レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

波止場カフェ シノブママとの会話

2018-07-29 03:00:00 | 日記
猛暑のニュースが続く日本の皆様には申し訳ないような気がするのですが、レイキャビクでの梅雨のような夏にうんざりしているワタシは「ホンマの夏よ、来い!」と叫びたくなります。

そんな中でのびっくりニュースは「今度の日曜日、レイキャビクは快晴。気温は25度に達する可能性がある」という天気予報が先週の木曜日に出たのです。「今度の日曜日」、つまり今日です!

レイキャビク(とその近郊)の住民二十万は、今日の日を、水着を右手にグリル用のトングを左手にして迎え、「夏日」がようやくやって来る期待感に胸を躍らせているのです。まあ、多少、私の想像ですが。

今日の気温が20度を突破したかどうかは、またそのうちお知らせします。ほとんどの日本の皆さんには、現実味のない話しだろうと思いますが、世界の中には、「25度が欲しい!」と願っている人々も実際にいるのでした。

さて、この梅雨のような夏を、そんなに繁忙期でなく過ごしている私は、先週の水曜日に、近所に住む、麗しい邦人の女性と午後のお茶に出かけました。快晴ではなかったのですが寒くはなく、二人で歩いてこれまた近所にある波止場まで行き、そこのカフェに入りました。




落ち着く老舗のカフェVagininn
Myndin er ur Allrestaurants.eu


その辺りはGrandiグランディと呼ばれる地域で、これまではうらぶれた「昔の波止場」感がいっぱいだったところです。それが昨今のツーリズムの上昇風に乗って再開発が進み、今では外国からのツーリストが群れで歩くような「洒落たポート」に転身しつつあります。

ただ私たちが入ったのはVaginnヴァグニン「ワゴン」という、昔からあるカフェでした。旧港が見渡せるように大きなガラスの窓に囲まれ、テラスもついていますが、雰囲気は大衆的で落ち着きます。お馴染みであるにに違いないような、歳のいったアイスランド人のお客さんも多くホットさせられます。

お相手の邦人女性は私よりも二十も歳が若いのですが、つまりはアラフォーなのですが、才色兼備のシングルマザーです。常日頃から私のことを「お兄ちゃん」呼ばわりして、ワタシが変な勘違いをしないように釘を刺してきます。こちらは対抗して「シノブママ」と呼んでいます。

娘さんがいるので「ママ」と言ったのですが、本人は「チーママみたいに聞こえるからヤメテー」と文句を垂れます。「シノブ」はもちろん仮名ですが、この流れでなぜ「シノブ」か、ピンとくる人はかなり古いです。(^-^;

このシノブママは、フォト、ファッション関係から健康食までいろいろと才能のある方なのですが、特に文才がある、と私は見込んでいます。Facebookとかで、ほんの一言、二言で人の心に刺さる「名言」をしばしばつぶやいています。

ですから以前から「日本でエッセイ集とか出せばー?」というようなことを勧めているのです。今回もそんな話しに触れて、「アイスランドに住む、日本人シングルマザーの子育てとライフスタイルのエッセイ」だったら絶対売れるよー、などと焚きつけたのでした。




カフェvagninn の港側テラス
Myndin er ur Salir.is


「言いたいことは結構あるとしても、それを日本語で表す自信がないなあ」というのがシノブママの弁。「エッ!?」と思い訊き直すと、子育ての問題とかアイスランド語でなら自分の気持ちを的確に表す術を思いつくのだけど、日本語でそこに含まれる情感とかを表し切る自信がないとのお言葉。

ギョギョ! そこまでアイスランド語が生活言語になっているのか? ま、負けてる...

「友達にオーストラリア出身の青年がいて、アイスランド語もペラペラなんだけど、彼も子供の問題とか熱い想いはたくさんあっても、それを伝えるのに英語ではダメだって言ってました」とシノブママ。

これもにわかにはワタシの頭脳には入って来なかったので、説明してもらうと「なんというか、子育てのこととか、アイスランド語で考え始めた問題だから、英語とかでそのことを考えたことない分、その部分に限ってはアイスランド語が先に行っちゃってる、っていうことだと思います」

その点に関してはママも同感の様子。なるほど。

似たようなことは身近にもあります。私の息子は小学生の頃は日本語がペラペラだったのですが、十七、八になり、少し奥深くものを考えるような年頃になってからは、その考えていることを表すのに日本語が追いついていかなくなってしまいました。これは子供の成長過程の一部としてみるならば、非常に自然だしわかりやすい事象です。

