなのですが、幸いなことに雪とストームは今のところは別々に来てくれています。

さて先週は –正確には先々週になりますが– プライベートで大きなイベントがあり、なかなか仕事に集中できない日々を過ごしました。娘が結婚したのです。娘はもう三年近く彼氏と一緒に暮らしていて、一歳と四分の三くらいの娘もいます。

こちらでは結婚に先立って「同棲」するのが、習慣化していて、結婚式に子供さんたちがぞろぞろくっついてくることは珍しくありません。

結婚か同棲か?




幸いに快晴の式当日


2020年の時点で、結婚する男女の平均年齢は花婿37,1歳、花嫁が35,0歳。これは初婚に限っての数字です。かなり歳がいってから、の感がありますが、ほぼすべてのカップルはそれ以前の同棲の期間を持っているわけです。

ちなみにこの結婚平均年齢、三十年前の1990年代前半には、花婿30,1歳、花嫁27,9歳と、男女とも七歳分くらい若く結婚してたんですね。私の娘と彼氏さんは、ちょうどこの1990年代の平均年齢に当てはまります。

娘らは、実はもう少し早く式を挙げる希望を持っていたのですが、あいにくコロナの真っ最中。十分な余裕をとって「2022年の二月なら、もう大丈夫だろう」と計算して、挙式日を決めていたのですが、予想外のコロナの粘り。

「大丈夫」どころか、年末からコロナは勢いを増してしまいました。そこで、そう簡単にキャンセルができない披露宴は春先まで延期することを早い時期に決定。それでも「式だけは挙げたいな」ということで、様子見をすることになりました。

一月中旬の時期には「集会は10人まで」という、かなり厳しい規制がありましたし、そこには結婚式も含まれています。「どうする?どうする?」教会の礼拝は50人まで参列可能、という例外事項だったのですが、結婚式がこれに含まれるか?というのはちょっと不明瞭。

またこの辺りから、一日の新規感染者が千人越えとかなってきましたので、かなりヤバそう。私としては、披露宴をずらした四月下旬まで延期したらいいのに、と思っていたのですが、娘と彼氏さんは待ちくたびれたようで「決行」を決意。

まあ、それなら親としては式ができるだけ理想に近づけるようにサポートするしかないですね。




花嫁と花嫁の父


二月始めには、濃厚接触者の隔離のルールがなくなりましたが、それでももちろん、感染者は隔離に入らなくてはなりません。ということは、感染したら式には出られない。症状が重いか軽いかは関係ありません。

ということで、挙式日から遡って一週間は、私は「自主隔離」に入り在宅勤務。なるべく外部と接触しないように努めました。

その間にかなりのドカ雪。挙式は市内のハウテイグス教会というところで行われる予定。そこは私も難民の人たちとの集いSeekersでいつも通っているところで、馴染みの教会です。

その教会の事務長は、ちょっと怪我をして現在リハビリの最中。「歩きスマホ」をしていて階段で転倒したのです。皆さん、「歩きスマホ」は絶対やめましょう。

とにかく、その事務長さんが連絡してきて「積雪で教会へ入るのが難しくなってる。今週、葬儀がふたつ予定されていて、その後娘さんの結婚式。Seekersの青年何人かで雪掻きをしてもらうよう頼めないか?」

ということで、ワタシは手配師と化し、四人の男性に雪掻きを頼みました。もちろん、みんな快く引き受けてくれて無事雪掻き終了。葬儀に参列される皆さんは、雪掻きされているのを当然と気づきもしないでしょうが、ちゃんとそのために参集してくれる人がいるのです。




誓約後の祈り


もうひとつの心配の種はストームでした。連日連夜でしたからね。アレが来ませんように。

そんなこんなで挙式当日を迎えました。素晴らしい快晴の一日で、文字通り「雲ひとつない」陽光サンサン。マイナス6℃とかで、寒かったですが、太陽が輝いてくれると、それだけで心持ちがアップするのは皆さん共通のようです。

