日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

日本共産党東京都議会議員の池川友一のオフィシャルブログです。地方政治の現場からいろいろと発信していきます。

もっと想像力を持って施策をやらないと、現場はついてこない──労働条件の改善として緊急であり、子どもの教育条件としてきわめて大切

2019-10-07 | 学んだこと、政策のこと

 4日の中教審初等中等教育分科会で、「もう、やってられない」と現場の校長先生が発言したことが、教育新聞で報じられています。(「もう、やってられない」 中教審で現場教師の本音訴え

 記事から引用させていただくと、

 「本当に時間的には一杯一杯なのに、(残業時間を減らす)働き方改革をやれ、と言われる。そこに新しいことをやらなければならない。現場では『言っていることと、やっていることが、全く違うじゃないか』と思っているのが現実だ」

 もっと想像力を持って施策をやらないと、現場はついてこない。現場がついて行きたいと思っても、ついていけない。次から次に要求があり、そこに働き方改革と言われる。これでは『もう、やってられない』と、現場の教師は思ってしまう」

 「もっと想像力を持って施策をやらないと、現場はついてこない」という言葉は、とても重いと感じます。教育行政に対してはもちろんですが、議会も同じことが言えます。

 学校現場は、新しい取り組みの重要性が語られる時、何かこれまでの取り組みを見直すということが苦手だという話を聞いたことがあります。新しいものを増やすならば、これまでの何かを見直さなければ、とにかくやることが積み重なっていくことになるわけです。

 ユネスコの「教員の地位に関する勧告」では、「教員は、職責の遂行にあたって学問の自由を享受するものとする。教員は、生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を特に有しているので、教材の選択及び使用、教科書の選択並びに教育方法の適用にあたって、承認された計画のわく内で、かつ、教育当局の援助を得て、主要な役割が与えられるものとする」と明記しています。

 教員のなり手が少ないという問題が深刻ですが、先生の働き方それ自身は教育条件の根幹です。

 日本共産党は、「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を ―学校をよりよい教育の場に―」を発表し、この立場で国でも地方自治体でも力をつくしています。

 この政策の最後の節で次のように述べています。

「教育とは何か、教職員とは何か」を大切に

 教員は労働者であるとともに、教育の専門家です。子どもたちは、人類が蓄積した文化を学び、他者との温かい人間関係のなかで、一人ひとりが個性的に人として育ちます。その人間形成を支える教員の仕事は、自らの使命への自覚、それと結びついた広い教養や深い専門的な知識・技能が求められる、尊い専門職です

 そうした教員の専門性の発揮のためには、それにふさわしい労働条件が必要です。授業の準備、子どもへの理解や対応、教育活動のふりかえり、教育者であり続けるための研究と人間的修養――それらが人間らしい生活のなかで保障されなければなりません。同時に、教育の営みには、教育者としての一定の自主的権限や自律性が必要です。これらのことは、教員以外の学校職員にとっても大切な観点です。

 ところが今、教員は「ブラック」といわれるような異常な労働条件におかれ、教育の専門職に必要な自律性も奪われています。そのもとで、子どもの実情や保護者の願いに応じた、柔軟で人間味のある教育がむずかしくなっています。

 日本共産党は、こうした教員のおかれた状況の打開を強く求めます。

 本提言の目的、教職員の異常な長時間労働の是正は、その重要な一つです。同時に、まともな労働時間の実現は、専門職としての誇りと自覚をつちかう土台ともなるものです。

 日本共産党は、多くの国民と教職員のみなさんと力を合わせ、教職員の異常な長時間労働をなくすために、全力をつくします。

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「よく切れる刀を持つ者が必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である」──徴税強化が行われている税務行政の現場の人たちに読んでほしい一文

2019-08-31 | 学んだこと、政策のこと

 やはり、原則に立ち返ることが大事だと感じています。

 それは、税などの徴収が強化され、税務行政として如何なものかと感じる場面での話です。

 地元の町田市では、共産党市議団のもとに差押えにあったという相談事例があとを絶ちません。

 話を聞いてみると、それはとても丁寧に話を聞き、きめ細かく対応したとは言えない事例もあります。

 「換価の猶予」「滞納処分の執行停止」など、経済的に厳しい状況の方々が滞納してしまった場合に活用できる制度はあるものの、とにかく言葉がむずかしいことに加え、実際の相談現場では制度の紹介すら行われていないことも少なくありません。

 町田市議会では、殿村健一市議団長を先頭に、この徴税強化の課題に挑んでいます。私も、市議団との連携をはかりながら、都議会でも質問に臨んできました。(参考:「生活再建型」の滞納整理が必要です