でも、そういうようなことが成人した人にも起こり得るということには、正直考えが及んでいませんでした。でも、そういうことが起こるというのは、アイスランド語が相当な生活言語になっている証拠。それはすごいです。

ワタシなんざ、二十六年住んでいても、やはり生活言語は日本語だと思います。ごく限られた状況でアイスランド語が日本語の上に出てくるかなぁ、というところでしょうか。

でも、アイスランド語でなら言えるけど、日本語が追いつかない、ということは私自身は感じたことがありません。もしかしたらこのブログで日本語への転換が鍛えられたか?(*^^*)




オールドポートからのレイキャビク市内方面の展望
Myndin er ur Gramha.is


ああ、でもそれとはちょっと違うところで、似たような思いはありました。ワタシ、詩が好きで、アイスランド語でも詩をよく読みます。スラスラとはいきません。詩を読むのは難しいことです。

で、自分も詩を作ります、アイスランド語で。十年くらい前に詩集を出したこともあります。もちろん自分で詩をスラスラ書けるわけではなく、周りの人に随分助けてもらうのですが。

よく訊かれるのは「日本語でも詩を作るのか?」ということなのですが、これは「いいえ」です。日本語ではまったくダメで、「詩らしきもの」さえできません。理由はわからないです。

母などから「自分で作った詩を日本語に訳して読ませてくれ」とか言われたこともあります。でもそれも「ダメ」です。「訳せるわけがないだろ?」というのが正直な気持ちで、なんというか、違う世界のできごと、なんですよね、アイスランド語の詩と日本語の世界は。

これはうまく説明できないのですが、私に限っての話しをさせていただくと、詩では「この言葉の訳はこれ」というだけではすまなくて、他にいろいろと情景とか、その言葉の対照物とか、なんやかんやと繋がっている部分があると思うんです。

それが「言わずもがな」の部分としてある、それも相当大きな部分としてある。だから、単語の意味を置き換えるだけではとても追いつかないのではないか、と...

逆に日本の「山路来てなにやらゆかしすみれ草」をアイスランド語に訳すのも、おそらく専門的に翻訳を勉強された方でなければできないことだろう、と想像します。

「いまさら〜?」ですが、言葉というのは面白いものですね。今回、シノブママから聞いたこの話しはとても良い思索の材料になりました。まだ、吟味し終わっていませんので、もう少し深くじっくり考えてみたいと思います。

それでは猛暑の続く日本の皆さん。熱中症、くれぐれも気をつけてください。「私は大丈夫よ」というのはやめて、お過ごしくださいますよう。今日が25度になるのを願っている街、レイキャビクからでした。


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真夏の夜のミステリー

2018-07-22 03:00:00 | 日記
七月も「二十」のつく日を数えるようになっています。日本からのニュースを垣間見ると、連日四十度を超えるところもひとつふたつではないようで、熱中症で救急搬送される方があとを断たないとか。

私はお風呂の中以外では四十度という温度を体感したことはおそらくないだろうと思います。冗談ではなく、十分に健康に気をつけてお過ごしください。

翻ってアイスランドでは、これまで書いてきましたような「梅雨」っぽい夏が続いています。七月末になってこれでは、もはや「あきらめた〜」です。先週、二、三日太陽がきらめく日がありましたが、ああいうのは単にお天道様の嫌味としか思えなくなってきました。

そうではありながら、これも前に書きましたように、今年の夏は私は比較的「お手すき」です。そういう環境を利用して、自分なりに「夏」を楽しんでいます。

テレビ(ビデオ)では、大好きなNYPDものや最近はまっていたChicagoのサスペンスものを離れ、夏らしくちょっと牧歌的というか、自然を感じるサスペンスはないか?(それでもサスペンスを求めます)と、itunesのストアを物色していて、ひとつ面白そうなシリーズを見つけました。

イギリスのテレビのシリーズでGrantchesterというもの。主人公が教会の牧師さんのようで、しかも殺人事件を解決するミステリーもののようです。面白そうな設定なのですが、過去の経験から英国ものは当たり外れがあるので、取り敢えず一話だけ購入し試しに見てみましたが、結構いい線行っていたのでシリーズで購入しました。




Grantchester St. Mary & St.Andrews教会
Myndin er ur Wikipedia.co.uk


ミステリーと教会、とかいうとすぐに出てくるのが古典と化しているチェスタトンのブラウン神父ものですね。大衆文芸をざっくりとエンターテイメントに加えるとして、エンタメの世界での「教会」というのはほぼ「カトリック教会」と同意義です。

