(第1話から読んでください)
エサやりさんとそれをサポートする三毛猫のミイ。近所では、有名なコンビになった。
もちろん、捨てられている猫の世話をしている彼女を快く思っていない人たちもいた。
あるときは、いくつか置いた猫のエサの皿が、すべてひっくり返されていることがあった。
もっとも悪質だったのは、エサに防虫剤を混入されたときだった。猫たちは遺物の混入を察して、口を付けなかったからよかったものの、食べたら死んだ猫もでていただろう。
ある日、近所からの通報を受けたからと、わざわざ役所の人が来たこともあった。
「あなたの猫ですか」
「世話をしているけど、私の猫というわけじゃないよ。みんなで面倒を見ているんだ」
「どなたでも構いませんが、家の中で飼っていただけないですか」
「うちは公営住宅だから飼えないよ」
「エサをあげていることで、近所から苦情が来ているんですが」
「だれもエサをあげなければ、このコたちは収集されたゴミを漁るようになるよ。それでもいいのかい?」
「……」
「捨てる人がいるから世話をしているんだよ。猫じゃなくて、簡単に命を捨てる人間をどうにかしな! それでも文句があるっていうんなら…」
彼女は、そういうとミイを抱き上げて、保健所の職員の顔の前につきだしていった。
「あんたたちが連れて行ったら殺すんだろ。連れて行って、殺せばいいじゃないか!」
彼女のいわば「大芝居」だった。助演のミイも職員をじっと見つめた。
職員は申し訳なさそうに、引き上げその後、二度と来ることはなかった。
職員が引き上げたのを確認すると彼女はミイの顔を自分のほうに向けて抱き直し、ホッとしたような表情で言った。
「ご苦労さま、いい芝居だったよ」
ミイはちょっぴり照れたようにぺろっ舌を出して鼻を舐めた。
エサやりさんとそれをサポートする三毛猫のミイ。近所では、有名なコンビになった。
もちろん、捨てられている猫の世話をしている彼女を快く思っていない人たちもいた。
あるときは、いくつか置いた猫のエサの皿が、すべてひっくり返されていることがあった。
もっとも悪質だったのは、エサに防虫剤を混入されたときだった。猫たちは遺物の混入を察して、口を付けなかったからよかったものの、食べたら死んだ猫もでていただろう。
ある日、近所からの通報を受けたからと、わざわざ役所の人が来たこともあった。
「あなたの猫ですか」
「世話をしているけど、私の猫というわけじゃないよ。みんなで面倒を見ているんだ」
「どなたでも構いませんが、家の中で飼っていただけないですか」
「うちは公営住宅だから飼えないよ」
「エサをあげていることで、近所から苦情が来ているんですが」
「だれもエサをあげなければ、このコたちは収集されたゴミを漁るようになるよ。それでもいいのかい?」
「……」
「捨てる人がいるから世話をしているんだよ。猫じゃなくて、簡単に命を捨てる人間をどうにかしな! それでも文句があるっていうんなら…」
彼女は、そういうとミイを抱き上げて、保健所の職員の顔の前につきだしていった。
「あんたたちが連れて行ったら殺すんだろ。連れて行って、殺せばいいじゃないか!」
彼女のいわば「大芝居」だった。助演のミイも職員をじっと見つめた。
職員は申し訳なさそうに、引き上げその後、二度と来ることはなかった。
職員が引き上げたのを確認すると彼女はミイの顔を自分のほうに向けて抱き直し、ホッとしたような表情で言った。
「ご苦労さま、いい芝居だったよ」
ミイはちょっぴり照れたようにぺろっ舌を出して鼻を舐めた。