レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「想定外」があったユーロビジョン?

2022-05-21 20:11:49 | 日記
こんにちは/こんばんは。

レイキャビクは時折「夏」を感じさせてくれる陽気になってきました。気温は10℃を超えるかどうかですが、太陽が出てくると時折15℃に近づくこともあります。そうなると「暑い」です。

四月中に夏日を記録していた日本とは大違いですが、「暑い」「涼しい」は大抵の場合「ないものねだり」の会話になってしまいますね。(*^^*)




清涼感アップ用ピック1
Myndin er eftir Square_LAb@unsplash.com


さて前回は、14日の土曜日に決勝が行われたユーロビジョンに触れました。日本でも結果が報道されたと思いますが、結果はウクライナの優勝となりました。

Kalush Orchestra というバンドのパフォーマンスによるStefaniaという歌が優勝曲です。二位はイギリスのSam Ryderさんの歌うSPACE MAN。アイスランドの「姉妹」は結局下から三番目の二十三位。

私自身は昨今のユーロビジョンの歌曲にはほとんど興味がありませんので、今回も歌の部分はまったく見ませんでした。ただ、ポイントの発表の部分は結構面白いので、その部分(全体の放送時間の四分の一強くらい?)だけフォロー。毎年、こんな感じでです。

採点は二部構成で、まずヨーロッパ(プラス、イスラエルとオーストラリア)のテレビ局のそれぞれが任命したジャッジの採点結果を発表します。参加25カ国にすべて回していきますので、結構時間がかかります。

ポイントは12点が最高で、11点はなく、次いで10点。次の9点もなく、それから1点刻みで減っていき最小得点は1点。11点と9点がないのでないので、トータル10カ国が点を得ることができます。自国の曲には点を与えることはできません。

この各国テレビ局のジャッジによる採点。始めの五カ国くらいの審査の結果を見ると、おおよその「形」が現れてきます。今回は、スペイン、ギリシャ、イギリスあたりがリーディング国という感じでした。

第一部の各国テレビ局ジャッジの結果では、イギリスが283点でトップ。スウェーデンが僅差の258点で二位。次いでスペイン231点。ウクライナは、この第一次ジャッジの結果では192点で四位。




清涼感アップ用ピック2
Myndin er eftir Einar_H_Reynis@unsplash.com


採点の第二部は視聴者による直接の投票によって行われます。投票といっても携帯からのSMSですが。これも当然ながら、自国に投票することはできません。っていうか、例えばアイスランドの携帯からアイスランドに投票することはできません。各国の携帯局を通して投票が行われるので、この点をコントロールしているようです。

この視聴者の直接採点は、全体の採点の半分を占めます。つまり、テレビ局任命のジャッジと対等の採点権があるわけです。というか、実際はそれ以上の権威があるのでは?と思います。視聴者採点の実際数の方が大きように思われますので。

司会者もご丁寧に「テレビ局ジャッジの採点は終わりましたが、これはまだ半分。後半何が起きるかわかりませんよ」と解説、はたまた警告?

確かにテレビ局ジャッジと一般視聴者の評価は同じではありません。テレビ局ジャッジは、一応それなりの見識を持った方々が選ばれているはずです。評価もそれなりのものとなるでしょう。

対して一般視聴者の方は、自身の感覚というか、曲よりも歌い手が好きか嫌いとか、個人的な思い入れで投票できます。

始めにこの「ギャップ」が出たのがモルドバへの採点。モルドバはテレビ局ジャッジでの特典が僅か14点。それが一般採点では239点を獲得。239点というのは、テレビ局ジャッジでの三位のスペインの231点を超えています。

その他にも、テレビ局ジャッジで36点だったノルウェーが、視聴者ジャッジでは146点を得たりしました。

対して、第一部採点で一位二位だった、イギリスとスウェーデンは、それぞれ183点と180点と、いずれも第一部採点を下回る得点です。

そういう展開だったので「この分だとウクライナは300点くらい行くんじゃないか?」と思って見ていたのですが、結果はなんと439点! これで一躍トップに躍り出て、そのまま逃げ切りました。




ユーロビジョン2022 ファイナル
Myndin er ur Wiwiblogs.com


で、この結果に関してはいろいろ言われました。「これ、パフォーマンスされた歌曲に対しての評価なのか?ウクライナの今の現状に対する応援得点なのか?」

アイスランドにいるウクライナ難民の中からさえ「今回のユーロビジョンでは、アートではなく、政治が焦点になってしまった」という声が聞かれましたよ。

まあ、ウクライナの現状に関しての応援メッセージというのは、確かに相当あったのだろうと思います。ですが、私は個人的には、それよりも一般視聴者の採点システムに「想定外」の穴が空いてしまったのではないかと考えます。

アイスランドの携帯局を通してはアイスランドには投票できないシステム、ということは先に書いた通りです。ですが、ウクライナからは五百万人超の人々が難民となって国外へ逃れています。

半数は子供でしょうが、大人の人たちはおそらく逃れた先でその国の携帯番号を得ることでしょう。アイスランドではそうなっています。その人たちが、当然のことながら自国に投票したのではないか?と。

つまり、仮に二百万人のウクライナ難民が、ポーランドやルーマニア、その他の国々からウクライナに投票したのではないかと思うのです。そうなると、これは政治的メッセージというよりは、普通の意味での愛国心、あるいは自国文化への思慕と考えて良いのではないでしょうか?




優勝したウクライナのKalush orchestra
Myndin er ur Eurovision.tv


私は、今回も参加曲はまったくといっていいほど聴いていません。だから、イギリスの曲がどんなだったか、スウェーデンの曲がどうだったか、まったく知りません。

ウクライナの曲も知らなかったのですが、勝利者の最後のアンコール披露でちょびっと聴きました。半分くらい聴いてネットを閉じましたが。私には何の魅力もない歌でした。スミマセン... m(_ _)m

これらの曲をご自分でジャッジしたい方はこちら:

優勝Kalsh Orchestra (Ukraine) :“Stefania”

準優勝Sam Ryder (UK): “SPACE MAN”


今回のユーロビジョンに、現在のヨーロッパの政治事情が覆い被さったことは確かです。全然無関係だったら、その方が問題がありますよ。

ただ、その結果、本来の音楽の祭典としての性格、目的が歪められてしまったのか、否かは、そう簡単には結論付けられないかもしれませんね。

音楽、とりわけポップスのような庶民の日常に密接している音楽というのは、人々の社会環境や政治状況から中立ということはあり得ないことなのでしょう。

めずらしく、ユーロビジョンに考えさせられてしまったワタシでした。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Church home page: Breidholtskirkja/ International Congregation
Facebook: Toma Toshiki
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