テレビの人気シリーズだった「ダウニング神父ミステリー」も神父さん。現代のNYPDものBlueBloodsに出てくる教会もカトリック。エクソシストから謎の古代遺跡を巡る冒険活劇に登場するバチカンのスパイたちも皆カトリックです。

私が気に入っている数少ない「プロテスタント」主役のミステリーは。少し古いのですが七十年代のチャールズ・メリルという牧師さんの筆による「ランドルフ牧師」シリーズでした。カリフォルニアの大学のキリスト教史学の先生が、シカゴの著名な教会の臨時牧師を務めながら、殺人事件を解決していくもの。会話が嫌味なく洒落ていて小気味好い。

これはかなり面白くて何度も読みました。残念ながら邦訳が第三作までで終わってしまっていたのですが、最近続きの三作の英語版をアマゾンのマーケットプレイスで購入しました。ですが、なんせ時代が少し前になってしまったので、まだ読む気になっていません。英語だし...

脱線しましたが、そういう「プロテスタントやばし」という背景がありましたので、このGrantchesterというテレビシリーズに気を引かれたのです。

Grantchesterの物語はイギリスはケンブリッジの近郊、グランチェスターの町を舞台にしたミステリーです。ですが時代は少し遡って、始まりは確か1953年という「戦後」の舞台設定です。

2016年の推定人口が580人ということですので、まあ小さな町ですね。チャールズ皇太子も訪れたことのある「オーチャード」という美味しいティーガーデンがあるとかで、日本のネットでも紹介されています。別に英国ファンでもない私には初耳の町でした。




ドラマにも登場するカム川
Myndin er ur Wikipedia.co.uk


主人公はその町の教会のVicar、教区牧師であるチェンバース牧師。三十代始めで独身、平凡な感じの男。それが町の警察の刑事ジョーデイとコンビを組んで事件を解決していくことになります。

チェンバース牧師を演じるのはジェームス・ノートンという役者さんでこの人も私は知りませんでした。が、刑事役のロブソン・グリーンはこれまでも他の刑事物ドラマ等で何度も見ているお馴染みの俳優さんです。ちょっと老けた...

ミステリー、刑事物とはいえ、大好きなNYPDものとは異なり派手なアクションもなく、時代も一昔前だし、ある種「隔絶された田舎」でのお話しなのです。それはそれでまたいいのです。

そのような田舎で起きる殺人事件。それを単なる謎解きではなく、なぜその事件が起きたか、その事件の時代背景などが織り混ざっており、ドラマでもあります。

例えば主人公のチェンバース牧師は、第二次大戦でスコットランド・ガードとして従軍。ナチスドイツとの戦闘で心に傷を負っています。それが次第に明らかにされていきます、と言うか、いくようです。

あるいは同性愛の問題など、現代なら半世紀前とは相当異なる理解が出てきているトピックについても、「ああ、あの時代はそうだったのか」と考えさせられるようなものもあります。

ただし、イギリスの歴史ある町でのお話しなので、歴史や教会の仕組みなど、多少理解するのに難しい点もあります。話しの流れを追うのには問題ないと思いますが。

例えば上述した「スコットランド・ガード」がどういう風に普通の英軍と違うのかとか。多分「スコットランド」というのが意味ある点なのでしょうが、私などには浅い理解しかありません。

さらに主人公の牧師が、町の人々からVicarと呼ばれます。Vicarは現代訳では「教区牧師」のようなものなのですが、英国国教会ではそれなりの歴史があります。人が普通の意味でFatherと呼ぶのと何かニュアンスの違いがあるのか、否か、など。観ていると、Vicarとう言葉にはあまり尊敬の念が付随していない気がしてしまうもので。




ジョーデイ刑事とチェンバース牧師
Myndin er ur Amazon.co.uk


ところで、このGrantchester、私にとってNYPDやFBIものを観ている時と一番異なるのは、アクションの有無や時代のズレではなく、やはり主人公が牧師さんであるということ。なんというか、やはり自分と比べてしまうのです。

ある状況での人との受け答えなどについて、「ああ、彼はそう言うか」とか「まあ、そうするのが妥当でしょうね」とか。評価するのとは違いますが、自分ならこう言う、こうする、ということを考えてしまうわけです。

このチェンバース牧師は、ジャズが好きでお酒も飲むし、他人の問題を素通りできないおせっかい、でも女性に関しては不器用でイジイジだし、相当スキだらけ。そういう点では自分の対局というよりは断然「仲間」感が強い牧師さんです。

このGrantchesterミステリーシリーズ。原作はジェームス・ランスという人の筆によるものだそうで、時代設定から見て昔のお話しなのかと思ったら、意外や書かれたのは2012年とか。テレビ化されたのが2014年で、現在まで3シーズンが放映されています。シーズン4も決定されているとか。

