12日、「上映会&シンポジウム ポスト原発時代を生きる@和光大学~上関・祝島の現場から~」に参加しました。
※トーク&現場からの報告、シンポジウムの内容はustreamからご覧いただけます。以下、講演や報告の文責は池川にあります。
久しぶりに母校で受ける講義(学習会)は、新鮮かつ勉強になりました。
映画「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映後、監督の鎌仲ひとみさんが「『核を巡る三部作』を振り返って」と題して講演。
鎌仲さんからは、「誰が推進と反対の対立をつくりだしているのか」という問題提起があり、映画を通じて最初から色分けするのではなくそこで何が起こっているのかをしっかりと見ることが必要だとお話がありました。
未来のエネルギーをどうするのか──映画を見た若い人たちからは、「何ができるのか」と言われることが多いと言われていました。
◆現場からの報告──脱原発の島づくり構想
地方自治に関わる一人として、非常に興味深く聞いたのが山口県上関町祝島の「脱原発の島づくり構想」。報告してくれたのは祝島で原発反対運動、地域の町おこしでがんばっている山戸孝さん。
映画から3年──。「(上関原発建設が)止まってよかった」と言われるが、実際には宙ぶらりんの状態だといいます。
まちづくりをどうするのか、原発のカネに頼らずどうするのかが大きな課題となっていると山戸さん。これまでは原発反対派が、原発以外の地域振興策(対案)を示さなければなりませんでしたが、すぐに建設という状況にない中で推進派も対案を示す必要があるといいます。原発を推進すれば二重丸と言っていても、現実にはすぐに建設となることは難しく、その間もしっかりと地域振興をしていかなければならないからです。
同時に「原発反対」と運動をしている方々にとっても、原発反対というのは目の前の問題であり、この地域に住み続けたいという構想をどうするのかが本当に大事なところだと強調しておられました。
とはいえ、生活しながら原発反対運動をおこない、さらに島おこしの代替案を考えていくというのは並大抵のことではありません。原発が止まればハッピーではなく、これからどう地域で若い人が生きていくのかが重要な課題となっています。
もう一つ、どういう方向で島おこしをしていくのかということですが、特産品、加工品の開発が必要だが、どこからか新しいものを持ってくるのではなく、自分たちの身近なものを生かし切っているのかを探求していくというお話がありました。
たとえば、自生しているビワを生かして一つの「売り」をつくってきました。何が必要なのかを選択して変化していくこと、同時に変えてはいけないものはきちんと守っていくことが必要だといいます。その尺度は、新しいから、古いからではなく、それが自分たちの生き方にとってどうかという話は私も同感です。
また、外からの視点の重要性についても、それをどう受け止めていくのかが重要であり、原発推進派からは「町の外からの声は聞かない」というような声も聞こえてくるが、町の人間だけでやるのはむずかしいのが現状。地域の財産を自分たちの視点だけでなく、外からの視点をしっかりと取り入れていくことも必要だといいます。
「あれが大変、これが大変」という状況は各地にあると思うが、逆にその地域は何がいいのかに着目していくことが地域をよくすることにつながっていくと、ご自身が一度島から出たからこそ気づいたエピソードも交えてお話をしてくださいました。
自分たちの地域や生活を見つめ、人と人のつながりのなかにヒントを見つけていく──巨大なリスクとカネではなく、隣に立っている人といっしょに生きていくことが大切ではないかと山戸さん。自分たちの地域をよくするために、コミュニティをいろんな角度から磨き、発信していく。一つの自治体で乗り越えられない問題は、他の力も借りていくことが大事だと強調されました。
◆現場からの報告──上関の自然を世界遺産に! 自然を活かした町作りへ
もう一つは、「上関の自然を世界遺産に! 自然を活かした町作りへ!!」と題して、長島の自然を守る会の高島美登里さんが報告。
長島の自然を守る会では、貴重な生態系の調査をおこない、13年間で1000回の調査をおこなったといいます。
調査をしての実感は、「奇跡の海。奇跡的に残された海」だということ。「小さな太平洋」──太平洋にしか生息していない貝類が多数発見され、「小さな日本海」──日本海に生息する海藻がいくつも見つかっているといいます。
レッドリストに登録されたカンムリウミスズメはファミリーが一年中見られる場所としても注目されています。そのほかにも、カラスバトが瀬戸内海で繁殖したり貴重な生物が生息しています。まさに「生物多様性」の宝庫だというのです。
原発建設に伴う埋めたてで、これらの生き物の生息地が消滅していくことは明らかです。埋めたて準備でもすでに悪化しているとの報告もありました。また、四万十川の流量に匹敵する原発からの温排水は、海水温を7度上昇させるといいます、これでは生き物に大きな影響が出るのも当然です。
人の心が少しずつ変わっていくことを実感しているので、上関の貴重な自然を未来の子どもたちに手渡していきたいと力強く語っておられました。
かなりザクッとした紹介になってしまいました。原発建設をめぐって、さまざまな意図が交錯し綱引きがおこなわれている現場の話をうかがう機会を得て非常に有意義な時間でした。地域のまちづくりにも生かせる内容満載。地方自治のあり方についてもとても勉強になりました。
┏┓池川友一|日本共産党町田市議会議員
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