レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

セクハラ パワハラ No サンキュー

2021-10-31 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

こちらでは「コロナは一応終わったという空気」ということを書いたばかりですが、制限の大幅な緩和をした途端に、またしても新規感染者数が増加しています。ここ数日は毎日80人前後。

人口十万人当たりの感染指数は260,7。ということは、例えば東京の人口を一千万とすると、感染者数26000人以上ということになります。これは相当なものです。

入院者数は13人。うち4人がICUに入っています。あっという間にイギリスやロシア並みの水準に仲間入りをしてしまったわけですが、ワクチン接種が進んでいることを鑑み、政府は規制の再強化に踏み切るつもりはないようです。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir S-Migaj@unsplash.com


何度か名前を触れました感染症予防医師で、当初より政府の特命チームで進言をしてきたソーノーブルさんは「たとえ規則ではないとしても、自分で良識のある対応をしてもらいたい」と国民に直で呼びかけています。

「政府に言っても埒(らち)が明ないから」みたいなことも言ってましたね。尾美会長のことを思うと共通のパターンがあるような、ないような。

さて、巷はハロウィーン、教会では宗教改革記念日という十月末日の日曜日ですが、今日は少し取扱いの難しい問題です。

この夏に近隣の教会であったことです。ある外国人の男性が、生活上の困難の相談にやってきました。教会の女性スタッフがそれなりに対応したのですが、その男性は感謝の握手をした際に、その女性スタッフを引き寄せキスしようとしたというのです。

その女性は、当然とてもショックを受け茫然自失みたいになってしまいました。そこへ男性スタッフがやってきて、ことの顛末が明らかになりました。

ところが、そうなると他にもふたりの女性スタッフが、その同じ男性によって同じ経験をさせられていたことがわかったのです。アイスランドでは、そういうセクハラについては、非常にオープンになってきてはいますが、まだまだ自分の内に留めてしまう人もいます。

被害にあった三人の女性スタッフは、いずれも中年以上の婦人でしたので、若い世代ほどはオープンではなかったようです。




パワ・セクハラ辞任のクオモ前NY州知事
Myndin er ur Foxnews.com


その教会では話し合いをし、この男性の振る舞いを警察にレポートしました。レポートというのは、警察が公式に申し立てをファイルすることで、そのようなファイルが溜まると次の段階「起訴」に至ります。

当初より、被害者がkaeraキャイラという告訴に近い訴えをすることもできます。その際は警察が事情を聴取し、送検するかどうかを判断します。今回はキャイラではなくレポートの方を選んだわけです。

この事件は、私のいるブレイズホルトゥス教会と同じ地区にあるため、私たちにも事件の顛末が伝えられ、そのようなことが起こるのを防ぐためには、どのような対処が適切だろうか?ということになりました。

これまた近隣の教会に女性牧師のヒルダさんがいるのですが、ヒルダさんは自身がDVの被害者でした。彼女はまだ若く、極めてオープンに問題を語り、同時に暴力被害者の女性たちのグループのケアの活動もしています。

このヒルダさんを招いて、話し合いが持たれました。適切なコミュニケーションを保つために大切なこととして、例えば「セクハラにあった時はすぐに牧師に報告する」「男性と女性が一対一で教会内にいることを避ける」「一対一で談話室等に入らなくてはならない時は、必ず他のスタッフにその旨を告げておく」等々。

これらのことは、牧師間では、まあ以前から「常識」として守られていることなのですが、教会スタッフに周知徹底しているわけではありませんし、牧師間でもどの程度シビアに守るか?に関しては個人差があります。

ブレイズホルトゥス教会では、もう少し対策を進展させるために、検討委員会を作りさらに話し合いを進めることになり、私もその委員会に入ることになりました。





「そんなつもりじゃなかった」はNo言い訳
内閣府ポスター


で、ちょっと考えてみたのですが、「適切なコミュニケーションを保つ」という名の下に(少なくとも)ふたつのカテゴリーがあると思います。ひとつ目は「特に未知の男性の暴力から女性を守る」ということ。ジェンダーが入れ替わることはもちろんあります。

ふたつ目は「既知の男性、あるいは良く見知った男性のセクハラから女性を守る」ということです。

「未知の男性からのセクハラ、暴力を防ぐ」というのはある程度常識で対処できるだろうと思います。教会には「未知の人物」は相当数訪れるものですが、とにかく「ふたりきりになるのを避ける」「職場環境での『死角』を明らかにしておく」というようなことがポイントで、あとはそれを実際に可能にする方法を探るべきでしょう。

警備会社に直結した「非常用ブザー」なるものもあるそうで、これも検討すべき手段です。

私見では、「見知った仲の人たちの中でのセクハラを防ぐ」ことの方がはるかに複雑な課題です。大体世間を賑わすようなセクハラニュースのほとんどは、見知った仲間の中で起きたものではないでしょうか?