 殿村市議を通じて、接した文書の中に、我妻栄氏の『国税徴収法精解』があります。

 我妻氏は、新国税徴収法の改正作業にあたった租税徴収制度調査会の会長を務めた方です。

 『国税徴収法精解』の序で、我妻氏が次のように述べていることは、税務行政に携わるすべての人が一度は接することが必要だと思います。

 以下、少し長いですが、引用します。

 ただこの際ぜひ述べておかなければならないことがある。それは他でもない。新国税徴収法の認める租税債権の優先的効力も、その徴収にあたって用いうる強制力も、その運用を極めて慎重にすべきことが諒解されているということである。私債権が他の債権に優先する効力を与えられる場合には、法律にその要件が極めて正確に定められている。また、その執行のために認められる強制力については、極めて慎重な規定がある。それに反し、租税債権については、優先的効力の範囲にも、その用いうる強制力の程度にも、徴税当局の認定と裁量に委かされている幅が相当に広い。このことは、単に近代私法取引に対する例外であるだけでなく、近代法治国家の公権力の作用としても、異例に属する。にもかかわらず、調査会がこれを承認したのは、納税義務者の態度に如何によってはかような制度を必要とする場合があることを認めたからである。いいかえれば、これらの優先的効力の主張も、強制力の実施も、真に止むをえない場合の最後の手段としてはこれを是認せざるをえないと考えたからである。従ってまた、徴税当局がこれらの制度の運用に当っては慎重の上にも慎重を期することが、当然の前提として諒解されているのである

 このことは、この書を熟読すれば直ちに理解されることである。いや、私は、徴税の仕事にたずさわる人々にこの点を諒解させる資料を収めることにこの書の最も大きな値打ちがあるとさえ考えている。徴税事務の第一線に働く人々が、万一にも、調査会の到達した結論だけを理解して、そこに到達するまでに戦わされた議論と費やされた配慮のもつ意義を知ることを怠るようなことがあっては、調査会の三年にわたる苦労は生命を失うことになる

 よく切れる刀を持つ者が必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である。不必要に切ってみたい誘惑さえ感ずるものである。本書がこれを戒めるためにも役に立つことを希望してやまない。

 「慎重の上にも慎重を期することが、当然の前提」というのは、極めて重い言葉です。

 国税徴収法を定めるにあたり、築き上げられたこの精神に立った税務行政になるよう、求めていきます。

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学校に「まっとうな問いに向き合える時間と場」が保障されることが、本当に必要です

2019-07-23 | 学んだこと、政策のこと

 「しんぶん赤旗」の連載で、楽しみにしているものがいくつかあるのですが、その一つが「自由と安心の中で育む学びと交わり」です。

 自由の森学園の菅間正道先生のコラム。

 1回目、2回目と吸い込まれるように読みましたが、3回目(7/23付)も本当に学ぶことばかりです。

 テーマは「『どうしたいか』こそ」

 公立中学校卒業後、自由の森学園に入った生徒が述懐する言葉に、今の社会の閉塞感や生きづらさを見るような思いがします。引用します。

 「小・中学校時代は、教師が何を正解としているのかを瞬時に察知した。そこに自分を合わせていくことにどんどん長けていって、何の矛盾も感じなかった。でもこの学校ではそれが通用しなかった。何が正解なのか自分で考えなくてはいけないので大変だったけど、それがとても良かった」

 「とにかく友だちからどう見られているのかが気になって仕方がなかった。ちょっとした言葉、服装、浮かないように、はみ出さないようにすごい気を使って疲れ果てた。でもここに来たら、今までのクダらない悩みは何だったんだろうと思った」

 色々な葛藤の中に、自分の言葉で生徒たちが語る姿は、紛れもない本音であり実感です。菅間さんがこの生徒の言葉を引き取り、次のように書かれています。

 表現される言葉はさまざまだが、垂直(親・教師)、水平(友だち・クラス)の関係において、過剰に気遣いし、演技し、自分を押し殺し、生き凌いでいる姿が見て取れる。私自身の無邪気でのどかな中・高生時代と比べても、その苛烈さに胸が痛む。

 こういう視点から教師が子どもたちの現実を捉えているでしょうか。小学校時代からあらかじめ学校が決めたルール=「スタンダード」を守らせ、少しでもはみ出したら叱責するという場面も少なくありません。