日本でもAXNミステリーで放映されたとネットで読みました。AXNミステリーとはなんぞや?テレビの仕組みも複雑化してきており、私はついていけていません。(^-^;

咋夏の今頃はTwin Peaksを改めて観ていましたが、今年はGrantchesterです。どちらも時間の流れがゆったりと落ち着くようで、さらに豊かな自然が癒しを与えてくれる(かの)ようです。

もし、真夏の暑い夜に、なにか「目に珍しいもの」をお探しでしたら、是非ともこのGrantchester、お試しください。


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アイスランドのシロクマよりも、サ...サッポロのクマがコワイ!

2018-07-15 03:00:00 | 日記
七月の半ば、相も変わらず梅雨のような夏を送っているレイキャビクです。毎年のことなのですが(つまり気象学的に理由のあることなのでしょうが)アイスランド東部の地方では快晴で、気温も二十度近くまで上がることがあります。季節限定で恨めしく、いや羨ましくなる東部です。

これは毎年のことではないのですが、やはりこの時期にニュースになる(ことがある)トピックがあります。白熊です。いやシロクマと言う方がはやりか?シロクマがアイスランドの土地に現れることがあるのです、この時期に。

シロクマは、日本では最近学術的な省みからか「北極熊」といいますよね、動物園とかでは。絶滅危惧種には指定されていないようですが、それでも「保護が重要」ということを良く耳にします。ウィキによると、子熊の二頭に一頭しか生存できないのだそうです。あれほど大きい哺乳類にしては?という感じがしますよね。

ちなみにアイスランドでは、この北極熊のことをHvitabjorn(文字通り「白熊」)あるいはIsbjorn(氷熊)と呼びます。Isbjornの方が普通かな?という気がします。

もともとアイスランドには生息しておらず、自然に生息しているのは北極圏を持つ、カナダ、アメリカ(アラスカ)、ロシア、ノルウェー、デンマーク(グリーンランド)だけとのこと。

それがなぜアイスランドに現れるのか?流氷に乗って漂着するのです。夏になると、グリーンランド方面の巨大な氷河が解け崩れて分散し、無数の小さな(それでも巨大な塊もあるようですが)塊となって流れ出します。その上に取り残されるシロクマもあるのだそうです。




グリーンランドの海岸に迫る巨大な氷塊 CGではありません 今、進行中のことです
Myndin er ur Visir.is


そしてそれらの氷塊がアイスランド近海に漂着すると、お腹を空かせたシロクマが陸地に向かって泳いでくるのです。

当然、シロクマが出現する可能性が高いのはアイスランド北部の海岸線になります。これらの地域は人口密集地帯ではありませんので、シロクマが人知れずに入国している可能性は常に存在しています。それで、シロクマ目撃情報がもたらされると警報が出され大騒ぎになるわけです。

その警報が今月の九日に出されました。シロクマが目撃されたとされる場所はアイスランドの北東部にあるHraunhafnavatnフロインハフナヴァトンという湖の南。地図で言うと、島の右上の出っ張ったところの一番先っぽです。

そこでその日から国境警備隊のヘリコプターも動員されて「シロクマ探し」が始まりました。しかし、目撃地点を中心とした広範な地域を捜索してもシロクマは発見されません。

で、目撃者にもう一度話しが確認されたようです。この目撃者というのは二人の外国人。ひとりはマダガスカルの人で、もうひとりはイラン人。アイスランドに住んでいる人か、ツーリストであるかは新聞記事には明記されていません。

この二人はその湖で釣りをしていたそうなのですが、およそ4キロメートルくらい離れたところの川で、「白く大きな動物が水を飲んでいた」のを見たのだそうです。二人とも「シロクマ」と断定できたわけではないようで。

「確かとは思わなかったけれど、もしあれが羊だったとしたら、この世でもっともでかく恐ろしい様相のヒツジだったと言わなくては...」とマダガスカル人の目撃者。今回はどうやらFalse alarmだったようです。





2008年に上陸したシロクマくん
Myndin er ur Visir.is


さて、先ほど書きましたように、シロクマは毎年やって来るわけではありません。ざっとネットで昔のニュースを検索したのですが、過去十年間で2008年、2011年、2016年に出現したというニュースが見つかりました。実際はこれよりもう少し多いかもです。私の記憶によれば、ですが。

いつだったか、運悪く?アイスランドに来てしまったシロクマくんをハンターが射殺。死骸となったシロクマをハンターが得意げに掲げる写真が新聞に掲載され世界中のヒンシュクを買ったのを覚えています。