幸いなことに、式の関係者にコロナ感染者は出ず、全員参列することができました。彼氏さんのお兄さん、お姉さんは二週間ほど前に感染・回復済み。

さらにラッキーなことに、式直前に集会規制が大幅に緩和され「結婚式は200人までOK」となり、招待したお客さんの皆さんに「規則破り」のお札を付けてしまう心配からも解放されました。

結婚式は何度も担当していますが、「花嫁の父」になるのは初めてのことでしたので、やはり私も緊張しました。緊張、というよりは「落ち着かない」といった方が正しいですね。

昔、「Wake up! Wake up!」とか財津和夫さんが、花嫁の父の心情を歌ってましたね。ワタシはあそこまでおセンチにはならなかったです。




人気歌手のパットゥル・オウスカーさん


式そのものは、和やかに楽しい雰囲気でつつがなく終了しました。Pall Oskarパットゥル・オウスカーという国民的人気者の歌手が四曲も歌ってくれたので、披露宴が先延ばしになっている分、参列の皆さんへのエンターテイメントにもなり、ありがたいことでした。寒い中、いらっしゃっていただいた皆さんには感謝、感謝。

挙式の日の後、またドカ雪となり、交通がままならない状況となりました。もう一回Snowmen「雪掻き隊」を招集しないといけないかな?というような、挙式の後先の様子を鑑みて、「娘たちはホントにラッキーだった」と思ってしまうのは、ワタシの親バカでしょうか?(*^^*)

娘たちを含めて、新婚の皆さん、まもなく挙式の皆さん、お幸せに!



 




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「取らぬ狸の...」 ではありませぬよう

2022-02-12 04:56:21 | 日記
こんにちは/こんばんは。

都合により、今回は通常より一日早く更新します。




清涼感アップ用ピック 今回は写真は本文とほぼ無関係です
Myndin er eftir Jon_Del_Rivero@Unsplash.com


アイスランドの今年の冬は、一昨年2020年のようなカメハメハーン(ストーム)漬けの冬となっています。カメハメハーンとはアイスランドでの台風級のストームをワタシが命名したのものです。

カメハメハーン? アイスランディック・ストーム


一月中からコンスタントにストームが襲来しているのですが、雪はそれほど降っていませんでした。それが、先週にはかなりの積雪となり、おまけにストーム到来で最高度のレッド警報まで発令。記憶に間違いがなければ(最近、特に怪しい)、レイキャビクでのレッド警報はこれでまだ二回目のはずです。

偶然ですが、時を同じくして日本でも大雪警報が出ていたようで、Nスタとかを横目で見ていると、自分が今、日本にいるかのような錯覚に陥ってしまうこともあります(ボケの一種か?)。




スリップして雪の原野にはまり込んだトラック
Myndin er ur Visir.is/ADELINA


さて、コロナです。スカンジナヴィアのデンマークやスウェーデンでは、続々と「すべての制限を撤廃する」ようになってきました。決して、新規感染者がいなくなったからではなく、重篤化する危険度と、社会生活を維持することの重要性を秤にかけながら、制限撤廃に踏み切っているようです。

まあ、これらは多分に「政治的決断」でもあります。経済界とかいろいろな方面から、解除に向けての圧力がかかっていたことは間違いありません。

デンマークは、ほぼすべての制限を2月1日に撤廃しました。かなり早かったですね。次いでスウェーデンが2月7日にすべての制限撤廃に踏み切りました。

ちなみにスウェーデンは、コロナが世界を襲った初期の2020年春から夏にかけて、まったく集会制限などをしなかったことで、いろいろと話題になりました。評価は色々と分かれるでしょうが、スウェーデンでのコロナ故の死者数が、他の北欧諸国の十倍ほどとなったことは事実です。

そのお隣りのノルウェーは2月17日に制限解除をするようです。そしてフィンランド。来週の14日に大幅な制限の緩和を実施し、さらに3月1日にすべての制限を撤廃するとアナウンスしています。