 「なぜ」と疑問を持ってしまうと、ついていけなくなってしまうので疑問を持たないように「こういうものだ」と思うようにしていたという話は、様々な場面で聞いてきました。

 菅間さんが、垂直と水平の関係という表現に「なるほど」と膝を打ちました。

 そして、「背景分析はともかく、ひとつ確かに言えることがある」と次の言葉で結ばれています。

 自由と安心の中で、深呼吸をし、自分は何者か、どうしたいのか、どう生きたいのかという、まっとうな問いに向き合える時間と場を保障し、それを通じて「俺/私もまんざらではない」という自分をつくること─。それこそが中等教育の大切な使命であるということである。

 本当にしびれました。

 子どもたちから、3つの間(空間、時間、仲間)が失われていると言われて久しいですが、そうした中で育つ子どもたちとどう向き合っていくのか。この菅間さんの「確かに言えること」が、学校で保障され、まんざらでもないという自分をつくることができたらどれだけいいかと思いました。

 また、垂直と水平の間にある、ナナメ上の存在(一歩前をゆく先輩)の存在もとっても大事だなというのが、私自身が育ってきた中で感じていることです。逆にナナメ下(ちょっとだけ後輩)との関わりから学ぶこともたくさんあります。

 「なんでそう思ったの?」「どうしたいの?」という問いを大切に投げかけ、キャッチボールできるような関係性でこそ、成長できると思うのです。

 この連載、今後も期待しています。

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加齢性難聴公的支援乏しい日本──共産党、補聴器購入補助など要請

2019-05-24 | 学んだこと、政策のこと

 加齢性難聴支援が急がれています。(上の記事は、5月23日付「しんぶん赤旗」。画像をクリックするとPDFファイルが開きます)

 加齢性難聴の一つの特徴は、本人が聞こえにくい(耳が遠くなった)ということを自覚しにくいということです。

 難聴になる速度がゆっくりなだけでなく、周囲の人たちも声のボリュームをあげて対応するなど、聞こえにくいことをカバーする作用が働くのです。

 耳鼻科の医師から話を聞いてみると、聞こえにくくなる仕組みは様々ありますが、加齢性難聴の場合は耳の奥にある「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれるカタツムリのような器官がにある細胞が機能しなくなることで発生するということです。

 耳鳴りやめまい、ふらつきなどの症状が出る場合にも、この蝸牛の働きが原因の可能性があります。

 補聴器の普及のカギは、価格が高いというハードルをどうするかということです。それから、補聴器は「カッコ悪い」「恥ずかしい」という状況を変えていくことも重要だと耳鼻科の医師から話を聞きました。

 諸外国と比較しても、圧倒的に遅れている分野であり、補聴器の公費助成や地域で調整や訓練などができる環境を広げていくことために奮闘します。

 難聴と補聴器に関するアンケートにご協力ください。

  • アンケート用紙をダウンロードする場合は→コチラ
  • インターネットアンケートの場合は→コチラ

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「子どもの権利」が侵害されている実態を変えていきたい

2019-05-21 | 学んだこと、政策のこと

 子どもの権利条約との関係で、子どもたちが置かれている状況がどうなっているのか──。個人や団体から、お話を聞かせていただいています。

 子どもの権利条約ができて30年、日本が条約に批准して25年になりますが定着していないと痛感する話がてんこ盛り。

 その一つが、「権利を主張するなら義務も果たせ」ということかもしれません。子どもの権利条例を制定した豊島区でも、条例制定当時は大議論になったと伺いました。

 しかし重要なのは、子どもたちの権利を保障するために、おとなが義務を果たすことです。

 

 

 今年3月、国連子どもの権利委員会が、日本政府への勧告(総括所見)を出しましたが、そこでは次のように指摘されています。

 委員会は、緊急の措置がとられなければならない以下の分野に関わる勧告に対し、締約国の注意を喚起したい。その分野とは、差別の禁止、子どもの意見の尊重、体罰、家庭環境を奪われた子ども、リプロダクティブヘルスおよび精神保健ならびに少年司法である。

 差別や子どもの意見の尊重などが注意喚起の筆頭に来ているのです。

 このことについて、新潟大学の世取山教授は、先進国への勧告とは思えないという趣旨のコメントされていました。

 社会全体の構造問題であり、一つひとつ子どもの権利を保障する仕組みと制度をつくり、その内容をしっかりと広く普及・啓発していくことは急務です。

 「勧告」では、研修についても次のように指摘しています。

 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての者(教員、裁判官、弁護士、家庭裁判所調査官、ソーシャルワーカー、法執行官、メディア従事者、公務員およびあらゆるレベルの政府職員を含む)を対象として、条約およびその議定書に関する具体的な研修セッションを定期的に実施すること。

 そして、子どもに関わる人のみならず、すべての人が子どもの権利を保障するために「あなたらしく、自分の人生を生きていいんだよ」というメッセージを発信していくようにしていくことが大切だと思います。

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