レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

赤い目 うさぎちゃんとダースマウル

2021-05-30 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。この週末になって、ちょっと「奇跡の五月」も一息ついている感じになっています。多少の風と雲りの日がやってきました。これが、あくまで「一息ついて」であって、「おしまい」ではないことを願いますよ、ホントに。




夏に入り始めたアイスランド ガルザー教会


始めに、前回書きましたユーロビジョン・ソングコンテストについて。

結果としてアイスランド代表ダージィ&ガグナマグニズの歌う「10Years」は四位に入賞しました。優勝はイタリア。

メンバーにコロナ陽性者が出たダージィさんらは、木曜日の予選に引き続き、土曜日の本戦でもステージに立つことができず、ビデオでの参加となりました。

ユーロビジョンに関心のないワタシは、三時間に及ぶ生中継の中で、最後の二十分だけを見ました。各国からの得点が集計されるパートの最終ステージです。この部分で、アイスランドは一時トップに立ったのですが、残念。四位で終了。

でもアイスランド人たちは満足して拍手を送っていました。私は知らなかったのですが、ガグナマグニズの三人いる女の子のひとりはダージィさんの奥さんだそうで。この方、帰国してからコロナの陽性になってしまいました。

早く回復されますよう。

さて、この二週間ほど、私自身も多少不自由な生活を体験してきました。「外見で人を判断してはいけない!」とはよく言いますが、実際にはそうはいかない部分もあります。

実は二週間くらい前の朝、起きて洗面所の鏡を見てびっくり。右目の鼻に近い方の半分に出血があったのです。かなり真っ赤。

これ「結膜下出血」といって、結膜下の毛細血管からアクシデント的に出血するものです。鼻血と同じようなもんです。痛くもなんともないので、本人は鏡を見るか、他人が指摘してくれるまで気がつかないことが多いのです。

私自身、初めてのことではなく、過去十何年間で三回目のことです。普通は一週間くらいでもとに戻るのですが、今回は出血が右目の鼻に近い半分から、白目の部分全体に拡散してしまいました。




目が赤くとも可愛い カイフォルニア・ラビットちゃん
Myndin er ur Wikipedia.org


結果は...  文字通り「真っ赤な目」。本人は痛みもないし、痒みもない。視野も普通。なので、全然困らないのですが、問題は人を驚かしてしまうことです。

驚かせ方にも二通りあります。職場の人などは赤い目を見て「どうしたの?怪我?」とか「痛くないの?」とか心配や同情の念付きの驚きです。

心配させてしまっては申し訳ないので、こちらも「結膜下出血だから、病気じゃないし、痛くもないし大丈夫。鼻血と同じだけど、鼻血は拭えるけど、目の中は拭えない。だから消えるまで待つしかない」と説明を準備。

「結膜下出血」ってなんて言うのだろ?英語ではsubconjunctival hemorrhageというのだそうです。これは覚えるのが大変だな、と思い、別名のhyposphagma という短い名称を暗記しました。

これは知り合いの中での話し。町中やお店等では別の驚かせ方をしてしまいます。要するに赤い目は「不気味」なのです。スターウォーズのダースマウルかデビルか?みたいな。

赤い目はなんとなく「不吉なもの」という変な相場が世の中には出来上がってしまっているのです。これこそ外見による偏見ではないか?可愛いうさぎちゃんたちを見よ! 赤い目が多いではないか!

「それはうさぎだからだ」なるほど。私はうさぎではありませんし、うさぎのふりをしてバーニーになったら、不気味を通り越して「アブナイ」になります。




スターオォーズのダースマウル 赤いのは目よりも顔か?
Myndin er ur Starwars.com


そこで、人前に出る時はお定まりのサングラスをかけることにしました。困ったことに私のグラサンは眼鏡仕様で度が入っています。運転中に使うために作ったものなので。

それを室内とかでかけていると、今度は手元が見えないのです。で、かけたり外したりしなければならず、これは面倒。度の入っていない安いサングラスをひとつ買おう、と思い薬局へ。こちらの薬局には、必ず安い老眼鏡と(こちらでは読書グラスといいいます)、サングラスを売っています。

「眼帯という手もあるか」と思い立ち、眼帯も見てみたのですが、薬局にある眼帯は黒のみ。しかも三角っぽい。日本にあるような白くてスクエアなもの、つまり目を痛めています、という風のものはなし。