クオモ・前NY州知事の秘書に対するパワ・セクハラや、著名映画監督の女優さんへのセクハラ、スポーツのコーチの選手に対するパワ・セクハラ。ある程度、基礎的な人間関係が確立している場合の方が、対処が難しいように思われます。

その人間関係の中で、gerandiゲーランディ(セクハラの「行為者」)は、「ここまでは大丈夫」という見切りをしてくるわけですから、どうしてもセクハラ等へ強くなれない人がtholandiソーランディ(ビクテム)となってしまいます。

セクハラがパワハラと抱き合わせになっているケースが多いのは、そういう理由があるからだろうと推察します。




こういう本もあるようで 
佐藤律子著 青春出版社


「ふたりきりなるのを避ける」のも職場仲間の間では難しいものがあります。私自身、若い女性牧師とコンビで仕事をしていますが、無人の教会でふたりきりでいることなど日常化しています。

準備、後片付け、話し合い等々あるのですから、これは避けようがありません。まあ、自分はセクハラをすることはないと思いますし、女性牧師の方が虚偽の訴えを起こす心配も持っていません。

唯一、現実にありそうで、気をつけなくてはいけないのが「自分はセクハラと思っていないことがセクハラと受け取られる」ことで、結構のセクハラ加害者がこれを言い訳に使っていますよね。コワッ!

見知った仲同士でのセクハラ防止というのは、最終的には男性が何がセクハラに相当するかを良く認識し、セクハラとは暴力であることを理解すること。ムラムラしない。 いや、ムラムラしても抑えること。

女性の側からしたら、挑発しないことと、何が挑発と受け取られるかについての理解を持つことくらいが実効性のある対策ではないでしょうか?(ここでもジェンダーが入れ替わることもあります)

スッキリ、クッキリの解決がない問題というのは世の中に無数にあるのでしょうが、考えさせられますね。唯一の良い点は、考える中で人間に対する洞察が多少なりとも深まることかなあ?... まあ、そうだといいけど。(^-^;


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

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「ニューノーマル」のリズムに乗り切れないワタシ

2021-10-24 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

金曜日のNスタを見たのですが、東京近郊では一挙に十二月下旬の寒さが到来したとか。画面でも、通りを寒そうにコートの襟を立てて足早に歩く方々の様子が映っていました。

気温は10度くらいまで下がったそうですね。ちょうどレイキャビクではその辺りの気温です。実際はもうちょっと寒くて、3度から10度の間をさまよっています。

私の勝手な体感によると、実際の気温よりも寒く感じられます。今年の冬は寒くなるのかな?と思うと今から既に疲れてきそうです。(^-^;

もう少し半袖シャツを維持しようと思っていたのですが、Nスタのニュースに促されたような気もして、金曜日にシャツの衣替えを敢行しました。初冬用の衣替え。冬本番に入る時、もう一回ヒートテックを引っ張り出す衣替えをします。(*^^*)




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Roma_Ryabchenko@unsplash.com


さて前回、他の北欧諸国に倣って「アイスランドでもコロナ感染対策の故の諸々の制限の撤廃」を求める声が強くなっていることをお伝えしました。そして、それから間もなくして実際にそうなりました。

先週の水曜日の午前零時をもって、大幅な制限の緩和・撤廃がなされたのです。「完全撤廃」ではありません。まだ制限はあります。ですが、かなりの自由が戻ってきました。政府に考えでは、しばらく様子を見て、コロナの逆襲がない場合には、十一月の下旬辺りに完全撤廃に踏み切るつもりのようです。

今回の制限緩和、あるいは撤廃の主なものを挙げてみると、まず一般の集会の人数制限ですが、屋内、屋外を問わず2000人まで集まることができます。ただし、十六歳以下の若者、子供はここでは勘定外となります。ですから、2000人がそれぞれ子供ひとりを連れてきたら、計4000人の集会になりますが、それもOK。

