レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

身近にやってきたAI革命

2024-06-30 21:03:48 | 日記
こんにちは/こんばんは。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Daviede_cantelli@unsplash_com


六月も最後の日となりました。もっともこれが更新される時には、日本はもう七月になっていることと思います。この時期(六月から七月初め)って、オータニさんのホームランのニュースが、すっかり風物詩になっていませんか?少なくとも野球ファンには。

今年の夏は、少し良い気温になったかと思うと、また雨で肌寒い日が続いたりと、あまりスッキリしていません。アイスランドの夏を「気温」で感じようとすると、がっかりすることが多くなります。夏は「明るさ」で感じるようにしないと。

こちらでは今はこんな感じの明るさです、というのが見えるような写真をいくつか貼っておきますね。

ところで今の時期は教会もオフ・シーズンです。一般的なことを言えば、五月の半ばで通常の平日の集い –たとえば高齢者の方の集会や、子供たちのためのクラス、聖書研究会等– はお休みになり、八月の末あたりから再開します。

日曜日の礼拝でも、たとえば周辺地区の諸教会が話し合い、どこかひとつの教会で礼拝を持ち、他の教会はお休みにするようなシステムを取るところが多くなっています。

以前は、すべての教会が夏休みになってしまうという、あまり感心できない現象が見られたのですが、幸いななことにポジティブな方向へ移行してきました。






夜の11時過ぎ こんな感じ 寝室から見たご近所
Pic by ME


私は特に移民と難民の人たちをメインにした集会を担当していますので、必ずしも今の時期が「オフ・シーズン」とはならないこともあります。あちこちの難民支援関係の団体が夏休みで、行き場がなくなった人たちが大勢やってきたりして、むしろ忙しくなることも。

今年の場合は、「ゆるい」です、幸いに。五月いっぱいは大変でしたが、六月半ばから「ねばならぬ」仕事は減っていき、このままいけば七月も負担の少ない月になりそうです。

さて、こういう時にこそ家に帰って昼寝する、ではなくて(^-^; 「ねばならぬ」ではないけれど「やってみたい」「試してみよう」ということに十分な時間を使うことができます。

私自身、いくつかそのような試験的にやってみたいことがあり、六月は色々と試してきました。一番大きな実験は「通訳」に関するものです。

私の集会は基本、(ブロークン)英語で持たれます。が、参加者には英語がよくできない人も一定の割合でいます。参加者にはイランからの人が多いのですが、イラン人の多くは英語が苦手です。

なぜかというと、どうやら「英語は敵国語」として義務教育で教えていないようなのです。やれやれ、戦前の日本か?

私の集会にイラン人が多い、というのは今だけのことではなく、過去九年間コンスタントに続いてきています。ある時期はアフガン人の人も多かったのですが、現在はチラホラ程度。






午前1時 こんな感じ
Pic by ME


そういう事情なので、英語をFarsi(ペルシャ語)に通訳する、ということが常時悩みの種となってきました。とりわけ、礼拝という教会のメインの集会の時の通訳が。

まあ、幸いにもというか神の恵みというか、大体いつでも英語のできるイラン人がひとりふたりいて、その人たちが通訳をしてくれるのです。

ただ、それでも悩みはあり、「英語〜ファルシ」で細切れに話しをすると、10分の話しは20分になり、15分の話しは30分になります。これでやると、話しに感情移入はできなくなるし、普通に英語ができる人たちは退屈してしまうという甚大なデメリットが生じます。

国際会議でやるような同時通訳が望ましいのです。私の集会でもそれ用のディバイスは用意してあるのですが、この形の通訳をするにはそれなりの訓練を受けた通訳者が必要となります。

私たちのところにも、これまで三人、そのような技能を持つイラン人(難民申請者)がいたことがあります。で、その人たちが滞在していた時期は同時通訳をボランティアでしてもらっていたのですが、いずれも強制送還となってしまいました。

で、最近漠然と考えていたというか、夢を見ていたのがAIによる通訳です。これに関しては、今年の三月に一度触れたことがあります。

やれやれ AIとどのように付き合いますか?