黒で三角っぽい眼帯。想像できます?付けたらもろ「海賊」ですよ。安かったので、それでもひとつ買って試してみましたが、自分でも噴き出してしまいました。しかも、片目になると遠近感がなくなってしまうので、チョー不便。

というわけで、やはりグラサンの方がいい。薬局ではいいものがなかったので、100円ショップへ行きました。そこでまあ、満足のいく、そんなに色が濃くないものを700クローナで購入。100クローナじゃないじゃないか。まあ、いいや。




片目のルフィー
Myndin er ur onepiece-log.com

とにかく、屋内ではそのグラサンをして過ごすようになりました。

それでも、面倒はあります。会議や集会などでは、いちいち「サングラスのままですみません。目にトラブルがありますので... 」と釈明。まあ、アイスランドではそれほど服装等とんちゃくがありませんので、こちらが思うほど周囲は気にしていないことでしょうが、やはり日本人のメンタリティ的に釈明義務を感じてしまうのでした。

二週間以上経って、ようやく右目は「悪魔的な赤」から「ちょっと目が赤いよ」程度まで回復してくれました。やれやれ。まったく。目が赤いくらいで、これだけあたふたしなくてはならないとは...

ですからねえ、それを考えると、やはり「外見によるものごと、特に人についての判断」というものは普段から考えておく必要がありますね。「偏見を持ってはいけない」という教えには皆賛成するでしょう。

それでも見慣れないものを見るとつい反応してしまう、というのが人の常でしょうし、ある意味では仕方ないことかもしれません。ただ、その部分も訓練をすれば矯正できるものだと考えます。

私などは、こういう体験を軽い調子でお話しすることができますが、目に見える身体的特徴、外傷や障害を持っている方々にとっては、日々直面している大きな問題だろうと想像します。

そういう問題を理解していない人たちが、悪意はなくとも他者を傷つけることがあったとしたら、それはやはり偏見、差別に陥ってしまっていることになります。偏見、差別と善意、悪意は異なる次元に属するものです。




LGBTのレインボーフラッグ
Myndin er ur Wikipedia.org


ですから、「外見で人を判断するな」だけでは十分ではなく、「外見で判断される側」の問題や苦労を学び、「外見だけで判断しない」ような態度を持てるよう訓練する必要があるのではないでしょうか?

こういうことって、意識的にプログラムしないと、自然にはやってこない部類の問題だと思うのです。

アメリカの一部の警察では、黒人の人への差別を持たない態度を育成するための、非黒人警察官への教育プログラムを始めたと聞きました。そういう差別、偏見を克服するプログラムの必要性は、BLM関連だけに限られたものではないでしょう。

と、ここまで書いていて、自分で気がついたのですが、だいたい結膜下出血で赤い目をしたワタシ自身が「サングラスをかけよう」と思うことこそ、「外見で判断している」ことの見本ではないか?逆側からですが。

「見かけで判断するな!」と確信があるなら、赤い目でも青い目でもそのままで通すのが筋だろうが。正論だなあ...

うーん、結局、問題は自分自身へとブーメランしてしまった。ワタシも蚊帳の外ではないようで。

ついでですが、最近のニュースを見た限りでは、自民党の先生方もLGBTへの差別、偏見を克服する訓練プログラムが必要なのでは?


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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The Revenge? ユーロビジョンの行方

2021-05-23 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。相変わらず晴天が続く「奇跡の五月」をエンジョイしているレイキャビクです。

今、これを書いているのは金曜日の夜なのですが(夜といっても外は青空と陽光に満ちていますが)、今日は市の中心地にあるショッピングモールに用事があり、そこからオフィスへ向かいました。

その途中で、レイキャビク市の中の丘の頂上辺りを通るのですが、今日はくっきりと火山のマグマの噴水が遠くに見えました。「フン、マグマ観光なんざに行くものか」というワタシなのですが、ちょっと嬉しかったな。

さて、今週のアイスランドは多少ニュースがありました。まず週の前半には、アメリカのブリンケン国務長官とロシアのセブロフ外相があいついで来ア。レイキャビクで会談しました。

ちょうどイスラエルのガザ地区空爆が続いていた時期だったので、パレスティナ支援の市民が会場近くまで抗議の行進したりしていましたが、別に何事もなく終わりました。

ワタシ、最近、富に国際政治とかに関心がなくなり、米国務長官って誰?ロシアの外相は?と、以前からは信じられないくらいの浮世離れになってしまっています。言いたくはないですが、これはトランプの後遺症です。




Eurovision 2021 Logo
Myndin er ur Eurovison.com


さて、週の半ばからはEurovisionユーロビジョンで湧きかえっています。去年のアイスランド代表の曲は、最近稀に見る良い出来で「初優勝か?」と期待されていたのですが(期待していたのはアイスランド人ばかり)、ご存知のようにコロナのおかげで大会そのものがなくなってしまいました。

ユーロビジョンについてはこちらも。

ユーロビジョン デンマーク優勝

憎しみが勝つ.....ユーロビジョン?