こうして、周囲の国々がコロナ予防の制限を撤廃してくると、アイスランドでも「いつ、すべての制限を撤廃するつもりか?」「なぜ我々だけのんびりしているのか?」という声が強まってきます。

アイスランド人は、周囲の北欧諸国の動向に敏感で、おそらく自信のなさの現れだと思うのですが、すべてを同じようにしないと不安感に苛まれるようです。

ですが、これまで何度かブログの中で触れてきましたThorofurソーローブルさんという、感染症の専門家で、コロナ対策の陣頭に立ってきた方が、かなり気骨のある方で、ブレない慎重な姿勢を取ってきたため、アイスランドでの制限撤廃はそう易々とは実現していません。

それでも、着実に制限は緩和されてきています。例えば、一月の初め頃からは、濃厚接触者と認定された場合でも、隔離に入る必要はなくなり、他者となるべく接触しないようにすれば、職場へ出向いても良い、という緩い規則になったことは、以前書いた通りです。

オミクロンと「地頭」






これはきつね?犬? 癒しアップ用ピック
Myndin er eftir Jonatan_Pie@Unsplash.com


そして、今日の土曜日から、さらに一段階、制限緩和に向かうステージに移行しました。これまで、一般の集会は五十人限度だったのですが、それが二百人まで拡大されました。

演劇や音楽会等のイベントでは千人までOK。その他、飲食店やパブ等の開店時間も延長されています。

欧米で何かと問題になるマスクの着用義務ですが、これは1メートルのソーシャルディスタンスを取ることが不可能な状況でのみ、「義務」とされます。

大きな緩和だと私が思うのは、濃厚接触者に関しての「隔離義務」が完全に消えたことです。すでに、三回のワクチン接種を終えた人、ならびに二回の接種を受け、一度感染した経験のある人は、他者に交わらないようにすれば、職場に行ってもいいことになっていました。ただし、五日後にはPCRの義務。

それが、今回は「他者に交わらないように」とか、そういう義務がなくなったのです。PCRからも解放! この状況は、相当数の人に関わることだと思いますので、喜ぶ人は喜んでいることでしょう。

はっきりとは言及されていませんが、今月の24日には、「ほぼ」全面的な制限の撤廃を行うつもりなのではないかと...




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Robert_Bye@Unsplash .com


さて、ここで一言。

これらの一連の制限の緩和、新規感染者数の減少とかが前提になっているわけでは「まったく」ありません。新規感染者数はものすごい高止まり中です。

一月半ばでは、毎日の新規感染者数が千人を超えていました。それは、その一ヶ月前に比べると「ものすごい」数でした。ここ一週間ほどは、毎日二千人越えです。毎日二千人ということは、一週間で一万四千。一ヶ月で五万人以上。アイスランド人口の約七分の一になります。

統計によると、コロナの当初より、2月10日現在までに確認された感染者数は85.980人。もし、これからの一ヶ月で五万人が追加されるとすると、136.000人くらいとなり、全人口の40%弱になります。

加えて、「感染したのだけど、無症状でいたため感染確認がなされなかった」という人が相当数いることが想定されています。となると、もしかしたら国民の半数くらいは、すでに感染済みなのかもしれません。

こうなると、いわゆる「社会的免疫」なるものが、かなり現実的になっていることは確かでしょう。

アイスランドが、新規感染者数が高止まりしているにもかかわらず、制限緩和に向かっているのは、このような認識が根底にあるようです。加えて、その絶対感染者数に比して、入院患者が36人という、ごく低いパーセントであること、それに三回のワクチン接種終了者が大人に関しては七割に達していることもあるでしょう。

「コロナは普通のインフルのようになってきている」という認識は確かに巷に広まっています。が、これはまだ「取らぬ狸の皮算用」アイスランドの保健衛生大臣も「ともかく気をつけて欲しい、制限が緩和されても」とコメントしています。できるかなあ?アイスランド人に...