ところが、それから間もなくして五月にChatGPT4oが発表されました。ご承知のように、これは対話をベースとしてやり取りをできる相当な優れものです。公開時のデモンストレーションでは、英語とイタリア語の間を同時通訳したりして、かなり世間を驚かせました。

さらに、ChatGPT4oの発表の翌日にはGoogleが生成A I Gemini1.5Proを発表し、これも飛躍的に進歩した機能を持つことが明らかにされました。この時期は、AI好きな人たちは相当ざわつきましたよね。

私は別にAI好きというわけではなかったのですが、特にChatGPTの「対話型」「同時通訳」というワードに引き寄せられてしまいました。三月には「そのうち将来は」と夢見ていたことが、突然目の前に現れてきたような感じ。






午前2時前 こんな感じ
Pic by ME


そこで早速ChatGPTをサブスクライブ。ついでにGemini1.5Proも。AI初心者向けのYoutubeもかなりの数を見て、基本的なAIの知識を得るように努めました。そういうことをしていたのが、六月です。

ChatGPT4oは、会話型で同時通訳をしてくれますが、残念ながらこの「同時」は「その場で、交互に」という意味での「同時」でした。つまり、通訳者がその場にいて、交互にふたつの言葉を喋ってくれるのと同じ。

私が夢見ていたような、国際会議的な意味での「同時通訳」、つまり話者が話しているその側からどんどん訳していく、という機能ではありませんでした。

もうひとつ注釈ですが、ChatGPT4o、中国からの旅行者が来た際に、通訳ツールとして実際に使ってみたのですが、まだまだミスが多くて十分ではありませんでした。英語から中国語に訳して、と言っているのに、なぜか突然に日本語で答えたりして。それまでChatGPTに日本語を使ったことなんてなかったんだけど??

ただ、ChatGPTもGeminiも、英語で書かれた文章をたとえばファルシやアイスランド語に訳す、という点では素晴らしい働きをしてくれています。私の「アイスランド語」で書いた説教を、ファルシに訳させたのですが、教会に来ているイランの人の評価では「ほぼ完璧なペルシャ語」これはマジ使えます。

まあ、これだけでも相当な進歩だし収穫なのですが、まだあったのです。私にとっては画期的なAIが...

というところで、長くなったので一度切ります。すぐにもう一度続きを更新します。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。


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想定外のタッチ

2024-06-22 05:38:06 | 日記
こんにちは/こんばんは。

またまた二週間ぶりとなってしまいましたが、それはもう「そういうものだ」と思ってください。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Jonathan _gallegos@unsplash_com


早くも夏至を超えてしまいました。ぜんぜん気がつきもしませんでしたが、これからは毎日ちょっとずつ日が短くなっていきます。ただ気温的には、多分七月の方が高くなると思うので、まだ夏の楽しみは残っています。

私は今週は月曜日から一週間のミニ夏休みを取っています。「一週間も休んで『ミニ』とは当てこすりか?」などと言わないでください。こちらでは夏休みはガッツリ取ることになっているのです。

なぜこんな時期に一週間だけの休みを取ったかというと、五月から六月初めにかけてが、仕事上でかなりきつい時期だったので、少し休息が必要と感じたからでした。その間、ずっと体調がイマイチということもありましたが、多分その「体調がイマイチ」も疲労と関連していたと思います。

五月の何がきつかったのか?ということに関してもちゃんと時期をみて書きたいと考えています。これは真面目なトピックなので、ちゃんと準備をしてからでないといけないですね。まあ、次の次くらいには。

さて、五月の末から「Snerting」スネルティングという映画が公開されています。スネルティングというのは「触れること」「接触」の意味で、映画の英語タイトルは「Touch」。日本題も「タッチ」だと思います。漫画じゃないから。




宣伝用ポスター
Myndin er ur auglysingu


私はまだ観ていないのですが、職場の同僚がふたり観にいき「とてもきれいな映画でストーリーにも感動した」と話してくれました。別の知り合いも「思っていた以上に心に刺さった映画」とわざわざFacebookに載せていましたので、アイスランドウケは良い作品なのだと思います。