これには国民総ガックリで、代表だったダージィ・フレイルさんと彼のバンドに同情する声が強かったのです。そのせいか、今年は「国内コンテストはしないで、ダージィたちを今年の代表として送る」ということに早々と決まっていました。

例年なら、コンテストで一番良い曲を選び、その曲の歌い手が代表となります。今年はその部分をカットして、ダージィさんと彼のバンドが代表になったわけですが、肝心の曲はその時点ではまだなかったわけです。

無理やりユーロビジョンに恥ずかしくない曲を作らされるはめになったダージィさんたちにも相当なプレッシャーだったんじゃないかと思うのですが...

正直に言いますが、国際政治だけではなく、ユーロビジョンにもすっかり関心を失っているワタシは、昨年も今年もほとんどダージィさんたちが歌う曲を聴いていません。

昨年の場合は、中止が決定してからラジオとかで聴くことは多々ありました。今年の場合は、メロディーさえも知らない... まあ、いいや。老人の特権。

で、調べてみると、今年の曲は「10 years」というのだそうです。このブログを書くために、さっき聴いてみました。いいか悪いかは皆さんでご判断を。

“10 years” Official music videoはこちら (Youtube)

こちらはユーロビジョンからのOfficial video ステージっぽい




ダージィ&ガグナマグニズ
Myndin er ur Visir.is/Birta_Ran


調べたついでに、もう少しちゃんとダージィ・フレイルさんと彼のバンドについてご紹介します。Dadi Freyr Petursson ダージィ・フレイル・ピェトゥルスソンさんは二十八歳のミュージシャン。本格的に活動し始めたのは2017年くらいのようです。

彼のバンドはGagnamagnid ガグナマグニズといいます。普通にはダージィさんも含めてDadi &Gagnamagnid と呼ばれています。

Gagnamagnid というのはアイスランド語でも変な名前なのですが、英語の直訳ではAmount of dataとなります。Gagn(a) は「データ」のこと。Magn(id)は「量」なのですが、同時に「力」とか「エネルギー」の意味もあるので、ここはPower of data の方が正解なのでは?という気がします。

息子の説では「いつもコンピューターで曲作ってるからじゃないの?」とのこと。なるほど。

そのガグナマグニズには男の子ふたりと女の子三人がいます。ダージィさんと合わせて計六人のユニット。いつも「ちょっとダセー」系のソフトな衣装を身にまとっています。ハード系の裏側。

初老のワタシの目から見ると「ちょっと」ではなくて「すっごくダセー」ですが、これはそう感じるワタシの方が「ださい」のでしょう。歳をとるというのは恐ろしいことです。

さて、ダージィさんら一向、先週会場のあるオランダはロッテルダム入りしました。「今年はやってくれよー!」という期待のもとに。

ところがです。三日目くらいに恒例のPCRテストで、ガグナマグニズの男の子が陽性判明。即、全員隔離生活入り。

よっぽどコロナに呪われているようです。去年は大会なし。今年は大会直前の陽性判明と隔離。陽性の男の子はテレビのリモートインタビューでボロボロ泣いていましたよ、可哀想に。何も悪い事してないのに。

リーダーのダージィさんは「ホテルの部屋にひとりで座っていると、ユーロビジョンに来ているとは思えなくなります」とシュールな感想。

ユーロビジョンは、22日の土曜日が本大会で、その前の火曜日と木曜日に予選があります。ダージィさんたちは木曜日の予選に参加の予定だったのですが、隔離の故にステージに立つことはできず、練習中に撮ったビデオで予選を戦うことになりました。




無事に予選を通過したダージィ&ガグナマグニズ
Myndin er ur Ruv


予選の生中継をチラッと見たのですが、ビデオとはいっても、生かビデオか、全然見分けがつかないレベルのもの。なんというか、今式のシアター用のビジュアル・システムなので「ビデオ」という言葉とは次元の違うものでした。