というわけで、今回はこちらでのコロナ関係の新展開についてでした。あまり新鮮味のない内容ですみません。早く、この話題が消えてくれ、いろいろな活動、イベントのニュースが入ってきてくれるようになることを願います。


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「鬼は外!」 そもそも「鬼」って...?

2022-02-06 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Shawananggg@Unsplash.com


先日は節分の豆まきの日でしたね。皆さんのご家庭では豆まきとかなさるのでしょうか?私は成人してからは(っていうか、多少大きな子供になってからは)、豆まきはしませんでしたが、美味しいので豆そのものは食べていましたね、へへ。

こういう伝統文化?行事って、大きくなるとそんなに重きを置かなくなることがしばしばありますが、子供ができるとまた「復活」したりします。アイスランドにいる私らのように、日本を離れている家庭の場合は、よりいっそう日本の行事に力を入れて子供に伝えようとしたりもします。

私の娘も、「娘(一歳半)に豆まきを教えたいから」というので、鬼のお面を画用紙で作ってもっていきましたよ。他にも日本の子供の歌を教えたり、お話しをしてあげたりと、一応親としてがんばっているようです。

そういう流れの中で、いつだったか、桃太郎の話しが出てきて「なんで桃太郎はわざわざ鬼退治に行ったの?余計なお世話じゃん」と、娘は訝っていました。確かにー。「鬼は悪いものだ」という前提でお話しができているのでしょうが、鬼の由来とかはあまり真面目に考えたことがなかった気がします。

ところが、先日の「世界の何だコレミステリー」で、まさしくこの鬼の由来の特集をやっていました。「何だコレミステリー」は割と好きな番組なのですが、まあ、それなりの基準で見ていますので、それほど「知的満足」を求めているわけではありません。

それが、この回は非常に勉強になった気がするのです。



平安京の復元模型
Myndin er ur Tokuhain.arukikata.co.jp


そこで、今回は、「何だコレミステリー」からのお話しの受け売りとなります。まあ、「鬼滅」ブームの日本の皆さんはすでに「知ってるよ、そのくらい」の話しかも知れませんが、その折りはご容赦。

「何だコレ」ではあばれる君が案内役で、佛教大学の八木透教授という方が先生役となりました。

そもそも「鬼」はいつの時代から世に現れ、なぜ怖れられているのか?という素朴な疑問があります。平安後期に編まれた「今昔物語集」には、鬼の登場する「百鬼夜行」というエピソードが含まれています。

その頃の平安京は、栄えてはいるものの夜は真っ暗。行き倒れの人の死体とかが転がっていたり、盗賊が出たりと、決して夜の治安はよくなかったそうな。

そんな折り、ある貴族が夜に外出して、ぞろぞろと歩き回る鬼の一群に遭遇。北門の中に身を潜め、間一髪でやりすごします。ですが、やっと自宅に帰り着くと、高熱が出て、何日も苦しんだとか。




酔った隙に討ち取られた酒呑童子
Myndin er ur artagenda.jp


以降、鬼に関する記述もあちこちに現れ始め、京の町の人たちをさらうとか食べるとかの悪さをするようになりました。そこで、当時の天皇が武士の精鋭部隊を招集し、ボス鬼である酒呑童子を打ち倒すよう命じたのだそうです。鬼殺隊ですね。

精鋭部隊は一計を案じ、鬼たちに酒を勧めます。さんざん飲みまくった鬼たちが泥酔して寝入ったところで、これを討ちます。この時、酒呑童子の首を取ったのが源頼光だったと後の「御伽草子」とかが伝えているそうです。

ちなみに、この場面の絵は大阪の逸翁美術館所蔵の非公開重要文化財「大江山絵詞」という巻物に収められています。

討ち取られた酒呑童子の首は、現在の京都と亀岡市の境にある老ノ坂(おいのさか)峠というところにある、首の塚大明神という神社に納められていると言われています。きちんと柵で結界が作られ、鬼が人間界に戻らないように封じ込められているようです。