大きなスポーツイベントやコンサートでは、まだこれは事実上の「制限」になり得るでしょうが、それ以外には、この小さな社会で成人のみでの2000人超えの集まりはそうはないでしょうね。

職場やそれ以外の活動時には、1メートルのソーシャル・ディスタンスを取る必要があります。屋内で着席している場合にはその必要はありません。これまでは1メートルの距離を取ることができない状況時には、マスク着用が義務となっていました。これが、今回は「義務」から「お勧め」に変わりました。それから、学校はこの1メートル義務を免除されています。

レストランやパブ等ですが、席間に1メートルの間隔を取ることはまだ義務付けられています。アルコール類の提供は深夜1時までOKですが、営業は2時までとまだ制限が付いています。

こちらでは、飲む人は夜を徹して飲む文化がありますので、パブのオーナーはまだ不平不満があることでしょう。夜の街はその分安全を守られるでしょうが。

プールやジム等は制限フリーとなり、通常の営業に戻っています。




教会でもオープンハウスのような平日の集いも続々と再開


日本でも、新規感染者数がグッと減少してきて、緊急事態宣言の解除に続いて、各地で飲食店への時短要請や酒類の提供制限も終了するとのこと。

イギリスではまた一日平均45000人が新規感染、ロシアでも30000人超えということですので、まだ終わりではない気がします。おそらく「波」は、繰り返しやってくるのでしょう。それでも、日本やアイスランドでの生活が「普通」に戻りつつあるのはありがたいことです。

コロナ後の「ニューノーマル」とかいう言葉を、日本のテレビでよく耳にします。なぜ横文字なのか、ちょっと不思議な気もしますが、独立した意味を持たせるには横文字が便利なのでしょう。

「普通」に戻りつつあるのは私の職場の教会も同じです。一年半以上もサスペンドにされていた、平日の活動等も次々と再開されています。

ということで、私自身も「ニューノーマル・モード」に入らなくてはいけないのですが、それはそれで結構大変なことですね。

コロナ期間中がヒマだったわけではありません。むしろ、ビデオ撮りや編集など、慣れないことをする必要があったりしたので、非常に忙しい時期もありました。

アドベント、街走る動画プロデュューサー


ですが、そういう忙しさとは異なる、なんというか「平常の忙しさ」に再アジャストしなくてはなりません。一年半も別の生活形態を取ってきたので、やはり精神的にも身体的にも「平常」のリズムを忘れてしまっている部分がかなりあることを感じています。

生活のリズムって大切ですよね。リズムに乗っている時は、相当忙しくてもそれほど疲れたりしないのですが、リズムに乗り損なっている時は、大したこともしていないのに「疲れた〜...」ということになってしまいます。




私のいるブレイズホルトの教会 子供たちも戻りつつあります


加えて、これまでも何度か「さあ、ニューノーマルの生活だ!」と仕切り直しをする機会があったもの、その度にまた押し戻されてきました。そういう意味での疲れがたまっていることもあります。

私と同じ教会で、高齢者の方々のために働いているディアコニッセ(看護を中心に社会事業,教区奉仕,教育などに従事する教会職)の女性は、「準備 – また休止」の繰り返しで疲れ切ってしまい、現在療養中です。早く元気になりますよう。

ワタシにとってニューノーマルへのアジャストの一番の課題は「朝」ですね。もともと朝に弱いタチなのですが、コロナ真っ最中の間は、それなりに自分にとって都合の良い時間設定をすることができましたので、とにかく午前中の早い時間にはなるべく予定を入れない、という方針でいました。

もともと教会の牧師さんは、通常の会社勤めや商売をされている方よりは、ずっと時間の自由があるのです。

そういう調子でやってきましたので、ここへきて朝からの会議などがあると、考えただけで疲れてしまいます。




陽が昇れば美しい秋の気配も残っています
Myndin er eftir Vigdis V. Palsdottir


加えてこの時期。寒さが増し、朝の暗さが増してくる頃。それだけでもウツっぽくなってしまう、ワタシにとっての一年の中で最大の危機の時期なのです。

確か、昨年のこの時期は、まさしくコロナのおかげでこの危機に直面せずに過ごせたのだ、と記憶しています。

ですが、やっと辿り着いたニューノーマル。こんなことでめげてはいられない。せっせと寒さと暗さに飛び込んで慣れてしまわないと。なんせ、早十月下旬。あと一ヶ月で、クリスマス一歩前のアドヴェント(待降節)になってしまうのです! 