この映画については、以前に撮影ロケの裏話しみたいなことを書いたことがあります。そちらもぜひ併せて覗いてみてください。

「準」高齢者と映画のエキストラあれこれ

「準」高齢者と映画のエキストラあれこれ その2


物語りは、高齢に達したアイスランド男性がリタイアを機会に、若かりしころロンドンで出会い恋に落ちた日本女性のことを思い出し、その人を探しに日本へ出向いて行く、というもの。

その女性は、別に別れ話しが拗れたわけでもなんでもないのにある日忽然と姿を消してしまっていたのでした。

そういう話しなので、当然昔日のロンドンと今の日本が交互にスクリーンに映し出されるパターンでしょう。観てないので想像ですが。

監督はこちらでは有名なバルタザール・コルマウクルさん。主演はエイイットゥル・オーラブルソン(今のアイスランド男性)、パウルミ・コルマウクルさん(昔日のアイスランド男性)、Kókiさん(姿を消した日本女性)、それにモッくんこと本木雅弘さん(女性の父)。

Kókiさんは、もちろんキムタクの娘さんです。元々はモデルさんですよね、良く知りませんが。




作品紹介
Myndin er ur IcelandicFilmCenter.is


で、私は当然この映画は日本でも話題になり上映されるのだろう、と考えていました。いつから公開されるのだろう?と思って、ネットで検索したのですが、意外な事実を発見しました。

これはすべてネット情報なので、もしかしたら誤情報であるかもしれないことを承知しておいてください。

それによると、「タッチ」というアイスランド=日本映画はほとんど話題にされていない。キムタクのお嬢さんであるKókiさんが主演し、キスシーンからベッドシーンまであることを鑑みると、この「沈黙」は解せないものがある、というのです。

さらにそのネット解説では、KókiのSNSを覗いてもこの映画に言及しているフォロアーはほとんどいない。Kókiのファンの大多数は若い女性で、彼女たちはKókiをモデルとして崇拝し、そのファッション等には深く傾倒しているが、女優としての彼女には惹きつけられていないのだろう、とのこと。

さらに、日本の芸能界ではKókiのことを「キムタクの娘」としてしか評価しない向きがあり、そのことを承知している母親の工藤静香は娘の活躍の場をむしろ欧米に求めた戦略を立てている、のだとか。

確かに、アイスランドでの受けの良さを考えると、多分アメリカ等でも受けるんじゃないかと思います。物語りの背景にヒロシマがあるので、多分、欧米の人は時節柄からも興味を持つのではないか、と。

ネット情報に戻りますが、そうしたこととは別に、日本の映画ビジネスではこの映画は集客性が低いと評価され、それゆえに配給元がつかないのだ、と。




Kókiさん
Myndin er ur Wikipedia.org


映画の配給の仕組みとかはとんと存じあげませんが、本当に日本で公開されないのであれば残念です。なぜかというと、ワタシ、生き残ったらしいのです。今回は。

これまで、何度も映画の撮影にはエキストラとして参加してきましたが、大作と言われた「Angels of the Universe」(2000)でも、「Woman at War」(2018)でも、随分と目立つ立ち位置にいたのにAll Cut。惨めに切り取られていたのでした。撮影はひとつ。編集を生き残ることは別事なのです。

ですが、今回は観に行った職場の同僚が「トシキは二回映っていたと思う」と宣うではないですか! 別に自分で観たいとは思いませんが、日本の家族親戚幼馴染み一同に「オレ、Kókiと一緒に映画出てるから」と自慢したいのでした。

日本公開なし、とかいうのはマジで想定外。やっぱりワタシはこの分野では貧乏神に取り憑かれているのかも... (涙)(笑)

というわけで、皆さん。皆さんのSNSで「モッくんとKókiの『Touch』観たい!観たい!」と大騒ぎしてください。それを見て配給会社が考えを変えるかもしれません。ワタシのBIGエゴに関わることです。どうかよろしくお願いいたします。m(_ _)m(草)(草)(草)


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久しぶりの赤ちゃん洗礼と母国語教育の三十周年

2024-06-08 19:00:50 | 日記


清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Neil_Mark_Thomas@unsplash_com


こんにちは/こんばんは。

ちょうど一週間前の土曜日(6月2日)はアイスランド大統領選挙の投票日でした。その結果は前回ご紹介したとおりです。長らく住んではいても単に「外国人」に過ぎない私は投票権もなく、当然投票にも行かず、その意味ではフツーの土曜日でした。