その神社には言い伝えが残されており、それによると酒呑童子は、頼光に首をはねられる際に改心しそれまでの悪行を悔い、「病気にかかった人たちを助けたい」と言い残したそうな。






首塚大名神社とその裏にある「首塚」
Myndirnar eru ur japanmystery.com


あばれる君曰く、「なぜ『病人』という特定のワードが出てくるのですか?」それに答えて、八木教授は「そこに鬼の正体を解く鍵があります」

少し時代が下がって鎌倉時代の「春日権現験記」という絵巻物には、鬼の絵が残されています。その絵では、民家の屋根の上から赤鬼がぶらさがり、家の中の病人のようすを覗き見しています。

八木教授の話しでは、この頃には鬼の姿形が、今、私たちが思い浮かべるような有様で定着してきたそうです。面白いことに、それ以前の記録には、鬼の外見については何も具体的な描写がなかったとのこと。

八木教授の説明によると、先に触れました百鬼夜行の舞台になった平安京の北門を出ると、堀川という川があり、そこに一条戻橋(もどりばし)という橋があります。この辺りに、鬼の伝承が多いのだそうです。

この橋から北門を通って行くと、そこは人間の住む栄えた都。逆に橋から西北に行くと蓮台野という墓地があったそうです。そこはつまり死者の国。百鬼夜行の鬼たちは、この死者の国から、北門方面へ歩いて行ったことになります。






昔の平安京の北門周辺と、現在の一条戻橋
Myndirnar eru ur kachovisual.com(u) og cyber-world.jp(n)


八木教授はさらに続けて、「当時の川は治水ができておらず、定期的に氾濫しました。有名な祇園祭なども、もとはこの水の氾濫を収める祈願だったのです。そして、洪水が夏の暑い時期にぶつかったりすると、病原菌が一気に増殖したりして、それを含んだ井戸水などを口にした人たちが病に倒れました」

ところが当時の人たちは、この病原菌だとか、ウイルスとかの存在をもちろん知りませんでしたので、「目に見えぬ恐ろしい力が、人の命を奪っている」とだけ考え、この恐ろしい力を「鬼」と呼んだらしいのです。

「『鬼』という言葉の語源は『隠』(おぬ)という言葉で、これは「隠されている」「目に見えぬ」というところからきています」

というわけで、初期の鬼に関する記述に鬼の外見が触れられていないことも合点が行きますし、鬼と病気がつるんだ記述が多いことも納得がいきます。

ついでに酒呑童子が酒の飲み過ぎで弱り、討たれたことも、病原菌はアルコールに弱いことと結び付けられる、とのことです。




病人と鬼が結びついている絵巻物の絵
Myndin er ur gengensha.jimdo.com


面白いですね、これは。昔からの言い伝えのお話しとか、伝承というのは、すべてがそのまま事実ではないでしょうが、なにかしらの真実を含んでいるか、何らかの根拠を含んでいるものです。

「そんな馬鹿な」みたいな昔話しの源流をたどっていって、そのお話しや言い伝えのもとにある「何か」を見つけ出すことができたりすると、これはもうワクワクもんです。「聖書」とかでも、結構、そういう要素はあるんですけどね。

とにかく、「鬼」と「ウイルス」「病原菌」というのは、ワタシ的には結びつかないものでした。「鬼」っていうのは、なんか、もっと「直接的暴力」のイメージが強かったので。

ひとつ賢くなりました。あばれる君、八木先生、ありがとうございました。m(_ _)m

となると、現代の新型コロナは、鬼の大逆襲ということになりますね。おそらく「鬼滅」人気に鬼が逆上して立ち上がったのでしょう。だったら、居酒屋とか、酒類提供を自粛するよりは、じゃんじゃか飲ませた方がいいのでは?

信じるか、信じないかは、あなた次第です。




お口直し用ピック
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