コロナ期間中も、月日の流れがチョー速かった気がするのですが、コロナが明けてもやっぱり速い。この速さも「ノーマル」なはずなのですが、ワタシの脳内では一向に「ノーマル」として認識されてきません。

やっぱり脳の一部が子供時のままなのかなあ?子供頃はやたらと一年が長かったから。

皆さんも、あと一ヶ月で師走ですね。気温の変化が激しいようですから、お身体に気をつけてこの時期を過ごし、慌ただしい年末へと挑んでください。


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「必要」は「転用」の母 コロナの思わぬ遺産

2021-10-17 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

レイキャビクはすっかり秋めいてきました。九月末からの悪天強風の日々にうんざりさせられていましたが、ここにきて、いかにも「秋」といった感じの、金色の陽光輝く日も現れるようになりました。ありがたや。




清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Ken_Cheung@unsplash.com


この時期、他の北欧諸国はすべて -というのはデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドですが- コロナ感染予防に関する一切の制限を撤廃しています。もっとも国境を越える場合にはまだ制限というか証明提出義務とかがあります。国内制限の完全撤廃、ということですね。

アイスランドでもコロナの緊張感はグッと低くなりました。まだ制限そのものはあります。集会はまだ500人が限度ですし、屋内では1メートルのソーシャルディスタンスをとるか、それができない時はマスク着用義務があります。

最近、陽陰性の簡易検査キットも導入されており、これを事前検査に用いたイベントでは1500人まで集まることが許されています。

実際には人口十万人あたりの新規陽性者指数は151,1で、つまり十万人中151人程度が陽性者であるわけです。470人が隔離されていますし、陽性の可能性があるための予備隔離には1500人余りが入っています。

ですから、まだ「コロナ終わった」というわけではないのですが、その一方で入院者は先週14日の時点で4人、重篤者1人。つまり、感染してはいるけど、特に具合がひどく悪くはならない人の割合が多くなっているわけです。

国が用意している公式の統計資料を見てみると、デルタ株が流行りだした七月中旬から八月中旬までの一ヶ月は、感染者中のワクチン接種済みの人の割合が過半数以上でした。

それが八月下旬からは逆転し、最近ではワクチン未接種の人の割合が三分の二くらいになっています。アイスランドにも頑強なワクチン反対論者はいるのですが、効果は確かなものだといえると思います。

もっとも反対者の論拠は副反応への不安であって、効果がない、ということではありませんが。




グラフ中、青はワクチン接種済み 赤は未接種
Myndin er ur Covid.is


今は街中ではマスクをしている人の数がめっきり減っています。スーパーの中などでも、マスク着用は義務ではなくなっています。私はマスクを付けますが。

面白いもので、国民性みたいなものがあるのかしら?アジア系のルックスをしている人たちは、ほとんどがまだマスクをしています。マスクに抵抗がないのか?コロナへの警戒心が高いのか? どっちでしょうね? 単に癖かも?

そういう状況なので、他の北欧諸国に倣って「アイスランドでもすべての制限を撤廃していいのではないか?」という声が強くなっています。カトリーン首相とスヴァンディース保健衛生大臣は「ポジティブに検討している」と数日前に語っています。

日本でも同じような状況ではないかと思うのですが、医療関係者はそう簡単には同意しません。ソーノウブルさんという感染予防のお医者さんで、当初より対コロナの陣頭に立ってきた方だけが(主な政府関係者の中でということです)、「いや、他国がどうしているということじゃなくて、自分たちの状況と経験から決断しなくてはダメだ」と制限撤廃に慎重姿勢を取っています。

というわけで、まだ完全にコロナを鎮圧したわけではありませんが、それでも「ひとつの章は終わりつつある」という感があります。

さて、そうなると、これまでコロナ関連グッズで儲けていた人たちには幕引きの時となってしまいますね。

私自身、コロナ関連グッズは色々と買い込み試してきました。半分オモチャ気分。(*^^*) それらの使い残しが、まだ結構未開封のまま残っています。

例えば日本のテレビでよく見かけたマウスシールド?っていうのでしょうか?顔の下三分の一くらいを覆う透明なプラスチックのマスクみたいなもの。

これは結構役に立ちました。仕事上、人と会って話しをすることが不可避なことなのですが、普通のマスクをしたままだと、一対一ならともかく、一対多数の時にはどうしても話しづらくなります。