ですが、この日には個人的に関わりのあるイベントが他にふたつあり、決してヒマではありませんでした。そのひとつは教会での洗礼式で、もうひとつは母国語教育に関係する団体の三十周年記念会です。

まず洗礼式ですが、これは日本人のお父さんとアイスランド人のお母さんとの間に生まれた男の子のためのもの。このご夫婦の結婚式も私が牧師をさせていただいたのですが、これが早十年前のこと。

その後十年、あまり往き来はなかったのですが、今回第一子となる男の子(六ヶ月)の洗礼を頼まれていたのです。

キリスト教国のアイスランドでは、赤ちゃんの大多数がごく自然に洗礼に与りますので、牧師さんにとっては洗礼式はごく日常的な職務のひとつです。また、当然のことながら洗礼の対象は赤ちゃんであるのが普通です。

ですが、移民や難民の人たちへのサービスをメインとする私にとっては事情が異なります。今年に入って私が洗礼式を担当したのは十回。すべて大人の人たちのためです。さらに言うとすべて難民の人たち。

そういう事情から、私が担当する洗礼式はこじんまりと関係者のみで行われるのが常なのですが、今回は久しぶりにアイスランド人の親戚、友人が参集する「フツー」の洗礼式となりました。場所も教会。




洗礼式スナップ
Pic by Unknown?


洗礼式は、教会で行われる場合と、自宅で行われる場合が半々くらいの割合になるでしょうか?赤ちゃんが生まれてすぐの場合は、やはり自宅の方が都合がいいのですが、参列する人の数なども鑑みて教会を選択する方も多くあります。

で、今回は私が常駐しているブレイズホルトゥス教会での洗礼式となりました。ついでにお祝いのパーティーも教会のホールで。

結婚式には日本からご主人(「夫」のことをなんと呼ぶのが一番良いのでしょうか、今どき?)のご両親が日本からお見えになったのですが、今回はいらっしゃれませんでした。そのことで、事前に「だったらライブで送ってあげたら?」とか言ったのですが、式直前に赤ちゃんのお父さんがスマホをセット。本当にライブしてました。私も十年ぶりにご主人のお母様と一言ご挨拶できました。

それはいいんですねどね、洗礼式が終わり、皆が階下のお祝い会へ行ってしまった後、ふと見るとスマホがまだ教会に。ライブがまだ継続中で、お母様がまだスタンバイ中。慌てて「今、皆のところへ行きますから、切らないでください」と言いながら、スマホをホールへとお連れいたしました。こらっ、お母さんを忘れるな!

この洗礼式が午後二時からだったのですが、その前に正午からModurmalモウズルマウルという母国語教育を推進する団体の三十周年記念行事が、教会のすぐ隣りのMjoddミョッドというショッピングアーケイドで開催されました。




祝辞に駆けつけてくれたグビューズニ大統領
Pic by me


ここで「母国語」というのはアイスランドに住む外国人の人たちにとっての「母国語」です。例えば私が自分の子供たちに日本語を教える、とう意味での「母国語教育」を意味します。

実は同名の団体がもうひとつあるのですが、これは海外に在住するアイスランド人の子供たちのアイスランド語教育を支援する団体です。ところ変われば立場が入れ替わるわけですが、していることは同じですね。

このModurmalはいわゆるアンブレラ団体で、この傘下に日本語教室だの英語グループだのと、個別の母国語教育グループが属しているわけです。上意下達ではなく、Modurmalはあくまでサポート組織です。

母国語教育は、1993年くらいからレイキャビク市が試験的にボランティアを支援するという形で始まりました。私はちょうどアイスランドに移った直後のことで、そのことを知ってはいましたが、詳しい経緯は理解していませんでした。

確か、英語、タイ語、ロシア語?が当初よりあったような... ここに日本語がソロソロと加わっていくのですが、こういう活動は始めはひとつふたつの家庭ベースで形成されます。だから「いつ始まった」と断言するのは難し意のですが、日本語教室みたいになったのは1996年くらいからだと思います。