そして、ダージィ&ガグナマグニズは無事予選を通過。土曜日の決戦を待ちます。土曜日にはステージに立つことができます。

で、このブログの投稿が公開されるのは、こちらの時間の土曜日の午後三時なので、まだユーロビジョンの本戦は始まっていません。ですから、結果のわからないままでこの投稿をしていることになります。

ユーロビジョンに対する興味は、数十年前に失せてしまった私ですが、それでもダージィさんたちが善戦してくれれば、アイスランドに元気を与えてくれると思いますし、頑張ってくれることを願っています。

ユーロビジョンにしても、オリンピックにしても、コロナの奴がさー! という気にはなりますよね、やっぱり。でも、それも含めての現実。すべてが理想的ではないにしても、すべてが悲観的なものでもなし。

その合間を縫って行くしかないようですし、多分、そういうところに意味があるのでしょう。


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ワクチン接種 優先? 特権? 「ずる」?

2021-05-16 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。前回、こちらで起こった山火事、正確には「原野火事」について書きましたが、ニュースによると五月始めからの十日間で二十もの山火事・原野火事が報告されたそうです。

それほど大事に至らずに消火されたものがほとんどのようですが、いくつかはかなり大きな面積 - それでも山火事としてはミニミニサイズ- の延焼となりました。あるサマーハウスの近所でも枯れ草に火が付き、家屋が危なかったらしいのですが、幸い家の前の「道」のおかげで火は止まったとのこと。




本文とは無関係 拙宅からの夕日


レイキャビク近郊では、もう一ヶ月近くも雨らしい雨が降っていません。原野にはまだ青くなっていない枯れ草で覆われている場所が無数にあります。当局は「山火事注意報」みたいなものを出して、「オープンスペースでの一切の火の使用を禁止する」としています。

今月は次の日曜日と月曜日がペンテコステ、聖霊降臨日と呼ばれるキリスト教の祭日で連休。多くの人がサマーハウス等へと出向く時期です。となると、外でBQとかの向きも多くなります。「オープンスペース」にサマーハウスの庭が含まれるのかどうか定かではありませんが、脈絡から考えて含まれるでしょうね。

今週中に、ある程度まとまった雨が降って欲しいものです。って、ここで雨乞いをするなんていうのは、まさに「異常」です。

さて、先週のNスタを見ていて思ったことがあります。コロナのワクチン接種に関して、割り込みというか、正規の順番待ちや仕方ではなしに、先に接種を受けようとする事例 、つまり「ずる」 が指摘されているとかのニュースがあったのです。

それに関連して、世界各地でのコロナワクチン接種においての「優先接種」についてミニ特集みたいなコーナーがありました。

だいたい世界共通で、医療関係者、コロナ感染で生命の危険度が増すような持病を持っている人、介護施設に入っている人とそのスタッフ等が優先的に接種を受け、同時に一般人の高齢の人から順に接種を受けるシステムを取っているように見受けられます。

Nスタで扱っていたのは、そういうようなシステムの中で、じゃあ、国のVIPであるような要人はどうしているか?ということでした。




接種を受けるグビューズニ大統領 順番は私より後
Mynin er ur Visir.is/VILHELM


例えばアメリカのバイデン大統領や、ロシアのプーチン大統領は率先していの一番に接種を受けていましたね。あれはVIP特権というよりは、ワクチンの安全性をアピールして、国民に接種を呼びかけるという政治的ジェスチャーだったと思います。

それに対して、いくつかの国ではそんなに高貴な目的のない、単なる自分勝手で優先接種を受けた事例もあったようです。ニュースではペルーの当時の大統領や、保健相、外相、さらに周囲の公務員ら八十七人が「ずる接種」を受けていたことを報じていました。

これは「順番ずる」というよりは、一般接種が始まる以前に「試薬」の段階でのずるだったようです。それでも、ずるはずる。ふたりの大臣は辞任したそうで。

似た話しですが、スペインでは軍の参謀総長が割り込み接種を受けていたことが発覚し、これも辞任に追い込まれたそうです。

一方、そういう醜い俗世からは超越している(はずの)英国王室。エリザベス女王は九十五歳というご高齢にもかかわらず、「優先接種」を返上して、普通の年齢順による接種を選ばれたそうです。貴族の誇り、というものでしょうか?まあ、いずれにしても九十五歳では一番初めの順番でしょうが。