それが、このマウスシールドなら口元も見えるし、声もきちんと届くし、都合の良いものでした。




未使用のままの「グッズ」もかなりあります


もうひとつのフェイスシールド?というのでしょうか、顔全体を覆うような大きな透明プラスチック板。これも買っておいたのですが、一回も使うことはありませんでした。

あれは、お店のカウンターに立つ人とかが使うもものなのかなあ? あとは解剖とか?昔「Xファイル」でスカリーが解剖の時に使っていたような。まあ、その記憶があったので買ってみたのですが。へへ。

そして、最近になってネットで購入したのが、顔全体を覆うお面のようなプラスチックマスクです。フェイスシールドと違うのは、とにかくフェンシングのマスクのように、隙間なく顔を覆うことです。

これ実はFacebookのアドで初めて見たのですが、一般からは恐ろしく不評の代物でした。「こんなもの付けて歩けるか?」「何から守ってくれるの?」「前代未聞の無用の長物だ」とか散々。




ケチョンケチョンに言われている対コロナマスク


にもかかわらず、ワタシは25ドルをはたいての購入を決心しました。一ヶ月前。そして、届きました先週の木曜日。試してみましたが、なかなかしっかりできていて、クズではないです。

「届いた頃には、コロナが終わってたんでしょう?」とお思いでしょうが、ワタシはこれをコロナの故に買ったわけではないのです。ワタシには、ちゃんとした使い道がはっきりと見えていたのです!

それは、雨混じり強風、雪混じり強風とかの、アイスランドのカメハメハーンの中を歩いて行かなければならない、という状況の時に使う予定のものなのでした。

カメハメハーン? アイスランディック・ストーム


よくあるんですよ、そういうこと。これからの長い冬の日々には。頭はあのラックに付いているフードで覆えますが、顔面はノーガード。風が当たるは、雨や雪が当たるはで、痛いのなんの。とても前を見ることはできず、うつむいたままで歩かざるを得ません。

そうなると、それはそれでとても危険なことなのです。前方不注意で。

この、もともとはコロナ対策用の、チョー不評なマスクを見た時、「これだ!」と思ったのでした。これがあれば、風だろうが、雨だろうが、雪だろうが、怖いものなし。まあ、雪がくっつくと手でワイパーをしないといけないでしょうが。




逆光ドライブに対抗するダブルサングラス


時に、「必要」が身の回りのものの思いがけない利用法を閃かせることがありますね。数日前には、別の体験をしました。

秋の快晴だったのですが、車の運転には支障もあり、目の前に太陽が輝いてしまっていたのです。これは冗談でなくチョー危険。サングラスだけでは、陽を遮る強度が足りないのでした。

そこでフと気がついて、車に置いてある別のサングラス状のメガネを併用してみました。このサングラスは「Sun」用ではなく、雨天での夜間走行などの際に、対向車のライトのギラギラ等を抑えるために使うものです。

便利なのは、そのため普通の眼鏡をしてても、その上に重ねて使えるようにデザイナれていることです。だから、サングラスをし、その上にこの「サングラス」を重ねることができるのでした。

これは、かなりビンゴ!で、びっくりするくらい太陽光をシャットアウトすることができました。これで運転が楽になる。

こういう思いつきが図に当たると、「なんとオレは頭がいいのだろう」と惚れ惚れとしてしまいます。ウヌボレとも言いますが。

もうひとつの「コロナ対策マスク転じてカメハメハーン対策マスク」も実際に試してみる日を楽しみに心待ちにしております。


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筋トレと語学学習は裏切らない! ...か?

2021-10-10 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。アイスランドでは相変わらず荒れ模様の天気が続いていました。レイキャビク界隈に限って言いますと、三日強風の日が続いて、一日穏やかな日がやってくるという感じです。

その間に、時折陽の光が降りてくるような。十月は以前はとても寒くなることがあったのですが、ここ数年は地球温暖化の影響か、そのような十月の冷え込みはなくなっていました。

ああ、二年ほど前に、それでも急な冷え込みで動けなくなり「アイスマン化」したのを覚えています。でもあれは、十一月間近だったような。

「そしてワタシはアイスマンとなった...」




清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Hari_Nandakumar@Unsplash.com


政治ですが、選挙から二週間経ちましたが、まだ組閣は終了していません。っていうか、組閣の「そ」がようやく始まるかどうか、というくらいののんびりさです。

続投が確定視されているカトリーン現首相は、「十一月には新政権が明らかになるでしょう」とか呑気なコメント。

実はこれ、先週書きました「開票時の数え間違い」とそれにつれて明らかになった北西選挙区での「投票用紙手抜き管理」問題のせいで、現在四人の落選候補から、個別に訴えが起きていることも関係しています。