その同じ年だったか、翌年だったか。また運悪く足を踏み入れてしまったシロクマくんがありました。その時は、わざわざデンマークから専門家が呼ばれて、檻に生け捕りにする作戦が組まれました。

いろいろやったようですが、結局作戦失敗。またしてもシロクマくんはハンターの餌食となってしいました。でもその時は「人に危害を加える恐れがあった」という説明に世間も納得。特にクレームはなかったと記憶しています。

2016年にやって来たシロクマくんは、やはり狙撃され、またしても世間から対処の仕方に批判が出されました。このニュースを私はまったく覚えていません。二年前の7月16日。そうですね、仕事で忙しい時期でした。





2016年上陸のシロクマくんの運命 「悪い時に悪い場所」でしょうか?
Myndin er ur DV.is


ところで、北部に現れるシロクマくんのことを書いている私は、実は別になんの恐怖も感じずに書いています。レイキャビクで偶然シロクマに遭遇することなど「あり得ないよ」だからです。ヒトゴトか?(^-^;

ワタシが最後に目にしたシロクマくんは、夏のクソ暑い日に狭い囲いの中でせわしなく歩き回っている上野動物園のシロクマくんでした。ちょっと可哀想でしたよ。飼育係の方からもらった大きな氷の塊を嬉しそうに?かじっていました。

ですが、私がまったく「クマ」に恐れを持たないか?というとそうでもありません。でもそれは日本に帰省した時なのです。

近年の日本での熊による被害は相当なものがありますよね。人が命を落とすような事件もあるようですし。餌が不足しているためか、人里にまで熊が恐れず接近するとか。

私は帰省先は札幌の南区の方にあります。地下鉄の真駒内駅から二十分ほど、さらに徒歩で歩くのがいつものこととなっています。ちょっとローカルな話しになって恐縮ですが、札幌市の南区は南西部が山に隣接していて、その辺りは結構な田舎です。

私はいつも地下鉄南北線の終点、真駒内駅を降りると、駅近くの真駒内中学校の前を通り過ぎます。なぜわざわざそれを書くかというと、この中学校こそ、なでしこJapanがW杯を制した時、決勝のPKを決めた熊谷紗希さんの母校だからです。

それはともかく、そこから幅五メートルほどの道路が、中央の分離地帯を隔てて二本並ぶ並木道を行きます。昼間でも人通りや、車の通行さえ、決して頻繁ではありません。札幌はのんびりしているのです。

さて、四、五年前ですか、真駒内駅の前の市街地をクマが闊歩している映像が、街の監視カメラに写っていました。もちろん人のいない早朝の時間でした。その翌日あたりに、私がいつも歩く並木道沿いにある小学校前の、雑木林でクマが目撃されました。

さらに、その前だったか、後だったか、その目撃地点から三百メートルくらい先の、川のほとりでクマが鮭を食べていたという目撃も。いや、これは駅前に出現するよりも前のことか?

いずれにしても、ワタシはこの並木道を歩く時には、いつもクマのことを考えます。「もし、ここでクマに遭遇したらどのように逃げるか?」を何度もシミュレーションして歩きましたが、いずれも「御愁傷様です」でエンディング。

この並木道を歩く時には「クマちゃん」でも「クマくん」でもありません。「クマ=猛獣=恐怖」なのです。できることならハンターの護衛付きで歩きたい。

と、これを書いていながらネットでニュースを発見!! なんと昨日の木曜日(これを書いているのは金曜日)の夜九時頃に、真駒内の市街地にクマが出たとか。あの真駒内アリーナの近くのようです。ちょっと女の子との夜のそぞろ歩きもできないですねぇ。

真駒内の住民の皆さん、あなた方は勇気ある人たちです。でもクマには注意して過ごしてください!! お願いします!! m(_ _)m


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「梅雨」の夏 W杯 そしてサイヤマン

2018-07-08 03:00:00 | 日記
七月に入り、一週間が過ぎました。今年のアイスランド、いやレイキャビクの夏は「梅雨」の夏となってしまっています。実際、最後に青空を見たのはいつだったろうか?とさえ思えてしまうほどです。向こう一週間の天気予報を見ても(金曜日の時点)ずーーーーーーと「雨」。時々「曇り」があります。

幸い、気温の方はそれほど下がることもなく、10度前後を保っています。これを書いている今、iPhoneでWeatherを見てみると、12度と出ています。体感ではもう少しあるような気がして、部屋でTシャツ一枚でいても寒くはありません。




このような天気が続くこの夏...