ロイヤル・ファミリーの他の面々がどのように対応したのかまでは紹介されていませんでしたが、トップの女王がそのように範を示したからには、それを無視するのは難しいのでは、と想像します。

さて、アイスランドです。この「優先接種」の件に関して、他の北欧諸国のVIPがどのように振る舞ったのかは、良く把握できていません。ただ、他の事柄から推察して、多分、王室を除いては、VIP優先とかはないのではないかと考えます。

ちなみに、北欧諸国の中で、スウェーデン、ノルウェー、デンマークには王室があります。フィンランドは1918年のわずかな期間だけ「王国」が誕生しましたが、翌19年には共和制に移行しています。

アイスランドにも王室はありません。北欧文化のメンタリティというのは、とても「水平思考」の色合いが濃く、一般人のレベルでは、無意味な特権意識というものが極力排除されているように思われます。

北欧的政治スタイル




カトリーン首相の接種は、やっと先週の月曜日
Myndin er ur Frettabladid/Anton_Brink


もちろん全然ないということはないと思います。ただ、もし特権があるとしたら、それは政治家よりは、むしろ財のありなしの方に関係しているのではないかと考えます。

金持ちが裏で何をしているのかは白日の下には明らかになりませんが、政治家のような公人の場合は、有形無形のさまざまな倫理コードが社会システムの中にも、人々の意識の中にも埋め込まれています。

こちらでは、グビューズニ大統領が接種を受けたのが5月6日。ワタシが受けたのが4月29日。勝った。いやいや、そうじゃないですが、大統領の接種は私よりあとだったのです。

私が受けた前日には、こちらの感染症のお医者さんで、連日コロナ対策の陣頭指揮を取っているソウローブルという方が接種を受けていました。彼も医療従事者としての優先接種を辞退し、一般接種を選んでいたのです。

当日、たまたまその時居合わせた市民の人たちが彼に気が付き、拍手を送っている様子がニュースに流れていました。

カトリーン首相が接種を受けたのも一般接種で、これは先週の月曜日になってから。もっとも彼女はずっと若いですから、多少繰り上げしていたのかもしれません。

このように、こちらでは社会のVIPでも、普通に順番を待って接種を受けています。別にそれが奇特なことではなくて、みんな「それがフツーだ」と考えています。




本文とは無関係 まだまだ続くマグマ・ショー
Myndin er ur Visir.is/VILHELM


この、変な特権意識が少ないことは、私がアイスランドや北欧の社会(特に政治の世界)で気に入っている点です。繰り返しますが、お金持ちの特権構造については除外しておきます。そもそも「お金持ち」を良く知らないもので... 

こういう書き方をすると、「結局、アイスランドの自慢話しか」と思われるかもしれませんので、付け加えておきますが、これは特に「政治」関連での「特権」についての社会の「意識」についてのことです。

いつでも、みんなが無私に他者を尊重して .... ということではありません。例えば、スーパーの真ん前に、駐車禁止ゾーンを無視して駐車したり、三台分の駐車スペースに横付けして車を止めるような輩もいます。

まあ、そういう輩は独自の「特権意識」を持っているのかもしれませんね。やってることは、ただ単に野蛮で自分勝手ということに過ぎませんが。

それに、政治家の中にも特権意識をしっかり抱え込んでいる人もいますから。ただ、政治家自身を含んで社会の多数派は「そういうのはよろしくない」という常識を持っているということです。

アイスランドにもあったんだ 「上級市民」


最後にまた付け足しですが、こちらではここにきて接種を年齢順に行う、という方式を改めるみたいです。五十歳前半から若い世代にかけての摂取は、年齢に囚われずにアットランダムに順番を分配するということです。

「若い世代こそ、先に摂取すべきでは?」という声が以前からあったのですが、接種を終えた割合が増加する中で、方針を転換するようです。

日本では摂取予約の段階で混乱が生じていると聞いていますが、なんとか良い方法が考案され、スムースに接種が進むことを願います。


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ここでも起きてしまった「山火事」

2021-05-09 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。飛び石的に数えても、今日でGWも終わり。いかがな休日だったでしょうか?