選挙管理委員会はすでに「これで決まり」と、再投票の可能性を否定していますし、まあ大方の議員さんは同調しているように見受けます。そうでしょうね。自分が当選しているのだから、それを覆しかねないことはしたくないでしょう。

ですが、四件の訴えの顛末が見えてくるまでは、何というか「喉に刺さった小魚の骨」みたいな感じで「ごちそうさま。さあ、次へいきましょう」とはなれないのです。「だから十一月くらいまでは、あまり先へ進めない」ともカトリーン首相の弁。早くスッキリしてもらいたいものです。

金曜日には痺れを切らした?アルシンキ(国会)が、そのホームページに当選議員のリストを公式に掲載しました。既成事実的に訴えを押しのけようという企みに見えないこともない気がします。




国会は痺れを切らして当選議員リストを公開
Myndin er ur Visir.is


さて、今回はまたアイスランド語について少々。別にアイスランド語でなくても良いのですが、新しい言葉の学習関連です。

実は私の娘の娘が(「孫」という言葉は私の辞書にはありません)夏に一歳になりました。子供によっても差はありますが、このくらいから子供っていろいろしゃべり始めますよね。

実はこの子がしゃべり始める前から、私を「ミスターT」と呼ばせようとしていたのですが、結局私を見ると「じっちゃん」と呼ぶようになってしまいました。敗北...  ですが、呼ばれてみればそれはそれで嬉しいもので。

私の子供たちふたり(今は成人)の場合を思い出してみると、言葉の能力は均一に伸びていくものではなく、あまり進歩が見られない日々が続いた後、突然ドカッとしゃべり始めるようなことが、何度もあったように思います。

ふたりとも、生まれた時から日本語とアイスランド語で育てられました。私は日本語だけで話しかけ、お母さんがアイスランド語だけで。そういうバイリンガル環境の子供たちは、それなりの学習の特徴というものがあります。

うちの子供たちもそれなりに苦労はしたと思いますが、成人した時点ではすべて乗り越えてくれています。子供たちとは今でも日本語だけで話しをしています。

子供たちにとってはアイスランド語も母国語ですが、ワタシにとっては、それは「ザ・外国語」です。昔も今も。で、今度は私自身の体験です。

アイスランド語については、自身の体験も含めてこれまでに何度も書いてきました。ですから多少重複する部分があったとしてもご容赦ください。m(_ _)m

三十年近くこの地で生活しているにもかかわらず、私のアイスランド語は「まあまあ」の域を出ていません。

読み書きはそれでも生活の上では十分な域に達していると言えるでしょう。リスニングは、トピックによってだいぶ左右されます。

一番難しいのは話すことで、単語が複雑に変化し、互いに影響しあいますので、瞬時に文法的に適合する文を準備することは、私にはほとんど不可能なものです。

ですから、話しをするのは全般的に苦手です。礼拝のお説教のように、用意されたスピーチはまだ準備のしようがありますが、その場でのフリートークはものすごくハードルが高いのです。ほとんどあきらめの境地。

アイスランド語との苦闘 「ジェラード保安官がアイスランド語をしゃべったら」




「逃亡者」の中でのジェラード・USマーシャル捜査官
Myndin er eftir Slashfilm.com


職場での気楽な雑談時でさえ「これはどのように言うか」を心に留めてからでないと話しができないような日常でした。そういうのが、そうですねえ、十五年くらい続いてきたでしょうか?

自分でも、それはそのようなものとして付き合うこととし、現実として受け入れて生活するようになりました。それでも、口がなめらかになるように、アルンナルドゥル・インドリーザソンの小説とかを、ちょっとずつ音読したりすることはありましたが。努力はしてるんだよ、今でも。

その一方で、七年ほど前から、難民の人たちとの集会を始めたのですが、そこでの言語は英語が主役。私は英語も別に母国語ではないし、だいたい英語を話す社会で暮らしたことさえない。雑談時はいいのですが、きちんとしたお話をするには準備が必要となります。

いかに大雑把な文法で英語を済ませてきたかを今さらながら思い知らされます。例えば、定冠詞か不定冠詞か?というお馴染みの課題もありますし、加えてAを付けるか何もなくていいのか?というのは必ずついて回ってくる疑問です。いまだに未解決。