日本語グループに関しては、私は始めよりドップリ浸かっています。

これらの母国語グループ、ボランティアベースでしたが、レイキャビク市の青少年局の支援を受けており、会場の提供や多少の資金援助がありました。その当時は「移民」はまだ新しい事象で、移民のきちんとした受け皿は生成途上に過ぎませんでした。

よりしっかりした「移民の受け皿」として、レイキャビクとその周辺の四市町が合同投資して「インターカルチュラル・センター」が2000年に設立されました。ですが、このセンターは母国語教育にはあまり理解がなく、これまでの母国語グループへの支援は中止される向きに。

「それは困った」と日本語グループの私や、英語やベトナム語のグループのリーダーの人たちとかが相談して、Modurmalという団体を正式に登録しました。正式に登録すると、独自に支援金の申請とかをすることが可能になるからでした。






三十周年記念会の様子
Pic by me

ですから、正確に言うならばModurmalという団体の発足は2001年となり、その通り十周年記念は2011年の12月に開かれています。

今回の三十周年は、母国語グループが活動を始めた頃を基点として勘定しているようです。まあ、事柄の本質としてはそれで問題ないですよね。同じグループが土台になっていますから。

2001年の正式発足当時でも、グループ数は六つか七つくらいだったのですが、現在はなんと21のグループがModurmalに属しています。

行ってみてびっくりしたのですが、記念式会場のアーケイドは人でいっぱい。グビューズニ現大統領も祝辞に駆けつけてくれており、まあ大賑わいの大繁盛でした。

発足当時は、とにかく公的な機関からの資金集めや、アイスランド社会の中での母国語教育の重要性の認知が主要な目的でした。聞いたとことでは、今は「子供と教育省」から1500万クローネの資金援助がなされているとか。これらの発展は、最近十年間くらいの指導者の皆さんの努力の賜物です。拍手。

ちなみに、日本語教室。私は2016年に引退しましたが、教室はその後も続き、あのコロナの難しい時期も乗り越えて、今でも元気に続いています。控え目に計算しても、再来年で三十周年。その間、休止なし。これもすごいことだと思います。今の引率者の皆さんにも拍手。

二月に開かれた、邦人の方々の新年会に行った時も、その人数の多さ –とりわけ第二世代第三世代– に驚かされたことを書きましたが、日本語教室やそれに並行するModurmal等々、アイスランド移民社会の少なくとも一部は着実の発展しているようです。アイスランドで頑張ってる移民、みんなに拍手。

レアキャラのいる二月の「新年会」


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アイスランド「シン」大統領、決まりました

2024-06-03 21:42:37 | 日記


清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Michael_Held@unsplash_com


こんにちは/こんばんは。

今回は、まったく速報性のない選挙速報です。

先週末の土曜日に、アイスランド大統領選挙の投票が行われ、日曜日の早朝に次期大統領が決定しました。ハットラ・トマスドティールさんです。

前回、選挙についてのあれこれを書きましたが、ハットラさんはその時点では支持率16,2%で四位。22,2%の支持でトップのカトリーンさんからは6%遅れをとっていました。

ですが、結果としては、ハットラさんが34,1%を獲得し、二位に落ちたカトリーンさんの25,2%に9%近い差をつけて当選したのです。三位のハットラ・フルンドさんは15,7%、四位のヨウン・グナールさんは10,1%、そして五位のバルドゥルさんは8,4%の得票となりました。

ハットラさんは、一週間あまりで支持率を倍以上に増やしたことになりますが、このような激しい支持率の変化の裏には、組織だった「反カトリーン」ネットーワークの働きがあったと言われています。

つまり、カトリーンさんの当選を阻止するために、当選の見込みが薄い候補者の支持者が登り調子だったハットラさんに票を投じたというのです。確かに一週間前の支持率と、実際の得票率を比べてみると明らかな傾向があります。

カトリーンさんは、ほぼ事前の支持率22,2%通りの25,2%を得ましたが、一週間前の支持率は19,7%あったハットラ・フルンドさんの得票率は15,7%と4%のダウン。18,2%だったバルドゥルさんは8,4%でなんと10%近い9,8%減。ヨウン・グナールさんは13,4%から10,1%と3,3%のマイナスでした。