アイスランドにはもちろんGWはありませんので、私にはGWそのものが縁遠いものになっていました。それがここ数年は、日本のカップルの方で、この時期にGWを利用してのアイスランドでの挙式旅行なるものを計画する方が現れ始め、その挙式の関係で私もGWのご相伴にあずかる、という現象が起きていました。

残念ながら、昨年今年と、そのようなGWのご相伴も消えてしまいました。コロナが早く消え去ってくれ、ご相伴が復活することを願います。

このGWの時期、レイキャビクでは奇跡のような好天が続きました。っていうか、まだ続いています。レイキャビク界隈では、もう三週間も雨らしい雨は降っていません。




毎日こんな感じ 奇跡!!


毎日、青空が広がり太陽光がサンサンと降り注いでくれます。朝の5時くらいから、夜の10時前くらいまで。晴れている日には、お日様とは長い付き合いになります。

私の寝室は北東に向かって窓があります。ブラインドはあるのですが、それでも隙間があり、そこから朝の5時くらいに朝日が直に私の顔に差し込んできます。目覚まし効果は強烈なのですが、余計なお世話で、私は貴重な睡眠時間を毎朝、一二時間奪われています。

ちなみに気温の方は、まだまだ10度に届かず、風も冷たいことが多いですね。「大地がまだ冷え切っているから」というのが私の勝手な考えで、大地が温まってくる六月後半からは気温も上がってきてくれるようです。

そのような「スーパー初夏」を満喫しているレイキャビクですが、それ故の問題も起きてしまいました。山火事です。正確には「原野火事」かな?

火事が起きたのは、Heidmorkヘイズマルクと呼ばれる、ある種の「市定公園」で、レイキャビクから約六キロの地点にあります。




青い線で囲まれた部分が市定公園


きれいな自然の中にあり、市中からも近い場所にありますので、好天時には人気の家族ピクニックのスポットになっています。

そこで生じた「原野火事」 火が確認されたのは5月4日の午後。レイキャビク近郊の消防隊が可能な限り召集されたとかで、火は翌日の明け方に鎮火されたとのこと。

負傷者とかはなかったのが幸いですし、山火事の仲間にしては早い鎮火に成功したといえるでしょう。それでも「現場には消火栓はないし、離れた場所から水を供給するのが難しく、時間がかかりました」と消防隊のチーフが語っていました。

地球温暖化に関係しているからだと言われていますが、最近山火事ってやたらに多くないですか?オーストラリア、それにサンフランシスコ。一度燃え始めると、相当長い期間燃え続けますよね。

日本でもついこの間、栃木や群馬で山火事があったとニュースで見ました。足利の山火事の原因はタバコのポイ捨てだとか。

ヘイズマルクでの原野火災の原因は、まだ公式には特定されていませんが、タバコの火の不始末ではないか?と疑われています。公園内、禁煙なんですが...  




ヘイズマルクの火事の様子
Myndin er ur RUV.is/Ivar_Gunnarsson


61ヘクタールの原野が消失してしまいました。ちなみにヘクタールですが、縦横百メートルの正方形の面積が1ヘクタールとなります。東京ドームは4,7ヘクタールだそうですので、焼失した原野は東京ドーム約13個分の広さになります。

さて、せっかくなので、この「市定公園」ヘイズマルクについて、もう少しご紹介しておきます。

もともと、この公園が含まれていた地域は、自然の森林が豊かであった場所なのだそうです。それが、木の無計画な伐採とかで破壊されてしまいました。

1947年に、レイキャビク市は、わずかに残されていた自然林を含む3200ヘクタールの土地を買い上げ、そこを「ヘイズマルク市定公園」としました。まあ、実際には「公園」というよりは「保護地域」のニュアンスなのですが。

1950年に正式にこの公園(保護地域)はオープンし、その開園日には二千五百から三千人の人が、ヘイズマルキにやって来ました。ただ来たのではなくて、皆で周囲にフェンスを建てたということです。

レイキャビク市は、公園の維持管理をレイキャビクのSkograektafelagスコーグライクタフェアラークという団体に依頼しました。この団体は「森林再生協会」というようなものです。

ヘイズマルクを「市定公園」化したのは、単に残っている自然を守るためではなく、むしろヘイズマルクを、かつてのような美しい森林地帯に「再生」することにありました。




公園の入り口にあるWelcomeの像
Myndin er ur Heidmork.is


それで、開園以来、 多くの団体や個人がせっせと植樹のためにここを訪れたのです。昨年、2020年が開園七十周年だったのですが、この七十年間で公園内に植樹された木の数は、なんと四百万本に及ぶそうです。アイスランド人って、植樹するの、大好きですよ。何かお祝いごとがあるたびに、どこかで記念植樹してます。大きな木がないからかな?