そういうわけで、英語にも注意を向けないといけない生活となりました。「やばいな、これではアイスランド語はますます向こうへ押しやられてしまう」と自分でも不安になったくらい。

それからさらに二、三年経って、今いるブレイズホルトゥス教会にオフィスが移りました。当然そこではスタッフ会議じゃなんじゃとアイスランド語での仕事も多いのですが、ある日気がつきました。「フツーにしゃべってるじゃん!」

そうなんです。ここにきて、会話が以前よりはずっとスムーズにできるようになっていたのです。もちろん、それでもFrabaer(素晴らしい)には程遠いのですが、そんなに事前に考え込まなくとも、大概のことは言えるようになっていたのです。




私が使っていた古典的な文法書 私には役に立ちました


これ、正直に言いますが、自分でも気がついていなかったことなのです。ある日、そうなっている自分に気がついたのです。

その原因がなんなのか、皆目見当がつきません。アイスランド語より、英語の文法を調べるような日々になっていましたから。

もしかしたら、英語の学習刺激が脳内の言語学習領域に侵入してきたので、それにより、それまでハイバーネート状態に陥っていたアイスランド語の学習部分が刺激されて、活性化したのかもしれません。(まったくの空想ですので、念のため)

ですが、これも先に述べました「突然ドカットくる」体験のひとつであることは確かです。何かちゃんとした理由があるはずなんですよね。知りたいものです。

というわけで、語学学習がなかなか進まずにイライラしたり、落ち込んでいる方もあろうかと思います。ですが、必ずその投資は帰ってきますので。あきらめずにチャンネルを開いておくことをお勧めします。

特に高齢者の方。筋トレと語学学習は、高齢者にも必ず報いてくれます。ただ、筋トレは結果がすぐに付いてきますが、語学は多少時間差があるようです。大切なことは、それでも無駄にはならない、ということをわきまえておくことでしょう。頑張りましょう!


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ささやかな数え間違いと大きな影響

2021-10-03 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

早い。早過ぎる。もう一年の最終四半期だなんて。こちらではここ二週間くらいは荒れ模様の天気が続いていました。先々週にはこの冬一発目のオレンジ警報(五段階で上から二番目の警報)がレイキャビクを含む、全国の四分の三くらいの地域に発令。

西部、北西部では雪もかなり降り、まだ放牧中の羊が十数匹死んでしまうというニュースも入ってきました。農場の人たちはもちろん羊を助けに出ていくのですが、「羊は毛に水を吸ってしまい、とても重くなり、ひとりの力では動かせなくなる」とかで、とにかく大変だったようです。

ここ数年、十一月くらいまで衣替えしないできたのですが、今年は九月下旬であの寒さ。ちょっと先が思いやられます。




清涼感アップ用のピック
Myndin er eftir Vincent_Guth@Unsplash.com


さて、選挙の結果です。一週間たった今でも「一応の結果」です。その点は後で説明しますね。

まずは、各党の獲得議席数と支持率です。
独立党(現与党) 16議席(+-0) 24,4%
進歩党(という名前の保守党 現与党) 13議席(+5) 17,3%
緑の党(現与党) 8議席(-3) 12,6%
社会民主連合 6議席 (-1) 9,9%
人々の党(という名前の右派ポプリスト党) 6議席(+2) 8,8%
ピラター(海賊党) 6議席(+-0) 8,6%
ヴィスレイセン(再生党) 5議席(+1) 8,3%
中道党(という名前の腐敗党) 3議席(-4) 5,4%

社会主義党 0議席 (4,1%) (*得票率が5%に満たないと議席は得られません)

というわけで、単純に足し算をすると現政権が過半数以上の37議席を確保したことになります。アイスランド大学の政治学の教授が、「与党が次回の選挙で支持を伸ばすのは極めて異例のこと」とか言っていたように思います。テレビのインタビューだったので、確認しようと思ったのですが見つけられませんでした。悪しからず。m(_ _)m






選挙結果です
Myndirnar eru ur Visir.is


今回は、ずいぶんと事前リサーチの結果からズレたものが出てきた感があります。一番意外だったのは、直前リサーチでも7%の支持を得ていて、4議席くらいを得るはずだった社会主義党が、実際には5%に届かず議席を得ることができなかったことです。

さらに、12,7%の支持で緑の党を超えていた社会民主連合が、実際には9,9%で議席減。逆に13,2%の支持だった進歩党は、実際には17,3%まで支持を伸ばし5議席増。今回の選挙の勝者となりました。

惜しかったのは中道党(という名前の腐敗党)で、事前の支持率6,2%の下を行く5,4%の結果。あと0,5%低かったら、国会から消えてくれていたはずなのに、惜しかった...