私は仕事上、難民と「もと」難民(申請が認められて滞在許可を得た人)が周囲に多いのですが、当然彼らはアイスランドで過ごしている期間もそれほどではなく、長くても三~四年くらいです。

やはりこの国の気候にはまだ馴染んでおらず、「夏はいつ来るんだ!」と嘆く方もいらっしゃいます。「夏だよ、これが」

まあ、人間は寒ければ文句を言い、暑ければ文句を言うものでしょう。私もアイスランドにいて「ああ、夏らしい夏が恋しい」とか思ったことは二度や三度ではありません。それでも、たまに七月末に東京へ戻った(戻ってしまった)時など「クソ暑い。どうやって人間が生きられるんだー」とヘタリました。

五月始めに、レイキャビクのランドマーク化しているハットゥリグリムス教会のスタッフから電話があり、「難民申請者の男性が助けを求めている」とのこと。「なんでもアフガニスタンを逃れて、オーストリアで九年間過ごしてきたそうで、それが急に本国送還を求められているとのこと。すごく怯えているんで、会っては話しを聞いてやってくれないか?」

そこで、翌々日に会って話しを聞きました。他の難民申請者も加わって三人。皆、アイスランドに来たばかり。その後その男性(ラザイさんとしましょう)は、ケフラビクの空港近くにある宿舎に移されたので、しばらく顔を見ませんでした。ひと月くらいして、ケフラビクの教会で祈りの会を再開した時、ラザイさんと一緒に会った二人は来ましたが、ラザイさんはいません。

「彼はどうしたの?」「送還されました」「え!?そんなに早く?」

普通、どんなに早くても三ヶ月くらいはかかるものなのです。訳を聞いてみると、「ラザイは、アイスランドの天気に絶望したんです。この天気ではやっていけないと。で、自分で申請を撤回して、自分でオーストリアへ戻っちゃった」

オーストリアへ戻されるのをひどく怯えていたのではないのか?それを上回る「絶望」だったのでしょうね、ここの天気が。ラザイさんにとっては。

難民申請を撤回して出国する人はそこそこありますが、普通は「申請拒否が明らか」な状況が理解できたとか、申請の審議プロセスに時間がかかり過ぎて耐えきれなくなった、とかがその理由です。「天気に絶望した」というのは初めてでした。しかも、別に冷夏なだけで、特別ひどい天気でもなかったのに。

それで思い出しました。もうひとつ「天候に絶望した」例がありました。これは日本のカップルの方で、どうしてもアイスランドに移住して生活したいという願いをもっていらっしゃいました。ですが、現在ではそう簡単にはEU外からの移住はできません。

私も何回かお会いしましたし、そのカップルの方もあちこちトライしてみたのですが、うまくいきません。最終的にお二人ともまず学生としてアイスランド語を学ぼう、ということになったようで、アイスランド大学で学生生活を始めました。

ですが、生活がありますから、授業のかたはらでバイトもしていたようです。もう四年くらい前のことです。その年は十二月になってから三月まで非常に厳しい冬となりました。

雪は消えないし、加えてストームがこれでもか、これでもか、とやってきました。車のある人はなんとかやりくりできますが、バス通学、バス通勤の人はどうやってサバイバルしたのか不思議です。ちなみに降雪時のストームは車でも危険ですよ。

しばらくして、人づてにかのカップルの方は日本へ戻られたと聞きました。まだ授業は終わっていませんでしたが。「天候に負けたようです」と聞きましたが、これはご本人に確認したものではないので、あくまで伝聞です。

それでも、あの雪とストームの毎日を徒歩で闘ってきたのですから、たとえ「天候に負けた」のが事実としても、それは頷ける気がします。アイスランド大好きな方たちだったので、それ以降「アンチ・アイスランド」になっていないことを願います。




W杯、ナイジェリアに敗れた翌日の新聞「ヴォルゴグラードの失望」


さて、なんでこういう話しを徒然草しているかというと、もうお気づきでしょうが、今日はネタがないのです。いや、別に仕事が忙しいわけではありません。

ただワールドカップの応援で相当消耗してしまったのと(アイスランド + 日本と応援しがいはダブルでしたが、結果の残念さはトリプリになった気がします)、最近始めた筋トレが楽しくなっているのと、その関係のYoutubeビデオが面白くてそちらに気がいってしまっているからです。

ついでですから、それらは一体どういうようなものなのかもご紹介しておきましょう。ただワタシはここではまだ新参者で、ごく限られた範囲しか見聞がいっておりませんので、より識者の方におきましてはご容赦ください。