そのようにして、せっかく植えられた木々が、今回の原野火事で、どれくらい犠牲になってしまったのかは、現時点では定かではありません。まあ、植樹された木にしても、原生の木にしても、消失してしまった61ヘクタールの地域にあった木と自然は犠牲になってしまったわけですから、残念さに変わりはありませんね。

レイキャビク近郊では、乾燥した日々が続きそうですので、タバコのポイ捨ては厳禁ですし、自然の中でのバーベキュー等も要注意です。

日本はこれからは梅雨に向かうと思いますが、それでもタバコのポイ捨ては厳禁ですし、とにかく火の元には十分気をつけてくださいますよう。


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日本人よりも日本的な?アイスランド人 – たまにこうなる

2021-05-02 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。日本ではGWの只中と思いますが、昨年に引き続き十分には羽を伸ばせない休日期間のようですね。ほぼ毎日「Nスタ」をネットで見ているのですが、ここにきてのコロナ第四波?では、TOKYOオリンピックはどうなるのか?どうすべきか?と海外在住の私でさえ心配になってきます。

アイスランドでも、三月下旬から四月中旬まで、英国型の変異株が発見されたのを機に三度(みたび)規制が強化されていましたが、今は多少ゆるやかに緩和されています。




レイキャビクでの大規模接種会場ロイガルダルスホットゥル
Myndin er ur Iceland Fish Expo


こちらではファイザー社製のワクチンの接種が昨年末に始まっていました。日本でも同じかと思いますが、最初は医療関係者が優先接種を受けましたし、同時に何かの持病を持っている方々、高齢者の方々で、さらに集団感染の危険がある老人ケア施設の入居者とスタッフなども最優先とされました。

年明けには、ワクチンの入手が予定より遅れたりしたためワクチン接種もスローダウン。ニュースでも伝えられていますが、ワクチンの確保はヨーロッパでも、まさに仁義なき戦いの様相を呈し、EUはEU内からのワクチンの持ち出しを禁止したりしたのです。

公式にはアイスランドはEU非加盟国。それで、アイスランドへのワクチン供給もストップするとかしないとかの報が流れました。でも、ここはカトリーン首相らが頑張ってワタリをつけ、ワクチンは確保されたのです。

その後もアストラゼネカ社製のワクチンが血栓症を起こすとの報道があり、デンマークなどはこのワクチンの使用を100%ストップしてしまいした。

アイスランドでも、一瞬の躊躇はありましたが、結局リスクよりはベネフィットの方が大きい、と判断され使用中止にはなっていません。ただし、むしろ若い世代に副反応の可能性が高いということで、高齢者用に割り振られています。

このワクチン接種は先々週あたりからぐっと加速をしてきています。先週は今までで最多の接種がなされ、毎日七千人から九千人近い人が接種を受けました。実は私も木曜日に接種を受けてきたのです。

私が受けたのはアストラゼネカのワクチンで、これはファイザー同様二回の接種を受ける必要があるので、まだ安心度は半分です。この接種の様子が面白かった?というと言葉が違うでしょうが、「興味深かった」のでご紹介したいと思います。




接種会場の内部 椅子の配置の様子
Myndin er ur RUV.is//Holmfridur_Dagny_Fridjonsd.


一般の人のワクチン接種は、年齢の高い順に、順次若い世代へ移っていくという形で行われています。アイスランドも高齢者が多いですから、まだまだ若い六十二歳のワタシは「まだまだ先だろう」とそんなに注意してフォローしていませんでした。

それが先週の始まりに「今週は、今までで最高のワクチン接種数の週になる」というニュース。水曜日にはレイキャビクのメインの接種場だけで九千人。「これは、そろそろオレにも順番がくるか?」と、改めて接種の段取りをチェックしてみます。

まず、このワクチン接種は、国に住んでいる十六歳以上の人全員になされます。特に申し込む必要はありません。只待っていればいいのです。

するとそのうち「いついつの何時にどこの会場へ行くように」というSMSが来ることになっています。それにはバーコードのようなものがついていて、それが接種の確認データバンクにつながるとのこと。

こちらはホームドクター制が確立していますので、原則的には個々人の持病等は、すでに健康データバンクに入っています。で、ワクチン接種に関しても、特にそれようの問診とかはなし。心配がある人は、自分から質問を送れるようにレセプション(ネットまたは電話)が設けられています。