結果が出た当初は、私は独立党、もしくは進歩党が首相の座を要求するのではないか?と考え、そうなると現首相を出している緑の党は連立から抜ける。となると、連立工作は非常に難しい状況になるのでは?と考えました。

ですが、一週間経った昨日、土曜日の午前中に、カトリーン現首相がグビューズニ大統領を訪れ、現連立政権を維持する旨を伝えた、と報じられました。ワタシ的にはちょっと意外。

ところで、始めに選挙結果はまだ「一応の結果」と書きました。そのわけを説明します。実は六つある選挙区のうち、北西選挙区で得票の数え間違いがありました。数的には「小さな違い」だったのですが、議席配分には大きな影響が出ました。

一時期「アイスランド国会 女性議員が過半数 歴史上初!」みたいなニュースが流れました。その時点では、男性議員30人に対して女性議員が33人。これは、アイスランド国外でも取り扱われたようです。

ところが、この数え間違いのせいで、五人の「当選議員」が、別の五人に入れ替わってしまい、その結果男性議員が過半数をキープしてしまったのです。




首相続投で満足気なカトリーンさん
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このゴタゴタの基盤には、こちらでの選挙制度の中で重要な働きをしているJofnunarthingssaetiヤブヌンナーシンクスサイティというものがあります。意味は「バランス調整議席」みたいなものでしょうか?

アイスランド国会、アルシンキの63議席のうち、9議席がこの「バランス調整議席」として割り振られています。

これ、超複雑な仕組みで、どのように機能するのか、私もはっきりとは把握していません。かなり突っ込んで勉強しないとそのメカニズムはきちんと理解できないだろうと思います。

ですがその目的とするところは、全国を通じての「一票の格差」を是正するところにあります。日本でもよく指摘されることですが、例えば小選挙区制度で、東京のある候補者が五十万票を得ても次点で落選するとします。

一方で地方の選挙区で十五万票獲得の議員が当選。そうすると、五十万票で落選する人と十五万票で当選する人があるわけですよね。そうすると「じゃあ、その差の三十五万票は価値がないのか?」みたいになり、歴然として「一票の価値のズレ」が生じてしまうことになります。

そういうことを是正する目的でこの「バランス調整議席」は設けられています。要するに全得票数に見合う議席の配分になるように、当選議席の配分を調整していくわけです。

今回、勘定間違いの発覚によって入れ替わった五人の人たちは、皆、この「バランス調整議席」によって議席を得ていた人たちでした。専門家の話しでは、どうやら「絶対数としては小さな得票数の差でも、『バランス調整議席』に大きな影響を与え得る」ということらしいです。

すみません、完璧に仕組みを理解できていないので伝聞形式になります。




「勘定間違い」で追い出された五人(下)と御当選の五人(上)
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ですが、それだけではないのです。この勘定間違えの原因を調べていく中で、北西選挙区での投票用紙の管理方法に「手抜き」があったことが明らかになってきたのです。

日本でも同じようなプロセスだと思うのですが、投票用紙はきちんと箱に保管され、箱には鍵がかけられ封印用紙が貼られます。さらに保管場所には鍵がかけられ、また入場も制限されるはずです。

それが北西選挙区の開票が行われた、ボルガネスという町のホテルなのですが、開票場のホールには鍵がかけられていたものの、投票用紙保管箱には封印がされていなかったことが明るみに出たのです。

これは、そのことによって、投票用紙が不正に追加されたり、盗まれたりした、ということではありません。問題は、きちんとしたプロセスが守られておらず、そのこと自体が選挙管理法に違反することになることなのです。

一部には北西選挙区での再投票を求める声もあります。ですが、これは私の私見ですが、一選挙区だけでの再投票は不公平ですよ。だって、もう大勢が明らかになっているのですから、その大勢を前提にして再投票する人も出てくるでしょう。

例えば、みんなが社会主義党を助けようとして投票すれば、おそらく社会主義党は5%の得票率に達して議席を得ることになります。だから、再投票するなら全国で、という必要はあるでしょう。

どういう顛末になるでしょうかね?多分、このままでいくのではないか?という気がしますが。

またしても、「これがアイスランド!」という感じの出来事でした。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

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