筋トレのメソッド、やり方などを丁寧に解説してくれるのが、アメリカのJeff Cavaliere さんのATHELEAN-Xというチャンネル。非常に質の高いレッスンをタダで公開しているとは畏れ入ります。また、日本では加藤昌平さんのkatochan33というチャンネル。この方はすごく真面目な方で、丁寧にいろいろ解説してくれるばかりではなく、聴視者からの質問にも答えてくれます。ありがたいことです。名古屋のジムにいらっしゃるようで。

それから、アマチュアの方で名前は存じませんがsarome929というハンドルネームの男性。この方は、ボディビル以外にも自転車でのツアーとか、登山、ラーメン食べ歩きとかでもブログやYoutubeをされているようで、大したものだと思います。

で、筋トレはもちろんですが、「その他」で面白いのが -ダントツに面白い- のがサイヤマングレートさんです。「ダンベルよりも、ジョ、女子の手を握りたい」というのが挨拶言葉。

筋トレプロとしての身体能力もすごいのですが、まあ、お笑い芸人になれるんではないか?と思えるほど笑わせてくれます。ただ、毎回ではないですよ。真面目な回もあります。

ダチョウのタマゴをゆでタマゴにして食べてみるとか、ペヤングの超どデカイカップ焼きそばGIGAMAX(カロリー2400kcalとか)を、「痩せるお茶」をお湯がわりにして作ったら、相殺してカロリーがきえるのではないかとか、等々。最近人気上昇中のようです。

このサイヤマンの先輩なのか、友人なのか良く把握していませんが、コアラ小嵐さんという方もボディビルダーで、自分のチャンネルも持っています。二人でコラボして登場することがよくあります。この人も結構面白い(もともとは芸人さんだそうです。「ぬわらし」というコンビを持つそうです)。

まあ、あまり関心のない方には無縁な世界でしょうから、これくらいで十分。最後にひとつ加えると、アイスランドで、いわゆる本格的なボディビルをやっている牧師さんもいます。私が知っているのは二人だけですが、二人とも女性。結構若い。相当なもんです。大会とかにも出ていたと記憶しています。もう五、六年前なので、今はどうか定かではありません。

どういうきっかけで始めたんでしょうかね?人にはそれぞれ歴史がありますから、本人から話すのでなければ、あまり詮索もしたくはありません。それから、ワタシの場合はあくまで、健康管理であって、ボディビルまではいきませんので。(*^^*)


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五十代最後の夏の密やかな楽しみ

2018-07-01 03:00:00 | 日記
七月に入りました。アイスランドでは夏休み期の真っ只中に突入していきます。実際には六月から夏休みを取り始める人は多いですし、特に今年はサッカーのW杯にアイスランドが初出場ということもありましたので、すでに国中が夏休み気分に浸っている感はありましたが。

私の職場である教会も、多くが夏休み体制に入ります(入っています)。教会が夏休み?このことは以前にも書いたことがあります。

教会の夏休み


ただここ四年間ほどは、私の職務の重点は難民の人たちへの活動に置かれています。そのため、仕事を巡る環境が、大多数の一般の牧師さんたちとは多少異なっており、夏は非常に仕事が多かったのです。

それが今年は以前より落ち着いており、私もそれほど教会に詰めていないとならない、という感じではなくなっています。

それで、夏休みではないけれど多少ゆとりがあるこの日々に始めたことがあります。筋トレです。いや、今はボディメイキングと言うのかな?これには多少の「前史」があります。

四月に日本に帰省した際、美味しい日本のお弁当を食べまくったワタシは、帰ってくると72,6キロという生涯の中での最も重い体重になっていました。名古屋の教会を訪ねて久しぶりに会った方から「少し前より丸くなられましたね」と言われたので、多少の自覚はありました。

私は普段は65〜67キロくらいの重さです。身長が168,5センチなので、「適正体重」は62,5キロなんだそうです。BMI(Body Math Index)は23,6となり、かろうじて「普通体重」の範囲にとどまっています。

適正体重62,5キロはないだろう?と文句を言いたくなったのですが、そうでもないか?私は中学生の頃から今の身長でした。体重はもちろんずっと軽く、二十代半ばでも55〜56キロぐらいだったと記憶しています。だから、長年「適正体重」をキープしていたわけではあります。

とにかく、太く重くなったことは、シャツの首の締め付け感やら、ズボンのお腹の締め付け感やらを引き起こし、あまり嬉しくない状態です。で、当然ダイエットを始めたわけです。

そのうちに「そうだ。体重を落とすだけではなくて、少しはアクティブにシェープアップしなくては」と、冬に買い込んでおいたダンベルのことを思い浮かべたのでした。「還暦はシェープアップして迎える」と決めていたのです、正月に。