私は火曜日の朝にSMSを受け取りました。「木曜日の午前10:40に会場へ来るように」とのこと。

メインの会場とされているのは、大きな総合体育館。ハンドボールの国際試合等が行われるところです。大きなコンサートなどのイベント会場にもなります。武道館みたいなところですね。

それで、のこのこ出かけました。バーコードを(つまり携帯を)忘れずに持っていくこと以外には、「半袖で来るように」という指示があるだけ。駐車場が混乱するであろうことを予見した賢い私は、車を歩いて6-7分のところにある美術館前に止めて歩いていきました。

日本人の私は「10:40」と言われると、文字通り10:40に行かなくては、と考えてしまうのですが、この時間指定は人を分散させるためのガイドにすぎなかったようで、実際にはその日のうちならいつでもよかったみたいです。




注射隊の面々
Myndin er ur Visir.is/VILHELM


プロ野球を見に行く時のような感じで、大勢の人が入り口から吸い込まれていきます。ですが、無駄に待ったりまごつくこともなく、すんなり会場内へ。

大きなホールに、椅子が1メートルの間隔を空けて、横一列に15、6並んでいます。そのような列が、前後に20か25くらい。全部座れば、一度に三百五十人くらい入ることになりますね。

この横に広がった横の列が一つの単位というかグループになります。入場した皆さんが、従順に指導員の指示に従って、横一線の列に着席していきます。

そして、しばらく待っていると、最前列の横いっぱいに広がって、注射担当のお医者さん、看護士さんたちが並びました。実は、接種を受ける私たちは、そこに座っているいるだけで、注射をするお医者さん、看護士さんの方が、順番に私たちの方へ移動してくるのです。

縦の列がA、B、C... 、列の横が1、2、3... のように番号付けられるとしますと、ひとりのお医者さんまたは看護士さんが、A1、B1、C1... と縦の列の責任を持ち、注射をして進んでいくことになります。最後列まで進んだら、最前席へと戻ってきます。

私が入った時には、もちろんすでにこの循環作業が進行中でした。面白かったのは、各注射担当者が、勝手に自分のテンポで進んでいくのではなく、横一線が、全員接種を終えるまで待機していること。

真ん中にひとり、号令をかける人がいて、横の一列の全員が接種を終えたことを確認すると「先へ!」と合図を送ります。すると横に並んだ注射隊が一斉に次の列へと移動します。

これには、ちゃんとわけがあります。接種が終わった私たち一同は、接種後もそのままその席に座って十五分間待ちます。アレルギー反応がないことを確認するためです。

そして、十五分経つと、係り員が「こちらから外へ退出してください」と、横一列の人たちを誘導してくれます。そして、その一列が、入口とは別の場所にある出口から退出し終わると、新たな被接種者の人たちが一列に並んで入ってきて、その横一列の椅子に座るのです。

こうして、大人数のワクチン接種は、非常に整然と落ち着いて行われました。なんの混乱も、文句も遅延もなし。注射隊の皆さんも、にこやかでちゃんと挨拶してきてリラックスさせてくれるし、このへんはさすがにプロです。

実はワタシ、歯医者さんでの麻酔を除くと、最後のチックンは十五年くらい前に痛風の腫れを引くために足に打ってもらったやつ。腕にする注射は... 覚えてない... ので、多少緊張してました。注射隊のおばさんの笑顔に助けられました。

で、改めて思ったのですが、アイスランド人は誠に不思議な人たちです。普段のあのケイオスぶりからは考えられない、オルガナイズと従順さ。あっぱれだったので、後で「日本人よりも日本人的だった」とFacebookで賞賛しておきました。たまにそうなることがあるんですよねぇ...??




ワクチンの接種状況 緑は接種終了者の割合、薄緑は一回目終了者の割合
Myndin er ur Visir.is


先の金曜日の時点で、接種を完全に終えた人が三万六千人強、一度目を終えた人が約七万三千人。全国民の三割弱が少なくとも一度の接種を終えたことになります。

政府の青写真では、六月末までに十六歳以上のすべての国民・居住者の接種を終え、七月からはいろいろな制限を解除していくというもの。観光業界は期待を膨らませています。

私も青写真通りになることを願います。どうか、これ以上ウイルスが必要のない「進化」をせずに、おとなしく退治されてくれますよう。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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