選挙結果 各候補者の得票率
Myndin er ur Mbl.is


こうしてみると、確かにカトリーン当選阻止を目的/意図として、自分の支持候補からハットラさんに投票先を変えた人が相当数いたことは明らかのように見えます。

支持候補が当選の可能性薄となった場合、死に票になるのを嫌って投票先を変えることは普通にあります。それでも、例えば政党に直結した国会議員選挙の場合には、支持候補自身が当選を逃しても支持政党の得票にはなりますから、勝ち目がなくともその候補を選ぶのも一般的です。

大統領選挙や市長選挙のように、政党との関係がちょっと薄くなっている場合には、支持候補の当選が見込まれない場合には、「勝ち馬に乗る」ために当選見込みが強い候補者に乗り換えることも普通にあります。

ですから、選挙に際して、支持候補者の戦況から、直前になって有権者が別の候補者へ投票先を変更すること自体は、不思議でもありませんし、不道徳なことでもありません。選挙というのはそういうものでしょう。

ですが、ここで特筆すべきことは、この「投票乗り換え」が組織立って「アイスランド大統領選挙」で起こったということです。アイスランドの大統領は政治的権限のない、いわば「象徴」的大統領です。よって、政党からはほぼ独立したポジションになります。

ハットラさんは、アイスランド共和国誕生以降、第七代目の大統領になりますが、これまでの選挙で組織だった「投票乗り換え」の試みがあったとは聞いていません。

まあ、候補者が一(いち)ダースもあるようなことも初めてでしたから、その点では起こっても不思議ではない状況だったのでしょうが。

このような「組織的なカトリーン当選阻止戦線」が生まれた理由はいくつかあると思います。第一に先ほど書きましたように、アイスランドの大統領は「象徴」的大統領であり、フランスやアメリカのような政治的実験のあるポジションではありません。

国民は、政治色の強い人が大統領になることを嫌う傾向は元々あります。前大統領のオーラブル・ラグナル氏が政治家上がりの大統領となり、しばしば「越境」して政治に口を突っ込んできたことを「苦い思い出」として持っている人は多くいます。




次期大統領となるハットラ・トマスドティールさん
Myndin er ur Visir.is


そこから、ついこの間まで現職の首相であったカトリーンさんに対しても、懸念の声を上げる人は多くありました。カトリーンさんももちろんそれを承知で立候補したわけですが、その理由は彼女には圧倒的な個人的人気があったことであり、「超政党」的カリスマがあったことです。

ついこの間まで首相であったことは、PR的な観点から言っても、そのまま強みになるのですが、同時にマイナス作用もありました。つまり、これまでの首相在任中の期間の政治を見た場合、国民の生活上の不便や困難、改善されなかったこと等への批判というのは、最終的にはカトリーンさんへの批判となります。

まあ、この点が「カトリーン当選阻止」という積極的なアンチ精神が誕生した一番の原因だろう、と私は推測します。この反カトリーン運動は、相当感情的なものだと感じました。

私は、まあ感心できない点はあルことを認めつつも、カトリーンさんを支持しましたので、ある時点で「Vote Katrin」のスローガン入りのFacebook Profile Picを使ったのですが、(有象無象から)相当数のブーイングのコメントをもらいました。

全体的に見て、年長者にはカトリーン支持が多かったそうですが、若者たちにはアンチ・カトリーンが多かったということです。彼らが組織だったカトリーン当選阻止の首謀者で、種々のSNSを駆使して、ハットラさんへの投票を呼びかけたのだそうです。なるほどねー。

前回、支持率が高かった候補者五人の中で、唯一私が「こいつは嫌だな」と思ったのがハットラさんです。ワタシ的には最悪の目が出てしまった。まあ、何度か書きましたように、ここの大統領は政治的実権のない、アイスランド人の「お父さん」「お母さん」役ですので、アイスランド人ですらないワタシにはそんなに関係はないでしょうが。

まあ、これから大統領になるわけですから、始めから決めつけてはいけないですね。ハットラさんが名大統領になる可能性はもちろんあります。そうはならない可能性もあります。

アイスランド国民は、今回ハットラさんではなく、「反カトリーン」を新大統領として選びました。それがどのようなコンセンサスをもたらすのかは、今後の四年間に明らかになってくると思います。


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