それで、五月の終わりくらいから自宅でダンベルを使って身体を動かすことを始めました。一回目と二回目の間は一週間くらい空いてしまいました。なんせ、筋肉が悲鳴を四〜五日は上げてしまいましたので。お腹が痛くてまっすぐ立てない。(^-^;

それでも始めの二、三回を越えるとスムースに慣れることができ、回数も規則的になりましたし、内容もきちんとしたものになりつつあります。まだまだ軽い運動ですが。それでも、お腹のぽっこりなど、ずいぶん少なくなってきました。体重ももとに戻っています。




かつてのアイドル トミーハーンズ これでいて「筋トレは筋肉が硬くなるのでしない」とか


実は私は、新橋のサラリーマン時代から神学校時代の半ばまで、筋トレは好きで結構やっていたのです。バーベルやダンベル、ベンチも自宅に持っていましたし、30キロのサンドバックとそれを吊るす鉄製の枠もありました。

ボクシングの大ファンだったので、ランボーのような「マッチョ」ではなく、体重に即したボクサー型マッチョになりたかったのです。実際その頃は、人に見られても恥ずかしくはないボディだったと思います。誰も見てくませんでしたが...

アイスランドへ移ってからも、そこそこの筋トレは続けた時期があったのですが、引越しを手伝っていた時にギックリ腰をやってしまい、その後休みに入ったまま、途切れてしまいました。もう十八年くらい前です。

で、十八年ぶりに、筋トレらしきことを再開したわけですが、今度はトレーニングで腰を痛めたくはありません。そのためにはどういうことを知っておくべきか、とか考え始め、YouTubeとかを見始めたわけです。

驚いたのですが、筋トレとかストレッチとかに関する投稿動画って星の数ほどあるんですね。「二ヶ月でお腹をフラットにする」とか「体脂肪をごそっと燃やす運動」とか、本当かよ?的なキャッチも多々ありますが、それでもそれなりに面白い内容です。

さらに驚いたのは、人気のエクササイズ動画は、再生回数が半端じゃないことです。42万回とか、60万回とか。まあ、エクササイズの度に見るのでしょうから、一人の人が何度も再生する、ということもあるでしょうが。それにしても、それだけ需要があるんですね、世の中に。これは日本の動画ですよ。




この夏発見した新世界 実に様々な投稿がありますね


ボディビルダーの方たちが、定期的に動画の投稿をしているものもいくつもあります。プロの方、アマの方、両方あるようです。トレーニングそのものだけではなく、やり方や、注意点、食事、その他諸々のことに関する、視聴者からの質問に答える動画もあります。

実は見ていると結構面白いものもあり、すっかりはまってしまいました。ここのところ、夜のまったり時間は、好きだったNYPDものを離れて、これらの筋トレ関連の動画をいろいろと見て過ごしています。

こういう世界もあったのか〜。知らなかったなあ。何というか、そこにそういう「コミュニティ」があるということが面白いですね。きっとそういうのが、違う対象を巡って、これも星の数ほどあるものなのでしょう。中には感心できないものもありましょうが。

ところで、私は自宅でエクササイズをするのが好きで、ジムにはあまり通いたくありません。人目がどうしても気になってしまい、ハズカシ... それに周り中が筋肉モリモリだったら、劣等感を植え付けられてしまう気がして。

今、短期的に息子が同居しているのですが、息子はジムに行っています。「僕も初めはそう思ったけど、実際はお腹の突き出たおじさんやおばさんがいっぱいいるよ」とのこと。

なるほど。そういうことならジムに挑戦してみてもいいかも。実際に、自宅ではなかなかできないエクササイズも多くあります。ある程度の段階になったら、ジム通いは必要になるかもしれません。でも始めは誰かに案内してもらわないと。

運良く、ツテがないわけでもありません。かつて難民だった青年で、私の教会の祈りの会にいる男性がボディビルダーなのです。今はそのコーチになる勉強をしているとか言っていました。アイスランドの大会で二位かなんかになったこともあるようです。

以前にも「トシキ、トレーニングしたくありませんか?」とお伺いを立てられたことがあったのですが、その時は「ノー、サンキュー」いきなり40キロのバーベルを担がされそうな気がしたもので...

というわけで、普段不健康な生活を送っている私ですが、この夏は健康に過ごしています。七月は少し気を入れて筋トレに励みたいものです。十一月に還暦を迎えるのですが、その時「おじいちゃん」とか言われると癪ですからね。そういうのを封じ込めるためにも今、ガンバラないと。(*^^*)


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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